主に哀咲のTRPG(CoC)用wiki。ほぼ身内様向け。「そこのレディ、ティータイムの御供にクトゥルフ神話は如何かな」

概要

製作:哀咲
プレイ時間:テキストオンセ 6,7時間ほど
傾向:ロンドンの片隅で、一人ぼっちは嫌だという者がいる。誰もが抱える寂しさを救えるだろうか。
   NPCの心情、思いを汲み取って思い悩む、そんなシナリオにしたかった。
使用に関して:改変、リプレイ等公開自由。制作者もしくはwikiのURLを明記してください。

シナリオ


<あらすじ>
とある少女は言う。
「彼を探しだして、止めなくちゃ」

<キャラシについて>
国籍自由、職業自由だが、日の目を見ても大丈夫な職業の方が良いだろう。
また、信用、説得等の交渉技能がある方が良い。英語もあって損ではない。
戦闘技能もあると良いだろう。

<舞台>
イギリス
(銃器規制が厳しいので持ちこみ等などには危険が伴うとする)

<推奨人数>
〜四人

<友好>
マーテル・テネブラルム(マレウス・モンストロルムp195)

<敵対>
クルーシュチャ方程式(マレウス・モンストロルムp204)より、オリジナル神格
正答者:理知の黒尾 Intellect of Black tail / Abel 以後「A」と記載。
エイベル R ボルジャー

上記の敵対キャラクターシートは末尾に記載する。

<クリア条件>
エイベルを連れ戻す/殺害
Aの退散
本の処理 (処理法は問わず)

<他事項>
このシナリオは「白磁の庭でお茶会を」、「素晴らしい世界によろしく」と同設定を使用しているため、前もってセッションすることをお勧めする。
またオリジナル設定色が強いと思うので先にPLに説明しておくこと。
マレウス・モンストロルムを使用しているが、所持しなくても問題はない。

KP情報としては、エイベル=Aである。エイベルが探索者たちの世界線の彼、Aが滅びてしまった別世界線のエイベルであるためで、
詳細は同配布場の「素晴らしい世界によろしく」を確認すれば把握できると思う。
Aの最後に残っている人間的な魂が同じ魂の持主であるエイベルに呼びかけ(テレパシー)ている。
また、シナリオ中、エイベル本人と連絡は付かない。


<導入>
気がつけば、テーブルの上に本が開いている。見覚えはない本だろう。
青く美しい地に一輪の薔薇と月が描かれたもので、英語で「テネの光」と表紙には綴られている。
開かれたページには金のラインで縁取られた一枚のカードが挟まっている。
「あなたの大切な人を止めなくちゃ、私を呼んで」と各探索者の母国語で書かれているだろう。
他、カードには、「マーテル・テネブラルム」とも書かれている。
その名を呼べば、視界が真っ白に染まることだろう。
※もし名前を呼ばずに放置しても、「呼びなさいって言ってるじゃない!」という少女の怒声が聞こえ、視界が白に染まる。その際は0/1。
目が慣れた頃には、白いと思った世界は緑に溢れている。そして探索者に頭を下げるのは薄青のドレスに身を包まれた美しく少し小柄な少女である。
その目はレースの施されたリボンを巻かれている。肩にはコウモリが一匹。
彼女は言う。「彼を探しだして止めなくちゃ」
質問が飛んでくると思うが、その際はどうせ分かることよと流す。
少女は言う。「彼は本を書いているみたい。私より上位の神様の本」
「…止めなくちゃ、というより……彼にとって一番の道を選んであげて」
肩のコウモリが羽ばたいた。探索者のうち誰かの頬すれすれを掠め行く。後ろを振り向けば大きい木製の扉がゆっくりとその身を開いているところだろう。
「彼の詳しい居場所は分からないけれど。見つけなくちゃ。あとはあなたたち次第だけれど、きっと大丈夫よ」
と扉を指差して言う。
「早く道を教えてあげて」


<英国の一室>
扉の先は、とあるリビングだ。整っていて広い。友人とよく会っている、などという探索者がいれば見覚えがあるだろう。エイベルの家のリビングだ。
<目星>でテーブルにメモが挟まっていることに気付く。

○メモ:郊外の住所が綺麗な筆記体で書かれている。調べるとロンドン北西部の湖畔地帯の一部が出てくるだろう。
私有地となっている。名義は「Abel R Bolger」。

「Bolger」を調べる場合は<図書館>、<コンピューター>。
図書館:産業革命期頃に表舞台に出てきた準男爵の一族、本拠ロンドン。
コンピューター:家系図を発見する。現当主の子は三人だが、継承者である長子の名がない。
以上の情報が出てくる。

家の中を調べる場合は、私室、書斎などからしか情報は出ない。

・私室
本棚、本だらけでこちらが書斎ではないのかと思うほどである。申し訳程度にデスクとラックトップPC、ベッドが置いてある。
カーテンは閉め切っていて、薄暗い。調べる場合は<目星>、<図書館>。
図書館:エイボンの書、ナコト写本とかいう冒涜的な本……手帳が本の山から出てくる。
目星:ルーズリーフが埋もれているのを見つける。

○手帳
メモ代わりのようだ。ほぼ専門的な数式などで埋まっているが、最後の数ページが日記のような独白のような、会話のような形式を取っている。
一言ずつ程度のものではあるが。
「寂しい。そうか、寂しいか。どうしようか」
「繋がりが欲しい?随分と欲深いね」
「どうして私に。魂が同じ?そりゃ、そうだろうけれど」
「ねぇ。ねぇ。どうしてあんなことをしたんだい。私を怒らせて楽しいかい?」
「楽しいよね。知っているさ、私なんだからね」
「言ったろう。私だけと繋がる、それで満足してもらうと。なんだ、神の部分がそうしたと?」
「ふざけてくれる。……ああ、寂しいのはわかるけれど、私のものに手を出してくれるな」
「落ちついたようで何より。……ようやく時間が取れるんだ、頼むよ」
「問題は、書いたあと……だけれど、どうしようもないし、本棚にでもしまっておくしかないか」

○ルーズリーフ
筆記体で書かれた単語たちだ。
それをネットで調べると、雑貨屋、文房具店に行きあたる。

○PC
特にパスなどは設定されていない。エイベルをよく知る探索者なら少し違和感を覚えるだろう。
<コンピューター>もしくは<図書館>で閲覧履歴からルーズリーフにも乗っている雑貨屋のHPに行きあたる。
住所はロンドンで、歩きで十分行ける距離だ。


・書斎
私室に比べてすっきりしている。本棚はかなりの量で、そのどれもにきっちり本が収まっている。
背表紙を見る限り政治、経済、地質学、文学、小説、など多岐である。
哲学やギリシアについての本や、アロマについての本、日本語の小説本なども混じっていることだろう。
書斎の机に<目星>をすれば、引き出しの中から一枚の封筒が出てくる。開封済み。
差し出し人は「Edythe J Bolger」。住所はロンドンの上級階級層が住むあたりだろう。
また、家系図を見つけている場合は、現当主の末娘だということに気付くはずだ。

○手紙
英語で書かれているが、技能持ちならそこまで読むには時間のかからない丁寧な文である。
「緑の目で理知的? 兄様みたいですね。でも御髪は黒いのですか。どうしてそんなことをお尋ねになるのかは私には見当もつきませんし、
詮索も致しませんので、近いうちにお時間を少しばかりエディにくださいな。どうかご一考を。
それで、本題ですけれども、そうですね、私は"Intellect of Green eyes"とご提案させて頂きます。」


<ロンドンの喧噪に紛れて>
この時点で、探索者たちが行こうとするのは、「ボルジャー家」もしくは「雑貨屋」と思われるだろう。
英語技能がない場合は、テネブラルムが力を作用させ母国語に聴こえるように、相手に伝わる様にしてくれるが違和感を感じる。(0/1)

○雑貨屋
大通りから少し外れた路地にある小さな店だ。シックな雰囲気で、人気は余りない。
眼鏡の女性が店主のようで、ぼさぼさの金髪を適当に横に流し、レジの置いてあるカウンターで肘をついている。
「いらっしゃーい……って珍しい顔だねえ」
普通の雑貨から、普通の人間なら少し首を傾げるようなものまで置いてあるだろう。
「何が入り用で?」

・ボルジャーについて尋ねる
「ボルジャー? は? あの準男爵の? 何で私に訊くわけ?」
<心理学>で何かを知っていることが分かる。<信用>、<説得>をすると続きが訊ける。エイベルの名前を出すと+10。
「エイベル?ああ、うん。彼ねぇ。そっかぁ、じゃあ話しちゃうけどさあ。彼に私が話したって言わないでねぇ。お得意様なんだよお。お願いだよ?」
「先週だったかなぁ。本がほしいって言うから、何の本って訊いたらね?
あっ、うちの店お得意様にだけのサービスで取り寄せとかしてるんだよそれでね。
緑色の地がいいっていうから、もしかしてと思って、書くの?って訊いたら、そうだっていうからさあ。
もうびっくりしちゃってさ、彼って学者だから、書くなら原稿用紙じゃない?ね?おかしいじゃん」
「書くなら最初は原稿じゃないの?しかもそれ出版とかじゃないの?印刷じゃないの?って訊いたら、
一冊だけでいいし、絶対に間違えないからって言うんだあ。びっくりだよね。
でも彼がそう言うって大体マジだからさ、わかったよおって探してあげたらいい感じの見つけてねぇ。
淡い緑……うーん新緑の野原みたいな……そんな感じの、中身真っ白な本があったからあげたの。
そしたら、表紙にタイトルを縫えるかっていうからさあ、サービスしてあげちゃったよお」

・本について尋ねる
上記の質問後なら特に判定はいらない。こちらが先の場合は同じく<信用>、<説得>。
「私これでも縫物得意でえ……結構そういうお客さんもいるからたまーにやってあげるんだあ。
そうだなあ、彼に頼まれたのは確か……"Intellect of Green eyes"っていうやつだったかなあ。
なんかかっこいいわぁと思って縫った覚えあるし、たぶん張り切ってやったから、薔薇とか着けちゃったかも。あは」

・エイベルの行き先
上記二つの質問の後なら判定はいらない。
「行き先?いやあ流石にそこまでは訊かないってばあ。
だってお得意様だし、あんま詮索するのは駄目じゃない?彼ってば金払いもいいからほんと助かるんだよお。
また白衣と万年筆用意してあげなきゃぁ……。あとなんだっけぇ…………」

雑貨屋店内に<目星>をすると、嫌な感じのする本や物品を見つけてしまうだろう。(0/1)


○ボルジャー家
ロンドン、貴族層向け一等地の一つにある。三階建ての屋敷であり、庭が広い。一番外の大門傍にあるインターホンを鳴らせば、最初にメイドが出てくるだろう。
大門は電子ロックで屋敷内からの操作になるので、外からは開かない。

・封筒を持ちだして、エディの名前を見せた場合。
メイドが慌てたようにエディを呼びに行き、とりあえず大門は開く。
あまりエディの印象は良くならない。KPはのちのエディRPに反映させるよう。

・<信用><説得>
何も無し:-20
エイベルという名前を出す:+10
成功で大門が開く。

・侵入
防犯システムに引っ掛かる。
警察行き。

大門含む、屋敷周辺に<目星>すると庭には薔薇を中心にとても繊細な作りをしていること、
<聞き耳>をするとどこからか水の流れる音がすること、それは噴水であろうことに気付く。

大門が開き、屋敷の出入口まで着くと、探索者たちが何かする前に門が開き、メイドが一礼する。
「どうぞお入りくださいませ。お嬢様がお会いになるそうです」
と案内される。案内されるのは中庭。紅茶とお茶菓子が出されるだろう。
先に清楚なワンピースに身を包んだ女性がいる。メイドに声をかけられると、
女性は立ち上がり、先がくるりと綺麗に丸まった落ちついたダークブロンドを揺らし、探索者にお辞儀を見せて、こう言う。
「イーディス J ボルジャー、と申します。以後お見知りおきを。どうぞ、お掛けください」
クッションの置かれたベンチや椅子に腰をかけると、女性も椅子に腰かけなおし、改めて探索者を見据えるだろう。彼と同じ緑の瞳は痛いほどの視線を送って来る。

○エディの所持情報
・エイベルが私有地の湖畔へ行っていること
・何かを書こうとしていること
・少しばかり、ぼーっとしていて、普段通りではなかったこと
・三日は帰らないと、一昨日言って、湖畔に向かったこと
(エイベルが湖畔に行って二日経っている。現在最終日である。)
・Intellect of Green eyes =本のタイトル

上記に触れるような質問があった場合、臨機応変に返答する。
また、エディは相当の兄好きであるため、兄関連で「いやこれはねぇわ」という事態にぶち当たると怒り始める。あくまで内心的ではあるが。

・エイベルについて
「我が一族の者に何か御用でいらっしゃるので?その者はあいにくもう家の者ではありませんが」
→エイベルの友人であると<信用><説得>。所持している連絡先を見せるなど証拠付きの場合、+10〜20。
「……失礼致しました。エイベル兄様のご友人でいらっしゃるとは露知らず。
それで、何か御用があってこちらにいらっしゃったのでしょう? お話出来ることであれば、お答え致します」

・本について
「さぁ……内容については分かりかねます」

・Intellect of Green eyes について
「……私が兄様にお願いされて考えたものです。なんでも緑の目で理知的なものを語る本があるのだけれど、それに名前をつけなきゃ整理がつかないと……」

・郊外私有地について
「今から行かれるのでしたら、きっと日が傾きますね。あそこは観光地でもありますから、電車は相当混みます。
……けれど、駅から歩くことをお勧めしますわ。とても美しいんです」

質問が終わると、何か嫌なことを予感してしまったかのようにエディは探索者たちに腰を折る。
「兄様を、よろしくお願い致します……大切な、兄様、なんです……」と懇願するように言って、門まで見送ってくれるだろう。
もし、車を貸してくれ、などという申し出をした場合は、少し考えた後、お付きのメイドを呼び出す。
「行きだけなら、お力添えできます」と、行きだけ車を貸してくれるが、それでも「最寄り駅」までだという。
また、エディが適当なメモにサインを書いてくれるであろう。これがなければ私有地には入れない。


<湖水に映る空は赤へ>
探索者たちはそのまま郊外へと向かうだろう。
ロンドンを訪れた際は、時差だろうか……朝であったが、この頃には少しずつ日が傾いているだろう。
光を反射して輝く湖と、広がる森の姿はとても美しいと思えるはずだ。鳥や、時折リスやウサギも見受けられるかもしれない。
<目星>で、木に寄りかかる人影を見つける。

○人影
エイベルによく似ているが……近付こうと思った時には霧散してしまっている。(0/1)

そのまま進むと、私有地の証でもあろう柵が現れるだろう。奥には湖畔に佇むカントリーな小さめの屋敷が見える。人影がちらほらとあって、使用人のようだ。
入ろうとすると近くの庭師が声をかけてくる。
「ここは私有地ですぜ」
ここでエディから貰ったサインを見せると、「はーお嬢さんのサインか。どうぞ入ってくだせえ」と入れるようになる。

庭は広く、馬が数頭放されている。また大きな樹と薔薇と、彼らしいと思えるような作りをしている。
家までやって来てベルを鳴らすと、ラフな格好ながらきっちりとした口調の男性が現れる。
「どちらさまでしょうか?」
サインを再びみせると、驚いたように「お嬢様のお知り合いで?ここはお嬢様のお兄様の私有地でございますが」と問う。
エイベルに会いに来たと告げると、「ああ、旦那様ですか……アポは取っていらっしゃいませんよね」
ここで友人であるだとかそんな風に<説得><信用>させることができれば、
「今ちょうどお出かけになっていらっしゃいます……もし急用なら使用人にご案内させます」
という提案を貰えるだろう。
頼むと、一人の少年が呼び出される。緊張した面持ちだが、頑張って綺麗な英語を使おうとしているのが分かるだろう。少年はハーヴィ(Harvey)と名乗る。
少年の案内されるままに行けば、家の裏手の門から森へと入っていくだろう。
湖畔を横目に森の中を進めば、鹿や大型の鳥なども見かけられる。
<目星>をすれば、どうにも歩きやすいように何度も手が加えられているような足元だと思うだろう。
奥へ奥へと進んでいくうちに、通りから隠すように森が伸びた湖の傍へとやってくる。不思議と開けた湖の傍で、見慣れた茶髪の彼の後姿を見つけるだろう。
「あ、いらっしゃった。それじゃ、僕は戻りますんで。足元見てれば帰り道、分かります。大丈夫。あ、これ、一応ライトです」
とハーヴィーは気を効かせて探索者に懐中電灯を一つ渡して森の中へ戻っていく。


<緑の瞳>
声をかけるなり近付くなりすれば、彼は気づいて立ち上がって振りむく。
「おや、よくここまで来たね? どうしてだい」と笑ってはいるが、深緑に光がない。
<精神分析>、<心理学>などで、自失、虚脱といったような表現が似合うような、誰かに操られているような……そんな印象を受けるだろう。(0/1)
どうやって声をかけようにも、彼は微笑み、こう呟く。
「……寂しかったと、声がするから」

湖が音を立てて飛沫をあげるだろう。赤い空に相反するようにどこまでも黒い触手が、這い上がる様に岸辺に手をつく。

「彼の魂を理解しない者は、まず彼を招来させるに値しないと、私は書いたけれど」

エイベルに<目星>などをして、注視した場合、彼の手に淡い緑色の本があることに気付く。
金色で何か書かれているが、良く見えない。

「同じ魂なら、そもそも……理解できないわけがないよね」

水飛沫が探索者たちに振りかかる頃になると、エイベルを背後から抱きしめる存在が現れていることに気付くだろう。
『そうだね。寂しかったよ』
「そうだろうね。もう寂しくないだろう」
交わす声はまったく同じもので、同じ口調である。
エイベルを抱きしめるのは、とても美しく黒を基調とした整った身なりをした黒髪の男だ。
燕尾をどかすように無数の黒い尾が岸辺にかかっていなければ。
湖から手を出していた触手も、元をたどればその男の尾骨……いや、背からだろうか……生えていることに気付くだろう。
一尾がそっと、白い仮面を外して行けば―――エイベルとまったく同じ顔、同じ光のない緑が探索者たちを見据えている。
そして、微笑んでいることだろう。それは、狂気に塗れている。(1/1d20、仮面を外す、かつエイベルが傍にいることに1/1d6)

戦闘になる。
終了条件は、エイベルを気絶、殺害することである。
Aは明らかに手加減を加えるようにすること。
戦闘終了にすると、本がエイベルの手から零れ、探索者の足元へと落ちるだろう。

戦闘中に、Aが攻撃された場合。
「彼は本を見て眉を顰めた……まるで痛みを感じたかのように」と描写する。
エイベルがAの力により繋がっているため起こる現象である。
また、エイベルを叩くためには二本の尾を無効化しなければならない。
本を奪う場合は二回分の黒尾の対処が必要。

また戦闘中に「一人は嫌だから」「繋がりのために」などと分岐推理用のワードを零すこと。

<緑の果てを選ぶとしたら>
戦闘を終えると、Aは気絶もしくは死亡したエイベルを抱きしめながらも、探索者の手に落ちるであろう本を見つめる。

それをどうするかは、探索者しだいだ。

・エイベルを殺害していた場合
Aは高笑いして、憎しみのこもった緑で全員を見つめ、尾で全員を貫くことだろう。
その感覚に確かに死んだと思ったはずなのに……気がつけばベッドの上。
自室。けれども、胸には、黒い痣が。(1/1d6)

・焼却などの方法を用いて本自体を破棄。
Aは霧散していく。エイベルが目を覚まし、本が破棄されるのを見てしまう。
「待っ、待って、やめて、それは、私の、待って」
そしてそのまま再び、気を失うことだろう。そして目が覚めることはない。
→BE

・湖に落とす
落とす直前に気絶していたエイベルが目を覚まし、寸前で本を掴むが、そのまま水に落ちて上がって来ない。
→BE

・探索者が所持してその場を去る。
Aが高笑いし、そのままエイベルを置いて霧散するだろう。(1/1d3)
未完成の「Intellect of Green eyes」が残され、エイベルは意識を取り戻すものの、少しずつAに浸食されていき、やがて発狂するだろう。
→NE

・本を読む。
Aが面白そうに見守る中、エイベルが目を覚まし、その様子を見守る。
「退散の呪文は?」とそう問えば、ページ数だけ答えてまた気を失う。
該当するページを開いて見るならば、優美な装飾語で飾られた文章が目に入るだろう。
『彼の魂を理解しない者は、まず彼を招来させるに値しない』
その文章に何か畏怖を感じる。(1/1d3)
そのまま読み進めれば、癒しなどの人体治癒を始め、肉体的干渉を引き起こす呪文のあとに、一ページ丸々使って呪文が書かれていることに気付くだろう。

「理知の黒尾の退散」
SAN1d10、MP3 で発動。
MPをプラスで1ポイント支払うごとに×5%ずつ成功率が上がっていく。

この退散呪文を使用した場合、Aは柔らかな微笑みとともにゆっくりと水の雫と緑の木葉になって風に流されていくだろう。
気を失ったエイベルだけが、湖畔の水に濡れた姿で残される。
→TE


<繋がったこころ>
TEのみ描写する。BEは結局エイベルが目を覚まさずに終わってしまう。

退散させて、エイベルの傍に駆け寄り、呼びかけるなどすれば、エイベルは目を覚まし、光の灯った緑が皆を見つめることだろう。
「……すまない、世話をかけた」
誰かの腕の中に抱えられた緑の本を見て、エイベルは安心したように、気が抜けたように笑う。
「返してほしい。その本は……私だけが持っていればいい」
淡い緑に金糸で「Intellect of Green eyes」と描かれ、二輪の薔薇が添えられた表紙にまるで行き分かれた兄弟に身を寄せるかのように、額をつけた。
「もう、大丈夫だね」
そう呟いた途端、表紙の薔薇が赤と青に色づいていく。

こうして、「Intellect of Green eyes」という魔導書が完成した。

エイベルが一筋だけ涙を流すのを、どうしてだか不思議と安心して見守れることだろう。



<生還に関して>
探索者生還:1d10
エイベル生還:1d10
魔導書の完成:1d8


<NPCキャラクターシート>
A/理知の黒尾 HP13 MP100
STR10 CON16 POW100 DEX15 APP9 SIZ10 INT86 EDU57
攻撃 黒尾 75% 1d6 回避 61
呪文:望む全て。基本的に探索者の攻撃は「被害をそらす」で流されてしまうが、黒尾に対する攻撃は無視する。
黒尾(一本) HP5。HP0になると動かなくなる。

エイベル R ボルジャー HP13 MP15
STR10 CON16 POW15 DEX15 APP9 SIZ10 INT18 EDU19
MA65 こぶし63 キック50 回避61 心理学 80
使用呪文:ナーク=ティトの障壁 被害をそらす レレイの霧の創造
基本的に動かずに黒尾の腕に抱かれている。



魔導書「緑の瞳の理知」(Intellect of Green eyes) 1/1d10 神話+10
理知の黒尾 Intellect of Black tailと名付けたそれは、かつて人間であった慣れの果て。
絶望して終わった世界の生き残りで、生まれてしまった神。
誰に操られることもなく、誰に手を伸ばされることもないこの神に、
同じ魂として、「繋がり」というものを最期に作ろうと思う。
誰かこの本を読む者がいるならば、欲望の為に彼と接触しないように。
彼は神なのだから。彼は人なのだから。彼は、私であるのだから。
けれど、この本を破棄などはしないでほしい。
彼のために書いたのだから。彼の繋がりなのだから。
だれも、ひとりぼっちは寂しいだろう?

―――Abel R Bolger


呪文
癒し 治癒
その他8個をランダム、もしくは相応しいと思われるもの。

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