5-592 ナース即席小ネタ

〇〇さん失礼します、点滴うちまーす!
若い看護婦がハキハキした雰囲気で入って来て、点滴の準備を始める。
どこか緊張した面持ちで、初々しいが、不安でもある。

本当なら、ベテランの看護婦が一人付くべきなのだが、急患が相次いだのか彼女しか居ない、彼女を見るとクリクリっとした愛くるしい瞳と小さな整った顔立ちの幼さが垣間見える程の可愛らしい顔だ。

年の頃は、20になりたてらしい。
その彼女が若干もたついた感じで準備が終りいよいよ点滴を始めるのだが、静脈を探す辺りから彼女の様子がおかしい。

彼女は、必死に俺の腕を探るが、静脈が解らずに焦っていて「どうしよう…」と呟くので、俺は優しく彼女に自分の静脈のありかを示すと、彼女は恥ずかしそうにはにかみながら「すみません…」と顔を赤らめて少し涙目で礼を述べた。

可愛いなあ、彼女のそんな仕種を内心思いながら点滴の針を受け入れる為に差しやすい様に突き出して居たが、彼女はなかなか上手く刺せない…。
静脈から逸れて関係無い場所ばかり刺すのだ。

痛みに顔をしかめる俺に一度は、涙目で「すみません…」と言うが、二度目には「ごめんなさい…」

と焦ったような青褪めた顔色になり、目から涙を流し、三度目の失敗で遂に顔を手で覆って泣き崩れた。

――彼女は、ひたすら俺に謝りながら泣いて居る、俺はか細く震える彼女に優しく肩を抱いて慰める。
撫でてあげると涙を溜めた目を俺に向けて彼女はこちらを見る、俺は「怒って無いからおいで。」と言うと、彼女はまた涙を流して言う。

「…こんな失敗ばかりの新人の私をもっと叱って下さいよ〇〇さん…そんな優しくされたら…甘えたくなるじゃ無いですか…うう…うわーん…」
彼女は、泣きながら俺に抱き付いた。


彼女とは、俺が入院してからしばらくして彼女が新人看護婦としてやって来てすぐに出会い、それからは俺の病室担当のナースになってるのだが、いつも彼女は俺にはにかみながら優しく微笑み

俺も彼女に笑顔で返すから、ある程度は彼女も俺も軽く会話する程の親密度があった訳だが、今日この瞬間に一気に上がった様だ。
抱き付いた彼女によしよししながら撫でて居ると甘える彼女は、俺の胸に頬を磨り寄せて。

最初の出会いから俺に一目惚れをして居た事や、何事無い会話をいつも楽しみにしていた事や最近、ドジばかりで自信を無くして居た事とか彼女は、取り留めなく話を始めた。

俺は、優しく返事をしながら彼女の頭や背中を撫でて聞いて居る、彼女は最後に「ごめんなさい…こんなダメで、こんなことばかり言う私…嫌いですよね?」と涙一杯な可愛い目で彼女は…ああッ!
そんな顔されたら俺だって!

俺は、涙一杯な可愛い彼女の頬に手を添えて言う。
「大丈夫、俺はそんな君も含めて好きなんだ。」

彼女は、目を見開きそしてまた顔を赤らめて涙を流す、彼女の涙を拭いながら俺は更に告げる。
「だから、泣くな俺は怒らないから、君が好きだからほら…泣くなよ、頑張って点滴済ませような?なッ?」

俺が言うと彼女は涙を拭きながら、言う。
「うん…、もう泣かないもん…私、頑張るから…でも…好き何て言われて、優しくされたら…私…私ね?私なんか…ずる…あッ…!」あーッもう!とばかりに泣き言を言う彼女の口を黙らせる為に彼女の唇を奪う。
彼女は、また目を見開き顔を真っ赤にして
「ん…んんッ!」
と抵抗しようとするが、彼女の両手首を掴み押し倒すと彼女は、抵抗せずに目を瞑りされるがままになる。
彼女が抵抗しなくなったと見るや俺は、口付けを止めて顔を上げ彼女の瞳を見つめながら話す。
「大丈夫、俺は大好きな君に点滴を受けたいんだ、だからね、がんばろ?」
と言うと彼女は「はい…」と嬉しそうに微笑みながら
俺の腕の中で可愛らしく微笑んだ。
俺のナースになった彼女は再びキスをする俺を受け入れて居た。


――何度か受けて居たので、俺も彼女に点滴の指導をし、彼女も必死に頑張りながら、実戦では初めてらしい点滴を何とか終えて、二人で溜め息を付き笑い合った。

「次は頼みますよ?ミサキさん?」俺が言うと彼女は恥ずかしそうに笑顔で
「はい、〇〇さん…これからもよろしくお願いします。」
と可愛らしく微笑み返事をした。

――それ以来彼女とは密かな恋人関係になり、退院したらデートする予定だ。
俺は、彼女とのデートを楽しみにしながら彼女といつもの様に会話している。

〜FIN〜
2009年06月19日(金) 21:27:21 Modified by amae_girl




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