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テロメアが短いと……?


2006/7/8の夜に放映された「ぴーかんバディ」という番組で、中途半端に「テロメアが短いと老化が早い」という事が取り上げられていました。

肉体年齢が実年齢より年取ってる人は、テロメアが短いようである……ということで、一卵性の双子はDNAが同じで生まれた時点ではテロメア長も全く同じだけど、年を取ったらどうなってるのか?と、24歳のコンビのテロメアの長さを調べていました。
その結果、なんと「兄<弟 3年分老化」という事、長い方は野菜好きだが、短い方は野菜嫌い、という関係性が判明したのです。
「活性酸素が多いとテロメアが短くなる」とか「緑黄色野菜が抗酸化作用を持っていて、活性酸素を退治してくれる」ということ自体は、その通りなのでしょう。

ただ、「短くなったテロメアが、活性酸素を排除すれば長くなる」わけではないのですが。
「テロメアを修復することが出来る『テロメラーゼ』という酵素は、ガン細胞と胚細胞、生殖細胞にしか存在しない(骨髄などの幹細胞には弱い活性)」ので、普通の細胞のテロメアが伸びるわけがないんだ。短くなる原因を消し去れば、短くなる速度を遅くすることが出来る、というだけであって……長くする訳ではありません。

そりゃ、肌年齢や腸年齢、血液どろどろ度は、緑黄色野菜たっぷりとればかなり改善して、その結果、肉体年齢も改善することでしょう。ですが、決して、その原因は、(食生活の改善によって)「テロメアが長くなったから」じゃありません。

活性酸素は、別にテロメアだけに悪い作用を及ぼすんじゃない。
緑黄色野菜は、別に活性酸素を退治するのだけに役立つわけじゃない。

現にこの番組でも、テロメアが長くなったという表現は一切していなくて、若返ったと言うのみ。導入部分では老化の原因はテロメアだとさんざん言って、「命のろうそく」が短くなる危機感を煽ったんだから、そのままの流れで見てる一般人は、その「ろうそくの長さ」が長くなるんだろうと誤解したかもしれないのに。

テロメアと老化の関係性ですが、老化の『主原因』がテロメアの長さという説は無いみたいで、むしろ、目に見える老化……肌年齢とかそういうことは「活性酸素」が影響してるのは確かです。
だから、「活性酸素を退治する為に緑黄色野菜をとりましょう」っていうスタンスで番組を作っている、今までの健康番組なら別に問題ありませんでしたし、そういう切り口は何度か見ています。
だけど、いくら(厳密には一緒にしちゃいけないけど関連性がある)ショッキングな事実を前面に出せば、新たな切り口で数字がとれるだろう……という考えだろうとはいえ、「若返り緑黄色野菜ジュース」等と銘打つのはともかく、何も知らない視聴者に、テロメアについての変な誤解を植え付けるのは……困りものです。


さて、ラウ達に関係あるだろうことを書きます。

「DNAのテロメアの末端が短くなりすぎた時に、それ以上細胞分裂出来なくなる」とはいえ、テロメアが短くなって分裂限界に近づいた、100歳過ぎているご老人の方でも、全身の細胞の多くが分裂停止している訳じゃありません。限界に近づいた為に分裂時にミスが生じ、機能が衰えるだけで、分裂限界には達していない。……まぁ、多くの細胞が限界に達した時には、それが死に至る時、ということだと思いますが。
但し、テロメアが短くなっていくにつれて変化していく分泌物が、老化に繋がる……という説や、リンパ球や血管細胞などは体細胞限界より早く、60歳程度の時期に短縮してしまう為に、そのせいで免疫機能が落ちる可能性がある……ようなので、完全に関係ないとは言えませんけど。

しかし、ラウもレイも「老化」なんてしてませんけどね。見た目が全然老化していない(肌がピチピチで若い)上に、MS乗りのエースなんですから。筋力判断力思考力その他諸々が衰える「老化」なんていう現象に見舞われていたら、速攻撃墜されます。努力で何とかなるなら「老化」じゃない……MS乗りの限界が大体30歳程度という設定なのは、激しい運動量を誇るスポーツの選手は、35歳過ぎて現役を続けるのはあまりいない、のと同じ事なんでしょう。


さて、クローンだから子供を作れないor子供に欠陥を引き継ぐのでは、という意識の人が多いのですが………多分、それは問題ないはずです。
クローン牛では問題ないという結果が出ているものの、人間の体細胞クローンは存在してないから、わからないとしか言えないかな…と思いましたが、よく考えてみればこの場合でも問題ないと言えるはずです。

レイ&ラウの問題は「テロメアの長さ」だけだと仮定した場合(本編ではこれが問題で、命が短くなるという言い方しかしてないから)……つまり、遺伝子的な欠陥はない、アル・ダ・フラガと同一の遺伝子を持っている、とすると………子供を作るのに支障ありません。

体細胞のテロメアの長さは、「精子を生成すること」とは関係ないからです。
それから、「テロメラーゼが生殖細胞に存在している」という点から見ても大丈夫。
というより、「現実にテロメアの長さがかなり短くなっているだろう人」……70歳過ぎた男性でも、「(二回り以上若い女性相手ならば)子供を持つことが可能」という実例がありますよね?
精子の細胞質中のミトコンドリアは子供に伝わらない(卵子のがそのまま引き継がれる。精子のミトコンドリアDNAは溶けて無くなる)ので、精子のミトコンドリアDNAが劣化してる年齢でも関係なし。

………まぁ、先が短いとわかっていて子供を望むことの是非とかはともかく、「出来ない」と思ってる人が多いなら、それはちょっと違うだろうというだけです。

(2006/7/8、7/13)

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2006年07月24日(月) 19:29:12 Modified by reyz




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