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 さて、いったい何故俺はこんな場所に居るのだろう。
 穏やかな照明に暖房。
 シンプルながら高級そうな調度品。
 糊の利いたシーツに包まれたやたらと大きなベッド。
 
 シーツに糊が利いてると判る。すなわち俺、現在ほとんど裸。
 いや、トランクスは履いている。そして革手錠と革足錠。
 ……手錠? 足錠?

 いや、俺の腕を拘束してるのはもっと重大な意味を持つ存在だ。
 手首で緩やかに拘束された両腕を、肘を押すかたちで「バンザイ」させている
小さく柔らかい手。
 上を向いてみたならば、視界に飛び込む銀色の輝き。
 ワインレッドのガウン。その「中の」存在と重力が押し開く胸元。

「よい、しょっ、……と」

 穏やかさときらびやかさを思わせる、頭上から響く声。
 そしてその声とともに揺れ動く、ガウンに包まれた女体。
 もっと揺れ動く胸元。 一瞬、ちらと見えかけた白いふくらみ。

「……あ」

 要するに、ベッドに転がされている俺をまたぐような格好になっているわけだ。
 その彼女が、俺の異変に気づく。
 


 いや、ちょっと待て。 なんだこの展開は。
 確か俺はTV局のディレクターとの打ち合わせでTV局に来ていて、そして疲れ
のせいかちょっと仮眠を取ろうと仮眠室を借りて、……そして仮眠室の煎餅布団
が突然豪華調度とこの目の前をゆらゆらする女体に化けた、わけか?
 なんという都合のよい……いや、わけのわからん展開なんだ。



「目覚められましたね……プロデューサー様」
「……きみ、は? ええっと、ああ、そうだ、961プロの……」
「はい、四条貴音と申します。今宵は宜しくお願いいたします」
「いえいえ、こちらこそよろし……じゃなくって!!」
「どうかされましたか?」
「どうもこうもない! 何なんだこれはっ?!」

 さすがに怒鳴らざるを得ない俺に対し、四条貴音……ライバル事務所が最近大
売り出し中のアイドルである彼女はというと平然とした表情を崩さない。

「何なんだと申されましても……ご覧になったとおり、誕生日プレゼントですわ」
「たんじょうび、ぷれぜんと?」

 誕生日プレゼント。 ふむ、俺はいつから今日が誕生日になったのだろう。
 誕生日にライバル事務所の新人アイドルに夜伽を強制。 うーむ、淫靡を通りこ
してもはや犯罪の臭いしかしてこない、というか芸能界ではちょくちょく噂は聞くも
のの、そういうのってTV局のディレクターとか後援者とかに夜の営業かけるってケ
ースなら噂になることはあるけれど。
 いや、しかし。765プロはそういうのとは無縁のところだ、それは断言したていい。
社長は芸能プロの社長としては欠点じゃないかと思えるくらいに、所属するアイドル
たちが「一人の女の子」であることを重視する人だ。765プロに夢を持って入ってきた
女の子たちの夢をかなえるために、そして夢かなったあとの長い人生において、女
の子たちが生涯苦しむような辛い傷を活動中に負わせないためになら、いくらでも
身銭も切るし苦労も背負い込む、そういう人だ。だからこそ俺はたとえ弱小でも、所
属する女の子たちが皆生き生きと助け合ってひとつの大きな家族のように青春の
日々を送っている765プロに俺の能力・労力すべてを捧げてきたわけで。
 しかし、ライバル事務所の961プロはそうじゃない、というわけか。
 対立プロダクションのプロデューサーを夜の営業で篭絡、……許せない。

 しかし、だ。
 メロスはここで暴虐の王を取り除くべく立ちあがるわけだが、悲しいかな俺で勃ち
あがっているのは正義の怒り以上に……股間の暴れん棒だったり、する。


 四条貴音。 ライバル事務所のアイドルとして、当然俺も一通りの対抗プロデュー
スのために情報を集め、そして綿密に研究済みだ。
 ああ研究済みだ、研究なのだ。
 まかりまちがってもダンスの際に輝く銀髪や、弾む豊かなムネや、たっぷりとした腰
つきの色香に迷ったりなどしてはいない。 いないんだったらいない。 所属アイドル
じゃないから性欲発散の対象にしたっていいだろうなんて思ったりしたこともあったり
なかったりするが実際にやってはいない! いないんだ!
 
 ……ああ、認めるよ。 さっき彼女の身体の下から、ガウンの中の白いふくらみが見え
かけたその瞬間から。 俺のエージェントがこんなときも万全に答える気満々でいるこ
とは!


 そんな俺のトランクスの盛り上がりに目をやった貴音。
 目を細めくすりと笑うその表情は、綺麗だった。
 す、と手を伸ばしトランクスの前を下ろす。
 ビンッと擬音が入りそうな勢いで、俺の勃起したそれが天に向いた。

「これが、殿方のアレなのですね……」

 俺の腰の横に横座りした貴音が、「それ」に手を伸ばす。
 白い掌が、きゅっと肉柱を掴んだ。
 そしてそのままゆるゆると手を上下させる。
 
 正直、男を昂ぶらせるための動きとしては稚拙なものだ。
 だが普段の浮世離れした高貴な立ち居振舞いの彼女が、こんな庶民の俺のナニを、
その白い手で掴みゆるゆると嬲っている……
 横顔の美しさが、ガウンの上からでもわかる豊かな乳房が、しなやかで染みひとつない
肌の二の腕が、俺の昂ぶりをますます高めてしまう。
 いや、ダメだ! この稚拙な動きを見れば、彼女がこんなことなどほとんどやったことが
ないのは一目瞭然。 
 他所の、敵対してる会社のアイドルとはいえ。
 芸能界の一番汚い部分、その中に居る人間の尊厳を簡単に踏みにじる悪習。
 彼女をその犠牲にするわけにはいかない!

「や、やめろ! それはダメだ!」

 口を突いて出たその言葉に対し。
 びくっ、と貴音の動きが止まる。

 さっきまでの顔はどこへやら、
 おそるおそる、という表現がぴったりくる表情で。

「ダメ……なのですか?」
「ああ、ダメだ」

 君の立場では断れなかったのかもしれないけれど、自分を強く持つんだ、と続けるつも
りだった俺の言葉は。
 完全に、止まった。



 ぬるり、という擬音が今度は俺の脳内で響いた、ような気がする。
 必死に首を持ち上げ状況を把握しようとする俺の視界に飛び込む銀色の髪。
 その輝きの中で、俺のナニに与えられてる刺激が。


「な、ちょ、ちょっと、」
「ふぉふぉほのふぃほは、ふぉういうもがふぃもひひひとおふぃふぃふぃふぁひふぇ・・・・・・」
「『男の人はこういうのが気持ちいいとお聞きしまして』、いや、たしかにそうだけど、それで
も、あぅ」

 亀頭部をくすぐる感覚。
 竿を舐めまわす舌。
 と思いきやカリ首の裏を、スジを、なぞるように磨くように這い回る。
 俺の意識がナニに集まりかけたところで、さわりと袋を撫ぜる手。
「うぅあ、」腰から走る震えに思わず身が跳ねてしまう。

 そんな浅ましい俺の顔を、貴音は、たしかに上目遣いで見ていた。
 その美しい眉のむこうから。
 赤い唇の中に、俺のいぎたないモノを銜え込みながら。
 
「だめだ、やめ、……ろ、こんな、……こと……っ」

 大人として。 業界の先輩として。 男として。
 かすめる意識が言葉をなんとか搾り出す。

 しかし……俺の陥落は、目前に迫っていた。



 俺のナニに舌と唇とで愛撫を続けつつ、貴音は巧みに赤いガウンをその身から引き剥がす。
 止め紐を外されたガウンが、彼女が身体を軽くよじるたびにするすると重力に従って滑り落
ちてゆく。
 そのたびにあらわになる、首から肩への、肩から二の腕への、首元から……豊かな乳房へ
の、美しいライン。
 白いふくらみの頂点に、清楚な薄い桜色の突起がちょこんと乗っているのも見える。
 人気急上昇中の彼女、すなわち日本中の男たちの目を急速に惹きつけつつあるその胸の、
その奥の、宝石なんかよりもはるかに高貴で希少な、ふたつの突起。
「駄目だ」の言葉よりも、「綺麗だ」が俺の脳を埋め尽くした瞬間だった。
 わずかに貴音が身を起こし、姿勢をずらす。
 俺のグロテスクな肉柱の頂点から、彼女の熟れた果実のようなみずみずしい唇の間に、銀色
の糸が一瞬引かれて消えた。
 半ば俺の意思と関係なく、びくん、びくんと動き出しかけている俺のペニス。
 彼女の熱くなめらかな舌が、その俺の分身に振りかけた輝く液体が。
 湯気でも立っているかのように、熱く、熱く。
 そして。

 貴音のその美しい身体を覆う肌の。
 もっとも白く柔らかい部分が。
 この、理性を9割方欲望に投げ渡した、下卑た俺の一番下賎な部分を。
 包み込んだ。



 彼女の、四条貴音の、豊かな乳房の間に。
 俺のペニスが挟まれて。
 ちゅるり、と彼女が口元から垂らした聖なる雫が。
 赤黒く憤った俺を。
 柔らかく、暖かく、滑らかな、その乳房との間に。

 その白い裸身を蠢かせながら、貴音は俺のナニにその胸のふくらみで刺激を与える。
 柔らかく、ただただ柔らかく。
 俺のナニを包んでいる彼女のおっぱいも。
 俺の下半身にのしかかっている彼女の身体も。
 上目遣いで俺を見る彼女の視線も。
 すべてが、そうすべてが、柔らかく熱く甘く。
 


 ふたたび、彼女の唇が肉柱を銜え込む。

   
 舞台の上で、舞い踊る彼女の。
 動きひとつにあわせて弾む胸。
 ブレスひとつで蠢くつややかな唇。
 しなやかな腕、綺麗な指。背中。
 隣で画面を眺める俺の担当アイドルには気取られないように、
 たしかにあの時、その画面の中の少女の肉体を、
 押し倒し揉み解し吸い付き、俺の欲望で汚す妄想を、
 はじめて彼女のVTRを見たときに、俺は一瞬だけ確かに想っていた。


 今、その彼女が、俺を。
 








 俺自身永遠に続くかとすら思った、長く強い脈動がようやく収まってきて。
 自分でも覚えのないほどの白濁液を噴きだしつづけた俺の先端は、最後まで貴音の
唇から吐き出されることはなく。
 こくり、とそのたおやかな首元が動いて。
 俺の(分身が)吐き出した俺の邪な欲望の塊を、彼女がその身体に取り込んでしまった
ことに気づいて。

 いまさらながらに、俺は言葉を紡ぎだす。

「……すまない、貴音君」
「?」
「俺は、君に、なんてことを……
 芸能界の中には確かに、所属タレントにそういうことを強制する悪徳事務所もある。
 君のような子に、こんな、事務所の利害のためにこんな酷いことをさせて。
 断れない君の立場を考えたら、俺が、耐えなくちゃいけなかったのに。
 俺は、俺の欲望に負けて、その上、君にこんなことまで……」
「……?」

 きょとんとした顔でこちらを見つめる、貴音。

 何だか風向きがおかしいことにようやく気づき、俺の言葉も止まる。

 そして、貴音が言った。

「あの……プロデューサー様、何か、勘違いして居られるのでは?」
「かん……違い?」
「はい。 今日は私の誕生日ですから、一番不思議だったことを知りたくて、それでこの
ような場を設けさせていただいたのですが」
「……?」 わたしの、たんじょうび?
「アイドルとは、幾千幾万もの殿方に見られることが務め、と伺っております。
 殿方がどのようなことを歓ばれるのか、悦んだ先はどうなるのか、それを知りたくて。
 正直で信頼でき、優しい殿方は誰か居ないかと美希さんに尋ねたところ、貴方を教え
てくださったものですから」
「……」



 えーと、その。 なんですか。
 俺、実験体?

「……やはり、先に一度お願いをしておくべきだったでしょうか……」

 い、いや、その。そう言われてもYesって答えられないけどさ、そりゃあ確かに。
 まぁそれに、その、正直イイなーって思ってた子にこーんなことまでしてもらえたのは
それはそれで男冥利につきるっていうかとっても楽しかったというか意外な自分のM性
まで発見できたかもというか

「そうですか……それでは。」

 ……え?
 実験、終わったんじゃ、なくて?

「そのつもりでしたけれど。 プロデューサー殿と、こうして肌身を触れ合わせているうち
に、私も、なんと申したらよいか……」

 ……はい?

「この、下腹の奥から熱くたぎるような、この切ない身体のほてり、どうして静めたらよいも
のか……」

 身を寄せてくる、彼女。銀色の髪からただよう甘い香り、汗の芳香。
 すべてが、また、俺の、ナニを……



 かちゃり、かちゃりと俺の手足の戒めを解き放つ金属音は。
 そのまま、俺の心と身体を彼女の魅力に縛り付ける戒めの音で。
 形のよい眉の下の、切れ長の目が細まり美しい瞳が輝くとき。
 俺が捕食者なのか、彼女が捕食者なのかわからない、獣と獣の交わりが、

 ……はじまる。

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