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「きゃあぁぁー!」
 旅館の部屋に戻っていった雪歩の叫び声が聞こえて、窓際族で昼行灯の美希刑事がとっさに現場に向かった、
 かに思われたが道すがらにハニーからメールが届いたので部屋にたどり着けなかった。
「に、兄さん!」
 自分たちが泊まっている部屋から悲鳴が上がったということで戻ってきた千早が見たのは、
 実の兄という設定の男が、胸に十数本ものナイフを突き刺して倒れているところだった。その傍らには雪歩がいる。
「あなたが殺したのね! この、このっ! 何が「こんなひんそー私」よ!
 あなたがひんそーなら私はなに!? 自虐風自慢はやめて!」
 千早が雪歩に食ってかかった。
しかし雪歩は泡をふいて倒れてしまっていたので、千早は力ない雪歩をがくがくと揺さぶりに揺さぶった。
ぼきりと嫌な音がしたが、それはまた別のお話。
「待って千早ちゃん」
「その子の力じゃあ」
「男の人は殺せないと思うのぉ」
 雪歩にキャメルクラッチをかけていた千早を、巨乳OL三人組が羽交い絞めにして引き剥がし、麻縄で縛り上げて亀甲結びを施した。
 もみ合った際に、千早の浴衣はほとんどマントのようになってしまった。
ボールギャグまでかまされた千早は、部屋の隅に転がされて、突然の理不尽に泣いた。
「つってもさぁ、この状況じゃあ誰が殺したのかわかんないじゃんねえ。ミンゴスがゆりしー疑うのも無理ないわ。ねえ社長」
 実はスナックのママさんだったチアキングが、豪快に笑いながらお店の常連である社長にそう話しかけた。
しかし社長は真っ黒だった。そして律子の胸元が何故かはだけていた。
 その時旅館の外では、今度映画になるアイドルマスターのスタントシーンが撮影されていた。
主演の真が、やっりーの掛け声とともに宙を舞い、そのまま谷底の中へと消えていった。
「殺人事件があったってホントー?」
「うわあ! こりゃあひどい死体だね! きっと犯人はスタンド使いだね、姉ちゃん!」
「あふぅ、そうなの? でも興味ないから、あとはやっといてなの」
 近所に住む双子の姉妹が現場に乱入してきた。
そして意味深な言葉を残し、遅れて来た美希刑事をひきつれて温泉街へと走り、途中で小鳥さんの腰帯を奪い取っていったのだった。
「犯人が分かりました!」
 そんな混乱の中、唐突にやよいが手をあげて発言した。
やよいが有名な少女探偵だということを都合よく知っていた皆は、どんな推理を聞かせてくれるのだろうかと息をのむ。
「犯人は伊織さん、あなたです! 何故なら、あなたは遺産相続の件でご家族とすごく揉めていましたから! 間違いないです!」
 やよいは人差指でびしっと、非常時にも関わらずあずささんと野球拳に興じていた伊織を指差した。
伊織はあずささんからブラをはぎ取ると、振り向いて呆れ顔を作った。
「確かに揉めてはいるわね。でも、今そこでのたれ死んでるのは赤の他人なんだけど」
「あ、そうなんですか。じゃあ今のはノーカウントで。……犯人は仲居の春香さん、あなたです!」
「え、私ですか?」
 少女探偵やよいの推理的中率は、今現在100%である。やよいは頭の回転が早かったので、すでに真犯人に目星をつけていたのだ。
「……ふふふ、ばれてしまったわね。そうよ、彼は私が殺したの。
だって、あの人のせいで私たちは、L4Uでプロデューサーさんに会えなかったんですよ……!」
 春香はがくりと膝をつくと、顔を伏せて静かに涙をこぼした。
堪え切れない嗚咽に震える肩に手が添えられ、春香は顔をあげる。慰めに向かったのは、プロデューサーその人だった。
「ごめんな、春香。俺がもっとアニメの作画クオリティに言及していれば、こんなことには……」
「うぅ……プロデューサーさん!」
 春香はプロデューサーの胸に飛び込んだ。しがみつき、子供のように泣きじゃくる春香をプロデューサーは優しく抱きとめる。
 そして、心に負ってしまった傷を癒すように、いつまでも胸にタッチしてやるのだった……。
 誰もが言葉を口に出せない、辛い空気がそこにはあった。
誰も春香を責めることができない。深い悲しみが引き起こした、切ない衝動。


 痛ましい事件だった。だが、私たちは忘れてはならない。
 被害者であるファンPの胸には、合計12本のナイフが刺さっていたということを……。

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