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「あっ、プロデューサー!今日もお疲れさまでしたー!」
 今日は都内で歌番組の撮影だった。
 歌番組と言うにはバラエティ色の強い番組であり、高槻やよいに合った、らしさあふれる明るい収録だったと思う。
 収録を終えたやよいは早々に私服に着替えオペ室まで走ってきたのか、靴ひもがほどけ、息も少し切れていた。
「お疲れさま。スタジオで走ったらだめだろ。それにちゃんと皆さんに挨拶してくるんだ」
「えへへ………」
 この子はランクが上がっても、本当にどこまでもまっすぐな子だ。
「あのっ、プロデューサー!」
「ん、どうしたやよい。」

 体温が急速に上がる。

「あの……、
 挨拶が終わったら、
 いっしょにお食事にいきませんかっ?」
 やよいが問いかけてくる。
「うん、いいよ。ああっと、靴ひもはちゃんと縛ってからいくんだ。」

 心臓の鼓動が速くなる。

「わかりました!ありがとうございますー!」
 走るなと言ったのに、靴ひもも縛らず走っていくなよと苦笑する。


 初めて事に及んだのは、きらきらと輝く衣装に身を包み、汗を滴らせる姿が扇情的に見えたからと記憶している。
 それから数え切れないほどの仕事をこなし、数え切れないほどに心を通わせて、
 「一緒に食事」はいつのまにか二人の暗号になっていた。

 これは、やよいが俺に奉仕する時の合い言葉。
 



「ちゅ…………、ちゅる……、れるぅ、……ふう、んっ……」

 暗くした部屋のベッドに俺が寝そべり、膝の間にやよいが座って口淫するいつものスタイル。
 やよいは目をつぶって猫が我が子の毛づくろいをするように、ガチガチになったイチモツをテロテロと優しく舐めてくれる。
 舌の先端を使って、丁寧に丁寧に。
 つばを飲み込むゴクッという音がイチモツを通して、水っぽく、いやらしく、ダイレクトに脳みそに響く。
 やよいとエッチするようになってからこの静かな口淫がずっと続いているが、お互いに飽きる気がしない。
 むしろこのエッチの頻度は日に日に多くなっている。

「ちゅる……、……っちゅ、ズズッ、……んっ、あむぅ……
 ……ちゅ、………くちゅ、………っちゅ、んぅ……
 ………ずっ、コクッ……、……ちゅ」

 俺は何も言わず、やよいの小さな体をひざでキュッと挟む。もうすぐ射精するよ、というやよいへのメッセージ。
 やよいもなにも言わず、やよいの体で一番やわらかい、唇でイチモツをしごいてくれる。
 相変わらず目をつぶったままに、心地よさそうに。

 全身が強張る。やよいの口は、しっかりとイチモツを包み込む。

「んふっ…………、コクッ、コクッ、コクッ………
 ………っちゅ、……っちゅる………っちゅ……」

 精液を飲み終えたら、またやよいのフェラチオ。まだまだ小さくなりはしない。
 テロテロと、ゆったりと、ゆったりと、やよいの口の中。

「ちゅ……ちゅぷ………、んぅ………、れる……れるぅ………
 ………コクッ……、っちゅ……、………………ちゅぷ」

 キュッ。

「……ちゅっ、ちゅっ、…………コクッ、……コクッ、ちゅうっ……
 ………こくっ、……こくっ、……………あはぁ」

 

 何度もやよいに飲んでもらって勃たなくなってきたり、やよいが口淫に疲れてきたりすると、もぞもぞと俺の腕枕を求めてくる。
 お互いの上半身をぴったりとくっつけて、やよいの感触を、体温を楽しむ時間。
 やよいの頭は、どうしていつもいい香りがするのだろう。

「プロデューサー……、息が熱いです……」
「ん、そうか……」
「はうぅ……、もーう……」


 そうしてお互いが回復したらまた睦み合い、自然に眠りにつくまでそれは続く。
 そのあったかさに俺はもう、やよいの、やよいの口の虜になっていた。

 やよいとの時間は矢のように過ぎていき、
 活動終了が決定した。

 



「おはよう。いつも通りとはいかないだろうが、
 残り時間を全力でプロデュースしてくれたまえ」

 決定してから彼女をどう説得したのかはよく覚えていない。
 ただ、最後のコンサートは派手にやろうと話したことはうっすら覚えている。
 十万人収容のドームを借り切った一ヶ月後のラストコンサート。これがやよいを飾る最後の華。
 俺がやよいに送ることのできる、最後の華。

 コンサートが決定してから、俺は制作に、やよいはレッスンに追われる日々を送っていた。
 お互いに忙しい毎日が続き、会う機会もほとんど無くなった。たまに会ったとしても必要なこと以外は積極的に話も断った。
 コンサートが決まり、ようやくやよいと会えなくなることが実感として沸いてきて、それが大きな錘となり、恐ろしくなったのだ。

 異変はコンサートまで残り二週間となったところで始まった。
 デスクについていると、不意にイチモツが舐められているような感触がする。
 ふっ、と下を見ても、当然だれもいない。そしてそれは日が経つにつれ、だんだんとその頻度が多くなっていった。

 コンサートまで残り一週間となった。幻想の優しい舌触りはあらゆるところで頻発し、しかしその幻想が俺を快楽に導くことはなかった。
 家に帰っても舌触りに襲われるようになり、大きくなったイチモツをヌイておこうと思い、自分でしごいてみてもまるで意味はなく、
 止まらない下腹部の鈍痛に加え、一人でベッドに入っていても寒さばかりを感じてしまい眠ることもままならない。
 胃袋を取り替えたいほどの吐き気、立つだけでフラッとする体、精神は既に限界を超えていた。


 コンサートまで残り三日。この日はリハだった。ドームのかなり離れた席から見るやよいは、まばゆいほどに輝いていた。
 舞台良し、音響良し、照明良し、衣装良し、進行良し、スタッフ良し、やよい良し。
 俺だけがこのコンサートに孤独に取り残されていた。

 ふらふらになった体に鞭を打つ。駐車場はすっかり暗くなっていた。
 自分の車にやっとのことでたどり着く。

 月明かりが、やよいを照らしていた。

「プロデューサー…………」

 やよいが口を開く。


「…………いっしょにお食事、いきませんかぁ?」


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 じゅぷ…… じゅぷっ……、じゅぷっ………。……ちゅっ、……ちゅうっ。
 ………コクッ、………コクッ、……コクッ、………コクッ、コクッ……、
 …………ちゅるっ、ちゅっ、……じゅぷっ、……ちゅっ。


 もう、どのくらい経ったろう。


 ちゅっ、ちゅううっ……、ちゅるっ………、……ぴちゅっ、………んふぅ。
 ……………コクッ、………コクッ、……じゅぷっ、……ちゅぷぷっ。


 やよい、きれいだ。


 ちゅうっ……、……んふっ、………れるぅ、…………あは、………っちゅ。
 ………っちゅ、…………っちゅ、………っちゅ。


 ………ん、寝る?じゃ、もう寝よっか。

 おやすみ。



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