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不器用

679 名前: ◆JhF0qDQSSc [sage] 投稿日:2007/12/13(木) 22:59:30 ID:372paqrG
ひさびさ投下。
王道なのフェイ。

680 名前:不器用 ◆JhF0qDQSSc [sage] 投稿日:2007/12/13(木) 23:01:47 ID:372paqrG
先日、告白をしました。
「フェイトちゃんが好き。友達としてじゃなく、一人の女の子としてつき合ってください」

六課解散後、航行任務に復帰することになったフェイトちゃんにぎりぎりになって幾年の想いを打ち明けた。
最初は、
「たまにしか帰られないなら住所は変えないでも…」
とか
「ヴィヴィオももう一人のママがいなくなるのは寂しいと思うし…」
とか
うまいいいわけを考えてたんだけど、結局ストレートにぶつかることにした。
結果、
「うん、いいよ」

なんともあっさりと承諾。
最初は勘違いかと思ったけど、
「なのはと恋人になるんだよね?」
ちゃんと理解しているようで。
ともかく私の想いは受け入れられた。
その日の私は天にも昇る気分だった。

けど、
付き合い出して1ヶ月ほどたった今、私の中である疑問がくすぶっていた。
「フェイトちゃんは私のこと本当に好き?」

初めて手をつないだ時、
「うん」
初めてキスしたとき、
「うん」
初めて体を重ねた時、
「いいよ…」

なんか私が一人であれやこれやとお願いしてる。

681 名前:不器用 ◆JhF0qDQSSc [sage] 投稿日:2007/12/13(木) 23:04:22 ID:372paqrG
フェイトちゃんが自分から言ってきてくれたことはない。
フェイトちゃん、あまり強くでると流されることが多いから…
私のことも断るに断われなかったんじゃ…?

やだ。
こんなフェイトちゃんを疑うなんて…
頭でそう思っても疑念は晴れない。

フェイトちゃん。

私のこと…ほんとうに好き…?

「なのはママ〜?」
はっ。
気がつくとヴィヴィオが私の顔を不安げに覗き込んでいた。
「ごめん、ヴィヴィオ。
どうしたの?」
親は子供には笑顔を向けていないと。
「きょうフェイトママが帰ってくるってゆってたから」
そうだった。
月に一度あるかわからないフェイトちゃんの帰宅。
きょうはその貴重な日だ。
むろん私も休みをとった。
教導を交代してくれるヴィータちゃんには感謝しっぱなしだ。
「よし、それじゃフェイトママを迎える準備しようか?」
「はーい!」
フェイトちゃんはいつも大変だ。
私はさっきの思いを保留する。
いつも家族は大黒柱を笑って出迎えないと。
「ん、じゃお掃除からね?ヴィヴィオも手伝ってね」
「はーい」

682 名前:不器用 ◆JhF0qDQSSc [sage] 投稿日:2007/12/13(木) 23:07:06 ID:372paqrG
「ぐぅ…すぅ…」
掃除を始めて数時間。
ヴィヴィオは一生懸命手伝ってくれたせいか、ソファで寝息をたてはじめた。
「ちゃんとベッドで寝ないとだめよ〜」
私はヴィヴィオを抱えるとベッドまで運ぶ。
しっかり毛布もかけて…と。

一息ついたところで寝室に置いているPCが目に入った。
「今のうちに…」
管理局にたまっていた書類を提出しようと電源を入れた。


「ん…?」
ふと見るとデスクトップに見慣れないアイコンがあった。

『diary.txt』

…!
これ、フェイトちゃんの日記だ…!
そういえばフェイトちゃんはデータで日記をつけてるって言ってたっけ…
削除し忘れたんだ。
「まったくもう。肝心ところで抜けてるんだから…」
私はそういってゴミ箱にドラッグしようとする。
しかし、そこで気づく。
(フェイトちゃんの日記…見たい…)
それはいけないことだ。
だがしかし私は罪悪感よりもフェイトちゃんの本心を知りたい欲求が大きくなっていた。
「フェイトちゃん…ごめん…!」
私の手は日記をクリックしていた。

最初に開いたページにはインデックスのリンクが年単位でおいてありそれは十年前から今まで続いてあった。
私は最古の年をクリック。

683 名前:不器用 ◆JhF0qDQSSc [sage] 投稿日:2007/12/13(木) 23:09:36 ID:372paqrG
すると次は月単位のインデックス。
私はその中の一番早い月を選択する。
これでもう後にはひけない。
私は心の中でもう一度フェイトちゃんに頭を下げながらクリックした。


○月○日
今日から地球の海鳴市に提督のご家族たちと住むことになった。
「らしい生活しなきゃ」
とエイミィから日記を勧められたのでつけることにする。

○月○日
初めて学校にいった。
ビデオレターで見かけていたアリサとすずかに会う。
初対面なのに昔からの友人のような気がした。
仲良くしてほしい。

○月○日
すずかの友達という子のお見舞いに行く。
そこで魔導師襲撃事件の犯人たちに会う。
…今の事件には何か理由があるようだ。
話し合いはできないのだろうか。

○月○日
久しぶりの日記。
無事、闇の…いや夜天の書事件解決。
はやてやヴォルケンリッターたちは悲しい別れもあったけど、私は新しい友達と腕を競い合う仲間ができた。
みんな、仲良くしようね。

684 名前:不器用 ◆JhF0qDQSSc [sage] 投稿日:2007/12/13(木) 23:12:04 ID:372paqrG
「……」
ついつい読みふけってしまった。
懐かしいなあ。
思えば私はあのときはフェイトちゃんのこと好きって自覚なかったな。
私は自分のことが書かれてないものかとページを少し飛ばす。

○月○日
執務官試験。
…があえなく不合格。
「まあ元から簡単な資格じゃないしね」
義母さんから慰められた。
やはり精神的に不安定だったのがいけなかったようだ。
次はがんばる。


「……」


○月○日
三回目の試験。
…驚くことにすんなり合格した。
義母さんやクロノたちが集まって盛大にお祝いしてくれた。
嬉しかった。


「…フェイトちゃん」
私のことは何一つ触れていない。
飛ばし飛ばし読んでも私のことは全然書かれていない。
そりゃフェイトちゃんの日記なんだからフェイトちゃんが好きに書けばいい。でも…

685 名前:不器用 ◆JhF0qDQSSc [sage] 投稿日:2007/12/13(木) 23:14:59 ID:372paqrG
このとき、
私は、
すごく、
大変だったんだよ?

フェイトちゃんにとってはなんてことないことだったの?
あんなに心配してくれたのに?
心にどんよりと影が落ちた。
…見なければよかった。
私は後悔の念にかられた。
フェイトちゃん…
ごめんなさい…
私、強引だったんだね…
気づけば目に涙がたまっていた。

もう、やめよう。
今日帰ってきたフェイトちゃんに謝ろう。
そう思った私は即座に日記を片づけようとした。

そのとき、

「ん…?」
ブラウザのスクロールバーが余っていることに気がついた。
変だな。
スクロールしても出てくるのは空白ばかり。
他のページも同様だった。
「なんでこんな…?」
ミスにしては不自然すぎる。
まるで、何かを消したみたい―

686 名前:不器用 ◆JhF0qDQSSc [sage] 投稿日:2007/12/13(木) 23:20:03 ID:372paqrG
…!
そこで私は一つ閃いた。もしかして…
マウスをその空白に持っていきドラッグ。
最初の数行は何もなかったが、
「…あ!」
ビンゴ。
白色で書かれた文字が反転して浮き出てきた。
「こ、これって…!」
私はそこに書かれた内容を見て驚愕に目を見開いた。



○月○日
あとで見た時、恥ずかしいのでなのはのことはこっそり書くことにした。
今日からなのはと同じ学校。
うれしいな。
家も近くだしすぐ遊べるね。

○月○日
アリサやすずかと遊ぶのも楽しいけど、やはりなのはと一緒が一番楽しい。
今日は初めてお風呂で洗いっこした。
ずっとドキドキしてたのばれなかったかな…

○月○日
なのはが怪我をした。幸い命に別状はなかった。私はなのはに言葉しか上げられない。
治療に通じてるシャマルをこれほどうらやましいと思ったことはなかった。
なのは。
私をおいていかないでね。

688 名前:不器用 ◆JhF0qDQSSc [sage] 投稿日:2007/12/13(木) 23:24:13 ID:372paqrG
○月○日
なのはがリハビリを始めた。
全力でサポートしようと思う。
そのおかげで試験は落ちるがまた受ければいい。
試験は次があるがなのはは一人しかいない。
わたしがついてるから、がんばろうね。なのは。
○月○日
なのはが近所の中学の男子に告白された。
断ったと聞いたとき、わたしはすごくほっとした。
やはりわたしはなのはが好きなんだ。
恋愛対象として。
なのははどう思っているんだろう…?

○月○日
機動六課での宿舎でなんとなのはと相部屋になった。
これからいつも一緒だね、なのは。



「……フェイトちゃあん」
気づけば私はまた別の涙を流していた。
フェイトちゃんはこんなにも私のこと、考えてくれてたんだね。
やっぱりフェイトちゃんは優しい。
そのとき私は気づいた。
「あ、この日記…」
最新の項目は二週間前―つまりフェイトちゃんが前きた時まで書いてあった。
私が告白した時のもある…
それに気がついた私はまたページをとばし、はやる気持ちを押さえてクリックした。

689 名前:不器用 ◆JhF0qDQSSc [sage] 投稿日:2007/12/13(木) 23:26:46 ID:372paqrG
○月○日
すごいことが起きた。
なのはに告白された。
嬉しい!
ずっと片思いだと思ってたのに!
今日は記念日にしよう。
○月○日
なのはと初キス。
最近気づいたがわたしは恋愛をしたことがないので、どんな態度をとればいいのかよくわからない。
なのはに嫌われたくないからなのはからのお願いは全て叶えたい。
けど、わたしからお願いしてもいいのかな?
うう…今度エイミィに聞いてみよう。
迷っているせいでなのはへの態度がぶしつけになっていた気がした。
ごめんね、なのは。
なのはのこと大好きなんだよ。ホントだよ。

○月○日
ついになのはと体を重ねた。
初めてだから戸惑ったけどうまくできてよかった。
日増しに心からあふれるこの思いはどうやってなのはに伝えればよいのだろう。
不器用な自分が嫌になる。
なのは。大好き。愛してる。
なのはのお願いならなんだって聞けるんだ。
わたしは、なのはの恋人だから。

690 名前:不器用 ◆JhF0qDQSSc [sage] 投稿日:2007/12/13(木) 23:30:04 ID:372paqrG
すべての日記を読んだ私は泣いた。
そして理解した。
フェイトちゃんも不器用なだけだったんだ…
嫌われたくなくて私のことばかり優先してただけ。
どうやって「恋人」をすればよいかわからないだけ。
「ちゃんと、言おう」
私だってフェイトちゃんのお願いはなんでも聞ける。
好きだから。大好きだから。
ちゃんと分かり合おう、って。
「…でもその前に」
まず日記を見たことを謝ろう。


「ママ〜?」
どうやらヴィヴィオが起きたようだ。
ちょうどいい。
今夜のごちそうを買いに行こう。
「早くフェイトママ帰ってこないかな〜」
無邪気なヴィヴィオ。
「そうだね。早く帰ってきてほしいよね」
心から同意した。

私は予感した。
今日が新しい二人の始まり。
本当の恋人の始まりになるんだって。

691 名前: ◆JhF0qDQSSc [sage] 投稿日:2007/12/13(木) 23:33:58 ID:372paqrG
>>687
支援thx

なのフェイを書くに当たって恋人の設定をするとき九歳時からのが多かったので時期を遅くしてみた。
しかし、遅筆だな俺…
前のスバティアは二週間、今回のは三日かかったぜ。



日記読まないルートはこちら>不器用b
2007年12月14日(金) 12:14:17 Modified by nanohayuri




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