日本の周辺国が装備する兵器のデータベース




J-15(殲撃15)「飛鯊」は、瀋陽飛機工業集団公司が、ロシアのSu-33艦上戦闘機や同社がSu-27SK/J-11を元に開発したJ-11B戦闘機の技術をベースとして開発中の艦上戦闘機である。当初はJ-11H(Hは海Haiの頭文字)やJ-11BHなどの名称が出ていたが、2009年頃からJ-15という名称で呼ばれる事が増えてきた。ニックネームの「飛鯊(フライングシャーク)」は、J-15の設計主任である孫聡技師によると、開発時に計画を秘匿するためのコード名として使用されたとの事[21]。


【開発経緯〜技術収集段階】
中国海軍では将来の空母保有を前提に、ロシアとの間でSu-33艦上戦闘機の購入に関する交渉を行っていたが、ロシア側が提示した48機で25億ドルという価格や中国側が技術移転とライセンス生産を要求した事などがネックとなり、交渉妥結には至らなかった[1]。

中国ではSu-33の購入交渉と並行して同機に関する情報収集を行っており、特に旧ソ連から独立したウクライナへの接近を図っていた。ウクライナはソ連における空母建造を担っていたニコラエフ造船所の所在地であり、クリミアのサキ飛行場に旧ソ連時代に建設された空母訓練施設「ニートカ」の現在の所有国であり、ソ連の空母や関連施設に関するさまざまな技術・ノウハウを有していた。中国は、ウクライナから未成空母「ワリヤーグ」をスクラップ名義で購入、合わせて「ワリヤーグ」の全ての設計図を購入。その後、ワリヤーグは、中国に回航され大連において長期間にわたる調査の後、大規模な復旧工事が実施され空母「遼寧」として中国海軍に就役した事はよく知られている。中国はさらに調査団を「ニートカ」に派遣して、陸上に設置されたスキージャンプ甲板の構造、模擬訓練センター、アレスティング・ワイヤなどの調査を行うなど将来の空母保有に向けた情報収集作業を進めていた[2]。

2000年からは、ウクライナが数機を保有していたSu-33の試作機の直接購入を目指してウクライナとの間で交渉が開始された。最終的に中国はウクライナからSu-33の試作機の1機であるT10K-3の購入に成功。資料[3]によると中国がウクライナからT10K-3を入手したのは2001年との事とされる。

T10K-3はSu-33開発の過程で製造された機体の1つであり、主翼や尾翼の折り畳み式機構を備え、空母への着艦を前提とした着艦用フックや脚部の強化が施されており、空中給油用プローブや赤外線センサーなども完備した実用機に近い装備を備えた機体であった[2]。ソ連崩壊後にウクライナの手に渡ったT10K-3は、当時「ニートカ」基地で保管されていたが、10年近く野外に放置されておりロシアからの部品供給もできなかったため、すでに飛行不能な状態に陥っていた[2]。

その後のT10K-3の状況については不明であるが、機体は中国に送られて実地調査と各種構造の分析作業が行われたと見られる。それまで艦載機の保有・開発経験を有していなかった中国にとっては、T10K-3の分析により艦上戦闘機に関する貴重な情報を得る機会となったことは間違いない。特に艦載機にとって重要となる、翼の折り畳み機構、着艦用フック、着艦の衝撃に耐えうる強化型脚部については優先的な分析とリバースエンジニアリングが図られたと推測されている[2]。

着艦高速装置については、ウクライナから現物を入手するだけでなく、それを生産していたロシア企業に接近して購入を図っており、2006年にはSu-33用着艦用フック4基、そして空母に搭載する着艦拘束システム4セットの調達に成功していた[4]。

【艦上戦闘機の自主開発へ】
中国ではロシアからのSu-33購入交渉と並行して、国内での艦上戦闘機開発についても検討作業を行っており、2006年に入ると軍の要求を受けて国内の2つの戦闘機メーカーである瀋陽飛機工業集団公司と成都飛機工業集団公司が艦上戦闘機開発計画を提案するに至った[5]。

瀋陽飛機工業集団公司はウクライナから調達したT10K-3の分析とリバースエンジニアリングにより得られたデータを元にして当時開発中だったJ-11Bの技術を加味して、中国版Su-33というべき機体(J-15)を開発するという提案を行った。T10K-3という手本を参照しつつ開発を行う事は、新規開発に比べて大幅に開発期間を短縮できるというメリットがあった。同社はロシアのSu-27SKのライセンス生産やSu-27SKを基にしたJ-11Bの開発を行っていたことからSu-27系列の機体に関する豊富な経験を有しており、それによって得られた人的・技術的基盤や生産施設を中国版Su-33/J-15の開発・生産に利用できるのも強みであった[5]。

しかし、Su-33をベースにした艦上戦闘機を開発するという事は、Su-33の開発を行ったスホーイ社、そして中国によるロシア製兵器のコピーや権利侵害に敏感になっているロシアとの間に新たな紛糾を齎しかねない危険性が存在した[5]。

成都飛機工業集団公司では、同社のJ-10戦闘機をベースとしてエンジンを双発化した機体の開発を提案した[5]。エンジンは中国製WS-10Aを搭載、機体構造の95%が再設計される予定であった。J-10は比較的小型の機体のため、航続距離や兵器搭載能力が必ずしも十分ではないとの指摘を受ける事もあったが、このJ-10発展型では双発化と機体の大型化により上記の問題を解決し得るものと思われた。ただし、成都案はJ-10をベースにしているとはいえ実質的にはほとんど新規開発に等しい計画であり、新規開発に関するリスクとある程度の開発期間を要することが懸念材料とされた[5]。

最終的に海軍航空隊と兵器の調達を総括する総装備部では、成都案については新規開発リスクと開発期間の長さ、そして成都飛機工業集団公司にはこれまで双発戦闘機開発の経験が無い事などを踏まえて不採用とし、瀋陽が提案したJ-15の開発を推進することを決定した[5]。

2009年10月、J-15の存在が公になる事態が発生した。湖北省武漢市において、原寸大の空母上部構造物を模した陸上施設(第701研究所/中国艦船設計研究センターの建物)の建設が行われているのが明らかになったが、その模擬甲板上に、Su-33似の艦上戦闘機(J-15)とZ-8ヘリコプターの原寸大模型が置かれているのが撮影された[7][8][9]。この艦上戦闘機の模型はJ-15の原寸大模型であり、中国がSu-33を元にした艦上戦闘機の開発を行っている事を類推させる証拠となった。

J-15の試製初号機の製造は2008年に開始された[6]。『漢和防務評論』2010年7月号の報道によると、J-15試製01号機は2009年9月に完成、地上滑走試験や折り畳み翼の作動試験等が行われたとの事[10]。ただし、初飛行は2009年中には実施されるには至らなかった。初飛行が行われなかった理由については不明であるが、同じ時期に瀋陽飛機工業集団公司が製造したJ-11Bの第二次生産分の機体にトラブルが発生し軍が受領を拒否する事態が発生しており、その影響があった可能性も指摘されている[10]。

J-15の初飛行については、2009年8月、2010年5月という2つの説がある[6][10]。現時点では開発経緯については不明な点が多く、いずれが正しいのか判断は難しいが、後者については瀋陽市にある瀋陽飛機工業集団公司の試験飛行場で行われたもので、試験飛行の様子が撮影されてインターネット上に公開されている。

J-15の試作機は、2010年5月以降、瀋陽の試験飛行場において複数回の飛行を行っているのが確認されており、飛行中の様子を捉えた動画も撮影されている。

2012年11月25日のNHKの報道によると、中国国営の新華社通信は、中国初の空母遼寧(元ワリヤーグ)で艦載機による発着陸訓練が行われ、成功したと報じた[23]。既に、遼寧でのタッチ・アンド・ゴー訓練が実施されていることは報じられていたが、今回の報道で発着艦訓練の成功が公式に明らかにされたことになる。CCTV13のニュースでは、2機のJ-15(機体番号552、553)が空母遼寧に着艦して、スキージャンプ甲板を利用して発艦するまでの一連の様子が放映された[24]。

【機体の特徴】
J-15は現在開発中の機体であり、開発経緯や具体的な性能などについては明らかにされていない。そのため、以下の記述は外観から判断できる事が中心となり、類推や憶測が多くなる事を断っておく。

J-15の機体の基本的な形状については前述の通りSu-33/T10K-3に範を採っており、カナード、主翼、尾翼を併せ持つスリーサーフェス形態を採用している。スホーイではこの翼形状をタンデム・トリプレーン方式と称している[11]。Su-33の原型機であるSu-27ではカナード翼は搭載されていなかったが、Su-33では空母への着艦に必要な低速飛行時の運動性改善と離陸性能を向上させるために主翼前縁部にカナード翼を装着したタンデム・トリプレーン方式が採用されるに至った[12]。中国でもスリーサーフェス形態の研究は行われていたが、実用戦闘機で同方式を採用するのはJ-15が初となる。

なお、Su-33は左右のカナードを同調して可動させる方式を採用しているため縦方向の機動制御のみ行う事が可能。後に開発されたSu-30MKIやSu-27KUB、Su-34、Su-35/37では左右のカナードを別々に動かす事で、縦方向のみならず横方向の機動制御も行う事が出来る様になっている[12]。J-15のカナードが上記のどちらの方式を採用しているのかは、現時点では不明。

空母の着艦では、移動する空母の飛行甲板に正確に着陸する事が求められるので、低空域での安定・確実な飛行性能が求められた[22]。

機体制御系統については、J-11B戦闘機が採用している中国製3軸安定型4重デジタルフライバイワイヤを元に開発されたシステムが搭載されているとされる[13]。ただし、J-11Bの機体制御系統の信頼性にはやや問題があり、J-11Bの第二次生産分の機体の試験飛行を実施した際に異常振動が発生し、軍が受領を一時中止したという事件が生じている[13][15]。新たにカナード翼の制動も加わったJ-15の機体制御系統が十分な信頼性を確保できるかは今後の重要な課題になると見られている[13]。

フランカーシリーズに共通する機体尾部のテイルブームについては、Su-33と同じ短縮型が採用されているが、これは着艦時の機首上げの姿勢の際、テイルブームが甲板と接触する危険性を回避するためのもの。テイルブーム下に着艦用フックを装着しているのもSu-33と共通している。この他に、空母での運用に必要な折り畳み翼、発着艦の衝撃に耐え得る強化型脚部などについても、Su-33/T10K-3のものをベースとした装置が採用されている[6]。外観からは判断が出来ないが、Su-33に施されているものと同じ様な各種の防水・防錆対策が講じられているものと思われる。

ただし、J-15はSu-33の完全なコピーというわけではなく、機体構造やレーダー・兵器システムなどについてはJ-11Bに由来する技術を取り入れているとされる[6]。試作機の外観から判断すると、J-15はJ-11B/BSと同じ様に垂直尾翼や主翼の多くの部分に複合材を使用しており、Su-33よりも複合材の使用範囲がかなり増やされていると推測されている[10]。機体構造により多くの複合材を使用することで、J-15の空虚重量はSu-33よりも軽量化されている可能性が高く、J-15はSu-33よりも燃料や外部兵装の搭載能力が向上していると見られる[10]。折り畳み翼やアレスティング・フック、着艦の衝撃に対応した機体や降着装置の構造強化などにより、艦載機は通常の陸上機よりもどうしても重量が増加してしまう。そのため、J-15の開発では重量増による性能低下を出来うる限り抑えるのが重要な目標とされた[22]。

Su-33では機首左側に伸縮式の空中給油用ブロープが収納されているが、J-15が同じ装置を搭載しているか否かについては現時点では不明。キャノピーを挟んだ機首右部に機体中心線上から右にオフセットして赤外線/追尾/レーザー照準装置を搭載しているのはSu-33と同じ。これは着艦時の前方視界向上を目的とする配置。

【動力系統】
J-15試作機が搭載しているエンジンについて公式のアナウンスはされていないが、外部から確認できるエンジンノズルの形状をみるとSu-27/J-11が搭載しているロシア製AL-31Fターボファンエンジンと同じ形状をしており、同エンジンが搭載されていると推測される。なお、J-15の原型Su-33では海上での運用に対応して腐食対策を施すなどの改良を行ったAL-31F3が搭載されているが、中国が(T10K-3に搭載されていたものを除いて)同エンジンを調達したという話は伝わっていない。

中国ではAL-31Fと同クラスの戦闘機用ターボファンエンジンWS-10A「太行」の開発を進めているが、現時点では試験運用段階であり、耐久性や信頼性においてなお解決すべき課題があるとされていた[14]。しかし、2011年5月にはWS-10系列のエンジンを搭載したJ-15が撮影されており、J-15に搭載した状態での飛行試験段階に進んだことが明らかになった[21]。一説には、J-15が搭載したエンジンはFWS-10HというWS-10Aの派生型で、J-15の全備重量での発艦能力を高めるため最大推力がWS-10Aの128,9kNよりも強化されているとの情報がある[6][22]。

2013年3月、J-15の設計主任である孫聡技師は、国産エンジンについて既に使用可能な段階に達しているが、理想的な運用状態にするには、なお作業が必要であるとしており、WS-10A/H搭載に向けた開発作業が継続している事を明らかにしている[28]。


【レーダー、電子装備など】
J-15は機体形状など多くの面でSu-33を踏襲しているが、電子装備やレーダー、兵器システムなどについてはその多くが冷戦末期に開発されたもので旧式化が進んでいたこともあって、より新しいJ-11Bのそれをベースにしているとされる。

J-15のレーダーについては公式の情報は存在しないが、J-11Bの1474型多用途パルス・ドップラー・レーダーを開発の基礎にしているとの情報もある[6]。1474型は同時探知・追跡能力を有しており、対空のほかに対地・対艦攻撃モードも備えている多用途レーダーである。J-15の搭載に当たっては、洋上任務に合わせて対艦捜索能力が強化されている可能性が指摘されている[6]。

レーダー以外の捜索センサーとしては、Su-33と同じくキャノピー前方右側に赤外線/レーザー照準装置を搭載しており、この装備によりJ-15はレーダー波を発することなく、目標の捜索・追跡を実施する事が可能となっている。この他、コクピットについてもJ-11Bをベースとしているとされ[6]、複数の多機能ディスプレイ(MFD)を搭載するなどグラスコクピット化が図られているものと見られる。

【兵装】
J-15のベースとなったSu-33は、艦隊の防空圏の外延部に展開して、艦隊に接近する航空機や対艦ミサイルといった経空脅威を排除することが求められた事もあり、空対空戦闘を主任務として補助的に空対艦ミサイルによる対艦攻撃を行うものとされ、対地攻撃任務は二義的な任務とされ、実用化の時点では原型となったSu-27と同じく精密誘導兵器の運用能力は備わっていなかった[16]。(なお、ロシア海軍のSu-33は2001年以降に実施されたアップグレードにより精密誘導兵器の運用能力が付与されている[17]。)

J-15は、マルチロールファイターとしての性格を強めたJ-11Bの兵器システムを元にしている事もあり、 LT-2レーザー誘導爆弾(雷霆2型)LS-6滑空誘導爆弾(雷石6)YJ-91高速対レーダーミサイルYJ-83K空対艦ミサイルKD-88空対地ミサイル(空地88)といった多様な対地・対艦攻撃兵器を搭載・運用する事が可能と思われる。

空対空戦闘では、中国国産のPL-12アクティブ・レーダー誘導空対空ミサイル(霹靂12/SD-10)PL-8赤外線誘導空対空ミサイル(霹靂8/Python-3)を使用すると見られる。同時探知・追跡能力を有する1474型多用途レーダーと打ちっぱなし能力を持つPL-12の組み合わせによりJ-15は同時に複数目標への攻撃を行うことが可能となっている。

この他、固定武装としては、Su-33やJ-11Bと同じく右主翼前縁部にGSh-30 30mm機関砲一門を搭載しているものと思われる。

2013年9月から10月にかけて洋上訓練を実施した遼寧において、J-15の最大重量発着艦テストが実施された[23]。各種写真や映像などによると、この試験でJ-15が装備した兵装は以下の様になる[23][24][25]。
空対空任務PL-12×2、PL-8×2
空対地任務500kg通常爆弾×4、PL-8×2
空対艦任務YJ-83K空対艦ミサイル×2、PL-8×2
空中給油任務?バディ給油用ポッドらしき装備を胴体中央に搭載

J-15の原型となったロシア海軍のSu-33の場合だと、スキージャンプ使用時の最大発艦重量は30t(通常離陸時は33t)で、この状態での機内燃料と外部ペイロードを合わせた重量は11.600kg。スキージャンプ甲板からの発艦時の外部ペイロードは6.5t(陸上基地からの離陸では最大8t)となっているが、外部兵装を最大限まで搭載すると機内燃料は5.1tしか積めず、逆に機内燃料を満載にすると外部兵装は2.1tに制限される[26]。

上記の最大搭載試験での兵装では、最も装備重量が重い空対地兵装で2トンを越える重量になっており、これは燃料満載時のSu-33の外部ペイロードとほぼ同じと見なす事ができる。機内燃料満載の状態では外部ペイロードを満載には出来ないのは、Su-33と共通している。外部兵装を多数搭載して作戦を実施する場合には、燃料搭載量を減らした状態で発艦した後、別のJ-15からバディ給油により燃料補給を受けてから作戦空域に向かう事により対処する必要がある。

空対空任務の場合は、試験ではPL-12×2発とPL-8×2発を搭載したが、PL-12の重量が180kg、PL-8の重量が115kgなので、合計重量は590kgとかなり余裕のある状態。12箇所のパイロンをフルに利用してPL-12×6、PL-8×4と翼端パイロンに電子戦ポッドを搭載した状態でも2トンには達しないので、空対空任務では燃料の制約を受ける心配は少ないと考えられる。

【派生型】
J-15の派生型としては、複座型J-15Sの存在が確認されている[6]。Su-33にも並列複座型のSu-33UBが存在するが、J-15SはSu-27UBKやSu-30MKK/MK2と同じタンデム座席を採用している。Su-33UBは単なる転換訓練機に留まらず、Su-33には欠けていた本格的な対艦・対地攻撃能力を有する多用途戦実闘機として開発されたが、J-15Sの開発目的についてはまだ明らかになっていない。J-15Sが単なる訓練型に留まるか、F/A-18FからEF-18Gに発展した様に各種派生型の母体になるか今後の展開が注目される。J-15Sは、2012年11月23日に初飛行に成功している[6]

【今後の展望】
2006年に開始されたJ-15の開発は、T10K-3/Su-33とJ-11Bというベースとなる機体が存在した事もあって順調に進展し、4年後には初飛行に漕ぎ着けるというハイペースなものであった。

今後は試作機を使用した性能実証試験段階に移行することになる。特に、艦上戦闘機として必要な各種システムについては、これまでの運用経験が無い事もあり、段階的な実証試験の積み重ねにより問題の洗い出しとノウハウの構築を進めていくものと思われる。中国海軍では既に遼寧省葫芦島市の顔良や興城にある海軍航空隊の飛行場において空母の模擬発着艦訓練を行うための施設の建設を実施していることが衛星写真の分析から判明しており[18][19]、これらの基地でJ-15の試験とパイロットの訓練が行われてきた。

中国がSu-33を元にしてJ-15を開発した事について、Su-33の開発・運用国であるロシアは、中国による新たな自国兵器に対する権利侵害事案であるとしてその動向を注視している[20]。ロシアと中国は2008年に兵器に関する知的財産権保護協定に調印しているが、J-15の存在は協定締結後も中国がロシア製兵器に対する権利侵害を継続している事例として両国の兵器貿易をめぐる新たな紛糾材料になる可能性がある。問題が解決しない場合、ロシア側では中国に対するAL-31Fエンジンの供給を制限して、ロシアのライセンス生産権が与えられていないJ-11BやJ-15がAL-31Fを利用できない様にする事も提案されているとされる[20]。現時点ではAL-31Fの供給制限は提案段階に留まっているが、仮に供給制限が実施された場合には、J-15の実用化に大きな影響を与える事態であり、今後の動向が注目される。

J-15性能緒元
重量 
全長 
全幅 
全高 
エンジンAL-31F(推力A/B 122.6kg)×2
WS-10A(推力A/B 128.9kN)もしくはFWS-10H×2
最大速度 
航続距離 
上昇限度 
ハードポイント12箇所(主翼8、胴体下4)
武装GSh-301 30mm機関砲×1(150発)
 PL-12アクティブ・レーダー誘導空対空ミサイル(霹靂12/SD-10)
 PL-8赤外線誘導空対空ミサイル(霹靂8/Python-3)
 LT-2レーザー誘導爆弾(雷霆2型)
 LS-6滑空誘導爆弾(雷石6)
 FT-1/3誘導爆弾(飛騰1型/3型)
 YJ-91高速対レーダーミサイル(鷹撃91/Kh-31P/AS-17C Krypton)
 YJ-83K空対艦ミサイル
 KD-88空対地ミサイル(空地88)
 各種爆弾/ロケット弾など
外部ペイロード燃料満載時:2トン台(空母での運用の場合)
乗員1名(J-15)/2名(J-15S)

▼着艦体勢のJ-15。アレスティング・フックは降ろしていない

▼空母「遼寧」のアレスティング・ワイヤーを利用して着艦したJ-15

▼主翼と水平尾翼を折り畳むJ-15

▼「遼寧」艦首のスキージャンプ部から発艦するJ-15

▼昇降用エレベータに載ったJ-15。主翼、水平尾翼に加えて、機首先端のピトー管も折り畳んでいるのが分かる

▼J-15複座型。Su-27UBKやSu-30MKK/MK2と同じタンデム座席を採用している。


▼試験飛行中のJ-15を撮影した動画。

▼J-15による空母遼寧への発着訓練を報じるCCTV13のニュース


【参考資料】
[1]Kommersant 2007年5月7日「China Lays Down Russian Arms」
[2]Yuri Baskov、Andrei Chang「中国獲得Su33原型機的秘密」(『漢和防務評論』2009年9月号(No.59)24〜25頁。)
[3]Yefim Gordon、Dmitriy Komissarov著『Chinese Air Power:Current Organisation and Aircraft of All Chinese Air Forces』(Midland Pub Ltd、2010年8月)381〜382頁
[4]Jeff Chen、平可夫「中国正式啓動建造「特種大型軍用船舶」(航空母艦)工程〜子系統的購入」(『漢和防務評論』2007年9月号(No.35)31〜35頁)
[5]平可夫「胎死腹中的J10双発戦闘機上艦計画」(『漢和防務評論』2010年11月号(No.73)22〜23頁)
[6]Chinese Military Aviation「J-15/15S Flying Shark」
[7]China Defense Blog「Saturday, October 10, 2009A full scale mockup of the Varyag is under construction near Wuhan.」(2009年10月10日)
[8]「中国建造陸地航母模型」(『漢和防務評論』2009年12月号(No.62)44〜45頁)
[9]中国教育在線「中国舰船研究设计中心(701所)(原武汉船舶设计研究所)研究生招生信息」
[10]平可夫「J15艦載戦闘機開始試飛」(『漢和防務評論』2010年7月号(No.69)22頁)
[11]軍事研究2008年8月号「日本防空の仮想敵:空自戦闘機の脅威(2) ロシア大形戦闘機Su-27/30フランカー」(石川潤一/ジャパン・ミリタリー・レビュー)
[12]National Defence防務-専供疏武弘棒鐺機「遠洋之鷹-俄羅斯海軍蘇-27K及蘇-33戦闘機的発展」(梁爾郁/海陸空天慣性雑誌社/2005年)
[13]空军世界「歼15我军新型舰载战斗机 外形酷似苏-33 带鸭翼」
[14]「中国制造第一架J15艦載戦闘機」(『漢和防務評論』2010年5月号(No.67)26〜27頁)
[15]Yuri Baskov・平可夫「第二批殲撃11B戦闘機全部趴窩軍隊拒驟収」(漢和防務評論2010年6月号(No.68)18〜19頁)
[16]National Defence防務-専供疏武弘棒鐺機「遠洋之鷹-俄羅斯海軍蘇-27K及蘇-33戦闘機的発展」(梁爾郁/海陸空天慣性雑誌社/2005年)
[17]Yahoo!ブログ〜ロシア・ソ連海軍〜「艦上戦闘機Su-33」(2006年11月23日)
[18]平可夫「中国海軍更大的製造航空母艦計画」(『漢和防務評論』2010年10月号(No.72)27〜31頁)
[19]平可夫「中国正式建設海軍飛行員訓練中心」(『漢和防務評論』2010年10月号(No.72)32〜33頁)
[20]平可夫「俄羅斯対J15不高興」(『漢和防務評論』2010年11月号(No.73)20〜21頁)
[21]新浪網「总设计师披露歼-15为何叫飞鲨 下代舰载机有安排」(2013年9月9日)
[22]新浪網「歼-15总师孙聪:中国下代舰载机2020年前问世」(2013年3月7日)
[23]新浪網「歼15首次实现最大重量挂弹航母起降(图)」(2013年9月18日)
[24]飞扬军事「从视频祯放来看J-15的挂载模式」(2013年9月19日)
[25]飞扬军事「歼15挂的什么?」(2013年9月21日)
[26]旧『ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課』(Yahooブログ)「スキージャンプ(STOBAR)とSu-33」
[27]新浪網「独家解读:歼-15最大重量起飞作战半径超800公里」(2013年9月18日)
[28]新浪網「总师:歼-15很快形成战斗力国产发动机不够理想」(2013年3月10日)

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