5-837 溜息

フーッ。
俺は財布の中を見ながら、大きな溜息を一つ。
ない。お札はおろか、小銭もない。
来週は誕生日なんだよな。



ふと目の前を見ると。
苦しげな金魚のように口をパクパクする女が一人。
部屋に遊びに来てる彼女・数子だ。

「ハク君〜 溜息をついたら、幸せが逃げちゃうんだよ」
で何でお前がパクパクしてる?
「数子が、幸せを食べちゃってるの♪ パク☆ おいちー」

フー。
パク。
フー。
パク。
フー。パク。

フッモガモガ。

いつの間にか吐いた筈の息は、
即効で数子の口内に納まっていた。

おちおち溜息もついていられん。




あ、数子の名前は、カズコではなくスウコです。

って どーでもいーですねぇ。
2009年06月19日(金) 22:00:47 Modified by amae_girl




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