4-404 無題

ふと、彼女と眼が合う。
僕の眼を見つめたまま、彼女は何もかも分かっているかのように笑うと、両腕を広げた。
「おいで」
その誘いに僕は無言で頷き彼女の元へ歩み寄ると、ゆっくりと彼女に抱きしめられる。
と言っても、僕の方が身長が高いために傍から見れば“抱きつく”といった風に見えるのかもしれないが。
「甘えん坊だな、君は」
「うん」
ぎゅっと抱きしめてくる彼女を、僕も抱きしめ返すことで応える。
綺麗な黒髪を撫でてやると、彼女はくすぐったそうに笑い、顔を胸に埋めてきた。
「今日はまだ早い。好きなだけ、甘えていけ」
「そうするよ」
そう答えつつ、僕は苦笑する。
彼女は気付いているのだろうか。甘えん坊なのは、僕ではなく、彼女の方だということに。


もっと膨らませたかったけど挫折した
2009年01月16日(金) 23:09:12 Modified by amae_girl




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