投げっぱなしなSS放置倉庫です。倉庫が2代目だったりします(オイ)

短編シリーズ。
愛し合ってるのに、一方通行。
片思い同士っていう恋愛関係にある二人の、危険な思考回路。

どこか楽しげで。
どこか危うげで。
どこか満足そうで、何も満たされていない。
そんな二人のやりとりや、思想です。

主人公
男:彼女”だけ”を愛してるあぶない男。
女:?

−−−−−−−

「おはよう」
耳元で名前を呼ぶと、僅かに頭が動いた。
口をもごもごと動かして、また静かな眠りに落ちていく。

起きる気配はない。
毎朝の恒例と化している行為だけど君は気付いてもいない。
だけどこういう反応があると、君の夢の中に潜り込めているような気がしてやめられないんだ。

−−−−−−−

『甘えてよ』
そう言うと彼女は苦笑しながら肩にもたれかかってきた。
『そうじゃなくて』

引き離して、見つめる。
少し不安そうに自分の間違いを改めているようだ。
そのあとで小さく、どうして欲しいの?と聞いてくる。
黙ったまま見つめていると、ごめんなさい、と悲しく笑った。
『うん』

−−−−−−−

煙草を吸う。それは空気を吸うよりは少なく、飲食をするよりは多い。
思考する。それは鼓動よりは少なく、行動よりは多い。
君を思う。それは煙草を増やし、空気を薄め、思考を増やし、鼓動を早め、全ての行動を止めてしまう。
手を伸ばす事も、息をする事も、その全てを君を思うことに費やしそう。

−−−−−−−

好きなものは好きだし、嫌いなものは嫌いだし。
だけど優しくするのは好きか嫌いかの問題じゃない。
優しさだけじゃ好きか嫌いかは判断できない。
優しくして好きと伝えることもあれば、厭われるような事をしてても好きなこともある。
愛って言うのは我侭に勝手に想い続ける一方的なモノなんだと思う。

−−−−−−−

「この世界がなくなるとしたら、最後の瞬間に何をしていたい?」
「死んでいたい」
「最後の瞬間にはどうせ死ぬのに」
「死ぬときぐらい、君がまだ僕の傍に居るって思って死にたいじゃないか」
「居るよ」
「世界が滅ぶ瞬間に、君が僕より先に死んだら嫌だから」

−−−−−−−

「好きだよ」
「嫌いだよ」
「こんなに好きなのに」
「こんなに嫌いだっていうのが分からないの?」
「どうしてそんなことを言うの。そんなに私が嫌いなの?」
「僕は君の言葉の真意を訳してるだけだよ」
「あ……」
「”ようやく、分かった”?」

−−−−−−−

「愛って育てていくものだよね」
「愛は質より量だとでもいいたいの?」
「そうじゃないよ、でも愛が溢れたら素敵だもん」
「じゃあ、たくさんの愛を僕は持とうか」
「私に向かう愛以外は許さないよ」
「愛ってのは結局、きつく締め付けてその中だけで満たす方がいい」
「育てるの難しいね」

−−−−−−−

「白百合を手折って 硝子の一輪挿しに入れ、◯◯を注いだら それを吸い上げて緋色の白百合になったりするのかなー」
「は?」
「すごく魅力的だよね、誘惑に負けそう」
「ちょ、何いってるの?」
「何って、俺なりの愛情表現かな」
「や、やめて?」
「なんで?」

−−−−−−−

『世界の全てを敵に回しても…』って常套句。
君が世界の全てを敵に回すような事をしたり、君を愛する事がそれだけの悪事になるって状況になったら。
その時、君は守られたり愛されたりを望みはしないのだろう。

だから僕は、どんなことをしてでも『世界の全てを敵に回させたりしない』。

−−−−−−−

『撫でられるのが好き』と言うから、あまり撫でないようにした。
『笑顔が好き』と言うから、あまり笑わないようにした。
『好きだと言われる度に、貴方をもっと好きになる』と言うから、あまり言わないようにした。

好きになりすぎるのは苦しいから、君にはこんな想いをして欲しくないだけだよ。

−−−−−−−

『いくら一緒にいても求めて飽きないよ。ずっと一緒にいたいね』と笑う君と、
『いつ会っても何回会っても嬉しくて、言葉を交わしただけで満たされる。ずっと一緒にいたいね』と笑う僕は
きっとよく似ていて対偶の存在。

逆ならよかったのにな。

−−−−−−−

嫌がることをしたくないから、僕は君に言いたい事が言えない。
望むことをしたいから、僕は君に言いたい事が言えない。
それはつまり、
僕がしたくないことのために、君の望むことが出来ないのかもしれないし。
僕がしたいことのために、君の嫌がる事をしてるってことなのかもしれないね。

−−−−−−−

何かにつけて謝ってばかりの僕だけど、きっと君は理由を知らない。
いつでも『大丈夫だよ』と笑ってくれる君が、まるで僕に無関心のように見えて
不安だから、構ってほしくてしたことを謝っているのに。
それを白状したら、君はまた『大丈夫だよ』と笑うのかな。

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