仕事を終えた
ユウトは市警庁舎の駐車場で車に乗り込んだがエンジンがかからず修理に出すはめに。通りがかった
キースに声を掛けられ事情を説明すると、
キースから自分のバイクで送ってやると申し出を受ける。まだまだ親しくなれていない相棒が親切心を示してくれたことが嬉しく言葉に甘え自宅まで送ってもらった。せっかくだから部屋に上げてコーヒーでも振る舞うことを提案したが即座に「遠慮する」とにべもない返事をする
キースに、「うちの犬に会っていけ」と言うと、動物好きなキースは頬を緩ませ「あのクソ可愛い犬か」と部屋に立ち寄ることに同意した。してやったりの
ユウトだったが、部屋にはちょうど
ロブと
ヨシュアも来ており、
ヨシュアと
キースの組み合わせには若干緊張感を感じてしまった。
犬の名前が「
ユウティ」だと知ると
キースは少し呆れていたようだったが、あの普段無愛想な男が笑いながら「お前、すげぇ可愛いな」と
ユウティを撫で回すと、
ユウティもお腹を見せて初対面の
キースにとても懐いたようだった。
キースは本当に犬を撫でただけでコーヒーも飲まず帰ってしまったが、
ディックがとても不機嫌になっていた。急に自宅に
キースを連れて来たことなのか、
ユウティの名付けのことをネタにされたせいなのか、と
ユウトが訝っていると、
ディックは「俺の不機嫌の理由は、お前が
キースのバイクに乗って帰ってきたことだ」と怒りにふるえていた。
曰く、バイクのタンデムは身体が密着してしまうから、嫉妬心でたまらなくなってしまうのだ、と。最初は何を言っているんだと思った
ユウトだったが、自分の立場に置き換えて考えてみると確かにバイクのタンデムはやきもちの元だ。
風呂あがりにふたりで肌を重ねながら、緊急事態以外は
キースのバイクには乗らないよ、と
ディックに誓う
ユウトだった。