お姉さまの告白そうどう

これは以前にも書いた事だが、秘密ドールズのPVに、仮に、メイキングとして収録された方の、本来?のシーンが採用されていたとしても、「あれはマネでした」とバラすのでない限り、対外的な意味は何も変らない。

見る人のほとんどは、やっぱり「愛ちゃんと麻衣ちゃんが本当に」と取る訳だし、その内の何割かは、やはり現状と同じく、PVを見て二人の関係が妖しいとか思うはずだ。

そういう想像をされてもいい、という覚悟をして出演を決める事を、いわゆるカミングアウトと受け取る事が出来ると思うので、この観点から、妄想の上に、更なる妄想を続けてみる。

つまり、「私のいちばん好きな人は、同性だけど、この人なの。」「私たちがこういう関係と思っていいよ。」という告白だったと考える訳だ。

私も専門家ではなく、これは完全な受け売りなのだが、本来の意味のカミングアウトとは、少数派の人が(隠れていた押し入れから出ようと)行動を起こす事、であって、言葉の形になっているかどうかは必ずしも問われない。

さらに、カミングアウトには三つの段階があって、一つは本人が自分で決意を確認するもの、次に周りの親しい人への通知、最後に広く一般の人への表明、となり、一番のみ、二番まで、というカミングアウトの段階もありうる。

麻衣ちゃんと愛ちゃんの場合だと、一般のファンに漏れ伝わってくる仲良しっぷりだけでも相当なものだから、多分、ファンなどよりずっと近くにいる二人の仕事の関係者は、皆、それなりに二人の親密さを知っているはずだし、一般のファンの中にも、実はこの二人は、と考えていた人も、多数派ではないにせよ、結構いる。

また、特に二人に詳しくなかった人の中にも、あのPVを見せられた時に、劇中の登場人物を表現するための演技に対して、思わず直感的に、「末永くお幸せに」とコメントしてしまった人も少なくないと思う。

これらの、気付いてあげられる人だけが二人のメッセージに気付けば目的は達せられる、そういう種類のカミングアウトがあってもおかしくはない。


この意味で言えば、二人は、言葉は使っていないが、確実に行動を起こしている。

むしろ、聞いた人全員が理解できたり、口にしたが最後、引っ込める事ができなくなる言葉を使うよりも、無条件で演技という位置付けに守られるPVの中での告白の方がずっと安全だ。

そう考えていくと、もし二人が本当の自分たちを知って欲しいというメッセージを発信する機会を探していたとしたら、この秘密ドールズのPVは、またとない好機だったという事になる。

何も口にしなければ、劇中で描かれる登場人物たちの想いと、それと全く同じベクトルを持つ実際の二人の想いは、外からは見分けが付かない。

この中でなら、本気を見せても大丈夫だ。二人は何も言わなくていい。いや、むしろ、何か言っちゃうと駄目だ。

黙ってさえいれば、「作品のテーマである百合を表現するための、二人の女優による迫真の演技」という見方が、自動的に成り立っているのだから。


現に、正式な批評の場では、「二人の役者魂に脱帽」という論調で締めているところが多数派になっているが、もっともこれは当たり前の事で、「二人のラブラブっぷりに萌え」みたいな無責任なコメントは、ウチのような権威のない所でしか書けない。

私も、役者魂を完璧に否定しようとは思わないが、二人が、それぞれ別の役者さんと同じ事をするだろうか、と考えた時、この結論は違うと思う。やはり、「麻衣ちゃんとだから」「愛ちゃんとだから」、という特別な想いを持ち合う二人だった事が出演に至った動機と思いたい。


ところで、二人がMCを務めるストパニラジオの2006年初頭の放送分では、今年を予想するコーナーが設けられ、そこでは愛ちゃんが、直前に出た「百合が増える」を受けて、「同性しか愛せないとカミングアウトする芸能人続出」、「みんな正直に行こうよ」と、今から考えると際どいネタを振っていて、それに麻衣ちゃんも「そうだね」と同調している。

ちなみに、これが配信開始されたのは、二人が秘密ドールズPVを撮影する直前のタイミング。

また、配信当時は全く意味を採れなかった麻衣ちゃんの妙な予想、「子供産まれるよね」も、発売後の愛ちゃんのコメント「愛の結晶」と呼応するものと考えると、これも、PVにかける意気込みのようなものとして感じられなくも無い。

そして、発売前から「是非、是非に見て欲しい」と繰り返していた二人の言葉は、一人でも多くの人に認めて欲しいと訴えかけていたもののように思えてくる。


認めるよ。こんな事は他の誰にもできない。
もし二人が何か言葉を欲しがっているのなら、私はそれを何度でも言ってあげたい。


あと、ここで、一つ言えそうなのは。
仮に二人がいくらPVの形でメッセージを発しようとしても、自分たちの力だけでPVを制作して配布するのは不可能だ。

また、PVに含まれたメッセージの、前段階、あるいは次段階として、補助的に機能しているっぽいトークが繰り広げられるインターネットラジオ番組の「ストパニラジオ」にしても、二人が個人的にやっているものじゃない。

また、最近、二人が出演していないにも関わらず、二人の百合っぽい話題が出たネットラジオ番組があったが、実は、それを流しているのは、秘密ドールズをリリースし、ストパニラジオを流しているのと同じレーベルだっだりする。

加えて言えば、そのレーベルから出た二人の初のPVにも、実は、二人の関係を妄想せずにおれないような、らぶらぶな仲良しシーンが複数、収められていたという過去もある。

こういったところから、一つの妄想が可能になる。
これは、二人のラブラブっぷりを知る人達が組織ぐるみで二人の背中を押してきた壮大なプロジェクト、世紀の告白劇。

あるいは、事実かもしれない。
いや、私の妄想である。

秘密ドールズの発売から数十日が経過し、ストパニラジオではラブラブな話題が順調に拡大していて、二人の事を本当のラブラブカップルとして見る人が増えたように思える。

もう一息だ。

だから妄想だってば。
2006年08月10日(木) 23:47:52 Modified by rttbl




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