最終更新:ID:n4q5Iu8Qcg 2013年10月28日(月) 00:25:42履歴
顔を上げる、太陽が輝いている。
直視すればまぶしいから、手で隠す。
光を感じ、光を隠す。
二度と出来ないと思っていたはずのことを、何度も確かめるように繰り返す。
差し込んでくる日の光は、間違いなく太陽から降り注いでいる。
そして、その光を自分の両目で認識することも出来ている。
伸ばす手の感覚も、折り畳む拳の感覚も、自分のモノ。
「どういうこと、なのかしら」
さも意味ありげに、彼女は呟く。
まるで今生きているのが"おかしい"と言うように。
人々が何気なく過ごしている"当たり前"に、感動している。
二上門地下、そこに巣くう悪魔の退治。
大したことなんて無いはずの仕事だった。
いつも通りの武器と力、向かう悪魔を屠りながら進む。
予想通り、仕事は大したことは無かった。
最下層と思わしき場所に巣くっていた悪魔も大したことはなく、特に苦労はしなかった。
つまらない仕事、と思いながらも帰ろうとしたときだった。
気づいた。
全てが遅すぎたことに。
今、自分が何をしてしまったかということに。
だが、その時には既に遅く。
無くなっていく空気にもがくことしか出来ず。
とてもあっけなく、死んでしまった。
そう、死んだはずなのに。
どうして、自分は再び日光を浴びることが出来ているのだろうか。
「死後の世界、って訳でも無さそうね」
人は、迎えるべき死の後、三途の川を渡り次なる命へと転生すると聞く。
黄金の川を渡った覚えもないし、ここがそうだというのならあまりにも殺風景すぎる。
第一、"毒を盛る"なんて七面倒なこともしなくて良いはずだ。
理屈はともかく、自分は何らかの手段によって再び蘇らされた。
時限爆弾の代わりのように、"毒"を盛られて。
目的など、当然読むことは出来ない。
ふぅ、と溜息を一つこぼし、両手を構える。
胸の前で交差させた後、目を閉じたまますぅっと息を吸い込む。
それと同時に、体全体が、奥底から澄み渡っていくような感覚が広がる。
自身が得意としていた術式、ソーマ神権現。
神樹ソーマをその身に宿すことで、自分の傷を癒していく。
この術式も、滞りなく使うことが出来た。
「……これでどうにかなるとは、思っていないけれど」
そう呟いて、再び手を伸ばす。
疑り深いわけではないが、事態が飲み込めない今は全てを疑っていくべきだ。
空に登る太陽も、作り物かもしれないのだから。
だが、そんなことはなく。
自分の体の感覚も、嘘でも何でもない本当のコト。
記憶も、体も、あの時のまま。
わからない、わからないまま時が過ぎる。
「そうね……精々、楽しもうかしら」
考えても仕方がないので、手を軽く叩き彼女は歩き出す。
思わぬ形で手にした第二の人生なのだ。
死が約束されているとしても、その時までは全力で楽しむのが一番だろう。
やりたいことをする、そのために歩き出す。
そういえば、自分のやりたいコトってなんだったっけ?
ふと浮かんだ疑問への答えは、当分出そうにはない。
【E-10/1日目-朝】
【ナオミ@デビルサマナー ソウルハッカーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考-状況]
基本:何しようかな
直視すればまぶしいから、手で隠す。
光を感じ、光を隠す。
二度と出来ないと思っていたはずのことを、何度も確かめるように繰り返す。
差し込んでくる日の光は、間違いなく太陽から降り注いでいる。
そして、その光を自分の両目で認識することも出来ている。
伸ばす手の感覚も、折り畳む拳の感覚も、自分のモノ。
「どういうこと、なのかしら」
さも意味ありげに、彼女は呟く。
まるで今生きているのが"おかしい"と言うように。
人々が何気なく過ごしている"当たり前"に、感動している。
二上門地下、そこに巣くう悪魔の退治。
大したことなんて無いはずの仕事だった。
いつも通りの武器と力、向かう悪魔を屠りながら進む。
予想通り、仕事は大したことは無かった。
最下層と思わしき場所に巣くっていた悪魔も大したことはなく、特に苦労はしなかった。
つまらない仕事、と思いながらも帰ろうとしたときだった。
気づいた。
全てが遅すぎたことに。
今、自分が何をしてしまったかということに。
だが、その時には既に遅く。
無くなっていく空気にもがくことしか出来ず。
とてもあっけなく、死んでしまった。
そう、死んだはずなのに。
どうして、自分は再び日光を浴びることが出来ているのだろうか。
「死後の世界、って訳でも無さそうね」
人は、迎えるべき死の後、三途の川を渡り次なる命へと転生すると聞く。
黄金の川を渡った覚えもないし、ここがそうだというのならあまりにも殺風景すぎる。
第一、"毒を盛る"なんて七面倒なこともしなくて良いはずだ。
理屈はともかく、自分は何らかの手段によって再び蘇らされた。
時限爆弾の代わりのように、"毒"を盛られて。
目的など、当然読むことは出来ない。
ふぅ、と溜息を一つこぼし、両手を構える。
胸の前で交差させた後、目を閉じたまますぅっと息を吸い込む。
それと同時に、体全体が、奥底から澄み渡っていくような感覚が広がる。
自身が得意としていた術式、ソーマ神権現。
神樹ソーマをその身に宿すことで、自分の傷を癒していく。
この術式も、滞りなく使うことが出来た。
「……これでどうにかなるとは、思っていないけれど」
そう呟いて、再び手を伸ばす。
疑り深いわけではないが、事態が飲み込めない今は全てを疑っていくべきだ。
空に登る太陽も、作り物かもしれないのだから。
だが、そんなことはなく。
自分の体の感覚も、嘘でも何でもない本当のコト。
記憶も、体も、あの時のまま。
わからない、わからないまま時が過ぎる。
「そうね……精々、楽しもうかしら」
考えても仕方がないので、手を軽く叩き彼女は歩き出す。
思わぬ形で手にした第二の人生なのだ。
死が約束されているとしても、その時までは全力で楽しむのが一番だろう。
やりたいことをする、そのために歩き出す。
そういえば、自分のやりたいコトってなんだったっけ?
ふと浮かんだ疑問への答えは、当分出そうにはない。
【E-10/1日目-朝】
【ナオミ@デビルサマナー ソウルハッカーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考-状況]
基本:何しようかな
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