主に哀咲のTRPG(CoC)用wiki。ほぼ身内様向け。「そこのレディ、ティータイムの御供にクトゥルフ神話は如何かな」

概要

一夜の狂騒曲(ワンナイト・コンチェルト)
制作:哀咲
【ポットラックパーティー企画】#ポットラックパーティー企画2022 / 七秘 様・Y's 様 (企画アカウント:TrpgPp):参加作品
テーマ内容:一夜の相棒、逃走劇

テキストオンセ:5時間〜






シナリオ



<あらすじ>
月が昇り、肌に触れる空気が冷たくなる程度の夜深く。
ふらりと立ち寄った、芸のない質素な居酒屋で、安酒を呷る。
すぐ隣で、新しいグラスを受け取って唇を濡らす奴が、一夜の相棒になるなんて。


<キャラシについて>
導入状況から、基本的に「成人」している探索者となる。
幅広い技能と、判断力が重要。


<舞台>
現代日本


<推奨人数>
一人


<友好>
KPの所有している探索者もしくは当シナリオ用に制作された新規NPC。シナリオ内では「NPC」と表記。
(PL探索者と初見が望ましい。もしくは顔見知り程度)


<敵対>
星の智慧派 日本支部 下位組織
(必要に応じて団体などは変更してもよいが、同格レベルの敵対組織にするように)


<その他事項>
NPCをKPが指定し、常に動かす必要があるため、キャラクターシートは制作すること。(もしくは流用すること)
また、NPCが導入の基点になり、必然的に敵対勢力と一種の関わりが発生するため、選出時には注意する。
また、シナリオ内では男性想定で記述するため、RP時にはキャラに合わせ変換すること。
また当シナリオは基本「第六版」のルールに従って構成されているため、七版利用時には数字や技能タイミングなどをKPが変更すること。


<月明かり眩しい夜>
夜になって少しは減った人波を横切って、騒がしい一本に伸びた大通りに身を投げる。
目的は特にないし、通いなれた道でもなかったが、それでも少し「酔い」を求めていた。それも、別に上等なものでもなんでもない、単純なそれを。
求めて入ったのは、今時珍しい個人経営か何かだろう名の知れぬ居酒屋。のれんをはらって戸をずらす。無骨な挨拶に頷いて、貴方は席を探した。
なかなか繁盛しているその店で、一人ということもあってなんとか座れそうなスペースを見つける。うれしいことに端っこだ。
椅子に手を伸ばせば、隣に座っている人影が置いていたのだろう私物を避けた。
貴方は一言断りや、礼を述べてその席に着くだろう。
一人酒だ、なにを頼んだっていい。しゃれこんだカクテルだろうが日本酒だろうが、自分の勝手だ。
手作りかと思ってしまうほどぼろぼろのメニューをつかみ、酒と軽いつまみを頼んで、ふと隣を見る。

ここでNPCの基本的な外見情報を探索者に与える。


酒を飲み始めて数十分か、それとも時間が経ったか。少しずつ求めていた緩やかな酔いが心地よく身を包む。
ふわりとした感覚にそろそろ終いにするべきかと思い至る頃―――。
これも今時では珍しいのだろう。それとも自分が見ない場所でやっているのかもしれない、元々騒がしかったこの場が一層に沸き立つ声がした。
「ここに(NPC)はいるか」
そう声を張った姿は大勢の客に阻害されてよく見えないが、声からして男であるのはわかった。
ぴくりと、隣に座っていた客が肩を跳ねさせて傍らの伝票を見ていた。
「(NPC)!いやがんだろ!」
そう声を荒げ、人を掻き分けて延ばされた乱暴な手が、自分にかかってしまったのが、運の尽きだろう。
自分ではない―――そう口にするよりも早く、カウンターにばん、ど派手な音とともに弾き出された万札数枚。
「すまん、逃げるぞ」
手が別に伸びてきて、絡んできた男の腕を払い落とす。そして言葉の通りに、隣の席の奴は椅子を蹴飛ばすようにして駆け出した。貴方の腕を片手に。
引っ張られるようにして外の冷気に出され、突然のことに足がもつれる。
だが腕を引っ張っていく彼の脚は止まる様子もなく、大抵の人間より素早く稼働する。それは、逃げることに慣れているようにも思わせた。
何処に行く、事情を、誰だ―――探索者となる貴方が何かを口にしても、彼は「撒いたら」という言葉だけを返答とする。
ただひたすらに足を動かして、酔いが回るどころか突然のことに跳ね飛んだぐらいの頃になって、
彼は静かな路地裏に身体を滑り込ませた。それにつられた貴方がアスファルトに手をついても仕方がない。
浅い呼吸を数度、肩を上げ下げしていた彼は何のものかもわからない建物に背をつけて、溜息を一つ吐く。
改めて、と銘打って彼は謝罪の言葉と共に名乗るだろう。
「別に、何もしていないんだが」「最近変なのに目をつけられてね」「多分、その手の奴らだろう」
と、軽口を言うように身の上を話す。暗闇に人工の光が走り、彼はコートからスマートフォンを取り出す。
ぽちぽちとしばらくは黙って操作していたが、うん、と誰に向けたものでもない頷きをすると、貴方に向き直る。
「しばらく逃避行の時間だ。隣に座っていたから……貴方も知人程度に見られたかもしれないと思って引っ張ってきた。
悪いけどひとりでいるのはお勧めしない。一緒にどうだい」
勿論その誘いを断っても彼は、まあそうだろうという言葉とともに貴方を開放する。
その結果、誰とも知らぬ人のために自分の人生を壊されたとしても、それは選択である。


<真夜中の逃走>
まずは互いの情報を把握するところからではあるだろう。
彼は名前を名乗った。それに返すのが本名でも咄嗟の偽名でも構わない。彼はその通りに貴方を呼称する。
彼は訊かれたことから基本的に返答する。
誰に追われているのか、その理由は、という今回の騒動の本題とも言えることには言葉を探している様子であるが。
貴方にどこまで話していいのかという観念で悩んでいるのだろうということはわかるだろう。
この際に<心理学>を用いた場合、表に出された表情は「作られている」と感じ、少しだけ不穏を垣間見るだろう。(0/1)

「君がどこまで信じてくれるかは別として。ちょっと宗教法人と因縁があってね」
「ああ、勘違いはしないでくれ。私がそこの信者だとかそんなことは一切ない、なんなら無神論が一番信じられるよ」
「どうやら、私の知識が彼らからすると喉から手が出るほどほしいらしくて。脅しをかけられてる」
これが脅しをかけられている人間の言葉と表情だろうか。彼の顔はいっそ清々するほどで、ひどく夜の闇に浮いて見えた。
「……あんな人の多いところで襲撃されるなんて初めてでね?私も少しは動揺している」
「まあ、まだ小さい組織だそうだから知り合いになんとかしてもらう方向にしたんだが。朝までどうにか逃げてくれとさ。
そうだな。今は?十二時前か。五時ぐらいまでかな?それまでお付き合い願うよ」
「もし明日に何か用事があれば本当にすまない。仕事だったら、まあ……何とかしよう」
その何とかの含みに一切の躊躇がない。
その含みの無さが何を示すのか、ある程度経験を積んだ探索者であれば察することもあるかもしれないが。
「朝の五時。丁度いい機会だ、それで終わりにする。それ以降、私のこの一件で、君に面倒はかけないと約束する。
……個人的に面倒事になったときは知らないけど」
ふわりと笑っていた目が、突然据わり、鋭い瞳孔が貴方を見通した。
「で。どうする?」
その一言に、震える唇を持ち上げきる前に、静かな水面を割いていく音が刺さる。

「いたぞ!」

彼の反応速度は素晴らしいほどだ。すぐに貴方の腕をつかみ、また走り始める。
例えそれが走ることに向かない格好でも、何の障害もなく、なんなら道行きにある物を使ってどこかの映画のような逃走を見せてくれる。
これから逃避行の開始だ。
逃走を有利に進めるために用いるあらゆる手段は、善悪正否はともかく試されるべきだろう。
単純に足の勝負をかけてもいいが、もしかしたら体力が尽きた頃には囲まれているかもしれないというだけの話だ。

非公開情報ではあるが、敵対組織の導入人数はシナリオ開始時点では十ほどだ。
もちろんこれが単体で動いているわけではなく、班として行動しているため、実質的には10÷5=2、の班数として扱う。
この班という群体にある程度のステータスを決定しなければならない。難易度を高くしたいなら盛るのもいいが、人間の範疇には収めること。

キャラクターシート [敵(班行動)] HP 13 MP 9 SAN 45/45 DB+1d4
STR 12 CON 12 POW 9 DEX 10 APP 11 SIZ 13 INT 15 EDU 11
・基本技能・
目星 50% 聞き耳 50% 回避 50% 追跡 65% 各種戦闘技能のうち一種か二種 50% など

好みで拳銃なども所持させてよいが、夜とは言え街中であることを忘れてはいけない。
このキャラクターシートを利用するもよし、自作するもいい、逆にこの一個で全体分を賄ってもよい。
追跡や探知のためのロール上では、「一班」で扱い、もし戦闘が始まるようであれば二人ほどとして扱うとよい。

導入時にすでに一班を撒いた状況にあるため、まずは四班分の<追跡>ロールを行う。(以降は五班分)
これに成功判定を出した班が、探索者たちの追尾に入ることが出来る。この状態ではまだ鉢合わさずに回避することができる。
探索者の手番の具合によるが、完全に回避することはできないだろうという状況であれば、
続いて成功した班の<追跡>、状況に応じて<目星>、<聞き耳>で判定。
これに成功すると、追手が探索者たちを発見し、戦闘処理が発生する。

敵<追跡>成功→探索者の妨害・回避RP、判定→探索者成功の場合は、再び一回目の敵<追跡>ロール
                     →探索者失敗・不完全である場合、敵の捜索ロール
を基本として、
→敵成功時に探索者らと追手が鉢合うシーンへ移行、戦闘やチェイスロールで再び追手を撒く
 →戦闘に完全勝利時やチェイス内容次第で探索者側にプラス補正
 →不完全勝利(途中で逃走など)では補正なし
 →負傷などで動きが鈍くなる、ファンブルなどで行き止まりに行ってしまうなどの状況では、マイナス補正
 →敵側の<追跡>前に探索者から妨害行動などの申請があればその行動の成否を判定し、<追跡>ロールの数値に反映する
 →敵側に損害を与えた、一定時間行動不能にさせることができたと判断される場合、一回分スタンと扱い、捜索班数を減らす

など、ダイスロールを中心に、探索者たちの行動の次第で盛り上がるように調整する。
探索者側の妨害・回避判定は四回ほど許可していいだろう。
シナリオのプレイ時間とも相談となり、調整される前提としてだが、
シナリオ側から提示するのは「シナリオ内で二十分に一回のロール」として上記を行うこと。
シナリオ内の一時間で三回、このシーンが回ることになる。
一時間×三回のサイクルを五時間分、十五回を凌ぎ切り、朝を迎えれば生還となる。
生き残るだけなら十五回分をどうにかあれこれするだけでいい。
それだけではつまらないという探索者であれば、それこそNPCとの会話イベントを発生させたかったり、
不意の失敗などをRPに生かしたいと思うだろう。そういう相手であれば、
参考項目を最大限に利用し、どうしてNPCが追われるのか、などの真相へと導いてよい。

また、シナリオクリアは「朝五時まで逃げ切る(十五回分ロール成功をもって追跡から逃げ切る)」だけであるため、
ひたすら生還のみを目指してダイスを振るだけというプレイ指向もよい。


<ENDについて>

生還 : 十五回(調整可)の敵追跡から逃れ、朝五時を迎える もしくは敵全滅による終了
 SAN / 1d6
 KPが指定した技能(発想が良かった妨害・回避ロールに使用した技能、決め手となった技能)一つ / +1d3 

逃走失敗 : 十五回(調整可)の敵追跡に追いつめられる、戦闘により死亡するetc
 ロスト(もしくは病院送りになり、相棒のその後は分からず終い)

気絶によるPC側の戦闘不能 : NPCだけ連れてかれる。
 PCのみ生還。報酬なし。
「よし、確保できたぞ」
と、誰かもわからない集団に一人の男が連れてかれる。
一人、気を失ったまま冷たいアスファルトの上、取り残された。
やがて、朝になれば、誰が見つけ、救急車を呼んでくれるだろう。
―――それまで、息があればの話だが。

特殊 : 生還+NPCとの友好を深める
 SAN / 1d6
 KPが指定した技能(発想が良かった妨害・回避ロールに使用した技能、決め手となった技能)一つ / +1d3 

特殊2 : 敵を確保・退却・気絶などの戦闘不能にさせた
 一班につき、KPが指定した技能(発想が良かった妨害・回避ロールに使用した技能、決め手となった技能)一つ / +1d3

特殊3 : 未遭遇のまま終わった
 KPが指定した技能(発想が良かった妨害・回避ロールに使用した技能、決め手となった技能)一つ / +1d6+2



〇生還演出
ちゅん、とどこからか小鳥のさえずりが泥のように重たくなってきた意識に光を灯した。
汗をだらだらと吐き出しながらも体を叱咤し、アスファルトを見つめていた頭を上げれば、
空には赤のような紫のような、独特の色味を持った空が現れ、夜を塗り替え始めていた。
一晩の相棒だったやつは腕時計を咄嗟に見て、疲弊した溜息を一つ吐く。そして不器用に笑った。
「五時だ」
途端、どばっとダムに貯め込んでいたような何かがあふれ出して、身体を一気に疲労に染め上げる。
膝はがくがくと笑い、上半身を支えようとした腕も震えている。
少しずつ強さを増す朝日。ゲームの敵で出てくる幽霊の類のように、追手たちの声は少しずつ蒸発していって、消えている。
本当に人を相手にしていたのかと笑ってしまうぐらいには、朝を迎えてみればそれはあっさりと途絶えた。
「一晩とはいえ、君には助けられた。ありがとう。……報酬とか、そういうの、いる?」
いる、と強気に発言するもよし。無事に家に帰って寝れればいいというのもよし。
相棒(仮)は、欲しいと言えばそれを検討するし、いらないというのならせめてとタクシーを捕まえ、適当に帰り賃をくれるだろう。
「ふらふらと飲み歩くのも好きだったんだけどね……もう少し気を付けるよ。次に遭えたら、ボトルぐらいは奢らせてほしい」
とか、なんとか言って、最後にはタクシーに押し付けられるのだけれど。そういえば、あの店の支払いは、自分はしていないが、
まああの万札の枚数なら自分の会計も問題ないだろうな、と眠気に追いやられる意識。
走り出す前になんとか住所を告げて、数時間ぶりの背もたれに身体を預け、ぼんやりと外を見た。

青くなって黒が弱まる空を、慌てて逃げるように飛ぶ、巨大な龍のような影が見えたような気がして、目をこすったけれど。
すぐにコンクリートジャングルに遮られて、空も見えなくなった。


<参考項目:友好>
この項目では必須ではないが、NPCと友好を深める試みがあった場合に使用するだろう、反応やRP方針を記載する。

基本として神話関連事項に関わらないように極力、そういった類(呪文)の使用は避ける。
むしろ探索者側が思い切り呪文などを使用するようなら、同じものを使ったりなどして同じ穴の狢であると思わせる。
PCが気絶等した場合は、あくまで一時しのぎであることを前提に何かを使役して戦闘を離脱してもよい。
呪文を戦闘中に行使・暴露するような状況に関しては敵NPCは混乱・恐怖を感じるようなRPを推奨。NPCを差して「化物」などという。
これに対しNPCは悲しみ・苦しみ・開き直りといった感情となる。
呪文などで防御を固めていれば、回避行動をとらなかったりして、気が遠巻きになっているさまをRP。
友好には友好、敵対には敵対。
「星の智慧派」に狙われるのは「アザトースの招来」に関する知識を持っているためであり、NPCは殺されることはない。
が、戦闘時の混乱状態ではPCは容赦なく殺される。気絶などで邪魔立てしないようなら放置される。


<参考項目:補正関連>

警察に協力を要請した(警察官):1d30の出目に応じて敵追跡ロールに常時マイナス補正。
交番の近くを通るようにルートを考える:知識、ナビゲートに成功で次の追跡ロールに-10ほど。
大通りに出て赤になりかけの信号を走る:幸運。次追跡ロールに±15。
周辺の建物に目星:利用を許可。地下駐車場等などを使って逃走する。次の追跡ロールに-10〜15。
警察に協力要請を出している前提で、状況連絡をする:説得成功で一班を確保。また、次追跡ロールに-20。
拳銃などの銃刀法違反を警察に訴える:説得等で成功すれば警察が動く。上記の警察協力の状態。
奔って距離を稼ぐ:DEX*5。追跡に±5。
逃げ道の構成:地質学、博物学、目星など。成功で-10ほど。
逃げ方の模索:アイデア、知識、登攀、跳躍。成功で-5ほど。
敵の方向を探る:聞き耳、MA等の武道系も可。±5
任意の技能で接近を試みる:聞き耳、目星、DEX*5。任意で接敵、不意打ちで戦闘開始。
戦闘で発砲音が何度も鳴る状態になった:警察が出動(探索者側の行動次第では味方にも敵にもなるため、KPの工夫をお願いする)
 追跡に-20や探索者側の行動権の消費、隠れるなどに-20。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます