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バケットヒルの戦い(1234.5.25)

主力兵力被害
ギュスターヴ13世軍ギュスターヴ13世
ヤーデ伯ケルヴィン
ネーベルスタン
5000人800人
ギュスターヴ14世軍ギュスターヴ14世
ノール侯フィリップ
オート侯カンタール
11000人1200人
14世死亡

戦場
ロードレスランド中央部を流れる大河アナス川。その支流であるベンゾイル川の中流付近に位置する丘陵地帯。広大な草原が広がる豊かな大地であるが、メルシュマンの入り口となるザール峠と西方を結ぶこの地は古来より戦乱の舞台となった。

原因・背景
 ワイドの領主の座に納まって五年。フィニー国王崩御の知らせは突如、ギュスターヴの元に届いた。その知らせはギュスターヴ13世自身にとって大きな感慨を与えるものではなかったが、彼の周囲の人々をしてある可能性に気付かせる。先代の国王の嫡子ギュスターヴ13世、この言葉の冠を現国王に置き換えたいと願ったとしても、それは自然な方向というものだろう。かくして、ギュスターヴ13世は周囲の人々の思惑に押し切られる形でフィニーへの出兵を決定する。
 一方テルムでは、ギュスターヴ14世がフィニー王に即位したものの、様々な思惑が水面下で蠢いていた。ファイアブランドの儀式を経ている14世の即位は正当なものであったが、それは祖父ベルナッドの台頭をも意味していた。当然、諸侯の反発は大きく、特にノール諸侯は新参者への対抗心から、14世の兄にあたるフィリップ擁立を画策。これにシュッド諸侯も同調した。かつてベルナッドはシュッドを裏切った人物であり、シュッド侯ヨハン4世は自分の娘婿であるフィリップ側についたのである。また、オート領においては領主の妻女であるマリーを即位させよ、という世論が噴きあがっていた。これにはカンタールの意志が反映したものであることは容易に想像できたが、彼自身は黙してなにも語らずにいた。そして、バース領内においても側室の子の即位をよく思わない諸侯が多出していた。このような状況下、南大陸からの侵略者に呼応し、14世は出兵の命を下したのであった。
 ギュスターヴ14世はバース兵によって構成された直属の5000を中心に、オート侯カンタール3000、ノール侯フィリップ3000を加えた計1万1000の兵力を動員した。後方には支援部隊としてシュッド侯ヨハン4世、テルム留守居役として祖父ベルナッド卿を配した。ギュスターヴ13世はワイド兵から成る直属の3500を主力に、ヤーデからのケルヴィン率いる増援1500を加えた5000の兵で上陸。確かに圧倒的な兵力差があり、地理的な優位さから言っても14世の勝利は揺るぎないと思われた。しかし、13世には信頼できる友と、東大陸の民は知りようもない鋼鉄兵なる戦力を保持していた。

経過・戦況
 5月19日、圧倒的な兵力差を地理的な有利により中和するため、ギュスターヴ13世はメルシュマンからロードレスランド中央へ抜けるザール峠に直属の兵力のみで布陣する。このザール峠は道幅も狭く大軍による兵力の展開は無理であった。そこで敵に先んじるために、13世は迅速な動きに対応できる部隊2000で先行した。
 21日、大軍を率いるギュスターヴ14世はザール峠を占領されたことによって、その動きを封じられる。そこでカンタールの進言により別動隊を組織しザール峠を迂回、敵13世軍を挟撃する策に出る。この任には発案者であるカンタール下オート兵3000が当てられた。翌22日未明、軍行の後方から夜陰に隠れカンタールは西へ軍を進めた。
 22日、13世軍の陣に敵の挟撃の策が伝えられる。明後日24日の早朝には背後を突かれると推測された。しかし、現状で軍を引けば背後から14世軍による猛追を受けるのは必至だった。そこで、ネーベルスタンは松明の炎を用いた偽装によってフィニー軍をザール峠に釘付けにし、22日夜に軍を反転。敵の挟撃を避けるため軍を後退させる。そして23日、ヴェスティア付近にてケルヴィン率いる後続と合流、兵力5000を持ってオート侯率いる別動隊の各個撃破に向かった。
 ギュスターヴ13世が兵力を集結し、軍を展開したことを察知したオート侯カンタールは、すかさず進軍を止める。自軍は3000、13世軍は5000。現時点で衝突すれば敗北するのは目に見えていた。一方ギュスターヴ14世も13世軍の偽装工作に気がつき、ザール峠を越え追撃を開始する。
 24日、石切場付近まで軍を進めた13世はオート侯カンタールが動かないことを視認し、再度軍を反転。ギュスターヴ14世と対峙するためにヴェスティアへ下った。そこで14世がバケットヒルに陣を敷いたことを知ると、13世は軍を留め兵士に休息を取らせる。そして翌早朝、バケットヒルへ向かい進軍を開始させたのであった。
 ベンゾイル川に沿って南下してきたギュスターヴ14世は、軍を川に沿って展開した。先陣は第三軍から第五軍までが並列に布陣し、その後方に14世率いる本陣、そして第二軍の弓兵が控えた。フィリップを中心にしたノール兵は後方に控え、左翼からの敵本営への突入に備えた。
 ギュスターヴ13世もベンゾイル川に沿って布陣する。ケルヴィンを左翼に、中央にはネーベルスタンを配し敵の前衛に対峙する。第四軍は遊兵としネーベルスタンの陣の後方に構え、13世率いる鋼鉄兵は本営に陣取った。
 25日、日も昇りきった時、14世側の進軍によって戦塵の火花は切って落とされた。
 14世側は各部隊が個々に13世の本陣へ攻め込む戦術を取った。絶対的に兵力で勝っている14世軍の各部隊が一斉に進軍すれば、最低でも1000以上の兵力が13世を包囲する計算であった。しかも、左翼からはフィリップ率いるノール兵が展開し、敵陣を攻略する手はずである。さらに敵の後方にはカンタールが陣取っている。14世にとって万が一にも敗北は考えられない戦いであった。しかし、この時点で彼は大きな判断ミスを犯していたのである。それは13世の配下に『ラエの英雄』と讃えられる名将ネーベルスタンの存在があることを踏まえていなかったことであった。
 ネーベルスタンは敵の動向から14世の戦術を理解した。それは大軍を持って当たる最適な戦法と思われた。逆に最適である以上、一つ歯車を狂わせれば大きく崩壊する可能性が高い。まずネーベルスタンは第五軍を右翼に大きく押し出し、ノール兵の出鼻をくじいた。もともとノールが14世に対し遺恨を持っているのは周知の上である。士気の低い部隊の足を止めるには充分であった。これにより14世の戦術は大きく狂い始め、各部隊が対峙する兵力はほぼ互角になったのである。
 その後、ネーベルスタンは自ら部隊を敵の戦列の中央へ突入させる。南大陸きっての名将の突撃に敵陣は崩壊し、分断するのに成功する。敵の前衛の崩壊は14世率いる部隊への道を開き、13世率いる鋼鉄兵が14世の本営向けて突入。この時すでに日差しは陰り、夕闇が東から広がろうとしていた。ここにバケットヒルの戦いは決する。

結果・戦果
 ギュスターヴ13世の手に落ちたギュスターヴ14世は、ほとんど言葉を交わすことなく斬首され、その短い生涯を終えた。ふたりのギュスターヴの間に肉親らしい親愛の言葉は一切なかった。同じくギュスターヴと戦いながら赦されたフィリップとは対照的である。
 その後、20年ぶりに祖国に凱旋したギュスターヴは、ギュスターヴ14世派の諸侯を一掃した後、正式に国王を名乗らぬまま拠点を移す。正統な王位継承者として戦に勝利したにも関わらず王位に就かなかったのには、弟フィリップとの関係などを考慮したものと思われる。また、術を使うことのできないギュスターヴが力づくで王位に就けば国民感情は悪化し、統治に支障をきたすとの判断もあったのだろう。だが、後世の多くの研究者は彼がフィニーという小さな枠組みにこだわらず、もっと大きなものを求めた志の現れであると記している。
 ギュスターヴがテルムの支配者となってから1年後、フィリップがテルムに入城し王家を継ぐまで、フィニーは事実上国王不在という希有な時期を過ごす。フィリップにフィニーを譲って五ヶ月後、ギュスターヴは新都ハン・ノヴァに移り、そこを拠点として世界に覇を唱えていくこととなる。



参考資料
パーフェクトワークス 136-137

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