戦場のピアニスト

ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害を背景にユダヤ系ポーランド人のピアニスト、シュピルマンの不幸な体験を描いたノンフィクション。

主人公はこれまでの映画と違って勇敢なところなどまるでなく、ひたすら逃げ、食べ物を探し求めるだけで恐ろしい出来事には傍観者で通しています。きれいごとや説教臭さもなく命乞いまでする様を見るとこれが事実なんだと感じてしまう。

ゲットーから逃げ出せたシュピルマンが隠れ家のソファーに足を伸ばして気持ち良さそうに「あー」と声をあげます。あのシーンが印象的でした。わたしたちが普段仕事から帰って来てソファーに寝っ転がるのとはわけが違うのを主役のエイドリアン・ブロディーはうまく表現していました。

あと気づいたのが実話なのにナレーションがないことです。これが実によかった。生き残るために必要な食べ物を求め、一目をさけてドイツ軍が敗戦するまで何の情報もなく身を隠す。反政府や恋愛の感情なんてなくても生きられる、という究極の「生への執着」を表している。
2005年12月21日(水) 06:22:21 Modified by miu511




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