ゴッドイーターでエロパロスレの保存庫です

「君ってもしかして、自分のこと嫌いなの?」

 唐突に尋ねられたので、俺は冷たい鉄壁に預けていた体を起こした。

「…いや、ちょっと違うな…自分を捨ててるって言うか、身を投げてるって言うか」
「ゴメン、意味分からん」
「上手く言えないんだけど、君の神機の整備してると、時々思うんだよね」

 『神機の傷付き方で、その持ち主の性格が分かる』。
 彼女の持論だ。
 いや、正確には、彼女が父親から受け継いだ持論、だったか。

 擦り減った刀身が、考え無しに切った結果か、果敢に攻めた結果か。
 歪んだ砲塔は、怯えて闇雲に撃ったからか、仲間を救うために無茶をしたからか。
 短くとも濃密な期間、神機に携わってきた彼女は、見ただけでそれが分かってしまうという。

 その装甲の傷跡は、逃げ出して付いたものなのか、仲間を庇ったものなのか。

 ちょいちょい、と、手でこまねかれ、俺は体を起こした。
 長い時間座っていたからか、尻が痛い。

「装甲の、この傷があるでしょ」
「ん」
 指差したのは、つい先日のミッションでついた焦げ跡。
 確か、相手はハンニバル。討伐ではなく、偵察ミッションだった。
 無防備だった後衛との間に割って入り、やや無理な体勢で火球を受けた。
 神機の軋んだ音がしたのを覚えている。
「ちゃんと正面から炎を受けたなら、こんな焦げ方はしない。そういうコーティングなの」
「ふーん」
「でも、ここ、縁とジョイント部分が少し溶けてる…だから、多分この炎に対して、君は、」
 リッカは大きくジェスチャーを用いて、俺に説明する。
 動作が実年齢よりも子どもっぽくて、なんか可愛い。小柄だけれど、本当は俺より年上のはずだ。

「―――聞いてる?」
「ああ、聞いてるよ」
「…君は、こういう角度で、自分からぶつかるようにして、炎を受けに行ったことになるのね」

 正にその通り。

「すげえな、リッカ。名探偵になれるよ」
「ありがと。でも、今は私の話じゃなくて」

 口だけで微笑んで、それから俺の目を正面から見る。
 こう言うところは、子どもっぽくない。

「君が、なんでそんな無茶な防御をしたのか、って話」

 まあ、つまるところ俺が今回メンテナンス室に呼び出されたのは、彼女にお説教されるため、ということらしい。

「一歩間違えば、君が丸焦げになってたんだよ。自覚ある?」
「ああ、そうだな」
「君の神機の傷って、そういうのばっか」
 愚痴っぽく言って、リッカは不機嫌そうに視線を逸らした。

 死ぬかもな、と、考えなかった日は無い。
 ほんの数瞬気を緩めただけで、歯車のかみ合わせが悪かっただけで、簡単に死ぬことが出来る。
 『一歩間違えば』なんて綱渡りな状況が常について回る。
 俺が就いているのは、そういう職業だ。

 死ぬことは、まあ、人並みに怖い。
 けど、もっと怖いことがある。

「…最初の質問、さ」

 死に対する恐怖は、足を止めてしまう。
 だから、出来るだけ考えないように努めている。
 けれど、もう一つの恐怖――失う恐怖は、衝動的に俺を突き動かす。
 動けなければ、失うからだ。

「自分のことは、まあ、好きじゃないって言うか、」

 あの日、俺は動けなかった。
 エリック先輩が、オウガテイルに噛み殺された日。
 リンドウさんが、瓦礫の向こうに消えた日。
 シオが、自分を賭して俺たちを救ってくれた日。

「…平たく言って、大っ嫌いだ」

 俺は、動けなかったんだ。

 リッカが辛そうに眉をひそめる。お前が辛がることじゃないってのに。
 辛いのは、失った人間だ。
 エリック先輩を失った事実を、ご家族は最初は信じることが出来なかった。
 リンドウさんが消えて、アリサもサクヤさんもずっとずっと泣いていた。
 顔にこそ出さないけれど、ソーマも時々、月を見に夜中に外に出かけている。

 俺が動けなかったからだ。だから失った。
 動いていたらどうなる、という仮定は無意味だ。確定した過去の、他の可能性を見ることなんて、出来ないんだから。
 それでも、もしあの時、と考えずにはいられない。

 だから、動けない、弱い自分が大嫌いだ。
 もう二度と失って誰かを悲しませないように、俺自身が悲しまないように、
 そういう瞬間、俺は咄嗟に動くようにしている。

 今回の装甲の件も、仲間を守った時に出来た傷だ。

 だから、

「悪いけど、説教なら意味無いからな。もう子供じゃないんだ、こっちは」

 リッカに当たるのは間違っている。
 ので、出来るだけ柔らかい声音で、俺は彼女に刃向かう。

「…年下でしょ、私より。言うこと聞きなさい」
「一つ二つ違うだけだろ。誰に何度注意されても、俺は同じ選択をする。仲間を庇うために、何度だって飛び出す」
「…それで君が死んだら、意味無いじゃん」
「じゃあ、見殺せばいいのか?」
「そういうことを言ってるんじゃない!」

 リッカが叫んだ。
 いつもの陽気な彼女からは予想も出来ないような、辛そうな声で。

「そうやって…、どうして、自分を簡単に捨てられるの!?」
「捨ててるワケじゃない。命を賭けてるだけだ」
「同じことでしょ?」
「違うよ」

 『懸ける』じゃない。『賭ける』んだ。
 この仕事で、一生懸命やった、だなんて過程には何の意味もない。
 もう終わったことに後悔したくない。

 俺は、もう新入りじゃない。
 リーダーになった。後輩も出来た。
 自分の命を惜しんでいい時間は、とっくに終わったんだ。
 出来ないことは、やらない理由にはならない。

 俺の後ろにいる人間を、俺は守らなきゃいけない。
 自分の命を守っている暇なんてないんだ。
 一瞬の躊躇が、恐怖が、判断を鈍らせて、失わせる。
 本当に守りたいものを守るためには、惜しんじゃいけない。

 リンドウさんが、そうしたように。

「…呼びだした用事は、それだけか? 悪いけど、感情論に付き合う気も無いからな」

 背を向け、エレベーターに足を向ける。
 去ろうとしたところで、背中に何か、小さなものがぶつかってきた。

「…君を失って悲しむ人だって、いるんだよ」

 細い腕が、俺の腰を掴む。
 震えている。声も。

 参った。
 泣いている女の子は苦手だ。ハンニバルの炎より厄介だ。
 泣かしたのは俺だから、そんなことを言える手前でもないんだろうけど。
 さて、何て返そうか、と、後ろを振り向こうとして、

 その反動で思いっきり、地面に投げ飛ばされた。

「う、げっ…!」

 ゴキっと鈍い音がして、目の前の景色に火花が散る。
 頭を床に打ちつけたらしい。
 ぐわん、ぐわん、と、痛みの波が寄せて返す。

 ぼやけた視界が晴れて来て、正面に顔が映る。
 リッカの顔だ。
 目元が濡れている。濡れた目で、俺を睨む。

「…驚いた。力強いんだな、リッカ」
「…エンジニアは体力勝負だからね」
「で、何で乗っかるんだ」
「こうでもしないと、君、話聞かないで帰るでしょ」

 流石に読まれていたらしい。
 まあ、小柄な女の子一人に乗られた程度で、動けないほどでもない。
 こちとらゴッドイーターだ。

 ただ、起き上がれないのには、事情がある。

「だいたい君は、……」

 話を続けようとしたリッカも、すぐにその事情に気が付いたらしい。

 平たく言って、生理現象である。
 彼女が腰を下ろしているのは、ちょうど俺の、まあ、その位置なわけである。
 神機使いと言っても、もともとは健全な青少年。
 布越しに感じる柔らかなリッカの肌に、何も感じずにいられようか。

「……ケダモノ」
「…その、なんていうか…ありがとうございます」
「私は真面目な話をしようとしてるのに…酷いよ」
「いや、待ってくれ。不可抗力だから、コレは」

 というか、乗ってきたリッカにこそ原因があるとも言えるんじゃないか。

「ん…」
 もぞもぞ、と、俺の上でリッカが動く。
 恥じらいゆえの身じろぎなんだろうけれど、絶妙な振動が加えられて、ますますヤバい。
「ふぁ!? ちょっと…なんで、おっきく…」
「や、しょうがないだろ…」

 ジト目で睨まれる。あまりの気まずさに、正面から見返せない。
 グリグリ、と、リッカが腰を押し付けてくる。

 いや、これ、わざとだ。
 何をするんだ、と、尋ねようとしたところで、冷たい掌が俺の服の中に潜り込んできた。

「リッカさん…?」
「黙って」

 思わず『さん』付け。
 先程と同じジト目、ただほんのりと潤み、焦点がぼやけている。
 見上げた瞳に映る、間の抜けた表情の俺自身。

「おい、何してんだって、ちょっと、」
「うるさい」

 カチャカチャ、と耳障りな金属音。腹の辺りがゆるくなって、ベルトの擦れる音。
 剥きだした肌に、冷たい外気が触れる。

「私で、おっきくしてる君に…拒否権なんて、ないんだから、ね…」

 ぶるん、と、勢いよく飛び出る。

 いつもよりも心なしか大きく屹立したそれが、ピシ、と彼女の鼻先を掠めた。
 互いに、一瞬息を飲む。

「……御立派様」
「……そいつは、どうも」

 じゃなくて。

「…なんだ、最近のエンジニア様は神機だけじゃなくて、持ち主の面倒まで見てくれるのか」
 茶化してみる。
 焦っていた分、なんとも最低な物言いになってしまった。
 もしも他の男がリッカに同じことを言っていたら、迷わずぶん殴る類の。

 リッカも冗談めかした口調だけれど、表情が固まっている。
 余裕がないのをバレまいと、必死になっているようだ。

「…リッカ、落ち付け。な。俺も言いすぎた。だから、忘れよう。俺も忘れるから。落ち着いて、俺のズボンを上げてくれ」

 カエルを睨む蛇のように緊張している彼女に、意思の疎通を試みてみる。
 下半身丸出しのこっちとしては恥ずかしい事この上ないが、なんとか理性は繋ぎとめた。
 けれど、どうにも追い詰められた人間というのは、

「う、は…っ」

 冷たくて滑らかな指の腹が、一筋、先端を撫で上げた。
 自分でも見たことがないくらいに、大きくそそり立つ、それ。
 刺激そのものに対して興奮し、そして、それが彼女からの愛撫だと理解して、また興奮する。

 意思の疎通は失敗したらしい。
 リッカの目はどこか蕩け、顔は真っ赤に上気し、息は肩を上下させて。

 ふわりと俺の鼻孔をくすぐる発情したメスの匂い。

「……嫌だなんて、言わせないからね」

 一度だけ、潤んだ瞳でリッカが此方を見上げた。
 まるで捨てられそうな小動物のような、愛おしい表情で。くぅん、なんて鳴かれた日には悶え転げるレベルの可愛さだ。

「君なんか…こうして、やるんだから」
「…ふ、ぅあ…っ」

 しゅる、と、まるで布か絹のように、軽い指先が全体を包みあげる。
 優しく、優しく、撫でるように扱く。
 根元を押さえて、下から爪を立てて、先端まで這わせてみたり。
 五本の指を先端にあてがい、膝小僧を擽るようにそわそわと擦ってみたり。

「ふ、ぉあっ!……っく、リッカ、待っ……」
「……ふふ、そういう可愛い声も出せるんだね」
 妖艶な笑みで、けれども俺の息子から視線を外さない。
 指で輪を描きながら、俺が震え悶えるのを楽しんでいる。

「辛くて、苦しくて、でもすごく気持ちいい…でしょ?」
「止め、お前っ……ん、ぉ、あっ……は、…っ」
「止めないよ。年下っぽくない、可愛くないガキに、お姉さんからのオシオキ」

 まるでその息子に話しかけるように、口を添える。
 吐息が、生温かく湿気を孕んで、まとわりつく。
 ふっ、と、強く息を吹きかけられただけで、もう達してしまいそうだった。

 そう言えば最近、そっちの方はご無沙汰だった気がする。
 リンドウさんみたいに相手がいるでも無し、基本は自家発電だけど、任務で働き詰めでその時間すら取れていなかった。
 そのくせウチの面々と来たら、

 人妻のくせに自重を知らない背中丸出しお姉様に、
 風が吹けば捲れるような堅物下乳ロシアンビューティに、
 露出こそないけどやたらそっち方面無頓着な天然固定砲台に、
 あなたソレもう隠す気ないでしょ、まさかのノーガード戦法スナイパー、
 おまけに教官までいつの時代のレースクイーンですかと言わんばかりにバインバインだ。

 餌を眼の前に転がされながらも手を出せない雄の辛さ。
 久しく味わっていなかった刺激が、例えこんな形だとしても、

「……面白くないなぁ」
「っ、が、ぁっ〜〜〜!!」
 思考が、寸断された。
 ぎゅ、と、ややつよく彼女の指が、睾丸の方を摘まんだからだ。
「やってるのは私なのに……他の女の人のこと、考えてる」
「なん、で……っか、は」

 払いのければいいのに。
 本当にこんなことを彼女にさせたくないなら、してほしくないなら、俺は彼女を払いのければいい。
 両手は自由だし、彼女一人くらいの体重を押し退ける力はある。

 それをせず、甘んじて受け入れているのは、まあ、そういうことだ。

「第一部隊の人たち、みんなスタイルいいし、美人だもんね。私なんかよりも」
「リッカ、違、っ、あ゛っ…!」
「けど……さすがにちょっと、傷つくかな、そういうの」

 沈んだ声音と裏腹に、指に込められる力が強くなる。
 もう限界を超えてはち切れそうなのに、根元を握られてしまっているせいで、溜まったソレを吐き出せない。
 わかってて、彼女もやっているのだろう。
 すりすりと、先端を唇がなぞる。
 例えるなら、ゼリーのようにやわらかい唇。それが、吐息交じりにキスを落としていく。

「ふっ、か、ぁ、あ゛ぁっ…!」
「ん、ちゅ…女の子みたいな声出して、喘いじゃって…気持ちいいんだ? 可愛い…」
「やめ、っ、リッカ、マジで…!」
「止めないよ。喘いでも、泣いても、止めてあげない……は、ぷ」

 喰われた。
 温かい、ぬるぬるとした口腔に、入りこんでいく。
 先端から熱と間違う刺激が迸り、勝手に腰が跳ねる。
 背骨を直接まさぐられているような、重い快楽。

「ぐ、ぁああっあ、ハァあっ…!」
 生き物、と実感させる温度、粘液。
 ぬる、ちゅぴ、と、卑猥な音が耳に届く。
 ざらざらの舌が、ねぶるように舐め上げていく。
 唇をすぼめてしごく。

 根元を指で、きつく縛りあげたまま。

「あ、あぁあああっ…」
「ね…ん、じゅぷ……きもひいい? イっひゃう?」

 イけるワケ、無い。
 分かってて言ってるだろ。

「指っ…離してくれ、リッカ…!」
「出したいの?」
「限界だ、もうっ……くぁ、あぅっ!」
「さっきまであんだけ、……ん、じゅぷ……は、止めてって言ってたのに、堪え性ないなぁ」

 そんな理不尽な、と叫ぼうとした喉は、声にならない声で潰された。
 もはや苦痛ですらある。
 真綿で柔らかく縊り殺されるようだ。

 ぷるり、と、音を立てそうなほどに弾けた唇が、何度も何度も赤黒く腫れあがった先端を往来する。
 一擦りする度に理性も溶けて、針のように鋭い感覚が、下半身全体に迸る。


 ああ、もう、ダメだ。


 そう思った時にはすでに、俺は両腕でリッカの頭を鷲掴みにしていた。

「ふ、んぶっ!?」
 驚く暇も与えず、欲望のままにその喉奥に、欲の棒を突き立てる。
「ん、ぐ、ぇ……っ、えぁ、あ、ぶ、ぐっ…!」
 まるで物のように、乱暴に抜き差し。
 喉奥から漏れる嗚咽にも、息苦しさにしかめた眉にも、瞳の端から零れる涙にも気を留めず。
 ただ、本能のまま快楽を貪る獣となる。

 抵抗はされなかった。
 それどころかリッカは、両手を俺の腰の後ろに回してしがみつく。

 その『抵抗』というのが、俺の中の最後の分水嶺だったのに。
 拒むどころか、そんなことされたら、もう止まれないだろうが。


 さんざん焦らされた分、律動はほんの数秒で訪れた。

「ぅ、ふ…んぶっ!?」
 ドクン、と、第二の鼓動。
 自分が削られるような錯覚さえ覚えて、欲望と快楽をその小さな唇の中に吐き出していく。
「え、ぷっ、……ぇほ、ケホっ…!」
 喉を直撃するそれは、けっして心地のいいものではないのだろう。
 眉を震わせて咳き込みながらも、リッカは俺の腰から手を離すことはけっしてしなかった。

 律動が続き、二度、三度。
 じゅるる、と、また淫猥な音が響いて、引きずり込まれそうになる。
 尿道に残った分まで吸い取っているらしい。
 さんざ我慢したモノを吐き出して、腰が抜けた俺は、無様にその場に尻餅をついた。

「は、はぁ、はっ…」
 不等速な息切れ。
 全力疾走でもしたような疲労感。

 リッカは口端に零れた精液を舌で拭うと、やや辛そうに、それを嚥下した。

「……苦っ」
「……」

 普段のタンクトップ姿なのに、そのエロい行為とのギャップが酷く扇情的。
 色っぽい仕草で口元を拭うと、リッカはそのまま、愉快そうに俺の方を見て微笑んだ。
 いじめっ子の笑みだ。
 気まずくて、俺は眼と顔を逸らす。たぶん、真っ赤。

「ふっふっふ…なんだかんだいって、男の子だね」
「うるせえ、逆レイプ魔」
「先にソレ勃てたケダモノには、言われたくないんだけど」
「……」

 ああ、もう、畜生。なんでこんなことになってんだ。
 それこそリッカが言っていたように、真面目な話をしていたんじゃないのか、俺たちは。

 しかも最悪なのは、逆レイプ魔と罵りつつも、結局俺が彼女を犯すような形になってしまったということだ。
 あんな乱暴に、強引に、動物的に。
 そりゃ、恥ずかしながらもう告白するけど、そういう妄想のネタに使ったことはある。
 けれど、現実の俺は紳士だと思っていた。
 よもやそんなことをする蛮漢にはならないと思っていたのに。

「……君って、ホント分かりやすいよね」
 また笑いながら、リッカが俺の頬を突つく。
「また自己嫌悪?」
「……だってさ、俺、」
「そういう優しすぎるトコ、何でも自分のせいにしようとするトコ。みんな心配してるんだよ」

 本能のまま、リッカを犯した。
 俺個人の感情を抜きにしても、それでも彼女は大切な仲間だったはずなのに。
 守るべき、俺が背負うべき人だったのに。

 なのに、犯された彼女は笑う。

「言っとくけど。君が私たちを思ってくれてるのと同じくらい、私たちだって君のこと思ってる」
「……」
「わっかんないかなぁ…というか、最初に手を出したのは私の方でしょ? それで何で、君が負い目を感じるのさ」

 今度は頬を突いていた腕で、まるで友人のように、首を組まれる。ゆるいヘッドロックだ。
 一瞬だけ汗の匂いがして、それから花のような。
 さっきも嗅いだ、発情したメスの匂い。

「……最低だって言うなら、私の方こそだよ」
 此方を覗いていたリッカの瞳が伏せられる。
「…酷いこと言ってる自覚はあるんだ。君に、『仲間を守るな』って言ってるのと同じだもんね」

 ああ、最初の話か。

「極論、他の人を見殺しにしてでも、君に生きて欲しいって言ってるんだ…。ね? 私の方が最低でしょ」

 リッカが笑う。
 妙に声が軽いのは、自嘲自虐の色を帯びているからだ。
 たとえ俺を励ますためだったとしても、リッカにそんなことしてほしくはない。
 最低だというのなら、そんなことをさせた俺の方が。
 そう言おうとして、堂々巡りに気がついて止める。

「…最低だな、お互い様に」
「そういうことだね。おそろい」
「なんていうか…自分が最低だって思うと、色んな行為のタガが外れるっていうか、踏ん切りがつくんだよな」
「ああ、ちょっとわかるかも」
「だからさ」

 ヘッドロックを解いて、俺は上半身を起こした。
 いきなり動き出した俺に戸惑うリッカの耳元に、口を寄せる。


「――先に手を出したのは、そっちだからな」

このページへのコメント

・・・・・・リッカが降りてきた

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Posted by もふく 2014年07月19日(土) 00:29:14 返信

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Posted by eyvgat 2013年11月15日(金) 08:42:17 返信

リッカさんだよな♪(*´∀`)

0
Posted by ( ^∀^) 2013年10月19日(土) 12:04:43 返信

リッカええ子や…

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Posted by リッカ親衛隊隊長 2013年04月03日(水) 19:16:05 返信

いいね

0
Posted by 学校に絶対一人は居る奴 2012年10月22日(月) 07:57:44 返信

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