1-178 ある愛の詩

「ずっと一緒…俺達はずっと一緒だよ…」
そう言ってから何年経ったのか…。
幼い頃から将来を誓い合った二人…血の繋がらない、たった二人の姉弟、家族、そして恋人。
その誓いが現実になって今、二人は愛し合っている。
だけど…今は。

「っ……ぁっ…しゅ…うちゃん…っ!」
椅子の上で、由慧(ゆえ)は自慰に耽っていた。
スカートの中の、パンツに手を突っ込んで自分の敏感な所を掻き回している。同時にセーターの上から、かなり大きめな胸を揉み、ブラ越しに勃起した乳首の感触を感じていた。
彼に弄られ、攻められている自分を妄想しながら、気持ち良い箇所を触っている。
だが現実の彼は、ここ暫くそうして苛めてくれなかった。
「ぁぁっ!…ん…しゅう…ちゃぁん…イク…んっ!!」
身体を反らし、細かい痙攣をしながら由慧は独り、虚しい絶頂を迎えた。
息を荒げ、机の上に突っ伏す。
執筆中の小説が、パソコンの画面に取り残されている。締め切りまでまだ時間はあるが、書く気が起きない。
絶頂後の気だるさ、虚しい解放感を感じて、由慧はとても寂しかった。自分の中に彼の、愁(しゅう)の感触が無かったからだ。
「愁ちゃん…」
机に突っ伏したまま、由慧は悲しげに呟いた。
かれこれ一週間、自分は愁に抱かれていない。
同棲しているのに、一週間何もされないのは由慧にとって、とても寂しい事だった。嫌われてしまったのか、それとも年上の自分に飽きてしまって、同年代と浮気しているのか…とても不安だった。

不安を振り払う様に首を振る。愁に限って浮気は無い、それだけは確信出来た。
この状況をどう変えるべきか…由慧は少々考え、そして閃いた。
今日辺り、おねだりしてみようかな…と。
そう由慧は思うと、ティッシュに手を伸ばした。

「何でかなぁ…」
シャワーを浴びながら、愁(しゅう)は呟く。
確かに、恋人同士…しかも同棲している身でありながら、学業やらバイトやらにかまけて、一週間も彼女とセックスレスであれば、彼女の欲求不満もクライマックスになるのは分かる。
「だからって、一晩中は無いよ…ねぇ」
溜め息混じりに独り言を言い、シャワーの栓を閉める。
久々の休み、彼女のおねだりを受け入れた結果が、「一晩中しよ♪」だった…。
お互い、日頃から行為には積極的(特に由慧は)だったが、ここまでハードなおねだりは初めてだった。
「ふぅ…」
深呼吸しながら、愁は思考を巡らす。
無論、由慧としたくない訳ではない。
むしろ一晩中というのは、十代の愁にとって、かなり嬉しいおねだりだった。
一週間ぶりのせいで溜まっていたのもあるし、由慧のエッチな声やら顔やら身体やらを、思う存分滅茶苦茶にしたいというサディスティックな願望もある。
彼女の趣味の一つ、コスプレも楽しみだった(メイドさんとか看護婦さんとか巫女さんとか裸エプロンとかetc)。
だが、不安が頭の中を渦巻く…。
が、愁は思考を中断、風呂場を出て下着とパジャマを纏うと、部屋で待ってる由慧の下へ向かった。

「お待たせ…」
「ううん、待ってないよ」
自分とお揃いの、チェック模様のパジャマ姿でベッドに腰掛けていた由慧に、愁は笑いかける。
由慧もそれに答えて笑ってくれた。愁はその笑顔が堪らなく愛おしく、何で一週間もほったらかしていたのかと、自分を責めた。
「由慧、ごめんなさい」
ベッドに腰掛けると、由慧に謝る。
「ううん、いいの。でも愁ちゃん、分かってるよ…ね」
愁の頭を撫でながら、優しく愁に言う。
「うん。今日は…寝かせてあげないから、良いよね?」
「うん…覚悟完了♪」
嬉しそうにそう言うと、由慧は愁に抱きつき、キスの嵐を巻き起こす。
「ん…愁ちゃん…ん…ちゅっ」
愁を押し倒し、由慧はキスを続けながら、愁の身体を撫でる。いきなり、パンツの中でくすぶる愁の分身に由慧は手を入れ、優しく触る。
「ん…由慧…俺が、するよ…」
いきなり自分のを触られ、何とかイニシアチブを執ろうと愁が意見する、が…。
「やだ。今日は私が愁ちゃんを好きにするの」
由慧は愁の意見をきっぱりと却下、硬くなり始めた愁の分身を撫で、パンツごとズボンをずらす。

「あ…こら」
「えへ、久しぶりの愁ちゃんのおちんちん…んっ」
顔を愁の分身の前に持っていき、一心不乱にしゃぶり付く。
「あっ…ダメ…っ!」
情けない声で愁は由慧に抗議するが、由慧は黙殺して口一杯に愁を含み、顔を上下させながら舌で先端を舐める。
「んっ…愁ちゃん、気持ち…良い?」
勃ちきったものを舐めながら、愁に笑いかける。
「凄い、気持ち良いけど…ダメ…もう出ちゃうよ…」
久しぶりの、しかも自分の弱い所のみを攻められるフェラのせいで、愁はもう限界だった。
「出して…愁ちゃんのせーえき頂戴♪」
あどけない声と表情で由慧が思い切り吸い上げる。
もう出してしまえ、由慧の顔にぶちまけてしまえという、本能の呼び声に愁は忠実に従う事にし、考えるのを止め…そして果てた。
「んんっ…うっ、んぐっ……はぁ、愁ちゃんの味だ♪美味し」
愁が吐き出した精液を、殆ど口の中で受け止めて飲み込み、由慧は笑顔で感想を述べた。
「はぁ……はぁ…ありがと、由慧。ごめんね…汚しちゃって」
愁は荒い息づかいのまま、由慧の頭を優しく撫でる。

「大丈夫、好きだもん……ねぇ、愁ちゃん。私、早く欲しいよぉ…」
愁に撫でられて満面の笑みを浮かべるが、すぐさま物欲しげで淫靡な顔を彼女は見せた。
愁はそんな表情の由慧を見つめ、先程のサディスティックな願望が、自分の中でムクムクと肥大化するのを感じる。
「もう俺が欲しいの?さっきまでしゃぶって、美味しそうに精液飲んでたのに?」
まただ。愁は自分で言った事を少し後悔した。あんな顔をされると、ついつい由慧に意地悪をしてしまう。
そんな愁の意地悪は、由慧にとって最高の愛情表現だと思えた。
もっと意地悪して、もっと愛して…そうしたマゾヒスティックな感情が由慧を支配した。
「愁ちゃぁん…お願い、私を…朝まで…犯して」
由慧はとても切ない声をあげる。
これで、主導権は完全に愁に渡った。

「あっ…ヤダぁ…あっ!」
愁にパジャマのボタンを外され、露わになった胸を優しく揉まれて、由慧は今更ながら恥ずかしがる。
「おっぱい、ちょっと大きくなった?」
かなりのボリュームの由慧の胸を、右手で痛くない様に優しく揉み、愁は由慧の耳元で問い掛ける。
「はぁ…っ、だって…愁ちゃんが…ん…構って…くれないから…んっ」
「独りでしちゃった?」
恥じらいと愛撫の快感で、口ごもりながら答える由慧に、愁はまた意地悪な問いを投げる。
そんな意地悪しながらも、頂点の薄紅色の乳首を軽く摘む。
「んんっ!…う…あんっ!」
一際弱い部位を摘まれ、由慧は質問の答えを言えずに喘ぐ。
その喘ぎ声を聞いて、我慢出来ずに愁は乳首に吸い付いた。
「あぁぁぁんっ!!しゅうちゃぁんっ…気持ちいよぉ…あんっ!」
赤ん坊の様に乳首を吸い、舐めては歯を立てる愁の攻めに由慧は更に甘く喘ぐ。愛撫される度に、秘所からは洪水の様に愛液が溢れ、パジャマにまで染みが浮いている。
愁はその染みに触れ、指先の愛液を舐めた。
「由慧…」
「お願い…しゅうちゃんのおちんちん…ゆえの…ゆえの中に入れて。いっぱい掻き回して、ゆえをしゅうちゃんでいっぱいにして…!」

「よく言えました…ちょっと焦らし過ぎたかな?」
由慧に微笑みかけ、頭を撫でる。
「しゅうちゃんのいじわる…だけど、だーい好きぃ」
撫でる愁の手を掴み、由慧は愛おしそうに頬ずる。
「俺も大好きだよ…由慧」
フニャフニャになって甘える由慧の、ズボンをパンツごと脱がし、濡れきって飽和状態になった秘所を見る。
薄い陰毛の下で、割れ目がヒクヒクと揺れ、止めどなく愛液が溢れている。クリも充血して完全に勃起していた。
とにかく、淫らで綺麗だった。
「ハズカシいよぉ…早く来て、しゅうちゃん…」
恥ずかしそうに顔を赤く染め、由慧は愁を見つめる。
「いくよ…由慧」
手と手を握りしめ、由慧の上に覆い被さる。一週間ぶりに、愁が由慧の中にゆっくりと侵入していく。
元からそこにあった様に、ピッタリと当てはまる感覚…。そのすぐ後、繋がって生じた凄まじい程の快感が二人を満たした。

「あぁぁぁっ!…しゅうちゃん…はいって…きたぁ…!!…おっきいの…っ!」
「由慧…そんなに…すぐ出ちゃうよ!」
挿入を果たしたまま、暫く二人はただ抱き合っていた。
一方は、締め付けが強すぎて暴発しそうだった為。もう一方は、久方ぶりの大きさと一体感を感じて既に軽くイッてしまった為だ。
一瞬にして永遠、だが最高に満たされた静寂が二人に訪れた。
「はぁ…ねぇ、しゅうちゃぁん…」
由慧が甘ったるい可愛い声で囁き、静寂を断つ。
「ん、なぁに?」
「ギュッてして…」
「良いよ」
一つに繋がったまま、愁は由慧を抱き締めた。
お互いの体温や身体、吐息や心拍数を先程以上にダイレクトに感じる。
由慧の、華奢な体格に似合わない大きな胸の柔らかさや、愁の細身だが逞しい身体つきを、お互いに抱き締め合って感じていた。
「しゅうちゃん…あたし今、凄いしあわせだよ…」
愁の顔に頬ずりして、甘えた声を出す。「俺もだよ…由慧と一緒で、凄い幸せ…」
由慧の甘えた声に答え、力強く抱きしめ返す。
「嬉しい…しゅうちゃん………犯して」
由慧の言葉を合図に、愁は腰を動かし始めた。

「あっ、ああっ…あんっ、ふぁっ、しゅう…んんっ、ちゃん…!」
段々と激しくなるピストンを受け止めながら、由慧は一層喘ぎ声を高める。
「由慧…っ!ゆえ…ぁっ!」
愁は激しい突き上げを繰り返しながら、由慧の胸に吸い付く。
「いやっ…!ああっ…しゅうちゃん…いっちゃ…あうっ!いっちゃう…よぉぉっ!」
「俺も…もう、いきそう…ゆえ…一緒に」
久々の最愛の人との交わり、お互いの感触を最大限に感じ合ったセックスに、二人とももう限界だった。
「ああっ…いいよぉ…きてぇ…いっぱい出してぇぇっ!しゅうちゃぁぁんっ!!」
由慧の中が、愁の全てを搾り取ろうとするかの様にキツく締め上げる。
「ゆえ…っ!!」
その締め上げに耐えかねて、愁は引き抜こうとする。が、由慧は足を組んで愁の腰を思い切り密着させた。
「あ…っ!」
余りの締め上げに愁は、由慧の中に自分の精を奥まで吐き出す。
やってしまった…。愁は由慧の奥にたっぷりと中出ししながら、自分の不甲斐なさを後悔した。

先程、愁が感じた不安はこれだ。
由慧は常日頃から、生での行為が好きで、避妊具を着けるのを拒んでいた。
彼女曰わく、『ゴムの感触は嫌いだし、愁ちゃんの感触とか体温を直に感じられるから、好き』だそうで。
こんな状況で中出し…妊娠したらどうするべきか。
そんな事を絶頂後の気だるさ中で、愁は考えていた。
「はぁ…しゅうちゃんの…あたしの中に、いっぱい…」
自分の上に倒れ込んできた、愁の重さを心地良く感じながら、満足げに呟いた。
「ズルいよ由慧。赤ちゃん…出来ちゃうだろ…」
微笑む由慧の顔を撫でながら、諭すように囁く。
「欲しいな…あたしと、しゅうちゃんの…赤ちゃん」
「嬉しいけど、俺…まだ高校生だよ?」
まるで母親の様な表情の由慧に、愁は不安そうに言った。
「大丈夫、どうにかなるよ。しゅうちゃんと一緒なら…大丈夫。それに、家族は多い方が楽しいもん…」
その一言は酷く不確定ながらも、確固たる信念に裏打ちされ、愁にはとても頼もしく聞こえた。
「由慧…ありがと。絶対幸せにするから」
「ありがとう、愁ちゃん…それじゃ」
幸せを感じながら、由慧は急に抱き付き、愁を押し倒して騎乗位の体勢になる。

「うわっ…由慧?」
「もっと…しよ。一晩中エッチして…私を愁ちゃんでいっぱいにして…」
いきなりの展開に驚く愁に、由慧は笑顔と甘えた声でねだる。そんな声や表情に、愁はまた欲情する。
「泣いても知らないよ…由慧」
愁は、サディスティックな笑みを浮かべ、また彼女を蹂躙し始めた。

約6時間後…。
ベッドの上で、由慧と愁は抱き合っていた。
流石に一晩中…とか行かなかったが、最終的には10回近く身体を重ねる結果となった。
ベッドの周りには、脱ぎ捨てたパジャマやコスチュームや道具が散乱し、行為の激しさを物語っている。
『ちょっと激し過ぎたかな…』
満足感と脱力感で満たされ、微睡みながら由慧は思った。
彼女をそんな風にした最愛の人は、彼女の胸の中で赤ん坊みたいに乳首を吸いながら、静かに眠っている。
流石に疲れたのだろう。愁は精一杯、愛してくれていたのだから。
そんな愁をたまらなく愛おしそうに、由慧は頭を撫でた。
自分の全てを満たしてくれた、年下の男の子への愛情と感謝が、止めどなく溢れていた。
「いつかは、パパとママになっちゃうけど…それまでは、いっぱい甘えさせてね…愁ちゃん」
愁を抱き締めながら、幸せそうに呟き、由慧は目を閉じた。

二人がパパとママになるのは…まだ少し先の話。
(了)
2008年07月20日(日) 12:46:09 Modified by amae_girl




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