最終更新:ID:JOfs3ULtqQ 2023年05月20日(土) 22:51:22履歴
作者:名無し
その夜、キットは湯上りの姉を見て確信していた。
実を言えばそうじゃないかと薄々思ってはいたが、今日まで確かめる機会を逸し続けていたのだ。
「ねぇ、リズ姉」
「あっ、キットもそろそろ汗を流したら? 楽しいのは分かるけど、身体を休めるのも――」
「――もしかしなくても、おっぱい大きくなってない?」
まるで腹に一発もらったかのような呻き声がフェリジットの口から漏れる。
かつて徒花のフェリジットと知られた彼女と言えば、軽装の装備が映えるスラッとした美しい身体つきの持ち主だ。
それでいてフェリジットのそれは女性らしい柔らかな曲線も描いていたが、いまの彼女の胸元は――妹であるキットから見ても――明らかに一回りは大きくなっているように見えた。
「いよいよシュライグに揉みしだかれた成果が……」
「それもなくはないかもしれないけど……って、何言わせるのよ!?」
「いまのはリズ姉の自滅な気がするけど」
先の戦いの後、フェリジットは同じ鉄獣戦線に所属していたシュライグとの交際を始めた。
二人が付き合い始めるまで、そして交際が始まってからも色々とあったわけだが……それを思い出していたらキリがないので、一まず措いておこう。
「それにしても、あのシュライグが。リズ姉たちもきちんと進んでるんですなぁ〜♪」
キットは満足げにうむうむと頷くが、フェリジットは怪訝そうに首を傾げる。
「キットちゃん、何かキャラが変わってない?」
「そりゃあ、お姉ちゃんの恋バナだもん。ここで盛り上がらずして、いつ盛り上がるの!」
「そ、そういうもの……なのかしら?」
彼女自身もアルバスとエクレシアの恋模様を見守りながら、妹のようなテンションを見せていることが時々あるのだが、どうやら自覚はあまりないらしかった。
一通り満足したのか、キットはあらためて姉に水を向ける。
「ところで、リズ姉。シュライグ以外にも心当たりがありそうな口ぶりだったけど」
「あぁ、それは……」
言い淀んで、フェリジットの頬が微かに赤く染まる。
姉としてはキットに直接的に言うのは些か憚られるのだが、自分では解決策を見出せない以上、取り繕っていても仕方がないと思い直す。それに、もしかしたら名案を授けてくれるかもしれないし。
コホンと咳払いをして、何とか彼女なりに気持ちを精一杯取り繕いながら、ゆっくりと口を開く。
しかし、その頬はすでに赤く染まりつつあった。
「来ちゃったのよ……、あれが」
「えぇっ!? 発情期が来ちゃったの!?」
「どうして言っちゃうの!! 私の精一杯の頑張りを返して!!!!」
「あはははっ。だって、リズ姉が無駄に思い詰めたような顔をしてるから〜」
キットは楽しそうにケラケラと笑うが、彼女の言うようにフェリジットが無駄に緊張していたのも事実だった。
フェリジットやキットのような獣人たちには恋仲と呼べる異性が出来ると、周期的にその相手をより強く求めたくなる時期がくるのだという。
俗に発情期と言われるそれに差し掛かると、フェリジットのような女性の獣人には特に身体的な変化も色濃く現れるのだそうだ。
「シュライグと心ゆくまでイチャイチャすればいいと思うんだけど、それじゃあダメなの?」
「だって、ほら……その、シュライグって優しいし……、そういうのに疎そうじゃない?」
「あ〜、確かに……」
キットはフェリジットの吐露に納得してしまう。
シュライグは、鈍感とまでは言わないにせよ、いつだって冷静沈着で他者からの好意に鈍い傾向があるのは事実だ。
直接ハッキリ言ってようやく気付くかどうかというのがキットの見立てだが、妹にさえ微妙に言葉を濁したフェリジットがこの手のことを彼に対してにはっきり言えるとは思えない。
だとすれば――
「リズ姉。あたしにいい案があるよ」
「えっ、本当!?」
「うん。今度シュライグとデートするときに――」
キットはフェリジットの耳元に顔を寄せると、思いついた案を話し始めた。
◆
かつて戦いがあった地は、大地が開かれた後、人々が集う砂海のオアシスになった。
各地をつなぐ要衝として行き交う人々は常に多く、昼夜問わずに活気に満ち満ちている。
そんな町の一角でフェリジットとその日の待ち合わせの約束をしていたシュライグだったが、彼にしては珍しく遅刻しかけていた。
人ごみを掻き分けて待ち合わせ場所に急ぐ彼の耳に、町を行く人々の声が聞こえてくる。
「さっきの姉ちゃん、美人だったよなぁ。薄着でおっぱいもメチャクチャデカかったし。やっぱり声をかけに……」
「やめとけ、やめとけ。ああいう美人さんにはお前なんかが逆立ちしても勝てないカッコいい彼氏がいるか、何故かやたら強くて返り討ちに遭うかが相場なんだからよ」
「おっ、おぉう。ってか、やけに実感がこもってんなぁ」
軽薄そうな二人組のやりとりを聞き流しながら、シュライグは急ぐ。
何とか時間ちょうどに待ち合わせ場所に着いたが、先に待っていたフェリジットの服装を見て彼は目を見開く。
今日の彼女はかつて鉄獣戦線にいた頃の衣装を着ていた。
さすがに武器やゴーグルは所持していないが、それ以外にも彼の記憶と明確に一つ違う箇所があった。
胸元を覆う布地がいまにもはち切れんばかりに押し上げられていることだ。
元々豊かではあったが、押し上げられすぎてシュライグの目にも谷間が見えそうなほどだった。
「シュライグってばそんなに慌ててどうしたの?」
「いや、待ち合わせに遅れそうだと思ってな」
「別にちょっとくらいなら気にしないのに」
フェリジットはシュライグの元に歩み寄りながら花のように微笑む。
その様子はシュライグが知るいつもの彼女なだけあって、だからこそ今日の衣装が気になってしまう。
いや、砂海は常に暑いので、フェリジットの恰好も理に適っていると言えばそうなのだが。
何故か先ほどの男たちのやりとりが脳裏を過ぎって、どうにも複雑な感情が拭いきれない。
「シュライグ、どうしたの? 早く行きましょう?」
「……あぁ、そうだな。いま行く」
釈然としない気持ちは残るが、いまはそればかりに囚われるわけにもいかない。
シュライグは頭を振って、フェリジットの後を追った。
◇
「あぁ……っ、んんっ♡ ゃ、シュライグ……激しぃ……っっ♡♡」
二人のデートはいつも夜を共にするのだが、その日のシュライグは様子が少し違っていた。
フェリジットのおっぱいだけをずっと責め続けているのだ。
それも片方の乳首だけをやたら吸い続けたり、かと思えば舌で弾いたり、指で挟んでみたり……いつになく執拗にその愛撫は激しかった。
「今日のフェリジットはやたら衆目を集めていただろう?」
「そ、そうかしら?」
「だから、こうしなきゃと思うんだが……。すまない、上手く言語化できそうにない」
シュライグは言葉少なくそれだけ語ると、またフェリジットの乳首を口に含む。
(あ、あのシュライグが嫉妬してくれてるなんて……!)
キットから作戦を授けられたときは半信半疑だったが、こんなにも上手くいくなんて。
いや、そんなことよりシュライグから独占欲に似た感情を向けられていると自覚した途端、胸の奥がきゅんきゅんと切なくなっちゃって全身が熱い。
その昂りがシュライグの乳首を激しく吸い上げるタイミングとちょうど噛み合って、フェリジットの胸からそれが込み上げた。
「んんっ……、っっ♡」
「この甘い液体は……ぼ、母乳か?」
さすがに驚いたのか、シュライグがフェリジットの胸元から顔を離した。
シュライグが驚いている一方で、彼が自分の母乳を飲んでくれたという事実がフェリジットを恍惚とさせていた。
蕩けた眼差しをシュライグに向け、自分の手でおっぱいをたぷたぷと揺らしてみせる。
「ねぇ、シュライグ。私のおっぱい、ミルクサーバーみたいにもっともっと母乳が出そうなの♡ だから、いっぱいいっぱい吸ってください♡♡」
シュライグはゴクリと生唾を飲み込む。
他者から鈍いと評されることが多い彼だったが、愛しい女性からそんなことを言われて我慢できるはずもなかった。
その日、シュライグの家からは明け方までフェリジットの嬌声が聞こえ続けた。
後にキットが作戦の成果を姉に訊きに行ったとき、彼女は結局曖昧にしか答えなかったが、その横顔はとても幸せそうだったという。
その夜、キットは湯上りの姉を見て確信していた。
実を言えばそうじゃないかと薄々思ってはいたが、今日まで確かめる機会を逸し続けていたのだ。
「ねぇ、リズ姉」
「あっ、キットもそろそろ汗を流したら? 楽しいのは分かるけど、身体を休めるのも――」
「――もしかしなくても、おっぱい大きくなってない?」
まるで腹に一発もらったかのような呻き声がフェリジットの口から漏れる。
かつて徒花のフェリジットと知られた彼女と言えば、軽装の装備が映えるスラッとした美しい身体つきの持ち主だ。
それでいてフェリジットのそれは女性らしい柔らかな曲線も描いていたが、いまの彼女の胸元は――妹であるキットから見ても――明らかに一回りは大きくなっているように見えた。
「いよいよシュライグに揉みしだかれた成果が……」
「それもなくはないかもしれないけど……って、何言わせるのよ!?」
「いまのはリズ姉の自滅な気がするけど」
先の戦いの後、フェリジットは同じ鉄獣戦線に所属していたシュライグとの交際を始めた。
二人が付き合い始めるまで、そして交際が始まってからも色々とあったわけだが……それを思い出していたらキリがないので、一まず措いておこう。
「それにしても、あのシュライグが。リズ姉たちもきちんと進んでるんですなぁ〜♪」
キットは満足げにうむうむと頷くが、フェリジットは怪訝そうに首を傾げる。
「キットちゃん、何かキャラが変わってない?」
「そりゃあ、お姉ちゃんの恋バナだもん。ここで盛り上がらずして、いつ盛り上がるの!」
「そ、そういうもの……なのかしら?」
彼女自身もアルバスとエクレシアの恋模様を見守りながら、妹のようなテンションを見せていることが時々あるのだが、どうやら自覚はあまりないらしかった。
一通り満足したのか、キットはあらためて姉に水を向ける。
「ところで、リズ姉。シュライグ以外にも心当たりがありそうな口ぶりだったけど」
「あぁ、それは……」
言い淀んで、フェリジットの頬が微かに赤く染まる。
姉としてはキットに直接的に言うのは些か憚られるのだが、自分では解決策を見出せない以上、取り繕っていても仕方がないと思い直す。それに、もしかしたら名案を授けてくれるかもしれないし。
コホンと咳払いをして、何とか彼女なりに気持ちを精一杯取り繕いながら、ゆっくりと口を開く。
しかし、その頬はすでに赤く染まりつつあった。
「来ちゃったのよ……、あれが」
「えぇっ!? 発情期が来ちゃったの!?」
「どうして言っちゃうの!! 私の精一杯の頑張りを返して!!!!」
「あはははっ。だって、リズ姉が無駄に思い詰めたような顔をしてるから〜」
キットは楽しそうにケラケラと笑うが、彼女の言うようにフェリジットが無駄に緊張していたのも事実だった。
フェリジットやキットのような獣人たちには恋仲と呼べる異性が出来ると、周期的にその相手をより強く求めたくなる時期がくるのだという。
俗に発情期と言われるそれに差し掛かると、フェリジットのような女性の獣人には特に身体的な変化も色濃く現れるのだそうだ。
「シュライグと心ゆくまでイチャイチャすればいいと思うんだけど、それじゃあダメなの?」
「だって、ほら……その、シュライグって優しいし……、そういうのに疎そうじゃない?」
「あ〜、確かに……」
キットはフェリジットの吐露に納得してしまう。
シュライグは、鈍感とまでは言わないにせよ、いつだって冷静沈着で他者からの好意に鈍い傾向があるのは事実だ。
直接ハッキリ言ってようやく気付くかどうかというのがキットの見立てだが、妹にさえ微妙に言葉を濁したフェリジットがこの手のことを彼に対してにはっきり言えるとは思えない。
だとすれば――
「リズ姉。あたしにいい案があるよ」
「えっ、本当!?」
「うん。今度シュライグとデートするときに――」
キットはフェリジットの耳元に顔を寄せると、思いついた案を話し始めた。
◆
かつて戦いがあった地は、大地が開かれた後、人々が集う砂海のオアシスになった。
各地をつなぐ要衝として行き交う人々は常に多く、昼夜問わずに活気に満ち満ちている。
そんな町の一角でフェリジットとその日の待ち合わせの約束をしていたシュライグだったが、彼にしては珍しく遅刻しかけていた。
人ごみを掻き分けて待ち合わせ場所に急ぐ彼の耳に、町を行く人々の声が聞こえてくる。
「さっきの姉ちゃん、美人だったよなぁ。薄着でおっぱいもメチャクチャデカかったし。やっぱり声をかけに……」
「やめとけ、やめとけ。ああいう美人さんにはお前なんかが逆立ちしても勝てないカッコいい彼氏がいるか、何故かやたら強くて返り討ちに遭うかが相場なんだからよ」
「おっ、おぉう。ってか、やけに実感がこもってんなぁ」
軽薄そうな二人組のやりとりを聞き流しながら、シュライグは急ぐ。
何とか時間ちょうどに待ち合わせ場所に着いたが、先に待っていたフェリジットの服装を見て彼は目を見開く。
今日の彼女はかつて鉄獣戦線にいた頃の衣装を着ていた。
さすがに武器やゴーグルは所持していないが、それ以外にも彼の記憶と明確に一つ違う箇所があった。
胸元を覆う布地がいまにもはち切れんばかりに押し上げられていることだ。
元々豊かではあったが、押し上げられすぎてシュライグの目にも谷間が見えそうなほどだった。
「シュライグってばそんなに慌ててどうしたの?」
「いや、待ち合わせに遅れそうだと思ってな」
「別にちょっとくらいなら気にしないのに」
フェリジットはシュライグの元に歩み寄りながら花のように微笑む。
その様子はシュライグが知るいつもの彼女なだけあって、だからこそ今日の衣装が気になってしまう。
いや、砂海は常に暑いので、フェリジットの恰好も理に適っていると言えばそうなのだが。
何故か先ほどの男たちのやりとりが脳裏を過ぎって、どうにも複雑な感情が拭いきれない。
「シュライグ、どうしたの? 早く行きましょう?」
「……あぁ、そうだな。いま行く」
釈然としない気持ちは残るが、いまはそればかりに囚われるわけにもいかない。
シュライグは頭を振って、フェリジットの後を追った。
◇
「あぁ……っ、んんっ♡ ゃ、シュライグ……激しぃ……っっ♡♡」
二人のデートはいつも夜を共にするのだが、その日のシュライグは様子が少し違っていた。
フェリジットのおっぱいだけをずっと責め続けているのだ。
それも片方の乳首だけをやたら吸い続けたり、かと思えば舌で弾いたり、指で挟んでみたり……いつになく執拗にその愛撫は激しかった。
「今日のフェリジットはやたら衆目を集めていただろう?」
「そ、そうかしら?」
「だから、こうしなきゃと思うんだが……。すまない、上手く言語化できそうにない」
シュライグは言葉少なくそれだけ語ると、またフェリジットの乳首を口に含む。
(あ、あのシュライグが嫉妬してくれてるなんて……!)
キットから作戦を授けられたときは半信半疑だったが、こんなにも上手くいくなんて。
いや、そんなことよりシュライグから独占欲に似た感情を向けられていると自覚した途端、胸の奥がきゅんきゅんと切なくなっちゃって全身が熱い。
その昂りがシュライグの乳首を激しく吸い上げるタイミングとちょうど噛み合って、フェリジットの胸からそれが込み上げた。
「んんっ……、っっ♡」
「この甘い液体は……ぼ、母乳か?」
さすがに驚いたのか、シュライグがフェリジットの胸元から顔を離した。
シュライグが驚いている一方で、彼が自分の母乳を飲んでくれたという事実がフェリジットを恍惚とさせていた。
蕩けた眼差しをシュライグに向け、自分の手でおっぱいをたぷたぷと揺らしてみせる。
「ねぇ、シュライグ。私のおっぱい、ミルクサーバーみたいにもっともっと母乳が出そうなの♡ だから、いっぱいいっぱい吸ってください♡♡」
シュライグはゴクリと生唾を飲み込む。
他者から鈍いと評されることが多い彼だったが、愛しい女性からそんなことを言われて我慢できるはずもなかった。
その日、シュライグの家からは明け方までフェリジットの嬌声が聞こえ続けた。
後にキットが作戦の成果を姉に訊きに行ったとき、彼女は結局曖昧にしか答えなかったが、その横顔はとても幸せそうだったという。
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