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上海の滬東造船廠で建造された中国初のドック型揚陸艦。NATOコードは「Yuzhao class」。1番艦「崑崙山」(艦番号998)は2006年6月に起工、同年12月に進水、一年後の2007年11月に就役した。

071型は、アメリカ海軍の最新鋭ドック型輸送揚陸艦サン・アントニオ(LPD-17 San Antonio)に似た外見で、ステルス性を重視した艦容になっている。排水量はサン・アントニオ級(満載排水量25.885t、全長208.4m、全幅25.8m)と比べやや少ないが、中国海軍の揚陸艦としては最大の艦となる。満載排水量は17,600tから20,000tと見られている。船体のサイズは全長210m、全幅26.5mであり、縦横比7対8と揚陸艦としては比較的細長く、高速発揮に有利な船体形状を採用している。主機は、CODAD方式でSEMT-PIELSTICK 16PC2.6 V400ディーゼル 4基(47,200馬力)、2軸。最高速力は20kts、航続距離は18ktsで6,000nmとされているが、最高速力に関してはもう少し速い可能性もある。

船体構造は商船をベースにしていると推測されている。船体中央部には艦橋や煙突、ヘリコプター格納庫と一体化した上部構造物が配置され、2本の煙突は左右舷側に寄せられている。船体、上部構造物ともにレーダー反射率低減に配慮した設計が施されており、ステルス性の向上が重視されたことが窺える。

中国海軍の揚陸艦艇でヘリコプター格納庫と固有の搭載機を有しているのは071型が初。ヘリコプター格納庫には通常Z-8輸送ヘリコプター(直昇8/SA-321)2機を収納するが、格納庫には最大4機のヘリコプターを搭載する床面積が確保されている。艦後部の発着甲板は、2機のZ-8ヘリコプターが同時に離発着艦することが可能で、ヘリコプターの運用能力が重視された設計となっている。

主船体には車輌甲板とウェルドックが配置されている。船体中央部側面にはサイド・ランプが設置されており、車輌の搭載や物資搬入に使用される。車輌甲板の後部にあるウェルドックは艦の全長の3分の2に達しており、新開発の726型エアクッション揚陸艇(ユーイー型/玉義型)を最大4隻搭載する。071型の正確な兵員や車輌の搭載量は不明であるが、船体規模から類推して戦闘車両15〜20両、兵員400〜800名程度を輸送することが出来ると見られている。

071型は、一隻で中型エアクッション型揚陸艇4隻と大型輸送ヘリコプター2機を搭載しており、その強力な揚陸能力は、これまで中国海軍が保有してきた古臭い両用戦艦艇とは一線を画するものであるといえる。

自衛用火器としては、PJ-26 60口径76.2mm単装砲1基とAK-630 30mmCIWS4基を搭載している。071型の完成予想図や造船所が公開した模型では、HQ-7艦対空ミサイル 8連装発射機が装備されていたが、1〜2番艦には、今のところ未搭載であり、ミサイル誘導用の電子装備も搭載されていない。HQ-7が搭載されなかった理由については不明。このほか、対艦ミサイルに対するソフト・ディフェンス用に726-4型18連装デゴイ発射機4基が装備されている。

071型1番艦「崑崙山」(998)は、南海艦隊に配属されており、同艦隊の本拠地である堪江を母港としている。2010年に入ると滬東造船廠において071型もしくはその改良型と見られるドック型揚陸艦の建造が行われている事がインターネット上で報じられ、建造中の様子を撮影した写真がネットに投稿される様になっている[8][9]。同艦は2010年11月18日に進水し、「井崗山」(艦番号999)と命名された[11]。本級の数が揃えば中国海軍のパワー・プロジェクション能力は飛躍的に高まるであろう。また、揚陸作戦だけでなく、その搭載能力と航続距離、充実した指揮管制能力を活かして国連の平和維持活動や災害時の緊急援助活動でも有用性を発揮し得る。

中国は、マレーシア向けに071型をベースにとした13,000tクラスのドック型輸送揚陸艦を提案している。中国によると、071型の建造費用はアメリカのサン・アントニオ級の3分の1であるとして低価格を宣伝しているが、2010年中頃の時点ではマレーシアはどの国の提案を採用するか明らかにしていない。

【2010年9月14日追記】
2010年6月30日、アデン湾における海賊対処任務に従事するために052B型駆逐艦「海口」と071型ドック型揚陸艦「崑崙山」から編制される第六次中国海軍派遣艦隊が派遣された[6]。

「崑崙山」には任務執行のため、Z-8輸送ヘリコプター(直昇8/SA-321)2機(ロケット弾や機銃の搭載を可能とした改装を実施)と726型エアクッション揚陸艇1隻、小型高速艇2隻が搭載されている[7]。

性能緒元
満載排水量17,600〜18.500t
全長210m
全長28.0m
喫水7.0m
主機CODAD 2軸
 SEMT-PIELSTICK 16PC2.6 V400ディーゼル 4基(47,200馬力)
速力20kts
航続距離6,000nm/18kts
乗員120名

【搭載部隊】
搭載機ヘリコプター2〜4機
揚陸艇726型エアクッション揚陸艇(ユーイー型/玉義型)4隻
 小型揚陸艇LCVP2隻
揚陸兵員 400〜800名

【兵装】
対空ミサイルHQ-7(紅旗7/FM-90N/CSA-N-4)/ 8連装発射機1基(1〜2番艦は現在の所未搭載。)
PJ-26 60口径76.2mm単装砲1基
近接防御AK-630 30mmCIWS4基

【電子兵装】
対空対水上レーダー363S型(TSR-3004 SEA-TIGER)1基
火器管制レーダー345型(MR-35)SAM用1基(1番艦は現在の所未搭載。)
 TR47C(LR-66)砲用1基
 347G型(EFR-1/Rice Lamp)CIWS用2基
航海レーダーRM-1290(Racal Decca)1基
チャフ/フレア発射装置726-4型18連装デゴイ発射機4基

同型艦
1番艦998崑崙山Kunlun Shan上海滬東造船廠で建造。2006年6月起工、2006年12月21日進水、2007年11月30日就役南海艦隊所属
2番艦999井崗山Jinggang Shan上海滬東造船廠で建造。2010年11月18日進水[10]、2012年1月就役南海艦隊所属[8]
3番艦989長白山Changbai Shan上海滬東造船廠で建造。2011年9月26日進水[12]、2012年9月就役南海艦隊所属
4番艦988沂蒙山yíméng shān上海滬東造船廠で建造。2015年1月22日進水[8]、2016年2月1日就役[13]南海艦隊所属

▼本級のヘリコプター甲板は広くZ-8輸送ヘリコプターが2機同時に発着できる

▼ローターとテール部を折り畳んだZ-8輸送ヘリコプターが見える

▼艦尾ドックから発進する726型エアクッション揚陸艇

▼艦尾のドック内部。左は724型エアクッション揚陸艇を搭載中、右はソマリア沖に派遣された時の画像で小型高速艇を搭載している

▼同じく艦尾ドック内部。左は63A式水陸両用戦車89式122mm自走榴弾砲を搭載、右は86式歩兵戦闘車を搭載


▼071型を含む両用戦部隊の演習動画

▼#998「崑崙山」の演習動画。76.2mm砲やCIWSの射撃など


【参考資料】
[1]『日本に足りない軍事力』(江畑謙介/青春出版社/2008年)
[2]世界の艦船2008年2月号(NO.686)(2008年2月/海人社)
[3]Chinese Defence Today「Type 071 Landing Platform Dock」
[4]Global Security「Type 071 Yuzhao class Amphibious Transport Dock (LPD)」
[5]Jane's Fighting Ships 2009-2010(Stephen Saunders (編) /2009年6月23日 /Janes Information Group)152頁。
[6]世界の艦船2010年9月号(海人社)27、171頁
[7]中華人民共和国国防部公式サイト「中国海军新型气垫艇首次亮相深蓝」(2010年7月5日)
[8]軍武狂人夢「玉昭級船塢運輸艦」
[9]大旗網「巨猛!再曝建造中的解放军新坞登最新谍照」
[10]HSH上海发烧友论坛「[HSH原创] 热烈庆祝大型综登2号舰下水(93坞又新4图)」(2010年11月18日)
[11]東華網「解放军最大战舰成功下水 命名“井冈山”舰」(2010年12月22日)
[12]腾讯网「中国海军第三艘071型船坞登陆舰建成下水(图)_」(2011年9月27日)
[13]捜狐「东海舰队接收071舰 猜测:陆战队会否扩容?」(2016年2月19日)

【関連事項】
726型エアクッション揚陸艇(ユーイー型/玉義型)
中国海軍

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