Je veux le sang
最終更新：ID:0dXIRwBBtg 2017年12月03日(日) 03:32:56履歴
作成者より 
閲覧、ありがとうございます。作成者の焼きバジルです。
公開の予定がなかったシナリオ第二弾。しばらくここからいなくなるつもりなので、落として行きます。クローズドです。
マップ等は自分で作っちゃってください。公開予定もなかったのにわざわざまとめていません。
ついでに回すにあたっての調整も自分でやってください。上記同じく、脳内までまとめちゃいません。
公開の予定がなかったシナリオ第二弾。しばらくここからいなくなるつもりなので、落として行きます。クローズドです。
マップ等は自分で作っちゃってください。公開予定もなかったのにわざわざまとめていません。
ついでに回すにあたっての調整も自分でやってください。上記同じく、脳内までまとめちゃいません。
基本情報
推奨人数：3〜4
所要時間：15時間程度
所要時間：15時間程度
難易度
死亡率：☆☆☆〜
推理難易度：☆☆☆☆
SAN難易度：☆〜☆☆
総合難易度：☆☆☆☆
ルートやダイス運により、難易度が跳ね上がる可能性もある。
推理難易度：☆☆☆☆
SAN難易度：☆〜☆☆
総合難易度：☆☆☆☆
ルートやダイス運により、難易度が跳ね上がる可能性もある。
推奨
技能：必須(全員あることが望ましい)/推理力, 思考力
推奨(数名はいるべき) /フランス語
準推(一人いると選択肢になる)/探索御三家, 心理学, 精神分析, 医学
推奨(数名はいるべき) /フランス語
準推(一人いると選択肢になる)/探索御三家, 心理学, 精神分析, 医学
神話生物
幽霊
シナリオ概略
概要
NPC
Marie-Dolorès Rambla(マリー・ドローレス・ランビア)
KP向け情報
クリスティアン・ラニュッチ、及び彼にまつわる事件について
シナリオ本編
ここからシナリオの本編となるが、記載順は探索順を指定するものではない。
導入
『世界の刃物展、というものが、在住の、あるいは訪れた町で開かれていた。
空き時間を持て余したあなたは、体の良い時間潰しにとそれを訪れる。
古代から近代に至るまで多種多様な光り物が並ぶ中、存外興味を引かれながら、順路を進んでいく。
こういった展覧会としては珍しく、武器用途以外の刃物。調理器具であるとか、園芸用具であるとか、果ては攻城戦に用いられた装置なども展示されていた。
その道の人間にとっては見慣れたものであっても、こうして並ぶと何やら趣深いものがある。
順路には従いつつも、興味を惹かれるものはそれぞれに……と。各々で違った楽しみに浸っていった。』
展示物は、一般的に広く知られているものであれば置かれている程度。非常に珍しい類のものや、歴史上大きな意味を持つものなどはない。
軽いRPの後イベント。タイミング的にもある程度強制力を持たせるとなおいい。
『チリン。
鈴の音。子供が付けてでもいるのだろうか。それにしては、一度鳴ったきり聞こえてこない。
音の発信源を確認すれば、どうやら順路の先らしい。
平時ならば気にも止まらないことだろう。こういう場所だ。少し歩いて立ち止まったのなら、何もおかしなところはない。
が、あなたの意識は自然とその音に縫い止められる。行かなくてはならない。ただそう一つの感情に磔とばかり。
あるいはただ一言、「来い」と。抗い難い重圧を持って命じられたとばかり。
足を止めていた展示物を捨て置き、先の記憶を頼りに鈴を追う。
確かにここだ、と思う場所にあったのは、ギロチンだった。』
周囲に人影はなく、処刑道具、という異様さから、どこか違った空気に満たされている。
横に説明書きがあり、実際の使用風景の写真なども展示されている。
『Bois de Justice(ボワ・ド・ジュスティス)
フランス革命勃発後、「機械的な動作によって」「人道的に」斬首刑を執り行うため考案された処刑器具。
1792年4月25日に当時のフランス議会が処刑道具として認め、以降、斬首刑に広く用いられた。
外科医Antoine Louis(アントワーヌ・ルイ)によって設計。死刑執行人Charles-Henri Sanson(シャルル＝アンリ・サンソン)らの協力を得つつ完成に至った。
本ギロチンは、日本でも出版された「赤いセーターは知っていた」※1で知られる、Christian Ranucci(クリスティアン・ラニュッチ)※2の処刑に用いられたもの。
Ranucci氏の処刑は、フランスにおける死刑廃止運動の起こりにもなっている。
※1原題「Le Pull-over rouge」 Gilles Perrault(ジル・ペロー) 著。1979年映画化
※2フランス人。1976年没』
全員が一回行動した時点でイベント。これの終了と同時に、探索空間へ移動となる。
『「----」
微かに声が聞こえた。
それは徐々に大きく、そして鮮明になり、唄の様相を呈し始める。
「Je veux le sang, sang, sang, et sang」
どこかの誰か、なんて生易しい単位ではない。まるで、ステージの上で全方向から叫びかけられるかのような、大合唱。
「Donnons le sang de guillotine」
唄に気を取られつつも、またもう一つの異変。首筋への違和感に気付く。
丸い穴を穿った木に固定されているとでも言った感触。
否。事実固定されている。その質感、その質量。どれを取っても全く確かな感覚でしかない。
「Pour guerir la secheresse de la guillotine」
そしてまた、実体を伴う幻覚はその意図を理解する。
Bois de Justice。首を刎ねることに特化した刃の、固定具。
悟れば必定、視界に留まるは眼前の処刑具。
「Je veux le sang, sang, sang, et sang」
無機質な殺意が打ち下ろされると同時に、あなたの視界はその背丈分、錐揉みに落下した。』
空き時間を持て余したあなたは、体の良い時間潰しにとそれを訪れる。
古代から近代に至るまで多種多様な光り物が並ぶ中、存外興味を引かれながら、順路を進んでいく。
こういった展覧会としては珍しく、武器用途以外の刃物。調理器具であるとか、園芸用具であるとか、果ては攻城戦に用いられた装置なども展示されていた。
その道の人間にとっては見慣れたものであっても、こうして並ぶと何やら趣深いものがある。
順路には従いつつも、興味を惹かれるものはそれぞれに……と。各々で違った楽しみに浸っていった。』
展示物は、一般的に広く知られているものであれば置かれている程度。非常に珍しい類のものや、歴史上大きな意味を持つものなどはない。
軽いRPの後イベント。タイミング的にもある程度強制力を持たせるとなおいい。
『チリン。
鈴の音。子供が付けてでもいるのだろうか。それにしては、一度鳴ったきり聞こえてこない。
音の発信源を確認すれば、どうやら順路の先らしい。
平時ならば気にも止まらないことだろう。こういう場所だ。少し歩いて立ち止まったのなら、何もおかしなところはない。
が、あなたの意識は自然とその音に縫い止められる。行かなくてはならない。ただそう一つの感情に磔とばかり。
あるいはただ一言、「来い」と。抗い難い重圧を持って命じられたとばかり。
足を止めていた展示物を捨て置き、先の記憶を頼りに鈴を追う。
確かにここだ、と思う場所にあったのは、ギロチンだった。』
周囲に人影はなく、処刑道具、という異様さから、どこか違った空気に満たされている。
横に説明書きがあり、実際の使用風景の写真なども展示されている。
『Bois de Justice(ボワ・ド・ジュスティス)
フランス革命勃発後、「機械的な動作によって」「人道的に」斬首刑を執り行うため考案された処刑器具。
1792年4月25日に当時のフランス議会が処刑道具として認め、以降、斬首刑に広く用いられた。
外科医Antoine Louis(アントワーヌ・ルイ)によって設計。死刑執行人Charles-Henri Sanson(シャルル＝アンリ・サンソン)らの協力を得つつ完成に至った。
本ギロチンは、日本でも出版された「赤いセーターは知っていた」※1で知られる、Christian Ranucci(クリスティアン・ラニュッチ)※2の処刑に用いられたもの。
Ranucci氏の処刑は、フランスにおける死刑廃止運動の起こりにもなっている。
※1原題「Le Pull-over rouge」 Gilles Perrault(ジル・ペロー) 著。1979年映画化
※2フランス人。1976年没』
全員が一回行動した時点でイベント。これの終了と同時に、探索空間へ移動となる。
『「----」
微かに声が聞こえた。
それは徐々に大きく、そして鮮明になり、唄の様相を呈し始める。
「Je veux le sang, sang, sang, et sang」
どこかの誰か、なんて生易しい単位ではない。まるで、ステージの上で全方向から叫びかけられるかのような、大合唱。
「Donnons le sang de guillotine」
唄に気を取られつつも、またもう一つの異変。首筋への違和感に気付く。
丸い穴を穿った木に固定されているとでも言った感触。
否。事実固定されている。その質感、その質量。どれを取っても全く確かな感覚でしかない。
「Pour guerir la secheresse de la guillotine」
そしてまた、実体を伴う幻覚はその意図を理解する。
Bois de Justice。首を刎ねることに特化した刃の、固定具。
悟れば必定、視界に留まるは眼前の処刑具。
「Je veux le sang, sang, sang, et sang」
無機質な殺意が打ち下ろされると同時に、あなたの視界はその背丈分、錐揉みに落下した。』
部屋「centre」
『しん、と静まり返っていたはずが、突如として音を取り戻す。
同時に光と臭いが戻り、ごく僅かに遅れて触覚が帰ってきた。
先に聞いた歌。どこからとも知れないそれを聴きながら、状況を確認する。
ここはどこなのか。ここへどう来たのか。なぜここにいるのか。
そして、ここに来る直前、何があったのか。
なぜ生きている。
首を切られて生きている人間などいない。「人道的に」「機械的な動作によって」「確実に死を与えるための」処刑器具が開発されたほどに。
であれば今の自分は何だ。幽鬼？不死者？呼び方はともかくも。
今の自分が何かしらで外れた存在になっていることは間違いない。少なくとも人間だなどと豪語出来はしない。
では、何だ。
分からない。分からない。理解の届かないところから来る恐怖は、様々に心を穿っていく。
SANc1D3/1D8』
正方形の室内には、四方に一枚ずつの扉。及び天秤がぶら下がっている。また、天秤の下には本が一冊落ちている。
歌は部屋「sud」及び「ouest」から。それぞれ女児、群衆による歌声である。どちらも《聞き耳》で判定可能。
同時に光と臭いが戻り、ごく僅かに遅れて触覚が帰ってきた。
先に聞いた歌。どこからとも知れないそれを聴きながら、状況を確認する。
ここはどこなのか。ここへどう来たのか。なぜここにいるのか。
そして、ここに来る直前、何があったのか。
なぜ生きている。
首を切られて生きている人間などいない。「人道的に」「機械的な動作によって」「確実に死を与えるための」処刑器具が開発されたほどに。
であれば今の自分は何だ。幽鬼？不死者？呼び方はともかくも。
今の自分が何かしらで外れた存在になっていることは間違いない。少なくとも人間だなどと豪語出来はしない。
では、何だ。
分からない。分からない。理解の届かないところから来る恐怖は、様々に心を穿っていく。
SANc1D3/1D8』
正方形の室内には、四方に一枚ずつの扉。及び天秤がぶら下がっている。また、天秤の下には本が一冊落ちている。
歌は部屋「sud」及び「ouest」から。それぞれ女児、群衆による歌声である。どちらも《聞き耳》で判定可能。
天秤
本
部屋「est」
centreと比べて狭い、三つの箱が置かれた部屋。それぞれの上面にプレートが付いている。
元はフランス語で文章が書かれているが、探索者が接近した瞬間、文字は日本語へと変貌する。SANc0/1。
元はフランス語で文章が書かれているが、探索者が接近した瞬間、文字は日本語へと変貌する。SANc0/1。
1
2
3
部屋「ouest」
『その部屋は、床から壁から天井に至るまで、べっとりと赤黒い染みに彩られていた。
聞こえてくるのは、ごく純然とした狂気と、雑然とした昂揚。
現実味のない、壁面に描かれたに過ぎない群衆が、死刑囚の訪れを大合唱で出迎える。
「Je veux le sang, sang, sang, et sang」
悪意は言語を超える。そう誰だかは言う。
今この歌は、意味は分からずとも込められた思いを露わにしていた。
「Donnons le sang de guillotine」
嫌悪。憎悪。親の仇と言わんばかりのそれはまた、こちらの正気すら削るに十分で、絵が歌うという異常性すら超える。
眼前にあるは、一台のギロチン。
「Pour guerir la secheresse de la guillotine」
ボタン一つで確実な死を与えるそれは今、絵空事の群衆に崇められるかのように立っていた。
枷にかけろ首を落とせ。間抜け面に自らの血飛沫を浴びさせろ。
血を欲し、心なしか動き出さんとすらしているギロチンは、そのボタンが然るべき形で押されることを、今か今かと待ち構えている。
「Je veux le sang, sang, sang, et sang」
僅かに錆び、本来の鋭さを失ってなお、その刃は「人道的に」「機械的な動作によって」「確実に死を与える」だけの役を担っていた。
俺は喉が渇いたんだ。早くお前の血を寄越せ。なんて言うように。
SANc1/1D6』
ギロチンが置かれた部屋。広さはcentreと同程度。シナリオ上、自決用地点となる。
床は石畳。天井には空、壁面にはどこかの町の風景が描かれている。
《知識》
【フランスの街並みであろう、と分かる。
CSで、二十から三十年ほど前であろう、と感じる。】
○ギロチン
導入のギロチンと物は同一。こちらの保存状態は悪く、刃に僅かながら錆が見られる。
《目星》
【本体に刻まれた文字を見つける。いくつかの言語で書かれているが、内容は同一。「信用するな！」】
聞こえてくるのは、ごく純然とした狂気と、雑然とした昂揚。
現実味のない、壁面に描かれたに過ぎない群衆が、死刑囚の訪れを大合唱で出迎える。
「Je veux le sang, sang, sang, et sang」
悪意は言語を超える。そう誰だかは言う。
今この歌は、意味は分からずとも込められた思いを露わにしていた。
「Donnons le sang de guillotine」
嫌悪。憎悪。親の仇と言わんばかりのそれはまた、こちらの正気すら削るに十分で、絵が歌うという異常性すら超える。
眼前にあるは、一台のギロチン。
「Pour guerir la secheresse de la guillotine」
ボタン一つで確実な死を与えるそれは今、絵空事の群衆に崇められるかのように立っていた。
枷にかけろ首を落とせ。間抜け面に自らの血飛沫を浴びさせろ。
血を欲し、心なしか動き出さんとすらしているギロチンは、そのボタンが然るべき形で押されることを、今か今かと待ち構えている。
「Je veux le sang, sang, sang, et sang」
僅かに錆び、本来の鋭さを失ってなお、その刃は「人道的に」「機械的な動作によって」「確実に死を与える」だけの役を担っていた。
俺は喉が渇いたんだ。早くお前の血を寄越せ。なんて言うように。
SANc1/1D6』
ギロチンが置かれた部屋。広さはcentreと同程度。シナリオ上、自決用地点となる。
床は石畳。天井には空、壁面にはどこかの町の風景が描かれている。
《知識》
【フランスの街並みであろう、と分かる。
CSで、二十から三十年ほど前であろう、と感じる。】
○ギロチン
導入のギロチンと物は同一。こちらの保存状態は悪く、刃に僅かながら錆が見られる。
《目星》
【本体に刻まれた文字を見つける。いくつかの言語で書かれているが、内容は同一。「信用するな！」】
部屋「sud」
『異様、という言葉が、これほどまでに正しく象られていることがあったろうか。
「Je veux le sang, sang, sang, et sang」
子供が歌う部屋で、数多の拷問器具が雑多に転がっている。
「Donnons le sang de guillotine」
ファラリスの雄牛、鉄の処女、ガロット、審問椅子、ウィッカーマン、カタリナの車輪、炮烙。
指締め機苦悩の梨水攻め椅子棺拷問ガローテ異端者のフォーク拷問棚ハゲタカの娘ストラッパード。
思いつく数を遥かに超えるまでに存在するそれらは、みな等しく赤く、あるいは真っ黒に染め上げられている。
「Pour guerir la secheresse de la guillotine」
この異様が示すは即ち、幾度となく使われたのだというただ一つの事実。
「Je veux le sang, sang, sang, et sang」
詩はともかく、平時ならば可愛げのある歌声。だがそれも、今は異様の一欠片でしかない。
心なしか、その声は笑っているように思えた。
SANc1/1D6』
室内にはマリーがおり、奥の方で歌い続けている。探索空間内の五部屋中、最も広い。
彼女の他は多種の拷問、ないし処刑器具が置かれているのみ。全てに使用痕があり、その回数が一度や二度では決してないと分かるだろう。
マリーは部屋に入った時点では、探索者に背を向ける形で座り、歌っている。声をかける、手を触れるなどすると振り返る。
『赤。
赤。赤。赤。
振り返った彼女は、無数の赤い斑模様に彩られていた。
一際大きい十数個を中心として服には穴が空き、下にあるグロテスクな傷跡を露わにしている。
突き立った短刀は違うことなくその心の臓を貫き、乾ききった血を滴らせていた。
これで死んでいないとは思えない。死んでいないわけがない。死んでいないことなどあってはならない。
だが目の前で、それは確かに動いている。あまつさえ歌を口遊んでおきながら、抗いようのない死を迎えている。
これは死者だ。動いていることでそれを否定し、歌うことで戯言へと昇華させつつも、これは死者でしかない。
否。そうでなければならない。そうでなければ、あなたが築いてきた常識的な世界は刹那的なまでの早さで失われてしまう。
その思い虚しく、それははっきりと口を利いた。
「Qui êtes-vous?」（あなた、誰？）
黙れ、と、精神が警鐘を鳴らす。もはや手遅れでありながら、正気を保とうとする機能。
最後の砦であろうその機能すら、失われかけている。
SANc1D3/1D8』
攻撃を受けた場合、彼女は自身に突き刺さったナイフを引き抜き、そのまま戦闘態勢に移る。こうなった場合ナイフの回収などはほぼ不可能。
ナイフを貸してほしいと言われたなら、彼女は特に何を言うでもなく差し出すだろう。
受け取った場合は彼女が見、感じた光景を追体験することとなる。
『一つ。
二つ。
体に感じる熱が、淡々と、しかし確実に増えていく。
三つ、四つ、五つ。
男、とだけ分かる誰かが腕を振り下ろす度、体の表から裏にいたるまで、ずくり、と熱が埋まっていく。
顔を見る余裕などなく、声を上げる勇気などなく、撥ね退ける力もない。
声にならない悲鳴をただただ上げながら、馬乗りになられたあなたへと、幾度も幾度も狂気が突き立てられる。
殺意では断じてない。
ただ、己が快楽のための狂気だった。
SANc1/1D4』
「Je veux le sang, sang, sang, et sang」
子供が歌う部屋で、数多の拷問器具が雑多に転がっている。
「Donnons le sang de guillotine」
ファラリスの雄牛、鉄の処女、ガロット、審問椅子、ウィッカーマン、カタリナの車輪、炮烙。
指締め機苦悩の梨水攻め椅子棺拷問ガローテ異端者のフォーク拷問棚ハゲタカの娘ストラッパード。
思いつく数を遥かに超えるまでに存在するそれらは、みな等しく赤く、あるいは真っ黒に染め上げられている。
「Pour guerir la secheresse de la guillotine」
この異様が示すは即ち、幾度となく使われたのだというただ一つの事実。
「Je veux le sang, sang, sang, et sang」
詩はともかく、平時ならば可愛げのある歌声。だがそれも、今は異様の一欠片でしかない。
心なしか、その声は笑っているように思えた。
SANc1/1D6』
室内にはマリーがおり、奥の方で歌い続けている。探索空間内の五部屋中、最も広い。
彼女の他は多種の拷問、ないし処刑器具が置かれているのみ。全てに使用痕があり、その回数が一度や二度では決してないと分かるだろう。
マリーは部屋に入った時点では、探索者に背を向ける形で座り、歌っている。声をかける、手を触れるなどすると振り返る。
『赤。
赤。赤。赤。
振り返った彼女は、無数の赤い斑模様に彩られていた。
一際大きい十数個を中心として服には穴が空き、下にあるグロテスクな傷跡を露わにしている。
突き立った短刀は違うことなくその心の臓を貫き、乾ききった血を滴らせていた。
これで死んでいないとは思えない。死んでいないわけがない。死んでいないことなどあってはならない。
だが目の前で、それは確かに動いている。あまつさえ歌を口遊んでおきながら、抗いようのない死を迎えている。
これは死者だ。動いていることでそれを否定し、歌うことで戯言へと昇華させつつも、これは死者でしかない。
否。そうでなければならない。そうでなければ、あなたが築いてきた常識的な世界は刹那的なまでの早さで失われてしまう。
その思い虚しく、それははっきりと口を利いた。
「Qui êtes-vous?」（あなた、誰？）
黙れ、と、精神が警鐘を鳴らす。もはや手遅れでありながら、正気を保とうとする機能。
最後の砦であろうその機能すら、失われかけている。
SANc1D3/1D8』
攻撃を受けた場合、彼女は自身に突き刺さったナイフを引き抜き、そのまま戦闘態勢に移る。こうなった場合ナイフの回収などはほぼ不可能。
ナイフを貸してほしいと言われたなら、彼女は特に何を言うでもなく差し出すだろう。
受け取った場合は彼女が見、感じた光景を追体験することとなる。
『一つ。
二つ。
体に感じる熱が、淡々と、しかし確実に増えていく。
三つ、四つ、五つ。
男、とだけ分かる誰かが腕を振り下ろす度、体の表から裏にいたるまで、ずくり、と熱が埋まっていく。
顔を見る余裕などなく、声を上げる勇気などなく、撥ね退ける力もない。
声にならない悲鳴をただただ上げながら、馬乗りになられたあなたへと、幾度も幾度も狂気が突き立てられる。
殺意では断じてない。
ただ、己が快楽のための狂気だった。
SANc1/1D4』
部屋「nord」
centreより少々狭い、裸電球に照らされた正方形の部屋。扉のない壁三面に、石柱と台座が一つずつ置かれている。
石柱
台座
END
True End:Réhabilitez- moi.--私の名誉回復を--(Pulse)
Normal End:少しばかりの矛盾を(Legacy)
Bad Endα:Je me souviens. Pas plus échapper.--覚えているわ。もう逃がさない--(L4_Latent)
Bad Endβ:リトライ。ただし永遠に(Anticipation)
Bad Endγ:然るに生まれ出ずるもの
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