4-243 無題

「うー、寒いです」
「委員長、今から北極探検隊に志願しそうなぐらいの重装備なのにまだ寒いんですか」
「私は寒がりなんです!だから仕方が無いんです!」
「はぁ……まぁそれは人それぞれですから仕方が無いと思いますが……」
「何ですか?」
「俺の腕に抱きついてくるのは何故ですか?左腕が暑くなってきたのでそろそろ放して
 欲しいんですが」
「あ、あなたは寒がっている女の子が居るのに暖めてあげようとか思わないんですか?!」
「いや、頭にニット帽子、手袋にブーツも履いてるじゃないですか。
 コートの下に何枚重ね着してるのかはわかりませんが、見た目で十分暖かそうですよ?」
「それでも寒いものは寒いのです!どうしても嫌……ですか?」
「(そんな捨てられそうな子犬のような顔するのは反則だよなぁ)わかった、わかりましたよ」
「えへへ、やっぱり副委員長は優しいから大好きです」
「(むぅ、なんか言いように操られてる感じがする……あ、そうだ)委員長、寒いんですよね?」
「え?あ、はい。この季節は嫌いじゃないけど寒くてちょっと辛いですね」
「じゃ、暖めてあげますよ」
「へ?ひゃあっ?!いいいいいきなり何を?!?!」
「(頬なでなで中)いえ、肌が出ているのはここだけなのでここを暖めれば暖かくなるのではないかと
 思いまして………って、なぜ俺の手に手を重ねるんです?」
「あ、えっとこれは気持ちよかったのでつい……じゃなくて、暖かかったから思わずというか」
「そうですか、それはよかった。じゃあ委員長、時間が迫ってきましたし、そろそろ行きましょう」
「え……?あの、もうちょっとだけ」
「また今度してあげますよ。だから今は急ぎましょう」
「絶対ですよ?約束ですからね!」
「はいはい。じゃ急ぎましょう、委員長」
そんなある冬の登校風景
2009年01月16日(金) 22:44:38 Modified by amae_girl




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