1-483 エロ無し雪(?)ネタ
「おにいちゃん♪」
目の前にいる幼馴染、里崎絵里の口から飛び出した、毎度の事ながら
脈絡の無いその一言に対して、一体どう反応していいかわからず、とりあえず俺は
聞こえなかった振りをする事にした。
はぁー、今日もいい天気だなぁ。空から白いものが降って来てるけどなー。
「おにいちゃんっ♪」
ええい、だから毎度毎度くっつくな! だいたいなんだその『おにいちゃん』ってのは。
「え? だって、男の人ってちっちゃい女の子からこう呼ばれるとうれしいんでしょ?」
……絵里。お前は一体どこでそういう知識を仕入れてくるんだ?
「えへへ、ナイショだよー」
とりあえず一旦離れろ。また肩固め決める気かこの本田多聞め。
「わかったよ、おにいちゃん♪」
何故か今日に限って絵里は素直だった。素直に抱きついていた俺から離れ、
ちょこんと可愛らしく床に座った。
見れば、絵里は……完全武装だ。手袋に、ニット帽に、コートも着込んでいる。
だいたいコイツが何を企んでいるかはわかった……わかったが……。
とりあえずだな、絵里……おにいちゃんはやめてくれ。何か調子狂うし。
「えー」
えーじゃない。
「でもー」
でももストもない。
「でももストもない?」
……聞き流せ。
「ちぇー。カッちゃんよろこんでくれると思ったのになぁー」
まあ、普通はおにいちゃんで合ってるんだろうけどな。
「じゃあ、いいじゃないのさー」
もう何年『カッちゃん』って呼ばれてると思ってるんだ。俺が物心ついたお前に
自己紹介した瞬間からだぞ?
「そだった?」
……まあ、覚えてないよな。まあいいさ。で、今日は何だ?
「見てわかるでしょー?」
まあな。雪合戦でもしたいんだろ?
「ううん、そーなんごっこ」
……遭難ごっこ?
「カッちゃんと私でそーなんするの」
……ちょっと待て。
「そしてそーなんした私たちは、たがいをたがいの体温であたためあって……」
待てというにっ! 何故にそんなハードコアかつエロスな展開を望むっ!?
というかどうやって遭難するつもりだっ!
「やまいは気からだってお母さんも言ってたし、その気になれば!」
……病気なのかおい。
「うんっ、私恋のやまいにかかってるからねっ」
……俺もコイツも、違う意味で病気だな、ホントに。
はぁ……まったく……ガンバレ俺えーんど俺の理性。
……ふぅ。
……とりあえず、アレだ、んな事してホントに風邪ひいたらどうする?
「カッちゃんにかんびょーしてもらうー」
その時は俺もひいてる可能性高いんですけど。
「そこは愛の力でがんばって♪」
可愛く酷い事言うなおい。
とにかく、そんな病気になりそうな事はしません。させません。
「えー。一人でそーなんしたらバカみたいじゃないのさー」
する気かい。
「シナリオをカッちゃんが助けに来てくれるバージョンに変更したら大丈夫かな?」
準備万端かい。
「えへへ、ほめないでよー」
褒めてないっ! ……とにかく、普通に雪遊びしたりとか、それで勘弁してくれ。
「えー。普通の雪遊びはつまらないからきゃっか」
なんでやねんっ! ……じゃあ、すごろくでもするか?
「うん、するする!」
言うが早いか、絵里はサイコロを握っている。はやっ。
「じゃあ私から振るねー」
そんなこんなで、この日一日は、窓の外の雪を眺めながら、二人で穏当に
すごろくをして終わることになりそうだった。
ちょっとだけ雪で遊びたかったりもしたんだが……まあ、寒いからいっか。
「はいあがりー」
ってだから早いよおい!
「じゃあ、もう一回♪」
……まったく、しっかり楽しんでるし。
俺は笑顔の絵里を見て、釣られて笑っている自分に気がついた。
普段から、こういう風に普通にかわ……ゴホン……歳相応であってくれればいいんだけどな。
後日――
「この前やったすごろくイマイチだったから、作ってきたよー♪」
絵里が『俺との人生設計すごろく』とやらを作って来たりしたが、それはまた別の話である。
婚約やら結婚やら子作りやらがえらく生々しくリアリティがあったのも、また別の話である。
頼むから別の話にさせてぷりーず。
目の前にいる幼馴染、里崎絵里の口から飛び出した、毎度の事ながら
脈絡の無いその一言に対して、一体どう反応していいかわからず、とりあえず俺は
聞こえなかった振りをする事にした。
はぁー、今日もいい天気だなぁ。空から白いものが降って来てるけどなー。
「おにいちゃんっ♪」
ええい、だから毎度毎度くっつくな! だいたいなんだその『おにいちゃん』ってのは。
「え? だって、男の人ってちっちゃい女の子からこう呼ばれるとうれしいんでしょ?」
……絵里。お前は一体どこでそういう知識を仕入れてくるんだ?
「えへへ、ナイショだよー」
とりあえず一旦離れろ。また肩固め決める気かこの本田多聞め。
「わかったよ、おにいちゃん♪」
何故か今日に限って絵里は素直だった。素直に抱きついていた俺から離れ、
ちょこんと可愛らしく床に座った。
見れば、絵里は……完全武装だ。手袋に、ニット帽に、コートも着込んでいる。
だいたいコイツが何を企んでいるかはわかった……わかったが……。
とりあえずだな、絵里……おにいちゃんはやめてくれ。何か調子狂うし。
「えー」
えーじゃない。
「でもー」
でももストもない。
「でももストもない?」
……聞き流せ。
「ちぇー。カッちゃんよろこんでくれると思ったのになぁー」
まあ、普通はおにいちゃんで合ってるんだろうけどな。
「じゃあ、いいじゃないのさー」
もう何年『カッちゃん』って呼ばれてると思ってるんだ。俺が物心ついたお前に
自己紹介した瞬間からだぞ?
「そだった?」
……まあ、覚えてないよな。まあいいさ。で、今日は何だ?
「見てわかるでしょー?」
まあな。雪合戦でもしたいんだろ?
「ううん、そーなんごっこ」
……遭難ごっこ?
「カッちゃんと私でそーなんするの」
……ちょっと待て。
「そしてそーなんした私たちは、たがいをたがいの体温であたためあって……」
待てというにっ! 何故にそんなハードコアかつエロスな展開を望むっ!?
というかどうやって遭難するつもりだっ!
「やまいは気からだってお母さんも言ってたし、その気になれば!」
……病気なのかおい。
「うんっ、私恋のやまいにかかってるからねっ」
……俺もコイツも、違う意味で病気だな、ホントに。
はぁ……まったく……ガンバレ俺えーんど俺の理性。
……ふぅ。
……とりあえず、アレだ、んな事してホントに風邪ひいたらどうする?
「カッちゃんにかんびょーしてもらうー」
その時は俺もひいてる可能性高いんですけど。
「そこは愛の力でがんばって♪」
可愛く酷い事言うなおい。
とにかく、そんな病気になりそうな事はしません。させません。
「えー。一人でそーなんしたらバカみたいじゃないのさー」
する気かい。
「シナリオをカッちゃんが助けに来てくれるバージョンに変更したら大丈夫かな?」
準備万端かい。
「えへへ、ほめないでよー」
褒めてないっ! ……とにかく、普通に雪遊びしたりとか、それで勘弁してくれ。
「えー。普通の雪遊びはつまらないからきゃっか」
なんでやねんっ! ……じゃあ、すごろくでもするか?
「うん、するする!」
言うが早いか、絵里はサイコロを握っている。はやっ。
「じゃあ私から振るねー」
そんなこんなで、この日一日は、窓の外の雪を眺めながら、二人で穏当に
すごろくをして終わることになりそうだった。
ちょっとだけ雪で遊びたかったりもしたんだが……まあ、寒いからいっか。
「はいあがりー」
ってだから早いよおい!
「じゃあ、もう一回♪」
……まったく、しっかり楽しんでるし。
俺は笑顔の絵里を見て、釣られて笑っている自分に気がついた。
普段から、こういう風に普通にかわ……ゴホン……歳相応であってくれればいいんだけどな。
後日――
「この前やったすごろくイマイチだったから、作ってきたよー♪」
絵里が『俺との人生設計すごろく』とやらを作って来たりしたが、それはまた別の話である。
婚約やら結婚やら子作りやらがえらく生々しくリアリティがあったのも、また別の話である。
頼むから別の話にさせてぷりーず。
2008年07月20日(日) 13:09:56 Modified by amae_girl