ここは、クトゥルフ神話TRPGのオンラインセッションに関する各種情報がまとめられているWikiです。

シナリオ情報


プレイ推奨人数:2〜3人
プレイ時間:4〜6時間(ボイセ)
推奨技能:目星、図書館、組み付き、オカルト
難易度:普通?KPの采配次第で変更可能。
発狂や体力減少:一時的発狂の可能性もあります。耐久が多いとやりやすいかも。
ロスト:有り
戦闘:ルートによっては有り
改変:元ネタ記述あればお好きにどうぞ。
クリア条件:出口から外へ出る
(最良クリア:それに加えて、医者の願いを叶えて傷を治し、吸血鬼を無効化し、狩人を外へ連れ出す)
※クトゥルフ神話の神話生物が出てこないシナリオになっています!ご注意!

概要

あらすじ

 探索者たちは事故に遭い、意識を手放す。目を覚ますと病院ではなく暗い闇の中だった。自分たちは死んだのかとぼんやり考えていると、蝋燭の明かりと、がっしりとしたアンティーク調の椅子、そしてそれに座る男の姿に気付く。
 また、男の後ろには扉があり、彼が言うことにはこの扉からまっすぐ奥に進んだ所にある扉から元の世界に帰れるという。しかし、扉を抜けるとそこには他にも扉があるのであった。

シナリオクリア条件

 番人の部屋の扉から廊下に出て、最奥の扉から外へ出ること。
 最良クリアは上記に加えて医者の願いを叶えて傷を癒し、吸血鬼を無効化し、狩人を連れて外へ出ること。

シナリオに登場するモンスター

吸血鬼
 見た目は15歳くらい。中性的な容姿をしているので女性にも男性にも見える。探索者の男女比等を見て性別を変えるのも有り。
 彼が番人を殺した吸血鬼である。番人の血の味を気に入ってしまい、魂になっても彼を追いかけてくるが、番人がその魂を生と死の狭間に封印する。番人は弟の件を解決してから吸血鬼の魂を自分もろとも地獄に追い込むつもりだった。

シナリオの黒幕

番人
 彼は昔吸血鬼を狩る職に就いていたが、吸血鬼に返り討ちにされ、血を吸い尽くされて死亡した。そのまま生まれ変わるべく魂のみの存在となったが、残された自分の弟が自分を追っていること、吸血鬼に対して狂気的な殺意を抱いていることを知る。弟は何度転生してもその思いを心の片隅に置いていたため、何とかして普通の人間らしい綺麗な魂に戻してやりたいと考えていた。そこで事故に遭った弟の魂の一部(狂気的な部分)を引き寄せて浄化し、自分の存在や吸血鬼退治をしていた過去を忘れさせた。しかし吸血鬼が自分を追ってきていることを知っていたので、自分が外へ誘導したり弟が一人で外へ出ようとしたりするのは危険だと判断した。そこで偶々弟(転生後)と同じタイミングで事故に遭い、死亡するはずだった探索者たちを救済。吸血鬼を退治して弟の魂の断片を外へ出してくれる者たちとして希望を胸に抱いて送り出す。変に誘導してしまっては探索者たちや弟(転生後)の日常に干渉してしまう恐れがあるので、自分の願いや過去について詳しいことは言わない。
(※トンデモ厨二設定ですが許してください!許してください!!!)
 実は探索者たちの前にも数人この空間に連れてこられた者たちがいた。全員同じ事故に巻き込まれた被害者たちであるが、探索者たちはその中でも一番重症で、弟(転生後)のすぐ後に事故に遭った者たちである。言うなれば、番人の最後の望みでもある。

導入

事故

 休日でも朝の出勤・通学中でも構わないが、探索者たちはたまたま交通量の多い交差点を通りかかる。すると、少し離れたところで車のブレーキ音と悲鳴が上がる。どうやらどこかで誰かが轢かれたらしい。逃げる人の波の様子からまだ車が止まっていないことを察知したが、暴走した自動車が此方へ向かってくる。そう認識したところで探索者たちの体は宙に浮き、酷い痛みを感じる。そこで探索者たちの意識は暗転する。

番人の間

 気が付くと、探索者たちは今までの荷物・服など全て失っており、全員白いローブを羽織っていた。しかしそれらは血で酷く汚れている。

ここで探索者に1D100を振ってもらい、
1〜5 → 汚れているが自身は無傷
6〜50 → 自身も傷を負っている(ダメージ1D3)
51〜95 → 自身も重症を負っている(ダメージ1D6)
96〜100 → どこかを骨折している(ダメージ1D6+腕・足などの技能にマイナス補正)
※もし仮に全員1〜5を出して全員無傷だった場合、医者イベントが無くなってしまうので、出目が一番高かった者にだけでも軽傷を負わせる。
このロールで耐久値の半分が削れても、気絶前に負った傷なのでショックロールなどは行わなくてよい。

 下も、上も、目の前も、深い闇。突然異空間に来てしまったことにショックを受けるだろう。(<SANC>(0/1d3)
 ぼんやりとしていると、「おはよう」と若い男の声が聞こえる。声が聞こえた方を見ると、アンティーク調の椅子に金髪の若い男が座っている。椅子の両端には蝋燭が取り付けられており、炎がゆらゆらと揺れている。男は続ける。「お前たちは運がいい。このままでは死んでしまうところだったが、俺の気まぐれで生きるチャンスを与えよう。俺の後ろの扉からまっすぐ奥へ進むともう一つ扉がある。そこから外へ出ると現世へ戻ることができるぞ。寄り道するとお前たちにいいことがあるかもしれないし悪いことが起こるかもしれない。そして、お前たちに慈悲深い心があるなら、俺に何か見返りをくれてもいいぞ」と言って微笑んだ。

探索場所

00.番人の間

 目覚めた場所である。床は見えず、真っ暗闇。ただ単に黒い内壁なのではなく吸い込まれそうな闇を感じる。椅子に座った番人の背後には確かに扉がある。
 しかし番人の反対側、つまり彼が見つめる先は深い闇しか見えない。(振り返ってそれを確認した場合は<SANC>(1/1d3)

番人
 自分のことを番人と名乗る。最初から「見返り」について聞くと「さあな」としらばっくれるが、何度も聞いたり交渉ロールに成功すると「魂が在るべき場所へ帰ることかな」と言う。
 実は、彼は叶え箱の願いを全て消化したあとのお助け要員であり、探索者が言えば願う物を全て出してくれる(出してくれる基準は叶え箱参照)。

<目星>に成功すると、彼が時折首の後ろを掻いていることに気付く。そのことを言及すると適当にはぐらかされて服で隠してしまうが、言及することなく背後に回って首元を見る場合<幸運>に成功すると彼の首元に赤い点が二つ並んでいることに気付く。
裏情報:彼が殺された時に吸血鬼に噛まれた跡である。
 番人は初めて探索者たちが出ていく時に、適当な人物を呼びとめて肩を叩き、「君の行く先に茜(あかね)と山査子(さんざし)の棘があらんことを」と耳打ちする。<知識>の半分か<オカルト>でセイロン地方の吸血鬼の魔除けの呪文であることがわかる。叩かれたPC自身の肩は一瞬ほんのりと温もりを帯びる。しかし、その時に叩いて来た番人の手は冷え切っていたように感じてもよい。
裏情報:このPCには魔除けの呪文がかけられ、あまり吸血鬼に近寄られなくなる。
 この言葉の意味について言及しても、番人はしらばっくれるか、言ったとしても「ちょっとしたお守りだよ」くらいのヒントしか与えない。また、他の探索者が自分にも似たような力をくれと言った場合は、その人物の手を握る。呪文のようなものは唱えないが、PC自身の手はほんのり温もりを帯びる。その時に番人の手のひらが生きているとは思えないほど冷え切っていることに気付いてもよい。
裏情報:手を握って力を授けられたPCは、狩人の持つ拳銃を扱えるようになる。
  • 番人の行動原理・知っていること※NPCのRP参考にどうぞ

廊下―生と死の狭間

 廊下には右側に二つの扉、左に二つの扉、そして最奥に一つ扉が見える。それぞれの扉の両側に蝋燭が設置されている。他に、壁際には(探索者の人数)D3のビンが置いてある。蝋燭のおかげか廊下は明るい。(目星に補正はかからない)


扉の両側に設置されている蝋燭
 完全に固定されていて、取り外しはできない。

(探索者の人数)D3のビン
 ガラスでできた取っ手付きのコップのようなビン。中に固形物が入っている。
<目星>に成功すると、固形物の中心から糸のようなものが生えていることに気が付く。
<アイデア>に成功すると、火はついていないが蝋燭ではないかと気が付く。扉の両側に設置されている蝋燭や番人の椅子の横の蝋燭から火を貰うことができる。ここで蝋燭を入手していなかった場合、叶え箱の部屋ではほぼ探索ができない(目星に大幅な補正がかかる)。

01.狩人の部屋(左側手前の部屋)

扉の前
<聞き耳>に成功すると「バンッ、バンッ」という音が聞こえる。そのまま<アイデア>に成功するとこれが拳銃の発砲音ではないかと思う。
 ノックすると発砲音は一旦止まるが、再び始まる。
<目星>に成功すると、部屋の扉に何か紋章のようなものが書かれていることに気付く(吸血鬼の部屋の前にある魔法陣とは違う模様)。しかし少し薄れているようである。<オカルト>に成功すると、これが封印の紋であることに気付く。出目が良ければ、これが対人間用の緩い封印であることがわかってもよい。ただし、最初から情報を出しすぎると後々の探索が簡単になってしまうので注意。

室内
 中は廊下と同じように蝋燭で照らされているが、部屋全体が真っ赤に血塗れていることに気が付く。辺りは大量の銃殺体に囲まれており、拳銃を握った男がそれを無表情で撃ち続けている。部屋に入った探索者に気付いた男が、ゆっくりと此方を向く。発砲は止まったが敵意は無いようで、銃口を此方に向けてくることは無い。しかし、その男の頭から明らかに致死量の血液が流れている。それなのに彼は立ち上がって動いているのだ。(<SANC>(1D3/1D6+1)
<目星>成功で、奥の方に本棚が二つあることに気が付く。本棚の周りにも死体が重なっているが、通れないことはない。

青年(狩人)
能力値

 心ここに非ず、と言った表情で銃を撃ち続ける青年。長髪だが、頭が真っ赤に染まっており元がどんな髪の色だったのかすらわからない。手を握るとほんのりあたたかい。
<目星>成功で、血に塗れているが彼の元の髪色が金髪であったのではないかと思う。また、拳銃を持っていない方の手を何故か握ったり開いたり(ぐーぱーぐーぱー)している。手の行為について言及すると「何か……いつも何か持っていた気がするんだが思い出せない」と言う。
⇒その手に銀色の杭を持たせるとまじまじと見つめ、暫く握った後に懐かしそうに微笑む。暫くすると満足したのか探索者たちに返してくるだろう。もし探索者が「持っておかなくていいのか」と聞いた場合は「引っかかっていたことはもう解消したし、必要ない」と首を振る。
  • 狩人の行動原理・知っていること※NPCのRP参考にどうぞ


魔祓いの銃
 PCたちが部屋に入ってからもずっと発砲され続けている、青年の銃。彼が持っている間は、弾が切れることはない。
⇒渡して欲しいと言うと怪訝そうな顔をして渡してくれるが、番人から拳銃を扱う力を授かっていないPCはその場でSTR20との対抗ロール。成功すると持つことはできるが発砲はできない。失敗すると思い切り足の上に落としてしまい、HP-1
 番人から拳銃を扱う力を授かっているPCは持つことも発砲することもできる。基本は22口径ショート・オートマチックと同じ(基本ルールブックP.70参照)である。しかし装填する必要がないため、装弾数を気にする必要はない。また、そのPCは銃を持っている間だけ拳銃技能が70%まで上がる。(元々拳銃技能を持っているPCで、技能値を70%以上持っていた場合はそちらに合わせる)
 また、死体に発砲された弾や装填されている弾を確認した場合、<アイデア>もしくは<知識>もしくは相応なロール成功で、弾が銀でできていることがわかる。
裏情報:銀の杭ではなくこちらで吸血鬼退治をすることもできる。

銃殺体
 部屋の中を埋め尽くしている銃殺体。
<目星>成功で、どう見ても人間の死体なのに、何故か人間ではない別の何かのように感じる。
<医学>(目星情報として与えるのも可)成功で、この死体が殺されてから暫く経ったものなのではないかと感じる。しかし、ここまで大量に殺した人物は誰なのか?それともそれは人間ではないのか?と探索者たちは勘ぐってしまうだろう。(<SANC>(1/1D3)
KP情報:昔狩人が一時的に意識を失わせた吸血鬼たちの死体。銀の杭を打たれているわけではないが、そのあと狩人が適切な処理(銀の杭を心臓に打つこと)をしているのでこの死体が起き上がることはない。

本棚
<目星>成功で、本と本の隙間から写真を見つける。番人とその傍らに―血で塗りつぶされて顔は確認できないが―誰かが立っている写真である。写っている番人の表情は随分楽しそうに見える。
裏情報:番人と狩人の写真である。これを番人に見せると何も言わず燃やしてしまう。
<図書館>成功で、吸血鬼に関する本と、誰かの日記を見つける。
  • 吸血鬼に関する本
 吸血鬼に対しては銀色の杭を槌を使って心の臓に打ちつけることで、無効化に成功する。
 三回血を吸われると吸血鬼になってしまうが、三回目の前に血を吸い尽くされたり、他の事故・病などで亡くなった場合は吸血鬼として起き上がることはない。
 吸血鬼は美しい、もしくは愛らしい容貌をしていることが多く、巧みな話術で人間から血を奪おうとする。奴らに騙されてはいけない。
 吸血鬼に関する辞書のようなものなので、「茜と〜」の呪文の意味や、吸血鬼の部屋の扉に書かれている模様が封印の魔法陣であるという記述がある。これらも探索者に尋ねられた場合には教えても構わない。
  • 誰かの日記
 兄弟で魔物退治をしている人の日記。途中まではいつどんなことをしたか書いてある普通の日記だが、途中から不穏な雰囲気になっている。
 二人(兄弟)には仲の良い友人がいたが、実はその友人が吸血鬼であったこと、
 それを知らぬまま接していたところ、兄弟の片割れが騙されて吸血鬼に殺されてしまったこと、
 残った自分は必ず吸血鬼を殲滅してやるということが書かれており、
 残りは「殺す」「殺してやる」といった殺意の籠った文字が綴られている。
最後のページまで狂気的な文字が続いていたことに恐怖を覚えた探索者は<SANC>(0/1D2)

02.医者の部屋(右側手前の部屋)

扉の前
<目星><聞き耳>両方何も見つからないし聞こえない。

室内
 中に入ると、蝋燭が煌々と光り、廊下と同じく明るい部屋であることがわかる。部屋の中は一室で診療所のような造りになっており、ベッドや診察机、薬品棚などが部屋のいたる所に設置していある。ただ不気味なのは、診療所や病院は白いというイメージであるのに、その部屋は壁も何もかも真っ黒だった。診察机の前の椅子に、白衣を着た若い青年が座っている。診療道具置きや薬品棚、ベッドなどは、どれも青年から離れた場所にある。
⇒部屋全体や部屋の対象物に<目星>し、成功した場合、そのどれもに滑車が付いており、容易に移動できるであろうことがわかる。

白衣の青年(医者)
 眼鏡をかけた白衣姿の若い青年。PCたちに気付くと「なんてひどい!今手当てを……」と言いかけて、申し訳なさそうに「すみません、実は足を悪くしていて立ち上がることができないのです。怪我人に頼むのも大変申し訳ないのですが、周りにある診療道具を持ってきて頂けませんか」とお願いしてくる。詳細を尋ねると「あそこにある診療道具の棚と、薬品棚からこれとこれとこれと……」と指示を出してくれる。
⇒もしPCの中に10代後半〜20代の年齢の男性がいた場合、医者に言われたものを運んでいる最中にイベントが起こる。医者はその対象者を見ながら微笑み「懐かしいですねえ」と声を漏らす。詳しく尋ねると「いや、昔の知り合いに、ちょうどあなた(たち)と同じくらいの歳の青年がいたものですから」と答えてくれる。
裏情報:これは番人と狩人の兄弟のこと。もう少し詳しくも話してくれるだろうが、あまり情報を与えすぎるとその後が簡単になりすぎてしまうので注意。
 全て運び終えると「ありがとうございます。早速手当てさせて頂きますね」と手早く手当てをしてくれる。最初に傷を負っていたPCはその場で耐久値が全回復する。
※この前に吸血鬼に血を吸われているPCは条件を満たさないと全回復しない。つまりここで回復するのは最初の傷と、この空間に来て負った傷(吸血鬼に血を吸われた時に噛みつかれた傷も含む)のみである。
 手当てを終えると、医者は再度御礼を言い、少し表情を曇らせる。何事か聞くと、「いえ、これであらかた医療道具は揃ったのですが……血が……ありませんね……困ったな。輸血パックがあれば良いのですが」と零す。
裏情報:もしかしてこの人も吸血鬼?と思わせるブラフ。
⇒叶え箱から「輸血パック」を出して医者に渡すと喜んでくれる。もちろん血を吸われた探索者がいた場合は輸血をしてくれる。これが上記の「条件」のことである。手当て・輸血をしてもらったPCは体力が全回復する。
 それ以外にも、別の傷があればそのたびに1D3の耐久値分治療してくれる(自動成功)。ただしあまり立て続けにすると「すみません、少し疲れたのでもう少し間を開けて貰っても……」と申し訳なさそうに告げる。
  • 医者の行動原理・知っていること※NPCのRP参考にどうぞ

03.吸血鬼の部屋(左側奥の部屋)

扉の前
<聞き耳>に成功すると、中からすすり泣く声が聞こえる。ノックすると泣き声が一度止まり、「……だあれ?」と声が聞こえる。
<目星>に成功すると、部屋の扉に何か魔法陣のようなものが書かれていることに気付く(狩人の部屋の前にある紋とは違う模様)。しかし少し薄れているようである。ただ、今でこそ薄れてきているが、(狩人の部屋の扉にある紋を見つけている場合は)狩人の部屋の扉にある紋よりも最初はしっかりと描かれていたようだということが解る。<オカルト>に成功すると、これが「封印の魔法陣」であることに気付く。

室内
 中に入ると、中は暗黒に包まれている。辛うじて部屋の中心と思しき場所に蝋燭が一本揺らめいており、そのすぐ横に天蓋付きのベッドと、その横に男とも女とも判別し難い小柄な人が座り込んでいるのが見える。

少年?or少女?(吸血鬼)※少年か少女かわからない設定ですが、決め打って頂いても構いません。
能力値

 近付くと「どうしよう……どうしよう……もう助からないかもしれない……」と呟いているのが聞こえる。話しかけると、魔除けの呪文をかけられていないPCの腕を掴み「ねえ!お兄さん(お姉さん)の血をちょうだい!早く!じゃないともう生き返らないかもしれない!ねえ!はやくちょうだい!おねがい!」と叫ぶ。
裏情報:もちろん大嘘。寝ているのは探索者の前に足を踏み入れた人物。血を吸い尽くしたがまだ足りないので、自分の本来の力を取り戻すために言いくるめようとしている。
⇒血をあげると宣言した場合、吸血鬼は対象PCにもう一度「……いいの?」と確認を取ったあと、他のPCに向かって「血を抜くの、ちょっと痛々しいから、あんまり見ない方がいいよう」と、部屋の外に連れ出そうとする。あまり躊躇ったり、交渉技能を使って部屋に留まろうとすると「……じゃあやっぱりいらない」と引き下がります。また、扉から出てこっそり隙間を開けて中の様子を伺うには、<隠れる>技能に成功しないと、血を抜く前に気付かれて「どうしてもボクのこと信じられないんだね……ごめんなさい、もういいよ」と言ってベッドまで戻ってしまう。
 他のPCが全員外に出ると言った場合は「終わったら呼んだ方がいい?」と確認を取ってくる。
⇒全員外に出ることを確認すると、その子はニヤリと笑い「ありがとう」と妖艶な笑みを浮かべ、対象PCの首元に噛みつく。素早い動きに探索者は対応するどころか叫ぶこともできない。自動的に最大HPの半分が削れる。ここで<CON×5>ロール(ショックロール)をしてもらい、失敗すると気絶する。もしこの場で最大HPの半分を削ると探索者が死んでしまうという場合は、HPを2まで下げて自動気絶。
更に、恐ろしい体験から<SANC(0/1D8)>
 もし<隠れる>技能に成功し、こっそり扉の外から様子を伺っていたPCがいた場合は、吸血鬼のあまりの変貌に声を出すことも動くこともできないだろう。目の前で人間の血を吸う吸血鬼を見た恐怖により<SANC(0/1D4)>
⇒対象者が気絶していなかった場合、吸血鬼に背中を蹴られて扉の外へ放り出される。更にHP-1
⇒対象者が気絶しており、他PCが「終わったら呼んでほしい」と言っていた場合は扉が開けられ「終わったよ!起きたらありがとうって言っといてね!」と残りの探索者に向かって気絶した対象者を投げてくる。
⇒対象者が気絶しており、尚且つ他PCが呼んでほしいと言わなかった場合は、他PCが適当なタイミングで部屋に入らない限り対象者は放置される。しかも噛み跡の傷は手当てされていないので血は流れ続ける。リアルタイムで10分ごとにHP-1。最悪の場合はここでロストする。
  • 戦闘する場合のルール

  • 吸血鬼の行動原理・知っていること※NPCのRP参考にどうぞ


ベッド
 カーテンがかかっており、中にいる人は見えない。
⇒カーテンをめくって中を見ると、人間とは思えないくらいに干からびたからからの何かが横たわっている。辛うじて人型を保ってはいるが、まるで生気がない。<SANC(1/1D6)>
<医学>に成功すると、血を与えてもこの人物が助かる可能性が皆無に等しいことがわかる。

04.叶え箱の部屋(右側奥の部屋)

扉の前
<目星><聞き耳>両方何も見つからないし聞こえない。

室内
 中に入るとその部屋は真っ暗で、光源が無いと探索できそうにない。蝋燭を入手していない場合は<目星>1/2の補正。
<目星>に成功すると、部屋の中心あたりに机と、それに乗った宝箱のような蓋付きの箱を発見する。
⇒もう一度<目星>もしくは部屋を壁伝いに歩くという宣言があった場合、奥の壁に寄り掛かる首の無い人間の死体を発見する。<SANC(1/1D4+1)>

蓋付きの箱(叶え箱)
 箱の蓋に張り紙がしてある。
死に際を彷徨う僥倖な者よ
我は慈悲深い旅人たちの助けとなろう
この頭を開き、そなたの欲する物を唱えれば
我は慈悲深い旅人たちの願いを叶えよう

人の瞳の数以上に欲深い者よ
我は傲慢な者共を決して赦しはせぬ
願いの制限にすら気付かず欲を満たそうとする愚かな旅人には
生きている価値はない
裏情報:この頭=箱の蓋 自身の瞳の数=2つ つまり「箱の蓋を開いて欲しいものを唱えてください。ただし、一人2つまでですよ」という警告文。厳密に言えば「以上」なので「2つ」も叶え箱の餌食対象になるが、ここでは文章の語呂の良さでこの文章にしている。クリアルートは叶え箱無しでも行けないことはないため、受け取り方はKP・PLに一任する。ただ、KP・PLの間に齟齬が生じてはいけないので、<アイデア>でPLに閃かせたり、文章を改変したりするのもOK
 箱の蓋を開くと、血飛沫が散っており中には人間の手首が入っている。<SANC(0/1D2)>
手首を入れたまま唱えてもちゃんと物を出してくれる。
  • 叶え箱が出してくれるもののルール

⇒蓋を開けた状態で欲しいものを唱えると、ぽんという軽い音とともに箱の上空に唱えた物が浮かび出てくる。手に取ると浮力はなくなる。
 一人につき2つまでなので、一人のPCが3つ以上何か出そうとした場合はKPから警告するとよい。それでも出そうとした場合は、箱に頭から噛り付かれてロスト。

首なし死体
<目星>で、手首も無くなっていることに気付く。箱の中の手首を見ている場合は、この人物の手首であると気付いてよい。
裏情報:彼はPCたちより先に番人に連れてこられた人間で、箱の警告を聞かずに3つ以上物を出そうとした傲慢な者である。箱の怒りを買った彼は翳していた手首を箱に噛みつかれて千切られ、必死で奥に逃げたがそのまま首ごと齧り切られて帰らぬ人となった。……おや、頭はどこに行ったのだろう?

出口(廊下最奥の扉)

 何の変哲もない扉。
⇒もしどの願い事も叶えていない状態で外に出ようとする場合、扉の前に「慈悲の欠片もない愚かな人間共。君たちにはがっかりだ」という紙が急に現れる。探索者たちがそれを確認すると突然紙だけが燃えあがり、燃えカスすら残らず消えてしまう。<SANC(0/1)>
裏情報:ここで言う願い事とは、医者の近くに医療道具を運ぶ(医者の願い1)/医者に輸血パックを渡す(医者の願い2)/狩人に杭を渡す(狩人の願い)/吸血鬼に血を吸わせる(吸血鬼の願い)/狩人を無事な状態で外に連れ出す(番人の願い) である
 扉を開けると、真っ暗な空間の先に光が見える。そちらへ向かっていくと、だんだんと光が強くなり、暖かな感覚に包まれる。毛布にくるまれるような懐かしくも優しい感覚のあと、PCたちは意識を手放す。⇒エンディングへ

エンディング分岐

ロストエンド:番人の間から扉を潜らず、暗闇に消えるor吸血鬼に殺される
トゥルーエンド: 狩人が吸血鬼に殺される
ノーマルエンド:誰の願いも叶えず外へ出る
グッドエンド:吸血鬼を無効化して、願いをいくつか叶えて外へ出る(※狩人を連れて行かない)
ハッピーエンド:吸血鬼を無効化して、狩人を連れて外へ出る

 吸血鬼を無効化していない状態で狩人を外に出し、吸血鬼の部屋の前を通りかかるとイベント発生。吸血鬼の部屋の扉が急に開き、その中から出てきた腕に掴まれて狩人は中に引きずり込まれる。
 助ける場合は、狩人に一番近かった探索者のみがその時点での吸血鬼とのDEX対抗ロールSTR対抗ロールに成功する必要がある。RPや位置関係等でプラス補正を加えても良い。どちらか片方でも失敗した場合はトゥルーエンドへ。
 両方成功した場合は、探索者たちも勢いで引きずり込まれてそのまま自動的に戦闘に入る。

トゥルーエンド

 彼が引きずり込まれた部屋の中から何かを啜るようなジュルジュルという音が聞こえる。探索者たちがおそるおそる中を覗き込むと、先ほどまで共に行動していた青年が力なくぐったりと横たわり、そのすぐ傍で口の周りを血まみれにしながら少年(少女)がけたけたと笑っていた。「あはは、あははは!おいしい……えへへ……この血がずっと欲しかったんだよお……えへへ……えへへへへへ」そう言うと、また青年の首に噛みついて啜り始めた。<SANC(1/1D4)>
 探索者たちはすぐにこの場から離れないと自分たちも餌食になってしまうと直感するだろう。(強制的に出口へ)
 光へ向かっている途中、ふと視線と感じて振り返ると、あの廊下に番人が立っていた。先程まで探索者たちが覗いていた部屋の前で「ごめんな……俺が……俺が余計なことをしなければ……ごめんな……ごめんな……」と泣き崩れる彼の姿が見えた。⇒ノーマル・グッドエンド描写へ

ノーマル・グッド・ハッピーエンド

ノーマル・グッド・ハッピーエンド共通部分
 探索者たちが目覚めると、そこは病院だった。「ああ!ああ、良かった。目が覚めたんですね。三日前に事故に遭われたの思い出せます?ずっと眠り続けていたんですよ」と、心配そうに看護婦に声をかけられるだろう。(医者に傷を治してもらっていた場合は「奇跡的に無傷だったんです。どこか痛いところはありませんか?」と告げられる。)
ノーマル・グッドエンド
 「ああ、本当に良かった。何人か亡くなった方がいらしたけれど、無事に目が覚めて本当に良かったわ。」と看護婦は告げて、報告のためだろうか、足早にその場を立ち去った。探索者たちがぼんやりしていると、廊下からこんな会話が聞こえてきた。
 「本当に……酷い事故だったわね」
 「死人があれだけで済んだのが奇跡くらいよ」
 「でも残念ね、最初に轢かれたあの子、まだ高校生だったんでしょう?」
 「助からなくて、親御さんはさぞ悲しんだでしょうね……」
 探索者たちは、その亡くなった高校生が誰なのか、終ぞ知ることはないだろう。
ハッピーエンド
 「ああ、本当に良かった。何人か亡くなった方がいらしたけれど、無事に目が覚めて本当に良かったわ。“(探索者の人数+1)人”とも」
 人数に違和感を感じていると、探索者たちの横にあったもう一つのベッドからごそごそと何か動く音がした。今までカーテンをかけられていたそこから、美しい金髪の青年が不思議そうに此方を見つめていた。頭には痛々しく包帯が巻かれており、体の至る所に治療の跡があったが、その瞳は、自分たちを助けてくれた番人と同じ、真っ直ぐな双眸をたたえていた。

ハッピーエンドの後日談

 数日後、探索者たちよりも少し重症だったらしい彼の元へ見舞いに行くと、病室から愛らしい声が聞こえる。
 「先輩!良かった。元気になられたんですね。わたし、すごく心配しました……」
 中を覗くと、彼が後輩らしい女子生徒と会話をしているところだった。
 彼女は探索者たちに気が付くと、「あ」と声を漏らしたあと恥ずかしそうに微笑んだ。
 「ご、ごめんなさい。先輩のお見舞いの方ですか?私、高校の後輩なんです」
 彼女の口から、特徴的な八重歯が見えた。
 それを見て探索者たちは思うことだろう。―――まるで吸血鬼のようだと。

後日談の解説
 生き残った金髪の青年は、前世で自分が吸血鬼の狩人だったことは元から覚えていませんが、時々人が変わったように狂気じみた行動をすることがありました。しかし、今回番人の計らいで狂気と自分すらも忘れた記憶を奪われ、憑き物が取れたように温厚な青年になります。狩人と生き残った青年は勿論別人格ですので、探索者たちのことは覚えていません。ただ、この人たちに自分は助けられた、何故かそんな気がする、くらいは思っているかもしれません。
 後輩の女の子は番人が連れて行き損ねた吸血鬼の生まれ変わりなのか、はたまた全く関係のない女子生徒なのか、それは皆さんのご想像にお任せします。

 また、前作シナリオ「モノクロの猫」ハッピーエンドクリアをした継続探索者がいた場合、こんなバージョンの後日談をご用意しました。「モノクロの猫」ネタバレになりますのでお気を付け下さい。


シナリオクリア報酬

・医者に傷を治療してもらっている 1D2
・医者に輸血パックを渡した 1D2
・狩人の願いを叶える 1D3
・吸血鬼を無効化する 1D6
・狩人の魂を無事に出す 1D10

※以下の報酬はお遊びで付け足したものなので、もし必要であればPCのキャラ付け程度にご利用下さい。
吸血鬼祓いの呪文をかけられた探索者
「吸血鬼祓いの呪文」を覚える。(オリジナル呪文)
 対象者の肩を叩き、「君の行く先に茜(あかね)と山査子(さんざし)の棘があらんことを」と唱えると、一定時間吸血鬼を寄せ付けなくなる。……とは言っても、吸血鬼に会うシナリオがそもそも無いと思いますし、もし合ったとしてセッション中に使用するとKPさんが困ると思いますので、本当にお遊び程度、身内ネタ程度でご利用下さい。
魔祓いの拳銃を扱う力を手に入れた探索者
<拳銃>技能を1D10+5成長することができる。

このシナリオに興味を示してくださったすべての方へ

 前作でお世話になった方はお世話になっております、今作初めて私のシナリオをプレイorキーパリングして下さった方は初めまして、文化です。
 「モノクロの猫」以来のシナリオ公開になりましたが、実は前作から一か月経たないうちから考えていたシナリオでした。身内や前作をプレイして下さった方の中にはご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、実はこのシナリオ、半年前には公開している予定でした……!!色んな方に公開するする詐欺してしまって申し訳ありませんでした……。それも含め、テストプレイに参加してくれた友人たち、支えて下さった方々に、この場をお借りして改めて謝罪と御礼を申し上げます。ありがとうございました!
 ここまで読んで下さった方にはお分かりかもしれませんが、シナリオ中に定義が曖昧な部分が多く、KPをする際に困る点がいくつかあると思います。できるだけ修正や補足はしました(※そのせいかまたとんでもない長さになってしまっています)が、制作者としては辻褄があっているせいで気付かない部分も残っていると思われます……。NPC、戦闘の有無、SANCトラップ増減など、その辺りの改変に関しては、前作同様KPさんにお任せ致しますので回しやすいように変更して頂けますと幸いです。お手数をおかけ致します……。

 また、後日談やイラスト、リプレイ(風)動画などの制作にも、配布元や制作者「文化」の名前を明記して下されば、こちらに確認の連絡などは不要です。ただ、是非拝見したいのでご一報頂けたら嬉しいなと思います……!もしかしたら嬉しすぎて突然DMやコメントを残していくかもしれませんすみません!
 それでは、このシナリオに関わる皆様へ、よい卓になることをお祈りしております!


文化
(twitter:@bunka_TRPG https://twitter.com/bunka_TRPG/
 pixiv:http://www.pixiv.net/member.php?id=6078288

※こちらの記事へのコメントよりもtwitterやpixivの方が反応が早いです。また、返事が遅ければ何度でも連絡して下さって構いません。
 勿論私の方も、できるだけ皆さんをお待たせしないように心がけますので、よろしくお願い致します。

▼16/05/08 
叶え箱の張り紙について:一部加筆致しました。

▼16/07/31
TRPG用のアカウント用意しました。コメントや支部メッセに比べると此方の方がレスポンスが早いと思いますので宜しければ!

このページへのコメント

>>しるふぁ様
ご連絡ありがとうございます。前作でもお世話になりました!
良いセッションになったようで何よりです。
嬉しいお言葉ありがとうございます!また機会があればぜひ回してやってください。

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Posted by 文化 2016年07月26日(火) 23:10:26 返信

シナリオお借りしました。
いくつかの細かい部分を改変して回したのですが楽しかったです。

また回してみたいと思います。
素敵なシナリオありがとうございました。

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Posted by しるふぁ 2016年07月05日(火) 02:22:21 返信

>仏狂信者様
ご連絡ありがとうございます。ハッピーエンドおめでとうございます!よいセッションになったのでしたら幸いです!

ご報告頂いた件に関してですが、テストプレイ時にも既に修正するか迷った点ではありましたので、此方でご説明させて頂きますね。
仰る通り、”以上”ということは基準となる数量を含んでおり、かつそれより多いことを示しますので、厳密に言えば”2つ”もバッドエンドルートに入ります。
ただ、表記としては語呂の良さから「以上」を採用しているだけなので、解説の通り「2つまでならセーフ」、もしくはKPさんの改変次第ということにしています。
しかし、ここまで述べた説明が入っていないことで皆さんを混乱させてしまったかもしれませんので、一部に加筆させて頂きました。ご迷惑をおかけ致しました。ご指摘、ありがとうございました。

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Posted by 文化 2016年05月08日(日) 16:44:42 返信

身内卓でプレイさせていただきました、自分はPLとしての参加でしたが何とかHappy Endにたどり着く事が出来ました。一つだけ引っかかる点が合ったので質問させて頂きます。叶え箱の「人の瞳の数以上に欲深い者よ」の一文なのですが以上だと2でもアウトなのでは無いかと考えてしまい結果1回使用でのクリアとなりました。この部分は仕様と考えてもよろしいのでしょうか?

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Posted by 仏狂信者 2016年05月07日(土) 13:09:44 返信

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