カメラ、写真に関連した漫画を紹介するWikiです。

著者佐藤順一(原作) momo(作画)
連載WebコミックEDEN '10.10.8〜'11.3.11(引き続き'11.10.5より「たまゆら〜hitotose〜」連載中、ニコニコ静画でも配信)
単行本全1巻 「たまゆら 〜hitotose〜」全3巻
ローライ35。小さい煉瓦を思わせるボディの中に精密なメカを凝縮し、世界的に有名なカールツァイスのレンズを奢ったそのコンパクトカメラは、今日に至るもカメラファンの間で熱烈な人気を呼ぶカメラの一つになっています。露出はマニュアルでピントも目で大体の見当をつけて合わせるようになっていてこの辺りが不便である上、小さくまとめるために構造が従来のカメラから変えられているので使い手に優しいユーザーインターフェイスとは言えないのですが、カメラのコンパクトさとデザイン、精密感に惚れ込んでいる人は多いです。レンズのクオリティはは世界屈指ですから目測ピントが決まった時の写りはなかなかのものですしね。概して気難しくて他人、特に異邦人にはなかなか心を許さないけど、ひとたび仲良くなれば掛け替えのない友として長くお付き合いできる。ドイツ北部はブラウンシュヴァイヒ生まれのローライ35はそういうあちらの人々の気質を受け継いだカメラとは言えますまいか。それに空を見て、影の濃さを見てシャッター速度と絞りを調節して、ピントもこのくらいかなと目で大雑把に測ってみることで写真を一枚々々撮る度に込める意気込みや被写体への集中力がデジカメや携帯でサッと撮るのとは全然違って来ると思います。もちろんある程度慣れるまで練習は必要ですが、そうして失敗も重ねて撮っていくうちに、
「どんな感じで撮ろうかな?」
と、被写体への向き合い方が変わってくるはずです。体感で露出を決めたり、目測でピントを合わせる技を習得できればより多くのカメラを使うこともできますしね。そうして今回紹介する「たまゆら」の沢渡楓のように、幸せな気持ちでファインダーを覗くことができたなら。

高校生になって、祖母を頼って母と弟とともに広島県竹原市に引っ越してきた少女・沢渡楓(さわたり ふう 通称「ぽって」)。亡父の形見のローライ35Sで写真を撮るのが好きな彼女とその友達の塙(はなわ)かおる(通称「カオちゃん」)、岡崎のりえ、桜田麻音、日の丸寫眞館の店主、そして憧れの写真家の志保美りほとの交流の日々。その中で楓は亡父との思い出の場所にもう一度行けるのか……というOVAの話と内容はそんなに変わりません。OVAとはストーリーラインの時間軸が若干違っていたり、冒頭で登場したカメラ店の女性客二人が出ていなかったりと細かい違いはありますが。OPに「やさしさに包まれたなら」を使っていたり、写真を通して楓の友達や視聴者に伝わってくる「幸せな気持ち」を上手く演出しているのが好評だったようで、2011年10月からTVアニメシリーズも始まり、それに先駆けて横須賀市汐入(楓が中学生時代まで住んでいた町)で8月からプレイベントが大々的に開催されていました。11月は竹原市でもイベントがあるそうです。両方の聖地とも遠いので、普通に番組や漫画に登場した場面を追うのが関の山ではありましょうが、純粋に見たり読んだりしていて心が温かくなる話で私も好きです。10/5からテレビアニメ準拠のWebコミックも引き続きコミックEDENで始まっており、改めて読んで泣き虫のちひろ(余談ながらCVが寿美菜子で「『けいおん!!』以来のむぎあずの共演だ」と言われてましたね)に思わずもらい泣きしてしまいました。ああも楓のことを気遣ってくれていたのですから。
私が嫁、というか贔屓にしているのは麻音ですね。黒いロングヘアーで、変というかちょっと変わった感じの女の子、この両方の属性は気に入っている要素ですので。話が苦手というところも共感できたりします。

それにしてもローライ35、それも完璧に使いこなすのが一段と難しいSをボーッとした楓が使うのはミスマッチじゃないか、と私は当初思いました。マニュアルコンパクトにしても似たスペックのならせめてコニカC35、オリンパス35ED、ミノルタハイマチックF、キヤノンデートマチック辺りの方が使いやすくていいんじゃないか、と。いずれも小型軽量に作ってあれば露出はカメラ任せですし、ピントが合うのをファインダー越しに目で確かめるレンジファインダーも付いています。ですが露出はこうで、ピントはこうなので、と頭と心を使って撮るカメラを使うことで、楓はファインダーを通して被写体と心を通わせている、そして実力は折紙つきのレンズが付いているだけにピントと露出がバッチリ決まって写っていた時の喜びはひとかたならぬものではないか。まして、
「その頃は父親よりもカメラ慣れしててねえ、距離をねパって合わせて」
と楓の母が語っていた通り、楓にとってローライは冒頭で触れた「掛け替えのない友」として傍にいた、そういう狙いがあってのカメラ選択(ではないか)と考えるとローライはベストだし、私のようなカメラ好きのお客にとってもナイスなカメラを出したな、と思えないでしょうか?
ちなみにカオちゃんの姉のさよみはキヤノンパワーショットD10、アニメのOPでりほさんはニコンD700を使ってました。で、篠田こまちちゃん(楓の弟の香の同級生)が「hitotose」の2巻でニコンFを持ち出しているのですが……もう少し丁寧に描いて欲しかったですな。アニメで登場した時は小学生で難しいフィルムカメラを使おうとは大した意気込みだと感激してたのに。
 Megami MAGAZINE Lilyに掲載された佐藤順一氏のインタビューによると、小さいのと〇が三つ並んでいるデザインが楓に相応しいということでの選択だそうですが、実際に使われてもいるそうです。

掲載、というか配信サイトのWebコミックEDENはジャンル的に少女漫画作品を掲載しているので棚はそちらでした。何軒もの書店でずっとブレイドコミックスの棚を探していて
「ないなあ。TVアニメの影響で売り切れたのかなあ」
と散々悩んだ挙句、世話になってる本屋、の支店の店内パソコン検索で調べたところ、
「お探しの本は少女漫画コーナーにあります」
目指す本がちゃんとあるのを発見して、普通に取ってレジへ持って行った私でした。別の店ではアニメやゲームに詳しい店員がいて、同じ時期に新しくアニメが始まる「ちはやふる」等と一緒に時期や売れ筋に合わせて定期的に商品を変えているイベントコーナーのゴールドライン(客の視線と同じ位置の、誰にも目に付きやすい棚)に数まとめて置いてありましたが。
現在連載中の「たまゆら〜hitotose〜」共々アニメに沿って番組中の雰囲気を丁寧に再現してありますので、アニメと併せてお楽しみください。
'13年7月から始まるアニメ2期、まだ後姿しか出ていない新キャラの女の子がペンタックスQらしい豆カメラを持っているのですが、彼女が楓たちとどう関わってくるか今から楽しみです。
尚、本稿をUPした10/9、京急汐入駅で楓の電車接近放送が不定期で流れていたようです。


 おまけ:たまゆら×ポプラグループコラボCM


おまけのおまけ:恐らくアニメを見てローライ35に興味を持たれた方もおられるかもしれません。が、一般的なコンパクトカメラと違うUIは言うに及ばず、目測でピントを合わせるのは難しいです。前者は慣れの問題としても、いきなり当てずっぽうで目測をしても上手くいきません。詳細はいずれ何らかの形で書く予定ですが(ローライ35Sを使わせていただける当てがあるので)、とりあえずはこちらのHuman Rangefinderを使うと目安となるでしょう。自分の眼幅と腕の長さ、知りたい距離を入力してカードを生成して、左目で0、右目でピントを合わせたい被写体を見て三角測量をして距離を知るカードです。原理としてはレンジファインダーと同じですね。これで少なくとも晴天屋外ならピンぼけの心配は減るはずです。

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