5-573 屋上にて

3月某日。
暖かな日差しに誘われるがままに、俺は屋上で寝転がっていた。すると、

がちゃ。

「あー、先輩! やっぱりここに居たんですね!」
ドアの隙間からひょこっと出した後輩――貫井 日向(ぬくい ひなた)の顔が見えた。
日向はとてとてと駆け足で俺の傍まで寄ってきて、そのまま隣に寝転ぶ。
「授業はどうした?」
「先輩こそ授業どうしたですか?」
「俺はサボりだからいいんだよ」
「じゃあ私もサボりだからいいんです」
日向が横になりながら腕を絡めてくる。
「授業よりも先輩と一緒に居る時間のほうが大切ですから♪」
そう言って日向はにっこりと笑う。一応、俺と日向は付き合っている関係だ。
「その気持ちは嬉しいんだが、あいにく俺は眠いんでな」
「えー、また夜更かしさんですかー?」
「まぁそういうことだ。悪いが少々寝かせてくれ」
「ぶー、しょうがないですねー」
日向は不承不承ながらも了解した様子なので、俺はまぶたを閉じることにした。

………。

「何をしている?」
「あ、起きちゃいました?」
腹部にかかる重みで目を開けると、馬乗りになりながらてへへと笑う日向の顔が目の前にあった。
「いやー、先輩の寝顔があまりにも可愛かったんでー」
そう言いながら、日向は俺に顔を近づけてきた。

ちゅっ。

お互いの唇が軽く触れた瞬間に、日向の顔が元の位置にまで離された。
「こうやって先輩にキスしてました」
「………」
「………」
「で、何回したんだ?」
「今のを入れて8回です」
「よく気付かなかったな」
「少しうなされてましたけどね♪」
えへへ、と言って舌を出す日向。少々顔を赤らめながら微笑む姿が可愛らしく感じた。
「ねぇ、先輩?」
「ん?」
「あの…、もう一回キスしても、いいですか?」
日向の両手が俺の頬を包み込むように、すっと当てられる。
「しないと気が済まないんだろ?」
「えへへ、やっぱり先輩はわかってますね♪」
「一回だけだぞ」
「はい、わかってます」

ちゅっ。

結局その後、俺と日向はチャイムが鳴るまで何回もキスをするのであった。




575 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/03/04(水) 19:21:03 ID:22OH+b5c
ヤバい、こういう女の子はツボすぐる……
もうそのままぎゅーっと抱き締めてあげたい。
そんで、「……シたくなっちゃった?」とか聞かれたい。
だけどあえて答えないで、キスしてはぐらかすんだ。
そうすると女の子は目を潤ませて「……ねぇ、しよ?」とか言ってくるんだけど、そこでダメって言ってやりたい。
(中略)
で、手繋いで仲良く帰りたい。
2009年06月19日(金) 21:26:33 Modified by amae_girl




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