Windows上でJWASM(フリーのMASM6互換アセンブラ)と98エミュを使ってのプログラム作成に関するエトセトラ。また、PC-98プログラミング関係の書籍紹介とか自作ソフトの進捗とかも。

SPACE TRAVEL with PC  日本電気航空宇宙システム株式会社


本日は、マイナー過ぎて世間一般にはPC98関連書籍だと思われていないであろう一冊を紹介します。

 SPACE TRAVEL with PC 定価2000円、末端価格200円〜2500円くらい

企画・執筆・発行は日本電気航空宇宙システム株式会社、最近では「はやぶさ」や「かぐや」などの人工衛星にも関わってるという、ガチで宇宙関連なNECの子会社です。
内容面も割とガチで、高校物理の内容は最低でも、できれば大学のものも押さえておかないと理解不能っぽいです。
各章ごとにトピックスの解説を行い、最後にBASICで簡易計算とグラフ化を行って次へというだけといえばそれだけの内容ですが、その解説がかなり物理の授業で、一言でいうと超難解です。

序章は「宇宙で暮らす日」と題してSFチックな未来予想図を語っている、極々平和な章です。
ここでこの本は軽いのかな、と勘違いさせるのが狙いか?と思わなくもないくらい、ここからの落差が酷いです。

第一章は「宇宙への旅立ち」としてロケットの速度計算を行います。
分かりやすい導入の直後、ロケットの理想速度はv=g・Isp・logλ、という式が示されます(この段階で数学嫌いはもうNGでしょう)。
ちょっと解説があった後、実際の速度はそこから重力による損失 -gt、空気抵抗による損失(割と面倒なので略)があるので、と結果式が出てきます。
ここで近似してない空気抵抗…?と高校レベルからサヨナラバイバイします。
そこからは静止衛星を打ち上げるための実際のロケットの空気抵抗、速度等のデータグラフを読み解いたりの読み物パート(やや難解)がスタート。
で、第一宇宙速度の求め方(高校物理・地学程度)になってBASICプログラムパートへ。
各種数値を入力して軌道とか加速度とか空気抵抗とかマッハ数とかを実際より簡易化しつつも割とまじめに計算する、というワンダバスタイルなプログラムのリストと解説が載ってます。
割とガチです。

二章は人工衛星の軌道計算です。
ケプラーの六要素、とかいう門外漢には不可思議な単語と共に複雑な数式が次々と出てきます。
要するに高校物理を軽く触っただけの人間には難解で精読はしたくなかったので諦めました。
最終的に載ってるプログラムは低高度円軌道から静止軌道に入るのに必要なΔVを求めて三次元的に結果表示、というもの。
かなりガチです。

三章はほぼ読み物で、宇宙空間での衛星の姿勢制御についてです。
静止衛星からの観測のための下準備、ということですね。
数式がないのでとっつきやすいですが、スピン安定のニューテーション運動が、とか制御のために角運動量を稼いで云々とか、日本語なのに意味が分からない概念が続出して結局はヤバイです。
プログラムは姿勢制御シミュレーターだそうです。
やっぱりガチです。

四章もほぼ読み物で、宇宙からの観測データについて。
ここは一番読みやすく、わかりやすいと思います。
要するにデータのとり方、読み方なので。
プログラムはRESTECなる財団法人から売られているフロッピーを使って宇宙からの観測結果たるランドサットデータを表示しよう、というものです。
もはやそういうのもブラウザとかで表示できてしまうらしいのでアレですが、BSQ画像、BIL画像の表示方法が載っている、というのはある種の層には価値があるのかもしれません。
普通のプログラミングで使う機会は皆無だと思いますが。


大まかな内容と個人的な感想はこんな感じです。
私のような生物&国語が得意な層は欠片も意識されておらず、メイン物理系+サブ数学情報系な大学生以上がメインターゲットなのは確実でしょう。
結局ガチ過ぎです。
プログラムだけを見るなら普通な感じですが、その前提概念やら計算式が複雑でわかりにくいので、今のようにネット検索もない時代にこの本をどれだけの人が読み解けたのか、非常に気になります。

+の評価をするなら、ロケット・人工衛星制御の入門書としてその道に詳しい人が読んだらとっても興味深いのでしょう。
読みやすい文体で複雑になり過ぎないように近似しつつ、割とガチな計算式とか実際の実例を示しているので、数式が無い一般向けの宇宙開発入門本から進んでちょっとだけ深淵を除きたい層には良いんじゃないでしょうか。


以上、PC98のBASICで動くプログラムが載っている、という点以外はもはや宇宙物理の教科書な一冊の紹介でした。
ガチな内容なのに活用の余地が少なく、マイナーで感想などもネット上に見当たらず、更にPC98系の本とも認識されていないというのが今回取り上げた主な理由ですが、事前知識がある人なら面白く読めるんじゃないでしょうか、きっと、おそらく、多分。
和算系の和本よりも難解な感じなので、私レベルでは対策学習をかなりしないとこれ以上読めないです。
素人お断り感が半端ないですが、その分好きな人にはジャストミートなのではないかと思います、ガチで。

プログラムを何らかの形で転用するなら1章2章のプログラムからワンダバなロケット開発シミュレーションが作れそうな予感がしました。
が、予想結果があったら無茶なロケットが落っこちて爆発するのを楽しむような所がなくなるし、結果が分からないのに作らせても偶然でしか成功しなくなりそうでゲームバランスが崩壊しそうだし、とかなりシステムに工夫が必要そうです。

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