クトゥルフ神話TRPGやろうずWiki

Quid?
Quis es?
―Populi scitis,etiam…
Indica quaeso mihi de vobis!
―Iaponica ego Zosusaira.

あの騒動から時が経った。
今まで根強く残っていたセイレーンの一件は、とある勇気ある人によって解決、大浜町との関係も払拭されていっている。

―まぁ、ボクがその勇気ある人なんだけどね！

で、そんな勇気あるボクは今充実したきゃんぱすらいふを送っている。
たまにボーっとなったりもするけど生活に支障はなくて、まあ気ままに過ごしてるよ。

あの時の話をしようか。
騒動の最終日。ボクたちが船で件の場所にたどり着いたとき。
ボクがどんな感情を抱いてたと思う？あ、厳密にいえばたくさんあるんだけどね。

――恐怖。

名状しがたい怪物が、それに狂わされていく友人が、夜の薄気味な赤いオーロラが。
何より…それでもなお正気を保ち、淡々と、非日常に足を突っ込むわたしが。

結果、その淡々としたボクの冷ややかさのおかげで、めでたく救われた…の？

そもそも、ボクには何が出来ていたの？

ボクはあの退散の魔術を使って、あの怪物を斃した。
けど其れだけ。
怪物を倒すようお膳立てしてくれたのは皆だし、ボクたちに当たりそうだった攻撃だって御神ちゃんが助けてくれたものだ。
そのお膳立ての為の劇薬だって桜木ちゃんと時針ちゃんと、研究者のおじさんが用意してくれたもの。
そもそも研究所の位置を割り出せたのだって、大浜町に異変があることだってボクじゃなくて皆が推理して、おじさんが割り出して導けたもので。
根本から言えば御神ちゃんが美夏ちゃんのともだちでボクたちに依頼を出してくれるほど仲が良かったから。

だったらボクは何をしていたの？

肝心な所はダメダメで。
怪物の歌に唆されて自殺しようとして。
道中で皆が美夏ちゃんに劇薬を飲ませようとしても、止めなくて。
結局、あれはどうなったんだっけ。


わたしには、何が出来ていた？

ボクはまた、継浜市に里帰りに来ていた。今度は一人で。
あの騒動の後じゃ平和に旅行なんて出来なかったし、美夏ちゃんみたいにボクも自分の家に帰って掃除でもしようかと思って、だ。
まあ、ボク掃除しないんだけどさ。

だから、本来の目的は別にある。それは…

「あ、見つけた見つけた！おーい、警察のおねえさん！」

町の皆。
また会おうね、と言った以上、挨拶しないと気が済まない。ボクは冗談は使うけど嘘は好きじゃない。

「…あっ、前に個人情報を…ってそうじゃなくて。キミ、どうしたの？」
「ううん、ただ…また会ったね！」

まずは警察のお姉さん。次に市役所のお姉さん。次に郵便局のお兄さん。次に研究者のおじさん。
みんなあの騒動以降顔も合わせてなかったけど、ボクの事を覚えていてくれた。
やっぱり故郷はいいね。


もちろんそのあと、家にもちゃんと帰った。
ボクにはおねえちゃんがいるのだけど、おねえちゃんも今は病院暮らしだから実質一人暮らし。
案の定掃除しなければいけないほど埃がたまってて、一人で憂鬱していたのは内緒。
あ、ちゃんと掃除はしたよ？そうしないときたないからね。


そして最後に、海辺に寄った。
前は見渡せる範囲に大きな特徴的な岩があったけれど、今はそれもない。
美夏ちゃんの故郷ってことでまだ観光客は絶えてないけど、前にライブで美夏ちゃんが戻ってきたときよりは格段に減っている。
少なくとも、前の騒動があったときよりかは。
いや、それでもいいのかもしれない。これが本来の継浜市…なのかもしれない。
何気に惜しみを帯びてきたから、近くにあった海の家で焼きそばと、かき氷を2つ買った。ぶどうとメロン。
戻る途中でナンパされそうになったのは秘密。

そういえば、もうすぐまた美夏ちゃんのライブがあるらしい。今度は継浜市じゃなく別のところで、だそうだけど。
何でそんなこと知っているのかって言うと、美夏ちゃんにライブチケットを手渡しされたから。それも四人分ぜんぶ。
自分は別段ライブが好きってわけでもないけど、美夏ちゃんの事は好きだ。もちろんともだちとして。
だから、こうやって手渡されると、ともだちになったんだなぁって感じが、した。

だから、ともだちらしく、この前家に特攻した。
一人で旅行という名目で来たから時針ちゃんにも御神ちゃんにも怒られない、まさに最適解！さすがボク、頭がいいよね。
まあ、いないって可能性もあったんだけど、美夏ちゃんはその時は継浜市に戻ってきてたから、ちゃんと出てくれた。
「あれ、鈴君？どうしたのいきなり。あ、いや、悪いってわけじゃないんだけど、準備とかしてなかったから連絡…って、ああ。」
「ボク携帯しか持ってないから連絡手段に乏しいんだよねー。というわけでお邪魔はしないけどお茶は貰うよ！」
「うん、急ごしらえでいいなら入って入ってー。」

そうして入った彼女の家は、前掃除し終わった直後より一段と綺麗になっていた。
家具も少し新調されている。
彼女なりではあるけど、老人にも受け入れられるようになってきて、美夏ちゃんとしても継浜市と向き合うようになれたのかな。
そう考えると、ボクのあの頑張りも、少しは認めてもらえる、のかな。
何もしてないわたしでも、少しは何かしたって胸を張れるのかな。

「鈴君、お茶どうぞー。ところで、翼ちゃんたちは？」
「美夏ちゃんそれ本気かなー？連絡が来てないってことはボクしか来てないんだよ！」
「そうなんだ。じゃあ鈴君は一人で里帰りってこと？」
「そんなところかな、というか美夏ちゃんこそどうしてここにいるのさー。」
「たまに帰ってくるし、ほら、もうすぐライブだから休憩しておかないと。喉を休めないとただでさえ少ししわがれちゃったから…」

ああ。
少し、声を噤んだ。
彼女は元々、セイレーンの血が入っていて、その血の巡りであんな人を引き付ける歌が歌えた。
それが無くなってしまったんだ。…もしかしたら、ボクたちのせいかもしれない。

いや、それでもいい。
ボクたちの求めるべきものは、美夏ちゃんの歌なんかじゃない。
もっと大事な、目の前のともだち。

わたしは、海に来ている。
何故かって？そりゃもちろん、海に来たならやることはひとつしかないよね！

「よしっ、泳ぐぞー！」

前の旅行では皆がいたから水着で泳げはしなかったけど、今日は人目を気にせず泳ぐことができる。
もちろん御神ちゃんとか時針ちゃんとか、桜木ちゃんが見ていなかったらの話なんだけど、
まさかわたしがそんなヘマするはずないし運も良いから見られやしないって。桜木ちゃんに至ってはわたしを見てもボクだって気が付かなそうだし。

それに、気晴らしもしたい。
遊泳禁止区域、とはなっているけれど、まだあの騒動、そして岩について不可解な点があった。

――あの怪物が何者なのか。あの岩は何なのか。
そして、ボクたちは、何に足を突っ込んだのか。

多分それは、人間じゃとても理解できない未曾有のせかいなんだろう。
魔術だって、きっとそれの一環。セイレーンなんてわたしには到底分からなかった。
だからきっと、さっきの質問の答えを突き詰めようとすると、ボクはまた壊れていく。
日常なんて戻れなくなってしまう前に、引き返した方がいい。
きっと大人だって子供だってともだちだって、おねえちゃんだってそう言う。
だから、きっと、ボクは引き返すのが正解。知らないでいるのが正解。

でも

それでも

わたしは少しだけ、知ってみたいと思ってしまった。

それが正しいのか間違いなのかはわたしが決めるから。

いやああああああああああああああああああファンブル多いよぉ〜〜＾
いや、ハイ。本当になんというか最後まで娘さんに踊らされた気がしたし、娘さんへの理不尽しか綴っていない気がします。
そんな自分の雑多な感想でよければ是非。

自分は今回「みんながついてこれるようにまずは自分から行動して仕切っていこう」っていうプレイングで行こうと思っていたんです。
テスト回と言うこともあって、どう動けばいいか分からないPLさんがいても安心できるようにとの方針で行動していた…と思います。
だがしかし蓋を開けてみればファンブルするわミスリードするわ情報取り逃しそうになるわ…・。・
いつの間にか自分が引っ張られる側になっていて、重荷になっていないかなと不安でしたね。

シナリオに関してはほんっっっっっっっっっっと楽しかったし面白かったです。
最後の方ジリ貧というか、MP不足で全員POWをつぎ込むことになったり
美夏ちゃんが死にそうになったところを振り直したら今度はさっきのダイスでセーフな出目が出たり
研究者のおじさんがゴミ作ってたり
そのゴミがもしかしたら美夏ちゃん対策だったんじゃないかとシナリオ終了後に勘ぐったり
トラブル卓談義に花を咲かせたり
途中桜木さんとKPで漁師のお話しをしあってたり
取り逃しそうになったハッピーエンドを御神さんの機転で回収したり
本来入るはずのなかった崖イベで自分と御神さんが自殺しかけたり
最初の導入のシーンでナンパされたり
ファンブルファンブルで娘さんに頭抱えた三日月さんが温情を寄越すとすぐに娘さんが成功させたり
時針クンが雑魚寝することになってたり
(まだまだたくさんあるんですけど挙げ続けてもキリがないんでここまでにします…)

実は自分最近やろうずに戻ってきたばっかりでこれが出戻り初セなんですよね。
しかも三日月さんの卓ってあんまり公募しない+公募するときは必ず倍率2倍程度+テスト回である
と自分の運の良さを身に染みたセッションだった。出会えてよかった三日月さん。

また会えることを心待ちにしております！