当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

 2016年8月18日放映のアメトーークを見た。企画は、若手芸人のプレゼン大会である。

 過去に何度もやっている企画であり、売り出し中の若手芸人に「自分がアメトーークでやりたいと思う企画」をプレゼンしてもらうという内容である。

 この仕事をもらった若手芸人は、当然何をプレゼンするかを考えるわけだが、考え方は2つの方向性がある。1つは、アメトーークでの実現性が高そうな企画をプレゼンするというものである。これは、本当に実現すれば次の仕事につながる。もう1つが、プレゼンでのウケを重視するというものである。両者は、両立する面もあるが、相反する面もある。プレゼンでのウケを重視してフザケすぎると、実現性が低くなっていくだろう。他方で実現性を重視して真面目にやりすぎると、おもしろさが減退していく。
 両者のバランスをとるのはなかなか難しいが、当然、両奪りが理想的ではある。

 ただ、アメトーークで実現したときにおもしろい話題がたくさん出るテーマであれば、そのおもしろい話題を頭出ししてやればプレゼンも十分おもしろくなる(あまり出し過ぎると本編がその焼き直しになってしまうという問題はあるが)。これは、1つのオーソドックスな攻め方である。
この攻め方が意識してできていると思えたのは、いけだてつやの「ボードゲーム」、バンビーノ・藤田の「顔が出ない芸人」、インディアンス・田渕の「男子ソフトボール」、コロチキ・西野の「ナダル」、の4つである。
 青年タイアップ・金井の「剣道」は、金井個人の「剣道をテーマにしたネタ」という感じが濃かったので、これ自体はおもしろかったが、トークテーマにした時に広がりがあまり見えなかった。
 カズレーザーとゆりやんレトリィバァは、プレゼンとして小ぎれいにまとめすぎである。
 尼神インター・誠子の「姉妹格差あり過ぎる芸人」は、スタジオ内の全員が気付いていただろうが、おもしろい話ではなくてかわいそうな話のレベルに達していたので、なんとかしないといけない(これを見てもいじめと笑いが紙一重というのが分かってもらえるだろう)。
 これをコミカルにまとめるにはどうすればいいのだろうか。筆者にも答えは出ていないのであまり無責任なことは言えないが、とにかくあのままだといけない。
 筆者が一つ考えているのは、この手のブス自虐においても、妹や両親といった家族はまず味方であってほしいので、妹から無視されたとか、親も誕生日を3年に一度しか祝ってくれない、みたいな家族が敵になる話をまず持ってくると聞き手が引いてしまうのではないか、ということである。学校の人やら近所の人やらといった「家族よりは遠めの人」から格差のある扱いを受けたという話で固めた方が、いいんじゃないだろうか。家族の話は、出すとしても最後の方にチョろっと、である(最後の方に出せば、それまでの話がフリの役割を果たして、聞き手のハードルも変化しているので、もっとすんなりと笑い話として受け入れてくれると思う)。
 それか、家族の話を最初の方に持ってくるのであれば、「普通こういう時でも家族は味方であってほしいじゃないですか!」みたいなあからさまなフリを入れるという手法もありだと思う。そのフリから、「なのに6年間無視されたんですよ!」とつなげるのである。

管理人/副管理人のみ編集できます