筆者がダルク関連のcpを投稿したくて作りました。ダルクのcpなら健全、R-18問わずにどうぞご利用ください。いつか霊使いss保管庫になるかも? 今のところはダルク×霊使い関連に絞ってお願いします。

「今日の話し合いはこれくらいで良いかな?」
 エリアがメモがわりにしていたノートから顔を上げて、全員を見る。
 庭の丸テーブルを囲んで座っている全員が頷いた。
「うん、こんなものじゃない? ダルクもいないしね」
「うん、じゃあおしまい!」
 アウスがそう言ってお茶を飲むと、エリアがペンを置いて大きく伸びをする。
 今日は毎週やってる霊使いのみんなでの報告会の日だ。
 最初期のころはお互いにそれぞれの術の理念や式を教え合ったり、受けた依頼内容からその達成方法まで共有したりと、かなり真面目な会議だったのだけど、年数が経つと緩むもので、今はせいぜい新規の依頼人がどういう人だったかとか、良い触媒がある所があったかとかを話した後は大体雑談時間になっている。
 ちなみに、ダルクは朝、というか深夜から依頼があって、今は出てしまっている。
 そのせいで昨日はお互いの寝る時間がずれてしまって、あんまり話せていない。というか、ダルクのことを見送りしたかったのに、夜遅くはどうしても眠くなってしまうあたしは結局起きれず、グースカ寝てしまっていた。
 ダルクだって起こしてくれても良いのにと思わなくもない。あたしに気をつかってくれたのはわかってるから何も言えないんだけど。
「ところでさぁ、ヒータちゃん。ダルくんとはその後どんな感じ? 上手くいってる?」
 突然、ライナがそう聞いてくる。
「え、な、何だよ急に」
「いやぁ、奥手なヒータちゃんがちゃんと成長できたかなぁって思って」
 ライナはニコニコとした笑顔でそう言ってくる。どういう目線なんだ。
 というか、こんなみんないるところじゃなくても。
「おー、私も気になるー!」
 そう元気に声を上げるのはウィンだ。ついでに手も上がっている。
「ええ……。エリアとアウスもか……?」
「まあ、後学のために聞いてみたくはあるよね」
「まあ、ちょっと気になりは……」
 残りの二人にまでそう言われてしまって、逃げ道が無くなる。
「まあ、流石にヒータちゃんから話していくのは難易度が高いだろうから、私から聞いていこっか。どう、ダルくんとはあれからスキンシップできるようになった?」
 ライナが目を光らせている。恋愛関係の時のライナは肉食獣みたいな目をしててちょっと怖い。
「い、一応……」
「ほうほう、具体的にはどういうのが好き?」
「ぐ、具体的って……。えっ、と、ハグ、とか……」
 おー、とかあー、っていう声が上がる。何だこれ、公開処刑か何かか?
「ヒータちゃん、ダルくんの腕に抱きついたりしてたもんね〜。できるだけ体が触れ合うのが良いのかな?」
「は!? い、いつ見て……!?」
「いやぁ、ヒータちゃんは見えないところでやってるつもりかもしれないけど、結構わかるもんだよ?」
 他のみんなを見渡すと、ウィンが頷いて、エリアが顔を逸らした。あまり外に出ないアウスは見てなかったみたいだけど、それ以外には知られていたということになる。
「それはおいといて〜」
 あたしはおいとけないんだが。
「ダルくんとはデートとかした?」
「なんでそんなことまで……」
「いいじゃん、減るもんじゃないし」
 あたしの羞恥心がめちゃくちゃになってるが。
 でも、ライナのやけに光ってる目に射すくめられて、口を閉じることができない。
「この前、ダルクに誘われて、ウィッチクラフトの街に……」
「あー、そういえばこの前依頼の後遅くなるって言ってた時あったね」
 エリアに日にちまで特定された。普段すごいって思ってる記憶力だけど、こんな時まで発揮してくれなくていいから。
「へー、ウィッチクラフトの街かぁ。色んなお店があるよねぇ。どういうとこ行ったの?」
「え、と、ご飯食べたり、アクセサリーの店とか……」
「お、ということは何か買ってもらったりした?」
「さ、さすがに見せないからな!」
「何かは買ってもらったんだ」
「あっ」
 自分から墓穴掘った。
 ダルクからは、ペンダントを買ってもらって、それは今も服の下に隠してつけている。
「うんうん、ちゃんと進んでるようでなによりです」
 ライナがしたり顔で頷く。
 だから何目線なんだよ……。
「ふふっ、楽しそう。なんかそういうの、ちょっと憧れるかも」
「ご飯いいなぁ〜」
 エリアとウィンもニコニコしながらそんなこと言ってくるし。
 人の恋愛の話なんてそんなに聞いてて楽しいものなのか?
「ところでさ」
 今まで聞き手に徹してたアウスが口を開く。
「あ、私も質問していい?」
「どうぞどうぞ」
 アウスとライナがそんなやりとりをする。
 なんだよ、学会かよ。せめてあたしに聞けよ。まあ、もう、ここまで来たら答えてやるけどさ。
 そう半ばやけになって覚悟を決め、喉を潤すためにお茶を一口飲んだ。
「セックスってもうしたの?」
 口の中のものを吹き出しかけた。エリアも思いっきりむせている。
「は!? え!? なに!?」
「え、いや、ライナから借りた本で登場人物が恋愛関係になった後に、やけにそういうことをしたのを示すような描写があるから、恋人ができたら大体そういうことするのかなぁって思って」
「そう思っても、今聞くかなぁ!?」
 あたしの代わりに突っ込んでくれたのはエリアだ。あたしもそう思う。
「アウスちゃん、そこはお話だから盛り上げるためにそういう描写をしてるっていうのが多いかなぁ。なんだかんだ濡れ場は盛り上がるしね。実際はその人達によると思うよ」
「そういうものなんだ」
 ライナは何故か落ち着いて解説を始め、それにアウスが納得したように頷いていた。
 そこで完結するなら聞かないでくれ。
「へー、私好き同士になったらみんなすぐにするのかと思ってた」
「ウィン!?」
 別の方向から爆弾発言が飛んできた。
「え、ウィン、お前セッ……アウスが言ったことの言葉の意味分かってるか!?」
「そんなのわかってるよー! 子供作ることでしょ? というか、ヒータちゃん達とおんなじ事習ってるんだから、知ってないとおかしいじゃん」
 普通にわかってた。
 いや、そう言われればそうなんだけど、普段のウィンが幼いからなんか抜けてた。あと、ウィンが普段の雰囲気の割に結構サバイバー気質というか、野生的な感じのところがあるのも。
「まあ、子供を作るかどうかは別として、今の時代は愛を確かめ合うための手段として好きな人多いのかな? ヒータちゃんはしてる?」
「してないよ!」
「あ、そうなんだ。最近どっちかの部屋にいる事が多いからもう済ませてるものかと」
 ライナがそんな事を言ってくる。
 ダルクとは、せいぜいキスまでで、そんな事は話題にしたことすらない。
 ダルクと、そういうこと……。
 思わず想像してしまって、顔が熱くなる。
「あ、あたし、買い物に行きゃなきゃいけないから、そろそろ行くな!」
 いたたまれなくなって、あたしはそう言って逃げるようにテーブルを離れた。


 おっと、ヒータちゃん逃げちゃった。
 流石に踏み込みすぎだったかな?
「もー、私も調子に乗っちゃったから強く言えないけど、あんまりヒータちゃん追いつめちゃダメだからね?」
「はーい」
 エリアちゃんに注意されてしまったので、素直に返事をする。
 推しは見守れ派の私としても今回はちょっと突っ込みすぎたと思うし。
 まあ、最後の方以外はヒータちゃんもちょっと話したかったんじゃないかと思ってるけど。逃げようと思えばいつでもさっきの言葉で逃れたわけだし。
「アウスちゃんとウィンも! あんまりセックスとか言うものじゃないです! TPOは考えましょう!」
「「はーい」」
 エリアちゃんの注意は二人にも向かって、二人も素直に答えた。
「あ、もうこんな時間。私、前に依頼された農家さん達から依頼料とは別にお礼をしたいって言われてるからそろそろ行くね」
「え、私も行きたーい」
「別に良いけど、多分すぐに食べれるようなものは無いと思うよ?」
「ならいいやー」
 ウィンちゃんとそんなやりとりをした後、エリアちゃんも出かけて行った。
「それじゃ、後は解散でいいかな?」
「あ、ちょっと待って」
 立ち上がったアウスちゃんに声をかける。
「ウィンちゃんにもちょっと頼みがあるんだけど……」
「ん? な〜に〜?」
 ついさっき、思いついた事があって、それをやるなら二人に手伝ってもらったほうがいい。
 ヒータちゃんは多分もっとダルくんとくっついていたいだろうし、ダルくんも二人の関係が進展する手助けならそんなに怒らないと以前言っていたはず。
 何より、二人がよりイチャイチャしてくれれば私の幸福度が爆上がりするのでやってみるだけ損はない。最悪私が怒られるだけだし。
 あ、なんかラヴァーからろくでもないことするなって思念がきた気がする。
 天日干しにするよ?


「あー、もう、何だってあんなこと聞いてくるんだか……」
 歩きながらぶつぶつと呟く。ダルクと恋人になった今でも、恋愛話で盛り上がるという感覚はよくわからない。
「いや、そんなことより買い物とっとと済ませちゃおう」
 逃げるために言ったことではあるけど、嘘ではない。霊術のための触媒なんかが少なくなってきたからそろそろ仕入れる必要があった。
 気持ちを切り替えて、ウィッチクラフトの魔道具店に溢れた街並みを歩いていく。
 ウィッチクラフトの街は一定額の買い物さえすれば無料で街への転移のスクロールを貰える為、一度来てしまえばいつでも気軽に来られるのが大きな利点だ。普通は作るのが難しい転移のスクロールを条件付きとはいえ配ってしまうなんて事ができるのは、世界有数の魔道具生産地だからこそだろう。
 物を壊したり、盗難に利用される可能性があるからということで、ウィッチクラフト製のゴーレム以外、使い魔の同伴が禁止されてるのが唯一の不満点だが。
 おかげで稲荷火はお留守番だ。機嫌を取るためのおやつとか買っておかないと。
「あ、この店……」
 前にダルクにペンダントを買ってもらった店だ。
 コインのような金属板に狐が彫られたもので、目のところには二対の小さなルビーがはめ込まれているペンダント。
 最初は宝石のついたようなものなんてとても貰えないと言ったけど、宝石単体としては売れないくず石を再利用して作ったものだから、そんなに値段は張らないと言われて、結局買ってもらったものだ。
 魔法の触媒としてくず石は使ったことはあるけど、アクセサリーに使われたものなんて扱ったことないから、風にさらすのも肌に直接触れるのもおっかなくて下着と服の間に入れている。
 そんなんだから、見るのは寝る前に外す時くらいだけど、狐の目が温かく光るのを見るとあたしの中も暖かくなる。
 ……そういえば、ダルクはあたしとそういうことをしたいと思ってたりするんだろうか……。
 そこまで考えてしまって、顔が熱くなる。こんなの考えるのも、アウス達のせいだ。
 でも、実際どうなんだろう。ダルクのことだから、そう思ってても絶対に口に出したりはしないだろう。
 そうしたら……、あれ? あたしから言うしかないのか? いや、でも、流石にそれは……。
「あたっ!?」
 もやもやと悩みながら歩いていたら、街頭に頭をぶつけてしまった。
 幸い、周りの人達は自分の目的に目いっぱいで気づかれることは無かったようだけども。
 悪態を吐きそうになるけど我慢する。
 ちょっと、たかが一単語に振り回されすぎだ。
「あ、もうこんなところまで来てたのか」
 少し落ち着こうと顔を上げたら、目的地の次の通りを示す標識が目に入った。
 いつのまにか目的の店を通り過ぎてしまっていたらしい。そういう意味ではここで頭をぶつけておいて良かったのかもしれない。
 くるりと反転して来た道を少し戻り、ようやく店まで辿り着いた。
 眩しいくらいだった通りから、薄暗い店内に入ると一瞬何も見えなくなる。魔術の触媒には日光で急激に劣化したり、反応を起こしてしまうものが結構あるので、大抵の触媒店は日光を入れず魔術による弱い光だけで店内を照らしている。
 しばらくかけて目を慣らしていると、奥の方から店員がやってくるのが見えた。
「いらっしゃいましー。ご自由に見てくださいなー」
 それぞれの手にペンや帳簿を持った六本の腕に、触覚のようなものの先にある丸い目、青紫の体と、いつ見ても不思議な見た目をしている店員はいつも通りニコニコと笑っている。
 そういう種族なのか、はたまた使い魔か何かなのかはわからないが、魔法に関わる店でよく同じ見た目の、人? が働いている。本人達に名前を聞いても、魔道雑貨商人としか名乗らないので、結局使い魔なのかそういう種族なのかの議論は決着がついていない。
 そんな商人に軽く会釈をして店内のものを見て回る。
 あたし、というか霊使いが使う魔術の触媒というのは、言ってしまえば精霊への贈り物だ。
 炎に属する精霊が好むのは木炭や髪の毛、獣の皮や脂肪、あとはそれこそルビーやガーネットなんかの宝石など。火山地帯の噴石なんかも好きらしいけど、普通の石と見分けがつかないからあたしはあまり使わない。
「ん? お」
 触媒店には珍しいものがあったので、思わず手に取った。
 刃渡三十cm程の短刀だ。
 普通、霊術には刀剣、というか火で打たれた鉄製品は相性が悪い。ほとんどの精霊が嫌うからだ。
 ただ、不思議なことに神事用に清められたものや、霊的なエネルギーが豊富な地域の炎で打たれたものになると、急に精霊達が好み始める。御巫の里や不知火の里で打たれた刀や炎王の島の炎で打たれた剣なんかは炎の精霊なら大体喜んでくれるし、より大きな力を貸してくれるようになる。
 まあ、かさばるから精々一、二本くらいしか持ち歩けないけど。
 ……そういえば、ダルクのあれってどのくらいの大きさなんだろ。男の人のサイズとか全然知らないから予想もつかない。流石にこの剣と同じサイズって訳ないよな。そんなの、あたしの中に入らな……。
 そこまで考えて、思わず短刀の柄に頭を打ちつけた。
 いや、ほんとに何考えてんだあたし!? 今日はもう色々ダメかもしんない……。
「あの〜、お客さん。商品に乱暴するのは……」
 振り向くと笑みが消えた店員さんがこっちをじっと見つめていた。
「えっ、あっ! ごめんなさい! これ、買わせてもらいます……」
「まいど〜」
 短刀を勘定場まで持っていくと、無表情だった店員さんが笑顔に戻った。
 今まで笑顔以外見たこと無かったけど、店員さんの種族は口の動きが無くなると結構怖いという、無駄な知恵がついてしまった。


 結局、今日は短刀と稲荷火のおやつだけ買って帰って来た。
 というか、短刀が刃物の中ではトップクラスに高い炎王島産だったから予算がほとんど吹き飛んだ。ショーケースとかに置いててくれ……。
 まあ、触媒としても最高品質の品なので、何とか良しとする。
 おやつを咥えた稲荷火もご機嫌だし。
「はぁ、ただいま〜」
 少し気落ちしながら家の中に入ると、異様な雰囲気だった。
 アウス、ウィン、ライナの三人がエリアの前に正座させられている。エリアの隣には困ったような顔のダルクも居た。
 う、ちょっと今顔見るの恥ずい。
 というか、何があったんだ? エリアがマジで怒る直前の顔してるんだが。
「なぁ、これ、どうしたんだ?」
「ああ、いや、僕も帰ってきたばっかりだからまだ把握できてない」
 ダルクもわからないとなると、四人の誰かに聞くしかないが、あんまり突っ込んで行きたくない。
「あ、ヒータちゃん、聞いてよ〜!」
 向こうから来た。
 拗ねたような、悲しんでるような顔のライナがこっちを見つめている。
「エリア、何があったんだ?」
「え、そっちに聞く!?」
 情報元としてより信頼できそうな方に尋ねてみた。
「いや、その……。見てもらった方が早いか……」
 あたしとダルクの顔を見た後、エリアがため息を吐く。
 ダルクと顔を見合わせる。どうやらあたし達に関係あるらしいが。
「こっちなんだけど……」
 そう言ってエリアが案内したのは倉庫代わりにしてる大きめの部屋だ。
「ここがどうかし、た……」
 部屋を覗いて言葉が途切れる。
 そこにあるはずの備品なんかはすっかり無くなっていて、その代わりにどこかで見た事のある家具が並べられていた。
「え、これって……」
「ダルくんとヒータちゃんの部屋の物、運んでおきました!」
 廊下の先からこっちを向いたライナが誇らしげに宣言してくる。
「え、いや、なんで?」
 状況が飲み込みきれなくて、単純な疑問が口をついて出る。
「ふふっ、私は思ったんですよ、ダルくんとヒータちゃんはそろそろ次のステップに行って方がいいんじゃないかと! 付き合い出して、同棲は既にしてる、ならばプライベートの時間をより共有すれば良いと! そのためにはエリアちゃんに怒られるのも怖くない! あ、運ぶ時に個人の趣向に関わりそうなものは見てないのでご安心を」
「そこは、いやありがたいけど、そこじゃない!」
「ダルくんはともかく、ヒータちゃんは結構常に人と一緒にいたいタイプだからあんまり気にならないでしょ? 今でもぬいぐるみとか稲荷火と一緒に寝てるし」
 いや、そういう問題でもないだろ。というかなんで知ってる。
 あ、ぬいぐるみはそりゃ置いてあるからわかるか。でも一緒に寝てるとか稲荷火と寝てるとかは何で知ってるんだよ。
 てか、ダルクはともかくで置いといていいのか。
 ここ最近思ってたけど、ほんとにライナがわけわかんなくなってしまった。
 寝てる時のあたしのこと知ってるのとか含めてマジで怖い。
「昔エリアちゃん達とお泊まりとかした後、一番一緒に寝れなくなるの寂しがってたって聞いたし」
「はっ!? 誰が……!?」
 その事を知ってるのはライナとダルク以外の三人だけのはず。
 そう思って三人を見るとエリアが目を逸らした。情報元そこかよ。
「ちなみにウィンちゃんの風霊術で音漏れないようにしてるから何しても大丈夫だよ!」
「頑張った!」
 何も大丈夫じゃないが。
 ウィンもそんな誇らしげにしないでくれ。
「……ここにあった魔道具の類は? 僕の大体日光ダメなんだけど」
 ダルクがライナに尋ねる。
 あ、そうだ、そこの問題もあった。というか、実害という点ではそこの方が問題だ。
「そこは抜かりなく! アウスちゃんに知識を借りてそれぞれに最善の保管法のままダルくんとヒータちゃんの部屋に移しました! 私の光霊術とウィンちゃんの風霊術で光量や空気の動きも管理してます!」
 なんでそんなに本気出してんだよ。別のことにその熱量を使ってくれ。
「はぁ、ライナちゃんとウィンはもうこの際しょうがないとして、なんでアウスまで手伝ってるの……」
 顔を手で覆ったエリアがまたため息をついた。
 ウィンが「なんで私はしょうがないの〜」って言ってるけど無視される。
 うん、まあ、普段から「たのしそう〜」って、何にでも首突っ込んでるからだと思うな。
「いや、ライナが光霊術の指導書全巻写本してくれるって言うから、つい」
 いやほんとに随分体張ってるな!
「はぁ〜、うん、まあ、これは正直すぐにどうにかはできないし、三人ともこれにかかりきりだったって事は担当してた家事とかまだだよね? 先にそっちやってきてください。説教するかどうかダルクくんとヒータちゃんに聞いてから決めます」
「「「はーい」」」
 三人が少ししょんぼりした顔で解放される。少しでも後悔するならやらなくても良かったんじゃないかと思うな。
「はぁ〜、さて、と二人ともどうする? 二人が嫌ならライナ達に元に戻してもらうけど」
「……まあ、そうしてもらった方がいいかな。ヒータは?」
「え、あ、あたしは……」
 ダルクに話を振られて口籠る。
 常識的に考えるなら、戻してもらった方が、そりゃ、いい。
 けど、心の隅には、ダルクと一緒の部屋で過ごすことへの憧れも、ある。
 別に、一人じゃ眠れないなんて歳では無いけど、ライナに言われたように、あたしは一人より誰かと一緒に居る方が確かに好きだ。
 それに……。
 ダルクの裾を掴む。
「ん? ヒータ?」
「その……」
 葛藤の末に、もごもごと口に出す。
「えっ、なんて?」
 あまりにも声が小さすぎたのか、エリアに聞き返された。
 恥ずかしさを堪えながら、さっきより大きな声をなんとか出す。
「あたしは、ダルクと一緒が、いい、かも……」
 二人とも黙ってしまった。せめて何か言って欲しい。
「「えっ、かわい」」
「う、うるさいっ!」
 口を揃えてそう言われて、思わず上げた叫び声が家に響いた。


「ヒータは本当に良かったの?」
 私の前に座るダルクがそう尋ねてくるから、こくんと頷く。
 付き合い始めてから、どっちかの部屋で過ごすことは結構あったけど、お互いの部屋の物がまとめてあるというのに見慣れてなくて、なんだか緊張してしまっている。
 いや、それ以上にダルクと一緒に寝起きするっていうことに緊張してるのもあるけど。
「そっか。ただ、無理はしないように。いつでも言ってくれていいから」
「え、もしあたしが今出てけって言ったらどうするんだよ」
 ダルクがそんな事を言うから、思わず聞き返してしまった。
「そしたら、まあ今から部屋を戻すっていうのは無理があるから、居間の椅子で寝させてもらうかな」
「そんなことしなくていいから! そ、そのダルクと一緒なのが嬉しいのはほんとだし……」
「はは、なら外で寝なくても良さそうだね」
 ダルクは軽く笑ってるけど、多分、あたしが言ったら本当に外の椅子で寝てしまうんだろう。
 ダルクは、あたしに気をつかいすぎだと思う。
 そりゃ、優しくしてくれるのは嬉しいし、そういうところを好きになったんだけど、恋人同士になったんだから、あたしだけを気にするんじゃなくダルクがしたいこともして欲しい。
 けど、あたしが恋愛に臆病なのがすぐに変えられないみたいに、ダルクもすぐには素直に欲を出せないかもしれないから。
「なぁ、ダルク」
「ん?」
「ダルクって、あたしとセックスしたいとか、思う……?」
 声は上擦らなかったけど、顔は真っ赤になってると思う。
 ダルクは眉を上げて固まっていた。
「ヒータ?」
「その、素直に答えてほしい」
 ライナに問い詰められるのはおっかなかったけど、ダルクに素直に話せるきっかけにもなった。だからダルクがあたしにしたい事を言えるきっかけになるように、あたしから言って行こうと思った。
 最初に言うのがこれなのは急に吹っ飛ばしすぎだと思いはするけど、優しすぎるダルクにはちょうど良いかもしれない。
「……それは、したくないとは思わないけど……」
 ダルクはまだ困惑の方が強いみたいで、なんとなく遠回しな言い方をする。
「またライナに何か言われた?」
「う、いや、確かにそれもちょっとあるけど、今回はあたしの意思が大きい!」
 毎回ライナに詰められて自分の思いをダルクに伝えてたあたしだから、そう思われるのも無理はないけど、今回はそういうのだけじゃない。
 それを伝えたいのに、もどかしくて。
「ダルクはあたしに優しすぎるんだよ! いっつもあたしのことばっかり気にして! それも、嬉しいけどさ? あたし達、恋人なんだから、あたしにもダルクがしたい事を言って欲しいし、それを聞きたい、そういうこと!」
 後半になるにつれて、恥ずかしくなって早口になってしまった。
 それでも言いたい事は言い切ったので、ダルクの方を見る。
「ははっ、そっか」
 ダルクがそう言って穏やかに笑った。
「うん、そういう事なら。僕はヒータとしたいよ」
「そっ、か」
 さらっとそう言ってくるから、あんな啖呵を切った後なのに黙り込んでしまった。
「ヒータ? 別に今からしようなんて考えなくていいからね?」
「あー、もう! またそういうこと言う!」
 あたしも人のことは言えないけど、ダルクもすぐには変わってくれないらしい。
「ダルクは、今もあたしとセックスしたいって気持ち自体はあるんだろ!?」
「そりゃ、あるけど」
「なら今する! あたしは決めたからな!」
「わ、わかった」
 立ち上がってダルクの肩を掴んで、そう捲し立てると、流石のダルクでも気圧されたのか素直に頷いてくれた。
 なんかあたしも勢いに任せすぎて暴走してる気もするけど、ここで勢いを止めてしまうと多分もう進めなくなるので、そのまま爆走するしかない。
 恋人になってからあたしが主導権握ってるのがはじめてなので、そのまま行きたいなんて、ちっちゃなプライドもあるけど。
「えっ、と、それじゃあ……?」
「ダルクはそのままで良いから! あたしがする!」
 まだ混乱した様子のダルクを制して、自分の服に手をかける。元々パジャマに着替えてたから、すぐに下着だけの姿になれた。
 あらためて自分をみると、胸は小さいし、お尻もそんなに大きくない。こんな体にダルクは興奮してくれるんだろうか。
 そんな事を考えて、手が止まりそうになるけど無理矢理振り払って下着も脱ぎ捨てて、ダルクの方を向く。
「……」
 無言のままじっと見つめられる。
「な、なんか言えよ!」
「あ、ごめん。……綺麗だよ、ヒータ」
「そういんじゃない!」
「ええ……?」
 そんなことをまじまじと言われてしまった。ダルクに主導権を取られそうな気がして怒鳴ってしまった。
 自分でもなかなか理不尽な怒り方をしたと思う。
 困惑した声を出したダルクを置いて、ダルクのズボンに手をかける。
「ちょ、ヒータ!?」
 ダルクが制止の声をかけてくるけど、止まってやらない。今までずっとダルクにしてもらいっぱなしだから、今日くらいあたしからしたい。
 無理矢理ダルクのズボンをパンツごと下ろすと、何かが飛び出してきた。
 黒くて、脈打つみたいにビクビクしてる、ダルクのそれ。
 え、でかくない? いや、初めて見たからこれが普通のサイズなのかもしれないけど、どう、なんだ?
「ヒータ?」
「あ、いや! 大丈夫だから!」
 本物を目の前にしてちょっとフリーズしかけたけど、ダルクに怯えを悟られないよう、大きな声で返事をする。
 大丈夫、これをただあたしのあそこに入れれば良いだけだ。
 そう意気込んで、自分のあそこに指をかけて広げる。
 そのまま、ダルクのそれをあたしの中に突っ込んだ。
 入り口に入りはしたけど、思ったように中に進んでくれない。無理矢理力を入れて押し込む。
「ヒータ、待っ」
 ダルクがそう言ったのと、何かが破れたような感覚がしたのはほとんど同時だった。
「いっ、たぁ!!?」
「ヒータ!」
 激痛が体の奥から響いて、思わずベッドに転がる。
 え、何これ、めちゃくちゃ痛い!
 戦闘で怪我したことは何度かあるけど、こんな痛いの初めてなんだが!
 え、あそこ裂けた?
 世の中のカップルってみんなこんなことしてんの? マジで? 痛みが愛なんだねってやつか?
「ヒータ、大丈夫!?」
 涙で滲んだ視界の中、一度離れて急いで何か持ってきたらしいダルクが見えた。
「足、ひらける?」
 心配そうに聞いてくるダルクになんとか頷いて、ゆっくりと足を開く。
 冷たいものがあたしの股に触れて、濡らした布を持ってきてくれたんだとわかった。
「……良かった、裂けてはなさそうだ」
 え、本当に裂けることあるの?
 あたしのあそこの様子を見ていたダルクがベッドに上がってきて、あたしのことを抱き寄せる。
 あたしはダルクの胸元に顔を埋めて、なんとか痛みから気を逸らそうとした。
 そうやってしばらくの間、ダルクに抱きついていた。
「ヒータ、少しは落ち着いた?」
「……うん」
 ダルクがあたしの頭を頭を撫でながら、優しく聞いてくる。
 まだじんじんとした痛みはあるけど、最初の激痛はなんとか去ってくれた。
 初めての時は血が出るとは知ってたけど、こんなに痛いものとは思わなかった。
「良かった」
「……ごめん」
 ダルクが本当に安心したように、優しくそう言ってくれたけど、自分が情けなくて、謝ってしまう。
「ヒータが謝ることなんてないよ」
「でもぉ」
 空回って、ダルクに慰めてもらって。なんだか、こんなんばっかだ、あたし。
 泣きそうになってるあたしにダルクが優しくキスを落とした。
「僕はヒータがしようとしてくれたことが嬉しかったから。今日はもうやめておこう?」
 そう言って、ダルクがあたしの脱ぎ捨てた服を拾おうとする。
 その手を掴んだ。
「ん? どうしたの?」
「ダルク、その、あたし、最後までしたい」
「え? でも流石に今日は……」
「痛みはもうだいぶ引いてきたから、大丈夫だって! それに、あたし、ダルクのこと気持ちよくできてない、から……」
 痛みがだいぶ引いてきたのは本当だ。まだちょっと痛いけど無視できると思う。
 それにあたしから無理矢理しておいて、失敗したのに、ダルクはまたあたしに気をつかおうとしてる。
 ダルクだって我慢してたはずなのに。せめて、ダルクには気持ちよくなってほしい。
 もしかしたら、もうこんなあたしには興奮できないだけかもしれないけど。
「ヒータ……」
 もう、呆れられてしまっただろうか。
 そう思ってたら、ダルクに抱きしめられる。
「なら、僕がしていい?」
「え、でも……」
「僕がヒータにしたいことなんだ」
「……わかった」
 ずるい。そう言われたら、聞くしかないじゃんか。
 あたしの返事を聞いたダルクは穏やかに笑って、あたしのことをベッドに寝かせると、服を脱ぎ始めた。
 ダルクの、細い割にしっかりと筋肉のついてる体が露わになる。
 目の前でそれを見せられて、なんだか、ドキドキしてしまう。
「明かり、消した方が良い?」
「あ、うん」
 ダルクがそう聞いてきたから頷く。
 あんなにドタバタして、どこも見られてるのに今更な気もするけど。
 ダルクが闇霊術を使って部屋の明かりを消す。こういう時も便利だな。
「触るよ」
 ダルクが静かに言うから、黙って頷いた。
 暗い中でも動きはわかったのか、ダルクがあたしの体を優しく抱きしめて、キスをしてくる。
 触れるだけの優しいキスと一緒に、ダルクの手が動いていく。胸やお尻、あたしのあそこなんかを触るのかと思ったら、そうではなくて、首から肩、腕をゆっくりと撫でられる。
 ダルクの手で撫でられた所がじんわりとあったかくて、心地良い。
 触られると思っていた胸やお尻はむしろ避けているようで、首や背中、お腹をゆっくりと手が這っていく。
 なんだか、ダルクとくっつきたくて、あたしもダルクの背中に手を回す。
 ダルクの体温と密着して、少し汗ばむ。
 その間もダルクの手はあたしの体をゆっくりと弱めの圧を入れて撫でている。
 なんだか、マッサージみたいだった。
「ヒータ、触ってほしいと思うところはあった?」
 ダルクがキスをやめて、そう聞いてくる。
「その、お腹が良い」
 ダルクの手がお腹の辺りを撫でてくれると、気持ちいい、のかはわからないけどなんだかホッとするような気がして、そう答えた。
「ん、わかった」
 ダルクは短く答えると、あたしとダルクの間に片手を滑り込ませて、あたしのお腹に手のひらを当てると、またキスをしてくれた。
 お互いにくっつきながら唇を喰むようなキスをする。
 お腹の上に置かれた手は止まってるんじゃないかと思うくらいにゆっくりと動いている。さっきの騒ぎで緊張してたのか、お腹にダルクの体温を感じていると、体全体がリラックスするような感じがする。
 ただ、ゆっくりとお互いの体温をしばらくの間感じていた。
「んっ」
 すごくゆっくりと下の方へ進んでいたダルクの手があるところに触れた時、それまでと違う感覚がした。下腹の中央あたりだ。
 ダルクの手が完全に止まる。
「大丈夫?」
「ん〜、うん、痛くはないけど、そこ、変な感じ」
 なんというか、少しゾワゾワして、キュンと熱が昇るような。
「触られると嫌かな?」
「いや、そんなに嫌な感じじゃない」
 これが、気持ちいいというものなのか?
「もう少し触ってみるね」
「うん」
 ダルクの手の動きが変わる。手のひらで撫でる感じだったのが、指を使って軽く押したり、線をなぞるような動きだ。
「んっ、あっ」
 ダルクの指が動くたびに、嫌じゃないゾワゾワがして、声が漏れてしまう。
 なんだか、そこが熱を出してるみたいだ。
 すっとダルクの指が離れる。
 ダルクが立ち膝の状態になったから、体も離れてしまう。
 ダルクの手と体温が少し名残惜しい。
「ヒータ、これから胸とかお尻や足に触るね。痛かったり、嫌なところがあったら言って」
 なんだか体が熱くて、ぼんやりしてるあたしはダルクの言葉にただ頷く。
 瞳孔が開いているのか、ダルクの目が光って見えた。
 ダルクも、興奮してるんだろうか。そうだと、嬉しい。
 ダルクの手があたしの胸とお尻を触る。やっぱり、その手つきは優しくて、あったかい。
「んぅ! はっ、あ」
 やわやわと胸を揉まれて、お尻の方を内腿の辺りに下って撫でるように触られると下腹の辺りを触られた時と似たようなゾワゾワがして、悩ましげな声が出てしまう。
 なんだか自分の声と思えなくて、手を当てて口を塞ぐ。
「ヒータ、声、聞きたい」
 あたしが声を出さないようにしてると、ダルクが短く言ってきた。あまり聞いたことのない、余裕のなさそうな声だった。
 ダルクのお願いを聞いて、少し恥ずかしいけど、手を下ろした。
「はっ、んっ、あぅっ」
 じんわりと、頭の中が蕩けるみたいに熱くなって、吐息とも、呻き声ともつかない声が漏れていく。
 暖かくて、気持ちいい。
「ひゃうっ!」
 胸を触っていたダルクの手が形を変えて、あたしの胸の先端を触ると、それまでとは違う、ピリッとしたような感じがした。
「ヒータ、ここ、触るよ」
 あたしへの質問じゃなくて、決定を伝える言葉。
 ほわほわと浮かんだ頭でもそれが嬉しくて頷いた。
「あっ! ひうっ!」
 なんだかいつもより立っている気がする胸の先端をダルクの指が軽く擦ったり、優しく摘んだりするたびに、刺激に耐えられなくて声が出る。
「ここ、気持ちいいんだね」
 ダルクにそう言われる。
 これが、気持ちいい。
「う、んっ! 気持ち、いいっ」
 ダルクに教えられた言葉をただ口に出す。それだけで、気持ちいいが強くなるような気がした。
「っ!」
 なんだか、大きなつばを飲む音が聞こえた気がする。
 気持ちいいしか考えられなくて、よく、わからない。
 そしたら、胸を触ってくれてた手が離れてしまった。
「ダル、ク?」
 なんでだろうと思って、愛しい人の方を見る。
「ヒータ、そろそろここを触りたいんだけど、いいかな?」
 そう言ってダルクの指が軽く触れたのはあたしのあそこの入り口だった。
 びくりと体に緊張が走る。もう痛くはないし、むしろ切ないような感じすらするのに、最初の痛いのがフラッシュバックしてしまう。
 ダルクの手がびっくりしたように離れてしまった。
「さわっ、ていいよ」
 ダルクに向かってそう言う。
 暗くて、ダルクがどんな顔をしてるのかわからないけど、心配そうな顔をしてるんじゃないかって思った。
「ダルクに、さわられるなら、あんしん、できるから」
 ダルクになら、どんなことされてもいいなんて思ってしまうくらいに、ふわふわした頭のまま、ダルクに伝える。
「……痛くはしないから」
「うん」
 短いやりとりを交わす。
 ダルクの手があたしのあそこにあらためて触れた。
 くちゅりという音がした。
「んうっ」
「良かった、濡れてる」
 ダルクのホッとしたような声が聞こえる。あんまりよくわかんないけど、ダルクがそう言うならいいことなんだと思う。
「指、入れるよ」
「んぅ? ひぁっ!?」
 ぬるりと、あたしの中にダルクの指が入ってくる。
 細いけど、あたしよりたくましい指が、あたしの中をくにくにといじっていく。
「少しずつ指を増やすからね」
「あっ! ひぐっ! う、んっ!」
 また種類の違う気持ちいいに翻弄されながら、なんとかダルクに返事をする。
 つぷっと言う音と共に、新しい指が入ってきた。
「ひあっ! ん、ひゃう! あ、だる、くぅ、きもち、いっ!」
 ダルクに痛くないと伝えるために、回らない口で気持ちいいと言う。
 二本の指があそこを広げるみたいにあたしの中を押していく。
「ここも、触るね」
「ひうっ? ひゃああ!?」
 ダルクの親指に触られたのは、あたしのあそこの上の方についてる小さな突起。そこを触られた途端、乳首と似たような、けどそれ以上の気持ちいいがビリビリと頭にまで昇る。
 あたしの中にあるダルクの指の動きも変わって、ただ中を広げるような動きから、中の浅いところや奥の方のお腹側を擦るみたいな動きになる。そこも、ビリビリが強くて。
「ひあ、はっ! だる、くぅっ! なんか、きちゃ、うぅ!」
 気持ちいいが強くなって、頭が弾けたみたいになる。体がピンってなった後、だんだんと緩んで、ベッドに背中がついた。
「上手にイケたね」
 ダルクが優しくあたしの頭を撫でてくれる。
 今のは、イクっていうものらしい。
「それで、ヒータ」
 ダルクがそこで言葉を切るから、なんだろうと思ってダルクの方を向く。
「挿れても、いいかな」
 何を、というのはダルクについてるもののことだろう。
 今まではあたしが気持ちよくしてもらってばっかりで、ダルクはまだ一回も気持ちよくなってない。
「うん、いい、よ」
 あたしがそう言うと、ダルクがあたしの足を開いて、その間に入る。
 顔が近くなって、ダルクの息が荒くなってるのが聞こえた。
 つぷっと、あたしのあそこに指より太いものが当たる。
 ゆっくりと、ダルクが腰を前に進めてきた。
「あっ! だる、くぅ!」
 指よりもずっと太いそれが、あたしの中をゆっくりと進んでくる。
 あたしがしようとした時と違って、するすると入ってきて、痛みもなくて、ただ気持ちいい。
 ゆっくりとあたしの中をほぐすように動いてたそれが、コツンとあたしの奥に当たって止まる。
「あっ、だる、くのおくまで、きたぁ」
「はっ、そう、だね」
 それが嬉しくて、涙が出そうになる。
「動くよ」
「あっ! っ、うん」
 動く予兆で気持ちよくなりかけたけど、なんとかこらえて返事をする。
 ゆっくりと、中のものが動いていく。
「ひうっ! っ! ああっ!」
 ずるずると引き抜かれる時に段差があたしの中を引っ掻いていって、戻ってきて奥を叩かれる。そのどれもが気持ちよくて。
 だんだん、ダルクの動きが速くなってきて、パチュ、チュプという音も大きくなっていく。
「だる、くぅっ! また、イッ、ちゃ、うぅ!」
「ヒータ、僕もっ!」
 ぎゅうっとお互いを強く抱きしめあって、もっと繋がり合いたくて、ちゅーをする。
 お互いの舌が絡まり合う、深いちゅー。
「っ〜〜!!!」
 ダルクに、今までで一番奥を突かれて、頭が真っ白になって、何もわからなくなる。同時にあたしの中に熱が広がる。
 強すぎる気持ちいいのせいで、動けなくて、ダルクと繋がったままになる。
「ヒータ」
 ダルクに呼ばれる。
 どちらからともなく、また、ちゅーをした。
 

「……なんか、慣れてなかったか?」
 初体験を終えて、快楽の余韻から抜け出した後、明かりを付け直した部屋で、あたしはダルクに体を拭かれていた。自分の世話は自分でしたかったけど、体中の力が抜けてるし、筋肉痛みたいになってるしで、とてもできそうになかった。
 そして、なんだかあまりにもスマートに初体験をこなしていたダルクにそんなことを言っていた。
「いや、ヒータが初めてだよ」
「ええ、ほんとかよ?」
 あたしとの差が凄まじくて信じられない。いや、信じたくないって方が正しいけど。
「ほんとだって。まあ、本で勉強したり、人に教えてもらったりはしたけど」
「えっ、教えてって誰に?」
 衝撃の事実が飛び出してきた。
 本はともかく、人に教えてもらったなんて。
 なんか、ダルクが人に性のあれそれを教えてもらってるところを想像すると、モヤモヤする。
 いや、その人のおかげでなんとかこうして済ませられたんだから、感謝すべきなのかもしれないけど。
 それでも、モヤモヤしたものはとれない。その人が、女の人とかだったら……。
「ワイトさん達」
「お、おお……」
 人は人でも死人だった。
 そういえばお得意さんだもんな。屋敷に住み着いちゃった悪霊を鎮めてほしいとか、いつのまにか増えたガイコツを追い払ってほしいとか。
 死人ならまあ……、いや、どうだろ。
「それはそうと」
 あたしが行き場を失ったモヤモヤの処理に悪戦苦闘していると、あたしの体を拭き終わったダルクがベッドから離れる。
 どうしたんだろうと思っていると、ダルクは自分の引き出しの中から茶色の瓶を取り出して、部屋に置いてある飲み水と一緒に持ってきた。
「? これは?」
「後から飲んで効果のある避妊薬」
「え、あ」
 言われて、間の抜けた声が出た。
「流石に、今の僕達が責任持てるようなことじゃないからね」
「いや、うん、そうだけど……。そもそもいつの間に……」
「勉強用の本を探してたらおすすめされてね。ほんとはヒータと相談した方が良いと思ったけど、ちゃんとした薬屋とかで見てもらったら副作用とかが一番軽い奴みたいだったから、ある分に越したことはないと思って買っておいた。まあ、こんなに早く使うことになるとは思っても見なかったけど」
 ダルクが薬を一錠と水を渡してくれたから、そのまま飲む。
「なんというか、ダルクってちゃんとしてるな」
「そりゃあ、大切な恋人だからね。僕のせいで危険な目には合わせたくないのは当たり前でしょ?」
「ふふっ、そっか」
 ダルクの腕に寄りかかる。相変わらず過保護だとは思うけど、大切にされてるのは嬉しい。
「……でも、いつかはダルクの赤ちゃんほしいな」
 自分のお腹を撫でる。今はまだ無理でも、いつかは。
「……ヒータ、あんまり可愛いこと言わないで、我慢できなくなる」
「へ、何が……、あ」
 そこまで言って、思い当たる。というか、ダルクのズボンが張っているのを見てしまった。
「僕がしたいって言っても、今のヒータは無理でしょ」
「う、はい……。無理です……」
 ダルクに我慢はさせたくないけど、今の状態でもう一回戦しようものなら、絶対に明日起きれなくなる。
 あたしの心の中の目標に、ダルクが完全に満足できるようになる、というのが追加された。

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