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作者:ベリーメロン




 それは本当にただちょっとだけ、魔が差しただけだった。
 森羅万象国の巫女である東雲にとって、いつも利口で貞淑で清楚で純潔であることを求められるのはいつしかストレスになっていたのだろう。
 その夜、好奇心に誘われて彼女は初めての自慰に及んでしまったのだ。

(た、確かこうですよね……)

 薄い寝間着越しに、慎ましい胸に触れてみる。それだけでも何かイケナイコトをしてる気がして、東雲はぞわりと背筋を震わせた。されどサラシを下に巻いているのもあるのか、あまり気持ちいいと思えない。
 そうなれば意を決して今度は下着代わりだったサラシを解いてみることにした。
 しゅるり……と衣擦れの音と共に薄い乳房が露わになる。

(殿方は大きい方が好きって聞きましたね)

 それならば東雲の身体つきは男が好むものとは正反対だろう。華奢で子供のような胸のサイズ。お尻もたぶんそんなに大きくない。
 そんな女性らしさに乏しい体だが、だからこそ情欲を掻き立てるのだということを東雲はまだ知らなかった。

「…………」

 サラシを解いて胸を曝したまではよかったが、緊張で身体が強張ってしまう。その間にも白い素肌にはうっすらと汗が滲んでいくが、東雲は意を決して慎ましい膨らみに手を添えた。

「んっ……」

 まるでまな板のような胸だ。けれど、こうして触れてみると思いの外柔らかくて、掌を押し返してくる弾力があった。

(た、確かこう……)

 本に書いてあったのを思い出しつつ、東雲は自慰を続けていく。手を上下に動かしたり、指で円を描くようにしたりして乳房を弄ぶ。その度に東雲の口から吐息とも喘ぎともつかない声が漏れた。

「はぁ……っ、あぅ……」

 初めての感覚に戸惑いながらも東雲の手は止まらない。次第に先端がぷっくりと尖ってくるのが分かる。
 少し怖くなりつつも、東雲は桜色の頂点に指を触れさせた。

「ひぅっ……♡」

 瞬間、ピリッと弱い電流のような刺激が走って東雲は肩をビクリと震わせた。

(な、なに、今の……)

 何が起こったのか分からないまま東雲はもう一度頂点に触れてみる。するとまた同じように衝撃が走った。

「んんっ……♡」

 今度は少し強めに摘まんでみた。すると先ほどよりも強い快感に襲われる。

「あっ、んんぅっ……♡」

 東雲は戸惑いながらもその行為を続けた。最初は恐る恐るといった様子だったが段々と慣れてきたのか大胆になっていく。硬くなった突起を指で潰してみたり、指の腹で転がしてみたり、何かに導かれるように指が動いてしまっていた。
 太ももの付け根の辺りから湿った感覚を感じれば、東雲は胸を弄ったままソコにも手を伸ばしてしまう。
 デリケートな場所を触っていいか寸でのところで悩む東雲だったが、好奇心には抗えなかった。

「ぁっ……♡」

 普段はおしっこを出すところ。その程度にしか認識していなかった秘部。
 今そこは小便とは違うヌルヌルとしたものを分泌し始めている。

「はっ、んぅっ……♡」

 恐る恐る割れ目に指を押し当てる。すると今までとは違う快感が走った。乳房を触るのとはまた違う。
 東雲は未知の感覚への恐怖と興味がせめぎ合うのを感じた。

(だ、大丈夫……これはみんながやってるって……)

 自分に言い聞かせるようにしながら、東雲はゆっくりとぴっちり閉じたワレメへ指を挿入していく。
 何人も侵入を許したことのない秘部は東雲の細い指でもギリギリだ。それを押し広げることに痛みを感じつつ、しかし違う感覚も抱いていく。

(なんか、ゾクゾクして……)

 東雲は荒い呼吸を繰り返しながら、指を出し入れし始めた。あれだけ狭くて痛みもあったのに続ければ続けるほど背筋をゾクゾクさせる感覚に包まれていく。次第にくちゅくちゅといやらしい水音が立ち始め、東雲はいつしか自慰行為に没頭していた。

「んっ、はぁっ……はぁっ……あっ♡」

 指を出し入れするたびに熱い吐息が漏れる。割れ目からは愛液が溢れ出し、東雲の太ももを伝っていった。しかしそんなことにも気が付かないくらい彼女の意識は秘部に集中している。
 最初はキツかった膣も今では柔らかくなりつつあった。それでも今は一本が限界だろうが。

「はぁっ……はぁっ、あっ……んんぅっ♡」

 最初はゆっくりだった指の動きが段々と早くなる。膣壁を擦る度に東雲は切なげに眉を寄せた。
 東雲の細い指が膣穴を穿つたびにぐちゅぐちゅと淫らな水音が鳴る。その音を聞くだけで東雲の興奮は増していった。

「あっ、あぁっ……んぁぁぁっっっ♡」

 東雲の口から一際大きな嬌声が上がる。ビクンと腰が跳ね上がり身体が弓なりに反れた。一気に身体が軽くなるような、それでいてどっとのしかかるような感覚が両方訪れて、東雲は軽く痙攣しながら目を見開いた。

「はぁっ……はぁっ……」

 荒い呼吸を繰り返しながら東雲はベッドに倒れ込む。火照った身体がシーツに擦れてそれすら心地いい。

(い、今のがイクってこと……?)

 呆然としながら思う。初めての快感は東雲には想像よりも激しくて、彼女は放心したままぐったりとしてしまう。
 そうやって彼女が初めて自慰を遂げて達した夜は過ぎていき、翌日の朝大慌てで服を整えたり愛液のべったりついた布団を綺麗にすることになったのは別の話だった。

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