ここは、クトゥルフ神話TRPGのオンラインセッションに関する各種情報がまとめられているWikiです。

シナリオ作成者:t-sr

シナリオ基本情報


舞台:現代、場所は自由
難易度:初心者でも問題ない
プレイ時間予想:2~3時間程度
推奨プレイ人数:3~4人、1人でも可能
推奨技能:<図書館>、他基本探索技能
あるといいかもしれない技能:<天文学><生物学>
ロスト・発狂の可能性:ロストの可能性 低、発狂 ワンチャン
改変・改造:おすきにどうぞ
条件:探索者達はとあるクリーニング店を利用していること。
   探偵がいればKP的に導入が楽。

※神話生物がでてこない(?)クトゥルフシナリオです、
決戦、結末を決めるのがRPになるので、頑張ってPLにかっこいいことを言わせてあげて下さい。

シナリオモデル:某仮面ライダーシリーズ。

■全体的に図書館以外の技能ロールはヒント程度なので省略する等お好きにどうぞ。

シナリオ概要

導入

昼下がり、いつものようにさやわかクリーニング(誤字ではない)へ訪れる探索者達、
店内には無愛想なアルバイトと看板娘のマリの姿があり、いつもの常連客の姿も見える。

▽現時点でのマリの情報
このクリーニング店の看板娘、大学生。クリーニング店の主人夫婦の家に下宿している。明るい美人。

しかしマリからはいつもの元気がなく、少々疲れているように見える、探索者が尋ねるとマリは答える
「最近その、ストーカーっていうの?がしつこくって、昨日も学校の帰りに誰かに後をつけられたり、もうほんと最悪…」
探索者が興味を持ったようなら
「そうだ、お客さんにこんな事頼むのもなんだけど、よろしければその、
ストーカーの事調べてもらえませんか?もし見つけてくれたら料金、サービスしますよ!」
「お客さん、探偵(刑事さん)なんだっけ?じゃあお願い!ちゃんとお金は払いますから!」
探索者が探偵等であるなら少しばかりではあるが報酬がでることをきちんと約束する事
定期的に朝、報告にきてくれるよう言っておく事

了承するとマリは探索者達に一通の手紙を見せる

「ついに昨日こんな手紙がきて、怖くなっちゃって…」
文面はパソコンで作成されており、機械的なものである
「マリへ、あの日からずっと見てる、3日後、必ず迎えにいくからね。愛してる。君の僕より」

ここでKPはマリの「3日後って、私誕生日なのに…」といった言葉を挟む事

手紙には文章の他に隠し撮りされた写真、マリの居候先の鍵。彼女の使用した絆創膏やティッシュが同封されていた。
狂気の一端を垣間見た探索者達は<SANチェック>(0/1)
<目星>ロールに成功したものは手紙の端にわずかに赤いものがついている事に気づく。
クリティカルだった場合はそれが紙の端で指を切ったことにより付着した血だと気づく

マリに探索者達が心当たりや情報を聞き出す場合、以下の情報

■心当たりについて
マリは3年前両親が火災で亡くなっており、その時の事が関係しているのではないかと疑っている。
「3年前、私火災で両親をなくしたんです、私はなんとか助けられて無事だったんですけど…
私、見たんです。炎の中、毛むくじゃらの化け物が立っているのを。幻想じゃないかって言われるかもしれないけど、もしかしたら、アイツがまだ…」
「事件の事は結局放火なんじゃないか、って言われたけど、犯人はわからないままで…、
詳しい事とかならあのときの新聞とか調べれば載ってると思います、ごめんなさい、あんまり思い出したくなくて…」

ここで一人のアルバイトが口を挟んでくる。

▽この時点での乾の情報
乾コウ APP15ほどの無愛想なアルバイト。マリと同じくこの店に居候している。愛想は悪いがクリーニングの腕前は良い。

「まだそんなこと言ってんのかよお前、んなもんいるわけねーだろ、ただのストーカーだよ」
「乾くんは黙っててよ!もう」

<目星>ロールに成功したものは乾が指に絆創膏を巻いていることに気づく。

■ストーカーについて、
一年ほど前から続いている、物がなくなったり、夜中につけられたりする。
最近は夜中に遠吠えのようなものが聞こえる事もある。
[KP情報:マリがこの店で働き始めたのはおよそ一年前、乾もその直後に働き始めた。
    遠吠えは満月が近く乾が変身を押さえにくくなり町中を走り回っているせいである]

「何かあったら何でもいってください、
 あと、おやじさんにも下宿先の私の部屋にも上げてもらえるよう言っておきますから、よろしくお願いします。」

探索者達がマリと話し込んでいると店内に居た常連客が話しかけてくる
「マリちゃん、大変だね。そんな怖い目にあってるなんて…、僕にできることならなんでもいってね、皆さんも。マリちゃんを放っておけませんから!」
[KP情報:この後貸し倉庫を見た後か3日後の朝まで森に出会える機会はない]

▽この時点での森の情報
さわやかなイケメン という言葉が似合うスポーツマン、
笑顔が特徴的な大学生。マリと同じ大学である。常連客なので探索者達も顔見知りである。(尚大学に行っても彼の良い評判をきくことくらいしかできない)
<目星>ロールに成功したものは森が指に絆創膏を巻いている事に気づく。

イベント

時間経過、条件によって発生する各イベント

夜判定

毎日探索者達がその日の探索を切り上げると宣言したら、KP側で<聞き耳>ロールをする。
成功するとどこからかオオカミの遠吠えが聞こえてくる。ヒントなので省略しても構わない

2日目、3日目の朝判定

二日目、探索者達はワイドショーを見ている。
「明日の夜はとても綺麗な満月が観れるでしょう!こんな夜は彼女を誘ってロマンチックに過ごすのもいいですね!」
三日目、探索者達はワイドショーを見ている。ここ最近巷を賑わせている毛むくじゃらの怪人「狼男」の噂である。深夜遠吠えとともに住宅街に現れると目撃情報が出ている。
(三日目までに探索者達がオオカミ男にたどり着いていない場合の救済である、アイデア成功で伝説上の狼男であるとわかる)

3日目の朝

3日目の朝、探索者達が店へ行くと店の前に遅刻した乾が立っている。店の中を覗くと森とマリが言い争っているようである。
森はマリに何かプレゼントを渡し告白しようとしたようだがフラレてしまうのである。
乾の正体を問いつめていて貸し倉庫をみているならこの時点で森のストーカーを証明するのがいいだろう。
乾に正体を問いつめていない場合は森のストーカーは証明できてもマリは最終的な納得はせず、森は店から逃げてしまう。

3日目の夕方

この時点になっても探索者達が条件を満たす事ができなかった場合、以下のイベントを発生させる事。尚エンド分岐はA,B,Cのいずれか。

夕方、店に戻ると店主が店番をしている。
マリは森に忘れ物を届けに行ってしまったという。
探索者達に追いかけるよう指示、その後エンド分岐へ

森の鍵の入手

(乾に正体を問い詰め全てが明かされたところで起こるイベントである、
ただしあまりにも探索者たちが悩んでいるようなら以下のような電話が探索者にかかってきたことにして展開を進めるといい)

マリから依頼、または電話がかかってくる。
「ごめんなさい、さっき森さんの品物預かったんだけど、あの人ポケットに鍵とか入れっぱなしで、ついでに届けてあげてくれませんか?」
と探索者達に鍵を預ける。森の自宅の鍵(自宅と言っても、実は故郷の実家の鍵である)と、もうひとつは貸倉庫の鍵である
探索者が素直に届けようとしても貸し倉庫を見るまでは森に遭遇できない。

1~3日目の行動について

時間経過はKP判断に委ねる、期限は3日目の夕方まで。

探索箇所

マリの部屋
クリーニング店の主人が空き部屋を貸し出しており、事情を話すと上げてくれる。
乾の部屋と構造は同じで隣同士である。

普通の女子大生の部屋、といった感じの簡素ではあるが綺麗な部屋である。
机の上には彼女と両親の3人笑顔の写真が飾られている。
箪笥を調べる場合
<目星>成功で盗聴器を発見できる
ゴミ箱を調べる場合
同じく<目星>成功で盗聴器を発見できる
とりあえずどこからでも盗聴器が出てくるので探索者に発見させるとよい
窓の外
<アイデア>成功で裏手の喫茶店の角の席から丁度隠し撮りと同じような角度で撮れるのではないか、と気づく

部屋をしばらく調べていると主人がお茶を出しに来てくれる
「ああ、その写真ね、マリちゃんも大変だよねこんなことが続いて…」
「そうそう、乾くんも昔事故でご両親を亡くされてるとかで、無愛想だけど本当は優しい子なんだよ、今回のことも実は内心結構心配してるみたい」
「事故のこと?5年前…とか言ってたかなぁ、彼、あんまり自分のこと話したがらないから」
主人から事件に関しての情報はこれ以上出ない
毛むくじゃらのバケモノについて聞いた場合
最近このあたりで狼男が出ると噂になっていると聞ける。
あくまで都市伝説だと思っているので詳しい事は知らない。
店主はきりのいいところでインターホンが鳴ったとかで去って行く。
乾の部屋
マリの部屋の隣、構造はおなじだが物が少ない。
机、クローゼット、ベッド等基本的な物しか置かれていない。
■ベッド
よくみると、動物の毛のようなものが落ちている
<生物学>に成功した場合は大型の動物であり、犬の毛に似ていると追加情報。大型犬を飼っている探索者が居た場合は知識で振っても良い。
■クローゼット
奥の方に赤いプレゼント袋が置かれているのがわかる。中身は女性物のマフラーと小さなぬいぐるみで「誕生日おめでとう」と書かれたメッセージカードが添えられている。
■机
引き出しのひとつがひっかかって引き出しにくくなっている。
引っ張り出すと奥の方に脅迫状と同じ文面のもの、同じ封筒と便箋がぐちゃぐちゃになっている。

[KPへの情報:森が乾の部屋に忍び込み仕込んだブラフである、合鍵を持っているという事は、
マリの部屋のみではなく乾の部屋に忍び込む事も容易だということだ]

■窓
<アイデア>成功でマリの部屋の窓を調べた時とほぼ同じ事がわかる、マリの部屋で全員失敗した場合の救済措置

※KPが任意で追加していい情報
乾の部屋から目星で盗聴器の受信機を発見させてもよいが、
証拠となるために今後の展開がややこしくなる可能性があるため、発見した後に必ず下記のアイデアロールを行う事

探索者が再び乾の部屋に戻って調べたり、乾を疑っている場合にも<アイデア>
成功で隣のマリの部屋とはかなり壁が薄く、盗聴器を仕掛ける意味がわからないといった情報を提示する
喫茶店への聞き込み
角の席が空いているのでそこに座ると丁度写真をとっていたのがここだと確定する、店員から
「いっつもそこ、おんなじお客様が座るんですよ、爽やかなイケメン!ってかんじの方で、最近こないから寂しいなぁ〜」
森の写真を見せたり特徴を伝えた場合間違いなくその人物だと答える。
<幸運>成功、もしくは毛むくじゃらの化け物について聞いた場合
最近このあたりで狼男が出ると噂になっていると聞ける。
詳しくは知らない。
貸し倉庫
鍵をもっていれば誰でも開けられるタイプの貸し倉庫である。
森の持っていた鍵で開けると中には女性物のアイテムや、マリの写真、下着などが入っている。
乾の部屋の引き出しに詰まっていた封筒と同じものや文面のコピーも見つかる。
管理人にこの貸し倉庫の名義人を確認すれば森が借りていることは明白である。
この証拠を提出することで森がストーカーであることを証明できる。

[KP情報、及び説明:探索者達がマリにストーカー探しの依頼をされた時、森はその場に居た。
そのため探索者達が乾にストーカーの疑いをしむけるように部屋にブラフを仕込み、自らの証拠になるものは全てこの貸し倉庫へ預けた。
よって自宅に万が一潜入した場合でも決定的な証拠が見つかる事はない。]

森の自宅マンション
入れない、ブラフ。(預けられたのは森の実家の鍵であり自宅の鍵ではない)
聞き込みをする場合<幸運>か毛むくじゃらの怪人について聞く事で主人や喫茶店と同じく狼男の噂が聞ける。
貸し倉庫より先にこちらに来た場合は森は留守で会う事もできない。
貸し倉庫に行ってからこちらにきた場合は森に遭遇し、鍵を返す事が出来る。

図書館

<図書館>の成功でいくつかの情報を入手可能
<図書館>には一回四時間を要するが、成功者の人数+一人につき一時間ずつ短縮してよい、最低一時間半。
もしくは救済措置として自宅のインターネットで調べさせてもよい、KPの判断に委ねる。
マリの火事について
3年前、放火による火災でマリの一家が被害に遭った事件。
マリの両親が亡くなった事、一人娘であったマリはなんとか一名をとりとめた事が書かれている。
また、同じくこの事件をとりあげた小さな記事が同時期の雑誌にも記載されており、
娘が発見されたのは何故か火災のあった現場からふたつ離れた家の庭であった、その奇妙さからこのような小さな火災事件が新聞にまで取り上げられた理由である。
また、娘の身体には動物の毛のようなものが複数付着していた。
<天文学>を持っていた探索者がいた場合、成功でこの事件のあった日が満月が近い日であったとの追加情報
天気欄を見るという宣言があったならロールは省略してよい
乾の事件
5年前、乾一家が自宅で惨殺された事件。
警察が立ち入った時には既に何者かにより一家が惨殺された状態で、現場は血の海であった。
殺されたのは乾トシオ、乾アキ、乾コウの3人家族、犬があまりにもうるさく吠えていたので気になった近隣住民が現場を目撃、発見に至った。
現場には至る所に血で固まった動物の毛のような物が落ちていたという。
この記事を読み、殺されたはずの乾が生きているという事実をしった探索者達は(1/1d4)のSANチェックを行うこと
図書館ロールでクリティカルだった場合、何故かひとつめの新聞記事以降の続報では「死亡」と書かれているのが夫婦のみであるという不振な点について追加情報を出しても良い。(乾がその後狼男として蘇り、逃亡した為)
<天文学>を持っていた探索者がいた場合、成功でこの事件のあった日が満月であったこととの追加情報
天気欄を見るという宣言があったならロールは省略してよい

オオカミ人間について
伝説上の生き物であるが、ここ数年目撃情報が多く都市伝説として噂になっている。
満月の夜になるとオオカミとなり、人を襲う、毛むくじゃら、
または完全にオオカミのような姿をしている。またオオカミ人間に噛み殺されたものはオオカミ人間になってしまうという。
火と銀が弱点であり、銀にふれると火傷を負う。
オオカミ男についてたどり着き今回の事件とこの情報を結びつけてしまった探索者達はSANチェック(1/1d3)
狼男と乾を関連づけていないようならSANチェックは免除されるが、KP的には気づいていなければここでアイデアロールで進めたいところ

乾の正体

乾に正体について問い詰めることがこのシナリオの重要なエンド分岐になるので何を彼に聞くべきかしっかりとPLに問う事。

※ストーカーの疑いやはっきりとオオカミ男でないか問い詰めなかった場合、彼はまともに話をしてくれない。
オオカミ男であること、過去のマリの事件、乾の過去について調べたという事を提示した場合、彼は探索者の前で変身し、すべてを明かす。
全ての真相
探索者の前で乾の身体はむくむくとふくれあがり、口は裂けていく、一瞬にして乾は半分狼のような姿の狼男へと変貌した。

■乾の正体について
彼、乾は5年前、一家全員が殺されたという無残な事件の被害者「乾コウ」である。
オオカミ人間に襲われ一家全員が殺されたが、その際、彼だけは直接オオカミ男に噛み殺された為オオカミ男となってしまった。以後各地を点々としていたが3年前、マリの一家に火災現場に居合わせ、マリをなんとか助け出すも火傷を負ってしまう。その後、偶然このクリーニング店のアルバイトでマリと再開、彼女が自分が両親を殺したのではないかと思っている事を知るが、誤解を解くには正体を明かす必要があるためそれができずにいる。
ストーカー被害に関しては、彼は鼻がとてもよく効くため、部屋についた臭いから森の事を疑っている。また探索者達が部屋に入り自分について調べていたこともわかっており、夜になると後をつけていた。
満月の夜が近づくと変身が制御しにくくなるが、彼は人工のオオカミ人間ではないため理性を失い人を襲うようなことはない。
もしこの姿で人に手を上げてしまうことがあれば人としては生きて行けないと考えている。

乾の正体(変身)を見た探索者はSANチェック(1/1d6)

乾は自らの正体と過去をマリに明かすべきか悩んでいる、ストーカー被害については自らの疑いを晴らす証拠がない為である。
この時点でマリに森がストーカーであることを証明したことを話すと、乾がマリに正体を明かす決意をする。
3日目の朝、マリが森を振った後、正体を明かしエンドDへ

■イベント「森の鍵の入手」
森がストーカーだという証拠を掴む前だった場合、話終えた乾の携帯が鳴る。
「ちょっと乾!いつまでさぼってんのよ!」
探索者とともに店へ呼び出され、森の忘れ物の鍵を届けるように言われる、乾は探索者達のほうを少し見てにやりと笑うだろう。

エンド分岐

A「優しい獣」


乾の正体に探索者達が辿り着けず、3日目に到達した場合。
または乾の正体を問いつめず最後に名前を呼ばないと選択した場合は最終的にこのエンドへ分岐する。

夕暮れ、探索者達がマリの後を追うと、目の前に一匹のオオカミが走り去って行く。追いかけるとそこには道に倒れたマリと呆然とした表情で立ちつくす森が立っていた。森の手には血の滴る包丁が握られている。
目の前を走っていたオオカミを見ると身体が徐々に大きく膨らんでいき、まばたきをする間に巨大な人型の獣へと姿を変えた(このエンドへたどり着いた時点でPLの絶望感は十分なので、SANチェックはしなくても良い。したい場合はこの時点で初めてオオカミ人間の変身を目の前で見たため 1/1d6)
その化け物は森へつかみかかり、恐ろしい力で森を投げ飛ばす。森は壁にぶつかり動かなくなる。化け物は探索者達の方を振り返ると、一声雄叫びを上げて去って行った。その瞳はどこか寂しげであった。

翌日、朝刊の片隅に小さな事件が記載されている。
一人の男性が女性と口論になり、彼女を包丁で刺した上、同行していた友人の男性に暴行を加え逃走した。その後男の通報により女性は病院へ搬送され命を取り留め、男は自主、容疑者の名前は乾 コウ。
それまでの女性へのストーカー行為及び女性、友人男性への暴行容疑を全面的に認めているという。

彼の部屋には渡すことのできなかった赤いプレゼントがぽつりと残されていた。

B「お似合いのふたり」


乾の正体を知るも、問いつめなかった場合。
乾が探索者達の後を密かにつけているため、一瞬早く追いつくことができている。

夕暮れ、探索者達がマリの後を追うと、目の前に一匹のオオカミが走り去って行く。追いかけた先、そこにはマリの背後からナイフを振り上げ今にもマリに振り下ろさんとする森の姿があった。
目の前を走るオオカミ――乾の身体は徐々に大きく膨らんでいき、まばたきをする間に巨大な人型の獣へと姿を変え、森へ飛びかかろうとする。(この時点で初めてオオカミ人間の変身を目の前で見たためSANチェック 1/1d6)

ここでPLに選択を問う。「乾の名前を呼ぶか、呼ばないか」
できるだけ短時間で決めてもらう事。

呼んだ場合
驚いたマリ、森が振り返ったために行動が遅れ、マリが刺されることはない。乾によって森は壁に叩き付けられ気絶する。
マリは驚いたように「乾、くん?」と一言呼んだ後、糸が切れたようにその場に倒れてしまう。
「やっぱり気づいてたんだな、お前ら」と、乾が探索者達へ近づいて来、■乾の正体について を話し、その場から去って行く。
「そうだ、ひとつだけ頼んでいいか。俺の部屋にある赤い包み、あれももう渡せなくなっちまった。お前らで好きにしてくれ」
と言い残して。

呼ばなかった場合
そのまま森がマリを刺し、乾に吹き飛ばされ、エンドAへ

翌日、いつものように探索者達がクリーニング店へ向かうと、主人が店番をしており、マリも乾の姿もない。
「ああ、お客さん達、ごめんね今日マリちゃん休みなんだ。色々あったけど、解決してくれてありがとうございます〜って伝えといて、ってさ」
わずかだが封筒に入った報酬金が手渡される。
「乾君、今朝辞めちゃってさ、まぁあんな事があったんだからしょうがないけどね、いや〜まさかマリちゃんのストーカーが乾くんだったなんて、灯台下暗し、ってやつ?」
「森君が助けてくれたんでしょ?たまたま居合わせたらしいけど、本当にいい青年だよねぇ彼。マリちゃん昨日誕生日だったのに本当に大変だったんだねぇ、でも運命の出会いってやつ?」
店主へは真実を伝えても冗談だとしか思われず相手にはされない。

「あ、そうだこれ。乾くんからお客さん達にーって、預かりもの」
探索者達に赤い包みが手渡される。
中には女性もののマフラーと小さなぬいぐるみ。ぶっきらぼうな文字でかかれたメッセージカードが同封されていた。
「マリへ 誕生日 おめでとう」

C「彼のぬくもり」


乾へ正体を問いつめており、全てをしっていたが、
ストーカーの証明をマリへしない、もしくは3日目夕方に間に合わなかった場合

乾は乾が探索者達に正体を明かした事により、乾は考えた末にマリに打ち明けようと一足先に後を追っている。
探索者達がマリの後を追うと乾の吠える声が聞こえる。声をたよりに追うとそこには森の振り上げた包丁を掴みマリを庇うオオカミ男と化した乾の姿が遭った。乾が森へ威嚇するように吠えると森は震え悲鳴を上げながら逃げて行った。
乾は変身を解き、マリのほうへ振り返ると全てを語り始める。
マリは信じられないといった表情だが、探索者達が今まで得た情報(乾の事故のこと、マリが当時救出された際どのような状況であったかということ、乾は満月だが凶暴化していないという事実)等を話した場合乾の言った事を信じる。
「私こそ、いままで誤解してた、本当にごめんなさい」
「ありがとう」とマリは言う。探索者達にも重ね重ね礼を言い、翌日かならず店にきてくれと約束する。

翌日、探索者達が店にいくと主人が店番をしている。
「ああ、お客さん、マリちゃんのこと、ありがとう」
「乾くん、突然今朝バイトやめちゃってさ、ここにはもう居られない、とかなんとか」
配達からマリが帰ってくる、その首にはあのマフラーが巻かれていた。

「お客さん達!昨日はほんとにありがとうございました!」
「これ、お礼です。これからもサービスしますからね!」
「乾君、バイトやめちゃったんです。今まで誤解してたこととか、ちゃんと私も謝りたかったのに、もう……ほんと勝手なんだからあいつ」
マリは探索者達に重ね重ね礼を言う。マリの顔には以前とおなじ明るい笑顔があった。
これからも、その笑顔が絶えることはないだろう。

「あ、このマフラー。乾君から貰ったんですよ!誕生日プレゼントだって」

D「狼の居る場所」


乾に正体を問いつめ、かつマリに森がストーカーであることを3日目夕方までに証明した場合。

マリが忘れ物を届けにいかない。森は通報され証拠もあるので言い逃れはできない。乾がマリに正体を自ら明かし、誤解は解ける。
その際マリがいくつか疑問をなげかけるだろうがここまで辿り着いた探索者達なら答える事ができるだろう。
彼女に正体を明かした乾はとても晴れ晴れとした表情で言う
「誕生日おめでとう」
マリは赤いプレゼント包みを笑顔で受け取った。

マリは重ね重ね探索者達に礼をいう。明日お礼もちゃんと渡したいから、必ず店に顔を出してくれと言い、探索者達と別れる。

翌日、探索者達が店を尋ねると、そこには明るい看板娘のマリと、無愛想な狼男の姿があるだろう。
今までも、そしてこれからも。


クリア報酬
SAN回復
シナリオクリア報酬 1d3
乾から真実を聞く  1d3
乾に正体を問いつめる 1d4
乾が店を去っていない  1d10
クトゥルフ神話技能 なし

最後に

作者が3人チームで2回まわした結果どちらも休憩を挟んで二時間程度でしたので息抜きに丁度いいかもしれません。
できるだけ技能に頼ることなく、探索箇所も少なめですので初心者の方でも図書館さえあれば問題ないと思います。
大分クトゥルフらしからぬシナリオに仕上がっておりますがたまにはこういうのも、という感じで。

初めてまともに制作したシナリオでしたので色々とおかしな点もあるかもしれません。

▽3/21
NPCの簡単なイメージ画像を追記しました。

■シナリオの使用等について
シナリオの使用、リプレイの公開等は常識の範囲内でしたらお好きにして下さって構いません。
回しやすいように改変、改造等おすきにどうぞ。
ただ、一言報告して頂けると私がとっても喜びます。

何かございましたらコメント欄もしくはTwitterへ。
Twitter:@oniku_cookie
シナリオについての補足ブログ:(こちらにコメント等頂いてもお返しできません)

このページへのコメント

身内卓で使用させていただきます。
シナリオ作成感謝です。

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Posted by 名無し 2019年08月26日(月) 20:13:03 返信

急なお話で申し訳ありませんが、明日ニコニコ生放送を利用してこちらのシナリオをプレイさせていただきたく思います。ほぼ事後承諾のようなタイミングになってしまい申し訳ありません。
かなり改変を含んでいますので、それも含めてご連絡させていただきました。

放送後のタイムシフトは残さず、ネタバレ注意なども表記するつもりではありますが、こちらをお読みいただき、問題等ございましたらお返事いただければ幸いです。

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Posted by ヤハギ 2018年01月22日(月) 21:33:37 返信

身内卓で使用させて頂きました。
(ちなみに、テキセで6時間くらい掛かりました)
素敵なシナリオ感謝です!

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Posted by 泉丸 2016年09月19日(月) 21:21:08 返信

初めまして。事後報告となってしまい申し訳ありません。先日シナリオをお借りして、身内で回させていただきました。
元ネタが途中でPLにバレたり、イベントを起こすタイミングを早めたせいで若干改変してしまいましたが、全体を通してKPもPLも楽しくセッションすることができました!
このような素敵なシナリオを公開していただいたことに対し感謝の一言です。ありがとうございました!

0
Posted by みえはち 2016年08月09日(火) 07:54:21 返信

シナリオお借りします

0
Posted by 名無し 2016年04月03日(日) 19:22:34 返信

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