3-264 甘えたいけど甘えられない子が甘えるっていうss
甘えたいけど甘えられない子が甘えるっていうss(エロなし)
………………………
ゆっくり目を開くと、目の前で伏せられた睫毛が震えていた。こんなにもまじまじと顔を見ることは初めてかもしれない。しかも至近距離だ。
「ん、ふはぁ…んむ」
苦し気なくぐもった声が聞こえたので、ちゅ、と一度軽く触れてから離れる。しかしすぐに薄く濡れた唇が惜しむようについばんできて、それだけでオレは昇天しそうなほどの興奮を覚える。
「も、もうやめましょう…になさん」
自業自得でありながら、あまりの恥ずかしさに耐えられなくなったオレは訴えた。すると彼女は悲しそうに眉が下げ、大きな瞳に涙さえ浮かべて。
「っ…やだぁ」
オレの服を掴んでわがままを言う子どもの仕草でいやいやするだけだった。
「だめ、もっとちゅーして…」
涙で潤んだ瞳でねだる。しかし背中を掴む手がかすかに震えている。
まいった。オレ今日死んじゃうかも。
………………………
ことの始まりは不思議なキャンディだった。
オレは彼女にずっと片思いをしていたのだが、我慢できずに告白した。最初は断られてしまったものの。オレの猛アタックで付き合い始めて2週間。恥ずかしがり屋な彼女を口説き落としてようやくここまでこぎつけた。
『あのっ…手、繋ぎませんか!?』
『え…っ!あぅ、…ごめん、ここ、通学路だし…誰かに見られちゃうかも…だから』
『そ、そーですよね!ごめんなさい!』
こんな感じで心に傷を負いながらも、(誤解しないでくれ。彼女は極度の恥ずかしがり屋で、俺はそんなところも含めて大好きなのである。)付き合う→一緒に帰る→手を繋ぐ→キスという風にステップアップしていったのだ。
そんなある日一緒に帰ってるところをたまたま目撃されてしまったのだ。寄りによってあいつに!
「可愛い子じゃん。頑張ったなぁ隼人」
「う、うるせーよ!バカ兄貴!」
だから嫌だったんだ!応援してくれるんだろうけど、恥ずかしいったらない!
「あ、これやるよ」
にやにやと渡されたものだった。詳細は知らないが兄貴はあやしい店でバイトをしている。どうもその店の商品みたいだ。
「これも忘れずに、な」
箱を投げられた。それはベッドに着地した。
「アメ?んだ、まだなんか投げ……!?!?」
ベッドの上に鎮座している物体。ばっちりしっかりコンドームだった。
「ば、バカヤロー!!!」
もしかしたら…いやいや、んなわけねーよなと思いつつ、わずかな期待を胸に。一応だな…。そっとポケットに忍ばせたのだった。
…………………
それから3日経ったのが今日だ。
テスト前と言うことで勉強会をすることになったのだが、まったく進まない。になさんがオレの部屋にいることが不思議で仕方なく、そわそわ落ち着かないのだ。彼女には集中しているから気づかれないようで…。
それをいいことにちらちらと観察してみる。
(手ちっちゃくて可愛い…今日は繋げなかったな、…)(あ、悩むと唇尖らせてる…癖なのかな…やべ、ちゅーしたい…!)(…細せーよな、甘いの好きっていってたけどちゃんと食ってるのかな…あ、そー言えば)
ポケットから入れっぱなしだった飴を取り出した。それをぼーっと見つめる。
(…やっぱそーいう系の道具なんだろうか、これ)
「隼人くん…?」
「はっはい?!?!」
急に呼ばれてドキドキしてしまった。
「勉強、しないの?眠いの?…飴、気になるの?」
「あ…えっと、これ、兄貴がになさんにって!」
とっさに出た言葉に自分で驚いてしまう。何を言っているんだオレは!になさんに危険なものを食わせるなんて!
「え…いいの?ありがとう!」
ぱあっと顔が明るくなる、甘いものが大好きなのだ。素直に感情を表すところが好きだ。
兄貴グッジョーーブ!!!!
(になさんが笑ってくれた!)
オレは内心でガッツポーズをとる。
最近ではふたりきりになることに馴れてくれたのかよく笑うようになったのだが、今まではほとんど喋らなかったり、黙り込んだりしていたから。すげー嬉しい。(オレの方はと言うとべた惚れで未だに敬語を使ってしまうのがよくないのだが。)
「いただきます」
「は!はい」
袋から取り出しただけで甘いにおいが部屋に広がった。
「ん、いちごあじらぁ」
口の中で転がしながら舌っ足らずに話す…可愛いいぃぃ!鼻の下は伸びっぱなしだ。
「おいしいですか?」
「ん、!……?」
呼び掛けにオレを見上げると、頬を染め上げふにゃりとしか表現出来ないような柔らかな笑みを浮かべた。
そして、急に…
「隼人くぅんっ」
「うわあっ!?」
いきなり抱きついて来たのだ!焦るオレを余所にすりすりと体を寄せて、目を細める。
…………………………
「にっ、になさん!?」
「ン、隼人くんの匂い…だいすき」
すんすんと子犬のように匂いを嗅がれる。暫し固まったままでいたオレだが、『体育でバスケをしたので汗をかいた』ということを思い出し、カァ、と頬に熱が溜まる。
「だ、だめです!汗臭いですから!」
「ううん、汗と、隼人くんの匂い…どきどきする…」
なんてこと言うんだ!人一倍恥ずかしがりなになさんが!
「だいすき、好きぃ…」
「うぅ…」
ぎゅうぎゅうだきついていたが片手を離すと、オレの手をとって指を絡められた。
「…?」
「今日ね、手。繋げなかったから…寂しかった。わたしね、ずっと…ぎゅーってしてほしかったんだよ、」
「すいません…」
そんな風に考えていただなんて全然気付かなかった。反省する。
「キスだって、まだ二回しか…してない」
人差し指で唇をふにと押される。直に指の感触。
「隼人くんの唇、やわらかくて…あっつくて、…気持ちいぃ」
オレとのキスを思い出しているのかどこか遠い目をしている。目はとろんとして、息は少し荒くて、唇は赤く色づいて…非常に…うん。
「…もーガマン出来ないよぉ」
目の前にになさんの顔が広がった瞬間、柔らかい唇が押し当てられた。
……………………
で、冒頭に戻るわけなのだ。
(になさんから!き。キス…!)
「ん、ンん…」
拙いけど一生懸命してくれる。きっと知識なんてないからただ唇をすり合わせているだけなんだろうけど、その感じがすごく嬉しくてオレを高める。
不安だったんだ。仕方なく付き合ってくれてるんじゃないかとか、無理してるんじゃないかとか。だからしつこく誘うことも出来ず、反省しきりだった。
でもやっとわかった。
(ああ…になさん、オレのことすげー好きなんだ)
それがくちづけからきちんと伝わってくる。嬉しくて、照れくさくて、胸の奥の方がじんわりとあたたかくなる。
「んん…ちゅ、」
だけどそろそろやばくなってきた。何がって、ほら…下半身が。
膝がもう少しでオレのたっちゃってるアレを擦りそうだったので離れようとすると、
「離しちゃ、やだぁ…」
だもん。
可愛いになさんを前にして、今まで耐えてきた我慢強いオレでも、プッツンきちゃうんだな。
「オレだってずっと…っ!」
「ひぁっ」
いつだって抱きしめて、いっぱいキスして…ずっと考えていた。
ただ嫌がらせたくなかったんだ。好きだから。優しいオレでいて、我慢していれば傷つけたりしないって思ってた。
だけど、いいんだよね?
首だとか耳だととか、今までキスしたことない部分に乱暴に口づけて、舐める。
「はぁ、ん…やら、くすぐったいっ」
「になさんの匂い…オレも嗅ぎたいです」
になさんからはいつも香水かシャンプーかわからないが甘ったるい匂いがする。オレはその匂いが好きだ。
耳の付け根や髪の生え際に鼻をこすりつけ、本能のままに思いっきり吸い込んだ。
「…ハァ、まじたまんね…」
「アァっ!」
思わず漏れた声にになさんの体は大げさなほど震えた。
首、弱いんだ。
「ここ、くすぐったい…?」
ツ、と指でたどりながら囁けば腕の中でまたビクビク波打つ。
「あ、いじわるしちゃや…んンっ」
ぴくんぴくんと反応しながらも離れようとはせず、力の抜けた指で必死にすがりついてくる。
あれ、なんだかいけそうな気がする。
少し暴れて剥き出しになった太ももに手を伸ばした。
「やっ…やだぁ、だめだよぉ…」
「どうして?」
そう問えば、困った顔をしてますます瞳が潤んだ。
「恥ずかしいもん…む、胸…ないし……がっかりして…嫌われちゃうんじゃないかって、わたし、」
「そんな!嫌いになんかなりません」
「ほんとに?」
「当たり前です!」
思わず力説してしまう。すると、泣き出しそうだったになさんがふわりとほほえむ。
「はやとくん、だいすき…」
うああああ!!!
「お、オレも、オレもだいすきです!」
「うん、…じゃあ、えっち…しよ…?」
最後の最後にすげー爆弾を落とされ、オレは意識を飛ばしかける。だが踏ん張って、ボタンを外そうとした手を止めて、おでこをくっつけた。
「その前に、もう一回キスしましょ…」
「ぅん…」
顔を上げて、ゆっくり目を閉じる。あ、この顔ほんっと可愛い…。そう思いながらあと数センチのところまで来た。ら。
になさんの瞳がぱっちり開いた。
「…へ?」
しばし見つめ合う。ああ、目あけたままディープっていうのもやらしくていいかも…なんて考えて、唇を近づけ…。
「いやあああああーーーっっっ!?!?」
数秒後、オレは右頬に平手打ちを喰らう。すげえ、さすがになさん。いい腕持ってるぜ☆
………
効果が切れたようで。やっぱりさっきまでのになさんの様子は、アルコールの入った飴の所為だったようで。母さん、僕の頬は、じんじんと熱いようで…。
でも、まあ。こんなことでめげるオレじゃないのだ!
「あ…あの、ごめんね…!痛い…?」
「へーきです!になさんからのキスを思い出せば回復できました!」
「ひいぃっ」
「ほんっとーに可愛かったです!遠慮せずいつでも甘えてくださ」
「いやあーっ!!恥ずかしいから忘れてーっ!」
おわり
………………………
ゆっくり目を開くと、目の前で伏せられた睫毛が震えていた。こんなにもまじまじと顔を見ることは初めてかもしれない。しかも至近距離だ。
「ん、ふはぁ…んむ」
苦し気なくぐもった声が聞こえたので、ちゅ、と一度軽く触れてから離れる。しかしすぐに薄く濡れた唇が惜しむようについばんできて、それだけでオレは昇天しそうなほどの興奮を覚える。
「も、もうやめましょう…になさん」
自業自得でありながら、あまりの恥ずかしさに耐えられなくなったオレは訴えた。すると彼女は悲しそうに眉が下げ、大きな瞳に涙さえ浮かべて。
「っ…やだぁ」
オレの服を掴んでわがままを言う子どもの仕草でいやいやするだけだった。
「だめ、もっとちゅーして…」
涙で潤んだ瞳でねだる。しかし背中を掴む手がかすかに震えている。
まいった。オレ今日死んじゃうかも。
………………………
ことの始まりは不思議なキャンディだった。
オレは彼女にずっと片思いをしていたのだが、我慢できずに告白した。最初は断られてしまったものの。オレの猛アタックで付き合い始めて2週間。恥ずかしがり屋な彼女を口説き落としてようやくここまでこぎつけた。
『あのっ…手、繋ぎませんか!?』
『え…っ!あぅ、…ごめん、ここ、通学路だし…誰かに見られちゃうかも…だから』
『そ、そーですよね!ごめんなさい!』
こんな感じで心に傷を負いながらも、(誤解しないでくれ。彼女は極度の恥ずかしがり屋で、俺はそんなところも含めて大好きなのである。)付き合う→一緒に帰る→手を繋ぐ→キスという風にステップアップしていったのだ。
そんなある日一緒に帰ってるところをたまたま目撃されてしまったのだ。寄りによってあいつに!
「可愛い子じゃん。頑張ったなぁ隼人」
「う、うるせーよ!バカ兄貴!」
だから嫌だったんだ!応援してくれるんだろうけど、恥ずかしいったらない!
「あ、これやるよ」
にやにやと渡されたものだった。詳細は知らないが兄貴はあやしい店でバイトをしている。どうもその店の商品みたいだ。
「これも忘れずに、な」
箱を投げられた。それはベッドに着地した。
「アメ?んだ、まだなんか投げ……!?!?」
ベッドの上に鎮座している物体。ばっちりしっかりコンドームだった。
「ば、バカヤロー!!!」
もしかしたら…いやいや、んなわけねーよなと思いつつ、わずかな期待を胸に。一応だな…。そっとポケットに忍ばせたのだった。
…………………
それから3日経ったのが今日だ。
テスト前と言うことで勉強会をすることになったのだが、まったく進まない。になさんがオレの部屋にいることが不思議で仕方なく、そわそわ落ち着かないのだ。彼女には集中しているから気づかれないようで…。
それをいいことにちらちらと観察してみる。
(手ちっちゃくて可愛い…今日は繋げなかったな、…)(あ、悩むと唇尖らせてる…癖なのかな…やべ、ちゅーしたい…!)(…細せーよな、甘いの好きっていってたけどちゃんと食ってるのかな…あ、そー言えば)
ポケットから入れっぱなしだった飴を取り出した。それをぼーっと見つめる。
(…やっぱそーいう系の道具なんだろうか、これ)
「隼人くん…?」
「はっはい?!?!」
急に呼ばれてドキドキしてしまった。
「勉強、しないの?眠いの?…飴、気になるの?」
「あ…えっと、これ、兄貴がになさんにって!」
とっさに出た言葉に自分で驚いてしまう。何を言っているんだオレは!になさんに危険なものを食わせるなんて!
「え…いいの?ありがとう!」
ぱあっと顔が明るくなる、甘いものが大好きなのだ。素直に感情を表すところが好きだ。
兄貴グッジョーーブ!!!!
(になさんが笑ってくれた!)
オレは内心でガッツポーズをとる。
最近ではふたりきりになることに馴れてくれたのかよく笑うようになったのだが、今まではほとんど喋らなかったり、黙り込んだりしていたから。すげー嬉しい。(オレの方はと言うとべた惚れで未だに敬語を使ってしまうのがよくないのだが。)
「いただきます」
「は!はい」
袋から取り出しただけで甘いにおいが部屋に広がった。
「ん、いちごあじらぁ」
口の中で転がしながら舌っ足らずに話す…可愛いいぃぃ!鼻の下は伸びっぱなしだ。
「おいしいですか?」
「ん、!……?」
呼び掛けにオレを見上げると、頬を染め上げふにゃりとしか表現出来ないような柔らかな笑みを浮かべた。
そして、急に…
「隼人くぅんっ」
「うわあっ!?」
いきなり抱きついて来たのだ!焦るオレを余所にすりすりと体を寄せて、目を細める。
…………………………
「にっ、になさん!?」
「ン、隼人くんの匂い…だいすき」
すんすんと子犬のように匂いを嗅がれる。暫し固まったままでいたオレだが、『体育でバスケをしたので汗をかいた』ということを思い出し、カァ、と頬に熱が溜まる。
「だ、だめです!汗臭いですから!」
「ううん、汗と、隼人くんの匂い…どきどきする…」
なんてこと言うんだ!人一倍恥ずかしがりなになさんが!
「だいすき、好きぃ…」
「うぅ…」
ぎゅうぎゅうだきついていたが片手を離すと、オレの手をとって指を絡められた。
「…?」
「今日ね、手。繋げなかったから…寂しかった。わたしね、ずっと…ぎゅーってしてほしかったんだよ、」
「すいません…」
そんな風に考えていただなんて全然気付かなかった。反省する。
「キスだって、まだ二回しか…してない」
人差し指で唇をふにと押される。直に指の感触。
「隼人くんの唇、やわらかくて…あっつくて、…気持ちいぃ」
オレとのキスを思い出しているのかどこか遠い目をしている。目はとろんとして、息は少し荒くて、唇は赤く色づいて…非常に…うん。
「…もーガマン出来ないよぉ」
目の前にになさんの顔が広がった瞬間、柔らかい唇が押し当てられた。
……………………
で、冒頭に戻るわけなのだ。
(になさんから!き。キス…!)
「ん、ンん…」
拙いけど一生懸命してくれる。きっと知識なんてないからただ唇をすり合わせているだけなんだろうけど、その感じがすごく嬉しくてオレを高める。
不安だったんだ。仕方なく付き合ってくれてるんじゃないかとか、無理してるんじゃないかとか。だからしつこく誘うことも出来ず、反省しきりだった。
でもやっとわかった。
(ああ…になさん、オレのことすげー好きなんだ)
それがくちづけからきちんと伝わってくる。嬉しくて、照れくさくて、胸の奥の方がじんわりとあたたかくなる。
「んん…ちゅ、」
だけどそろそろやばくなってきた。何がって、ほら…下半身が。
膝がもう少しでオレのたっちゃってるアレを擦りそうだったので離れようとすると、
「離しちゃ、やだぁ…」
だもん。
可愛いになさんを前にして、今まで耐えてきた我慢強いオレでも、プッツンきちゃうんだな。
「オレだってずっと…っ!」
「ひぁっ」
いつだって抱きしめて、いっぱいキスして…ずっと考えていた。
ただ嫌がらせたくなかったんだ。好きだから。優しいオレでいて、我慢していれば傷つけたりしないって思ってた。
だけど、いいんだよね?
首だとか耳だととか、今までキスしたことない部分に乱暴に口づけて、舐める。
「はぁ、ん…やら、くすぐったいっ」
「になさんの匂い…オレも嗅ぎたいです」
になさんからはいつも香水かシャンプーかわからないが甘ったるい匂いがする。オレはその匂いが好きだ。
耳の付け根や髪の生え際に鼻をこすりつけ、本能のままに思いっきり吸い込んだ。
「…ハァ、まじたまんね…」
「アァっ!」
思わず漏れた声にになさんの体は大げさなほど震えた。
首、弱いんだ。
「ここ、くすぐったい…?」
ツ、と指でたどりながら囁けば腕の中でまたビクビク波打つ。
「あ、いじわるしちゃや…んンっ」
ぴくんぴくんと反応しながらも離れようとはせず、力の抜けた指で必死にすがりついてくる。
あれ、なんだかいけそうな気がする。
少し暴れて剥き出しになった太ももに手を伸ばした。
「やっ…やだぁ、だめだよぉ…」
「どうして?」
そう問えば、困った顔をしてますます瞳が潤んだ。
「恥ずかしいもん…む、胸…ないし……がっかりして…嫌われちゃうんじゃないかって、わたし、」
「そんな!嫌いになんかなりません」
「ほんとに?」
「当たり前です!」
思わず力説してしまう。すると、泣き出しそうだったになさんがふわりとほほえむ。
「はやとくん、だいすき…」
うああああ!!!
「お、オレも、オレもだいすきです!」
「うん、…じゃあ、えっち…しよ…?」
最後の最後にすげー爆弾を落とされ、オレは意識を飛ばしかける。だが踏ん張って、ボタンを外そうとした手を止めて、おでこをくっつけた。
「その前に、もう一回キスしましょ…」
「ぅん…」
顔を上げて、ゆっくり目を閉じる。あ、この顔ほんっと可愛い…。そう思いながらあと数センチのところまで来た。ら。
になさんの瞳がぱっちり開いた。
「…へ?」
しばし見つめ合う。ああ、目あけたままディープっていうのもやらしくていいかも…なんて考えて、唇を近づけ…。
「いやあああああーーーっっっ!?!?」
数秒後、オレは右頬に平手打ちを喰らう。すげえ、さすがになさん。いい腕持ってるぜ☆
………
効果が切れたようで。やっぱりさっきまでのになさんの様子は、アルコールの入った飴の所為だったようで。母さん、僕の頬は、じんじんと熱いようで…。
でも、まあ。こんなことでめげるオレじゃないのだ!
「あ…あの、ごめんね…!痛い…?」
「へーきです!になさんからのキスを思い出せば回復できました!」
「ひいぃっ」
「ほんっとーに可愛かったです!遠慮せずいつでも甘えてくださ」
「いやあーっ!!恥ずかしいから忘れてーっ!」
おわり
2008年12月07日(日) 00:13:20 Modified by amae_girl