破浪級帆装練習艦(ダーメンSTV2630型)
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rglc85tj8h 2024年09月08日(日) 16:46:23履歴
▼動画「破浪号风帆训练舰服役，海上航行画面曝光」「破浪」号での訓練風景を紹介する動画
■性能緒元
| 基準排水量 | 1,250t |
| 全長 | 84.7m |
| 全幅 | 11.10m |
| 喫水 | 5.10m |
| 主機 | 帆＋ディーゼル |
| キャタピラー C32-ACERTディーゼルエンジン（634kW）×2、2軸 | |
| 速力 | 18kts（帆走時）/11.5kts（ディーゼル） |
破浪級帆装練習艦（中国語では风帆训练舰）は、中国海軍初の練習帆船[1]。艦名は、「風に乗って波を越える」、もしくは「艱難辛苦を乗り越えて、勇気をもって前進する」という意味を持つ四文字熟語「乗風破浪」に由来する[1][2][3]。艦番号は86[1]。
同艦の設計の原案はオランダのダーメン造船所（Damen Group）の2630型帆船（Damen STV 2630）であり、同じ設計に基づいた姉妹艦として、オマーン王立海軍の「シャハブ・オマーン（別名ユース・オブ・オマーン）」が存在する[4][5][6]。建造は広州広船国際股份有限公司が担当し、2016年5月起工[1]、2017年進水の予定だったが、初の帆船建造ということで経験不足と問題の解決に時間を要し、実際の進水は2018年3月にずれ込んだ[6]。2018年1月18日から洋上公試を開始[7]。正確な就役時期は不明ながら、現在は大連艦艇学院の訓練艦支隊に所属して訓練生にシーマンシップを身に着けるための訓練任務に当たっている[1]。
【性能】
前述の通り、本級のタイプシップとなったのはオランダの2630型帆船で、同級は先進的かつ成熟した信頼性の高い練習用帆船とされる[6]。中国での建造においては装飾などに中国的特色を取り入れた[6]。
破浪のスペックは以下の通り。基準排水量1,250t、全長84.7m、全幅11.10mｍ、喫水5.10m[6]。推進装置は帆とディーゼル機関の併用で、ディーゼルエンジンの煙突は存在せず、水線下に排気する方式を採用[1]。合計26枚の帆を有しており、その最大合計面積は2,630�屬如�帆走時の最高速度は18kts[1][2]。ディーゼル推進の場合の最高速力は11.5kts[6]。最大搭載人員（実習生定員）は50名[1]。
破浪の構造は、三本マストのクリッパー帆船[2]。アルミ製の三本マストには16本のヤード（横帆を張る軸）があり、マストの帆は全て四角帆で、艦首のバウスプリットには4枚の三角帆が張られている[1][6]。艦首には金色の龍の装飾が施されており、その直後の舷側には艦番号「86」が書かれている[1]。
フォアマストとメインマストの中間には小艇が置かれており、メインマストとミズンマストの間には操縦室を配置しており、その両舷にはカプセル型救命ボートが用意されている[1]。舷側には多数の丸窓が配置されており、艦内に多数の人員を住まわせることを想定している[1]。
電子装備としては、操縦室上部に航海レーダーと通信用アンテナを揃えている[1]。
【運用目的】
中国海軍が、帆船を練習艦として採用した理由については、以下のような理由が存在している[1]。
帆船を用いた遠洋航海を行うことで、天文・水文・操舵・帆操・ロープ技術といった伝統的な航海術を身に着けることが出来る[1][6]。現在の情報化戦争においても、攻撃により機関が停止したり、航法システムが使用不能になった場合は、伝統的な航海術の技能が役に立つことになる。気象に左右される帆船での航海の体験は、海上における気象の影響の大きさと、そのなかでいかにして無事に航海を遂行し得るかという経験を積む上で効果的に機能する[1][6]。精神的な面においても、帆船による訓練は身心を鍛錬し、シーマンシップを育成する上で有効であるとされ、多数の人数による協同作業が必要な帆船での訓練は、水兵に規律ある集団行動を可能とするための規範を植え付ける近道とされる[1]。
帆船を用いることには、経済的な利点も存在する[1]。帆装練習艦の構造と設備は、当然ながら動力船の練習艦よりも簡素に納めることが出来る。各国で運用される帆装練習艦の排水量は、1,000tから3,000tの枠に収まり、民間の建造基準に基づいて建造されるので、建造期間は短く、建造費用も節約できる。そして、航海の多くで帆を使用し、ディーゼル機関は補助的に用いるのみなので、燃料消費は少なく抑えることができ、環境に優しい点も評価し得る[1]。
もう一つの帆装練習艦の利点は、国内外の港湾に寄港して、海洋文化を一般市民に知ってもらうための教育機関としての役割を果たすと共に、外国海軍との人的交流の舞台としても帆装練習船は機能する[１]。帆船は、武装した軍艦ほど相手を圧迫することなく、友好的な外国訪問の雰囲気を醸成するのに適している[6]。
上記のように帆装練習艦を建造・配備することで、海洋国家として必要とされる海軍人材の育成と、海軍文化の育成にとって重要な役割を果たし得るとされる。何世代もかけて築かれてきたシーマンシップを学ぶため、帆船により訓練を受けることで、天候、水文、潮汐、海流が海上での軍事作戦に与える影響を実体験し、人、船、海の一体化について総合的な理解を形成することが可能となる[6]。中国海軍が帆装練習艦を配備したことは、各国の海軍の伝統に倣った長期的な人材育成に向けた布石の一つであると見なすことが出来るだろう。
| 1番艦 | 破浪 | Pòlàng | 86 | 広州国際造船廠で建造。2016年5月起工、2018年3月進水。 | 大連艦艇学院所属 |
[1]天养「破浪前行砺尖兵—浅析中国海军“破浪”号风帆训练舰」『兵工科技』2024年第16期（兵工科技杂志社）18〜22頁
[2]新华报业网「起航！海军破浪舰执行远海实习训练和访问任务」（2024年8月20日/人民海军微信公号）https://www.xhby.net/content/s66c49501e4b019ce5659...
[3]国家教育研究院公式サイト「乘風破浪 [正文] - 成語檢視 - 教育部《成語典》2020 [基礎版]」http://dict.idioms.moe.edu.tw/idiomView.jsp?powerM...
[4]星島日報「解放軍「破浪號」風帆訓練艦月中起遠海實習訓練」（2024年8月16日）https://std.stheadline.com/realtime/article/201768...
[5]駐日オマーン・スルタン国大使館（東京）「オマーン日本外交樹立40周年記念 オマーンと日本―桜とバラがつなぐ交流の歩み」（2013年）https://japan-oman.fm.gov.om/ja/assets/pdf/OmanJ_4... 55頁
[6]GlobalSecurity.org「Polang / Brave the Waves - Damen STV 2630 - Sail Training Ship」https://premium.globalsecurity.org/military/world/...
[7]Youtube「破浪号风帆训练舰服役，海上航行画面曝光」（2019年7月18日/烽火议军情）https://www.youtube.com/watch?v=UYFqa4MP4uM
中国海軍