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部屋の中は二人分の熱気と汗、そして女の香りで満ちていた。
部屋のベッドの上では、二人の人間が乱れていた。
否、正しくは一人がもう一人に一方的に乱されていた。

「あっ、やめてください!あずささんっ!やっ、胸ばっかりっ…」
そういう千早の腕は、着ていたものなのか、ネクタイでベッドの柱と結ばれ、身動きがとれなくなっていた。
「ごめんなさいね、千早ちゃん。でも、なんだか千早ちゃんの胸、かわいくて…。イヤだった?」
ごめんと言っても反省している様子はない。その証拠に、会話をしながら、彼女の貧相な胸をつまんでいる。

「ああっ!いっ、イヤじゃないです、けどおっ…!でもっ、んっ、そこ、ばっかりっ…」
休む間もなく攻め立てられている方は息も絶え絶えだ。その瞳からは生理的な涙がこぼれている。
「あらあら。ごめんね、千早ちゃん。千早ちゃんがかわいくって、ついいじめちゃうの」
先ほどまで荒々しく胸をまさぐっていた手とは思えないほど優しく、そっと相手のほほに触れ、唇をふさいだ。
「んんっ。…ふっ、はぁっ…むぐっ。んあっ」
「ふふふっ。千早ちゃん、かわいい」
優しく、触れるだけの子どものキスから、舌をからませあう大人のキスになるのに時間はかからなかった。
ぴちゃぴちゃと、濡れた音が暗い部屋の中に響く。
お互いの口からは、口に収まりきらなかった唾液が垂れていた。
「千早ちゃんも、大分上手になったわね、キス。ふふふっ。えらいえらーい」
よしよし、と子どもをほめるように頭をなでる。
「あっ、あ、ありがとう、ございます…」

「…じゃあ、よくできた千早ちゃんにはご褒美をあげるわね」
「ご褒美……ですか?」
「ええ、そう。ご褒美」
そう言うやいなや、濡れそぼっている彼女の秘所に指を二本突き入れた。
「ああああああああっ!!!」
「千早ちゃんは、やっぱりいい声を出すわねえ。…もしかして、軽くイっちゃった?中、ビクビクしてるけど…」
指を軽く出し入れしながら尋ねる。
「んっ、はぁっ、あっ……は、はい…」
「あらあら。千早ちゃんってば感じやすいから…。でも、軽くじゃなくて、ちゃんとイキたいでしょ?」
「は、はいっ!」
「ふふっ、”ご褒美”だものね。それじゃあ、思いっきりイっちゃって?」
そう言って、指を三本に増やし、出し入れする速度を速めた。

「あっ、あああっ!やあっ!やっ、駄目、ですっ!ふあっ!あ……そ、そんなに速くしたらぁっ!」
「千早ちゃんの中、すごいヌルヌルよ。聞こえる?すごくグチュグチュなってるの」
「はあっ!し…知らない、れすっ!!はずかっ……しいっ!!…聞かないれっ、くださっ…!」
いやいやをするように首を振る。耳をふさぎたくても腕は身動きが取れない。
「あら、千早ちゃんが感じている音、私はもっと聞きたいわ」
そう言って、ぷっくりと立ち上がっている、千早の胸の先端をパクリと口に含んだ。
「んあああっっ!!やっ、やめっ!あっ…くださっ、んんんっ!!」
「やめません」
「あっ、駄目、駄目ですっ!!しゃべ、らないで!んあっ、あ、もうっ!!」
「千早ちゃん、我慢しないで…」
「ふあっ!!あっ、あああっ!!あっああああああああああああっっ!!!」



目を開くと見慣れた天井。部屋には時刻を知らせるアラーム音が響いている。
「うそ……」
今年に入って一番の目覚めの悪さだ。
途端に自己嫌悪に襲われる。
最悪だ。なんという夢を見てしまったのか。
一応恋人同士で、そういった行為も経験したことはあるとはいえ、こんな夢を見るなんて…。
今日はもう事務所に行きたくなかったが、そうも言ってられない。今日は大切な取材がある。
とりあえずシャワーを浴びて下着を変えよう。
見ると時計の針は、急いで支度をしなければいけない時刻を指していた。

*********************

「おはようございます」
事務所でスタッフの人たちにあいさつをする。
まだ、あずささんは来ていないようだ。
少しだけ安心する。
あんな夢を見たばかりだ。
今日はまともに顔が見られないかもしれない、と考えているとプロデューサーがやってきた。

挨拶もそこそこに今日の取材の内容について話す。
取材相手は善永さんだし、そんなに気負う必要はない、とのことだった。
まだあずささんが来ていない、ということを伝えると、
「じゃあ、ロッカールームで先に服着替えといてくれ。あずささんが来たらすぐにそっちに連れてくよ。
終わったらメイクもするから。いくら千早がきれいな顔してるとはいえ、すっぴんで出すわけにもいかないからな。
慣れてる相手とはいえ、一応仕事だし。あ、服は向こうにもう置いてあるから。
俺はデスクにいるから、終わったら言ってくれ」
と言って、私を置いてさっさと自分のデスクに戻ってしまった。


衣装、といってもそこまで大層なものではない。
私服よりもおしゃれな服、というだけだ。着替えるのに手間取ることはない。
ロッカールームには私以外誰もいなかった。
一人でいるせいか、着替えながら自然と今朝の夢のことを考えてしまう。
なんだってあんな夢を見たのだろう。
夢の内容は、その人が心の奥底に抱いているものが表れると聞いたことがあるが。
「欲求不満なのかしら…」
確かに最近はあまりしてなかったけれど。
でも、それがあるにしてもあのあずささんは妙に積極的だった。
普段から行為のときはやけに張り切る人だけど、あれほどではない。
心のどこかで、あれくらい激しく私を求めてほしい、責め立ててほしいと思っているのだろうか。
今朝の夢の内容がやけに生々しく思い出される。
唾液で濡れた唇。肌を伝う汗と、それを舐める赤い舌。内部で動かされる指。
身体が熱を求め始めるのを感じた。

「――っ」
駄目だ。今ここでそんな気分になってはいけない。これから取材だ。仕事だ。
仕事のことだけを考えなければ。取材でなんと答えるか確認しておかなければ。
そう自分に言い聞かせても、頭の中には猥らなことばかり浮かんでくる。
どうにも止まらない。この熱を開放したい。
真っ白な頭で自分の身体に手を伸ばそうとしたとき――

ガチャ。
「おはよう千早ちゃん!遅くなっちゃってごめんなさいね。なんだか私また迷っちゃったみたいで…」
三浦あずさその人が現れた。

「あっ…。お、おはようございます」
声が少し裏返ってしまった。頭の中はともかく、見た目には変なところはないはずだ…多分。
「あら?千早ちゃん…」
「はっ、はいっ!!」
先ほどまでやましいことを考えていたせいか、必要以上に大きな声で返事してしまう。
「ぼーっとしちゃって、どうしたの?着替えもまだ途中みたいだし…早く着替えないとダメよ?
プロデューサーさんも待っていらっしゃるし…。まぁ、私も急がなければいけないのだけど」
「えっ!あっ、はい!なんでも、ないです。なんでも。もうすぐ終わりますから!」
あわてて着替えを再開する。
着替え途中でムラムラしていたなんて…。我ながら恥ずかしい…。
「ふぅ……」

「……千早ちゃん」
見ると、いやに真剣な顔をしたあずささんと目が合った。
「な、なんですか?あずささん」
無言で肩を掴まれ、グッと顔をのぞきこまれる。
「っ!」
至近距離で目が合う。
いったん落ち着いたはずの心臓が、再び激しく動き出した。
「千早ちゃん、具合でも悪いの?もしそうなら、プロデューサーさんに…」
「いっ、いえ、別に熱とかはないです。大丈夫ですから」
そう言って距離をとった。
早く離れないと、おかしくなってしまいそうだ。

「でも…」
スッと、夢と同じ手つきで、あずささんの手が私のほほに触れる。
「っ!」
「ほら、こんなに顔も赤いし…」
興奮しているせいか、触れられただけで、背筋がぞくっとする。
駄目だ。夢の映像がフラッシュバックする。
身体の中で熱が暴れだしている。
自然と口から吐息が漏れてしまった。
「なんだか苦しそうだし…」
「っ…ふっ……ぁ」
これ以上は、マズイ。
『大丈夫ですから』と言いたいのに口から出るのは熱をおびた吐息ばかりで。
駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ。仕事仕事仕事仕事仕事これから仕事。
そう自分に言い聞かせて、必死で欲望と闘っているというのに。
「千早ちゃん、我慢しないで…」
あなたという人は、そうやって簡単に、私の理性という壁を粉々にしてしまうんだから。

「ごめんなさい、あずささん。キス、するだけですから」
「えっ?……んっ!」

「キスするだけだ」と言った手前、舌を入れたりはしない。そのかわり唇を押しつける。
あなたが欲しくてたまらないということが、少しでも伝わるように。

どれくらいそうしていただろうか。
息苦しくなって、どちらからともなく唇を離した。
お互いに息が上がっている。
「あの…あずささん」
「ふうっ……なに、千早ちゃん?」
「……今日、あずささんの家に泊まっていってもいいですか?」
「え………?」
あずささんはポカンとしている。それはそうだろう。
いきなりキスされたと思ったら、「泊めてくれ」なのだから。

「その、最近していないじゃないですか。それで、その、なんだかそういう夢も見たし、
したくなって、久しぶりにどうかなって思いましてえっと、……あずささんが欲しいんです」
「っ……!」
自分でも何を言ってるんだろう。恥ずかしい。恥ずかしすぎる。
ああもう、あずささんも絶句している。
恥ずかしくてあずささんの顔をまともに見れない。
萩原さんではないけれど、穴を掘って埋まってしまいたい。
静寂が2人きりのロッカールームの中に満ちる。

やっぱり、言わなければよかったんじゃ…と思い始めたころ、あずささんが口を開いた。
「えっと…つまり、千早ちゃんの話をまとめると…。
『エッチな夢を見て、興奮しちゃったから、久しぶりにかわいがってください』ってことでいいのかしら?」
「○×@△*■〜〜っ!!!!!!そんなにはっきり言わないでください!恥ずかしいです!!」
「あら?でも、そういうことなんでしょ?」
ニコニコしながら言わないでください。
「………まぁ、そうですけど」
「よかった。やっぱりそういうことよね〜。じゃあ、今夜は楽しみにしててね。私、頑張っちゃうから!」
「……お手柔らかにお願いします」
この人にはやっぱり敵わないと思います。絶対に。

「わ、私、着替え終わったので、先にプロデューサーのところに行ってますね」
「うふふ。私もすぐ行きますってプロデューサーさんに伝えておいてね」
「……わかってますよ」

パタン。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
ドサッと、ドアのところにしゃがみ込む。
キスしてしまった上にとんでもないことを言って恥ずかしかったけど、
でも、受け入れてもらえて嬉しかった。胸の中が暖かい気持ちでいっぱいになる。

今日は何があっても、嬉しいんだろうな。
あずささんの顔を思い浮かべながら、そう思った。


*********************

おまけ


パタン。

それにしても、千早ちゃんからそういったおねだりをしてくるなんて…。
大人っぽいとはいっても、子どもといっても差支えない年齢の子だし、(というか、世間一般から見ても子どもだ)
そういったことが嫌だったり、楽しんでたり、求めてるのは私だけなのかと思ってたけど…。
彼女も私のことをちゃんと求めてくれていた。
そう言われなければわからないときがあるというのは、私の悪いところだけど。

「それにしても、真っ赤になってる千早ちゃんはかわいかったわ〜」
このあと仕事がなかったら、そのまま家に連れ込んでたかもしれない。
そういえば、エッチな夢を見たと言っていたが、どんな夢だったんだろうか。
これは聞いてみるしかないだろう。
多分真っ赤になって恥ずかしがるだろうけど、そこがまたかわいいのだから仕方ない。
(でも一番可愛いときは…)
思考がさらに深みに入りそうになったところで、
プロデューサーに「そろそろ時間です」と呼び出されてしまった。



*********************

没にしたオチ。


胸の中が暖かい気持ちでいっぱいになる。
あぁ、ダメだ。今夜のことが楽しみで、顔が思わずニヤけてしまう。
そこに、亜美と真美が通りかかった。

「…ねぇ、真美。あそこで体育座りしながら一人でニヤニヤしてるのって千早お姉ちゃん?」
「だね→…。真美にとっては受け入れがたい真実だよ…。…ちょっとキモイかも」
「それを言うなら現実っしょ→!…でも今の千早お姉ちゃんがキモイのは認める」

「………」


「わわっ!どうしたんだ千早!なんでちょっと泣いてるんだ!美人が台無しだぞ。誰かにいじめられたのか!?」
「子どもの純粋な気持ちが胸に突き刺さりました…」
「意味がわからないぞ、千早!そろそろ善永さんも来るし、とりあえずメイクでごまかすぞ!」


ちょっと泣いたりもしたけど、今夜のために、仕事は一生懸命頑張りました。

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