EBMを一気に掴んでしまおう!
EBMを一気に掴んでしまおう!
それでは次に、このEBMのシステムを一気に概略を理解してみましょう。簡単に考えると5つのステップに分けることができます。レビューの利用とレビューの作成を、どのように考えるかなどの問題もありますが、一般的なステップと若干の問題点を述べます。さらに、追加する点(特に、なぜこのステップがあるのかという点)は、各論で書きます。
なぜこのようなシステムなのかは、試行錯誤の上に、これが良いのではないかという提案としてとらえてください。さらに良いシステムが開発されるかもしれません。
ステップ1:患者の問題の定式化
日常臨床で問題となる多くの疑問を漫然としたままで過ごしてしまうのではなく、疑問をある程度絞り込んでいく必要があります。その一つのコツとして、「患者:〜に」、「行為:〜をすると」、「転帰:どうなるのか?」と分解して考えると良いとされています。現時点でのとりあえずの自分の答えを書きとめておくとよいでしょう(4つに分解することもありPECO/PICOと言う))。ここはある程度慣れが必要であるとされています。有名なSackett教授の教科書には練習問題みたいに記載してあります。これが重要だというわりに、この練習方法もなければ実際の例とか、うまく行かなかった例とかを示してある場合も少ないですし、臨床的に定式化が困難な場合の対応など成熟されていません。この患者の問題を得るために、いかに患者から情報を得るのか?また、患者の要望の本音を聞き出すのかの問題は、ステップ2の情報収集より難しい情報収集でしょう。
ステップ2:問題についての情報収集
系統的に情報を収集することです。口腔外科や放射線科で問題とよくなるものとして、再発腫瘍の治療があります(特に、再再発が問題となる)。これに関して検索してもまったくと言って良いほど情報を手に入れることができません。教科書に記載されていない稀な疾患に対しても情報は少ないです。このことより、EBMは役に立たないと考えないで下さい。EBMは始まったばかりです。世界の研究者がエビデンスを日夜作っています。一方、あまり問題とならないと考えており、教科書とか学生教育で習ったことをあらためて検索すると、驚くことに沢山の情報が検索できます。現時点では、ここからEBMへ入ると役立ちます。
また、研究者の中には、いままでMedlineは使ってきたので、今さら検索方法を教えてもらわなくても結構だ、と言われる方も多いです。ここで、教える検索は医者が片手間に教えるものではなく、もともと図書などの情報処理の専門家の意見を取り入れたものです。情報処理の世界では、検索の行い方で全く世界が異なってきます。しかも、検索の行い方は次々と変わってきます。なぜなら、情報量は莫大に増え、検索エンジンのシステムが次々と更新するからです。もはや、素人の医師が片手間で検索する時代は終わりました。
ここで、少し注意する点があります。Medlineなどの元文献の情報検索とコクラン共同計画のレビューなどのライブラリーの検索を区別して考える必要があります。まずは、レビューより検索してみて下さい。
ステップ3:エビデンスの批判的吟味
各研究デザインごとに批判的吟味の手引きがあるので参考にすると、これまで自分ひとりで行なっていた時と違い、効率が良いです。特に、(1)論文の結果は妥当か、(2)論文の結果は何か、(3)その結果を目の前の患者に当てはめることができるかを吟味してください。
これまでいろいろな論文を読んできたのにいまさら?と思われるかもしれません。しかし、その読み方は誰に習ったのでしょうか?先輩に手取り足取り教えてもらいましたか。そして、論文の読み方は、自分の研究に役立てるために読み場合と、臨床に役立てる場合の読み方を区別してきたでしょうか。統計処理に関しての知識は大丈夫ですか。いろいろと、問題があるはずです。ここで、もう一度初心に返って論文を読む練習をしましょう。そうすると、今までの読み方が以下に自分の都合の良いように解釈しながら読んでいたのか理解できるはずです。EBMワークショップなどの教科書は統計の専門家も加わった本格的な教科書です。一度勉強してみるとここまで、読み込むことはなかったと思いますが。
そして、研究の時の読み方と根本的に異なるのは、患者に始まり、患者の問題に終わることを常に考えながら読む必要があるのです。批判的に読んで、この論文はダメだ!と批判するだけではなく、臨床に使うので、せっかく読んだので欠点の中にも一つでも使えるデータがあるかを考えることが大切です。これまでの研究のために読んできた読み方と根本的に意識改革してください。そして、結果に示された有意差で解釈するのではなく、データに隠されている一例一例の症例の重みを考えながら読むことが大切です。論文の著者の書かれていることを無視して、結果を素直に読むと良いでしょう。
ステップ4:エビデンスの患者への適用
臨床的能力が必要とされます。最も大切なステップです。現状では、「エビデンスがなかった」との結論に至ることが多いです。この場合、2つの状況があります。(1)論文の結果が差がなかったため、その治療行為を行う根拠がない場合、(2)論文そのものがなく、治療行為をなぜ今まで行っていたかも不明な場合です。特に(2)ような場合、どのように解釈するのか問題ですね。
ステップ5:一連のプロセスの評価
自分自身にかして、診療の質を上げてください。これがあって初めてEBMとなります。生涯教育の自己学習としてEBMをとらえるとわかるでしょう。
それでは次に、このEBMのシステムを一気に概略を理解してみましょう。簡単に考えると5つのステップに分けることができます。レビューの利用とレビューの作成を、どのように考えるかなどの問題もありますが、一般的なステップと若干の問題点を述べます。さらに、追加する点(特に、なぜこのステップがあるのかという点)は、各論で書きます。
なぜこのようなシステムなのかは、試行錯誤の上に、これが良いのではないかという提案としてとらえてください。さらに良いシステムが開発されるかもしれません。
ステップ1:患者の問題の定式化
日常臨床で問題となる多くの疑問を漫然としたままで過ごしてしまうのではなく、疑問をある程度絞り込んでいく必要があります。その一つのコツとして、「患者:〜に」、「行為:〜をすると」、「転帰:どうなるのか?」と分解して考えると良いとされています。現時点でのとりあえずの自分の答えを書きとめておくとよいでしょう(4つに分解することもありPECO/PICOと言う))。ここはある程度慣れが必要であるとされています。有名なSackett教授の教科書には練習問題みたいに記載してあります。これが重要だというわりに、この練習方法もなければ実際の例とか、うまく行かなかった例とかを示してある場合も少ないですし、臨床的に定式化が困難な場合の対応など成熟されていません。この患者の問題を得るために、いかに患者から情報を得るのか?また、患者の要望の本音を聞き出すのかの問題は、ステップ2の情報収集より難しい情報収集でしょう。
ステップ2:問題についての情報収集
系統的に情報を収集することです。口腔外科や放射線科で問題とよくなるものとして、再発腫瘍の治療があります(特に、再再発が問題となる)。これに関して検索してもまったくと言って良いほど情報を手に入れることができません。教科書に記載されていない稀な疾患に対しても情報は少ないです。このことより、EBMは役に立たないと考えないで下さい。EBMは始まったばかりです。世界の研究者がエビデンスを日夜作っています。一方、あまり問題とならないと考えており、教科書とか学生教育で習ったことをあらためて検索すると、驚くことに沢山の情報が検索できます。現時点では、ここからEBMへ入ると役立ちます。
また、研究者の中には、いままでMedlineは使ってきたので、今さら検索方法を教えてもらわなくても結構だ、と言われる方も多いです。ここで、教える検索は医者が片手間に教えるものではなく、もともと図書などの情報処理の専門家の意見を取り入れたものです。情報処理の世界では、検索の行い方で全く世界が異なってきます。しかも、検索の行い方は次々と変わってきます。なぜなら、情報量は莫大に増え、検索エンジンのシステムが次々と更新するからです。もはや、素人の医師が片手間で検索する時代は終わりました。
ここで、少し注意する点があります。Medlineなどの元文献の情報検索とコクラン共同計画のレビューなどのライブラリーの検索を区別して考える必要があります。まずは、レビューより検索してみて下さい。
ステップ3:エビデンスの批判的吟味
各研究デザインごとに批判的吟味の手引きがあるので参考にすると、これまで自分ひとりで行なっていた時と違い、効率が良いです。特に、(1)論文の結果は妥当か、(2)論文の結果は何か、(3)その結果を目の前の患者に当てはめることができるかを吟味してください。
これまでいろいろな論文を読んできたのにいまさら?と思われるかもしれません。しかし、その読み方は誰に習ったのでしょうか?先輩に手取り足取り教えてもらいましたか。そして、論文の読み方は、自分の研究に役立てるために読み場合と、臨床に役立てる場合の読み方を区別してきたでしょうか。統計処理に関しての知識は大丈夫ですか。いろいろと、問題があるはずです。ここで、もう一度初心に返って論文を読む練習をしましょう。そうすると、今までの読み方が以下に自分の都合の良いように解釈しながら読んでいたのか理解できるはずです。EBMワークショップなどの教科書は統計の専門家も加わった本格的な教科書です。一度勉強してみるとここまで、読み込むことはなかったと思いますが。
そして、研究の時の読み方と根本的に異なるのは、患者に始まり、患者の問題に終わることを常に考えながら読む必要があるのです。批判的に読んで、この論文はダメだ!と批判するだけではなく、臨床に使うので、せっかく読んだので欠点の中にも一つでも使えるデータがあるかを考えることが大切です。これまでの研究のために読んできた読み方と根本的に意識改革してください。そして、結果に示された有意差で解釈するのではなく、データに隠されている一例一例の症例の重みを考えながら読むことが大切です。論文の著者の書かれていることを無視して、結果を素直に読むと良いでしょう。
ステップ4:エビデンスの患者への適用
臨床的能力が必要とされます。最も大切なステップです。現状では、「エビデンスがなかった」との結論に至ることが多いです。この場合、2つの状況があります。(1)論文の結果が差がなかったため、その治療行為を行う根拠がない場合、(2)論文そのものがなく、治療行為をなぜ今まで行っていたかも不明な場合です。特に(2)ような場合、どのように解釈するのか問題ですね。
ステップ5:一連のプロセスの評価
自分自身にかして、診療の質を上げてください。これがあって初めてEBMとなります。生涯教育の自己学習としてEBMをとらえるとわかるでしょう。
2005年12月27日(火) 21:54:39 Modified by mxe05064