俺ロワ・トキワ荘で行われているリレー小説「孤島の実験記録」のまとめWikiです。

「ありえねえだろ、これ……」
端末を片手に、どこを見るわけでもなく呆然とする一人の青年。
無理もない、普通の反応だ。
「後数日で死ぬから、頑張ってどこかにある薬を見つけてね」
と言われて、呆然としない方がおかしい。
そんなファンタジーめいた毒の存在など、"あり得ないこと"だと普通は思うだろう。
誘拐もそうだが、平常な心の持ち主なら普通は経験し得ない事だ。
だが、彼は知っている。
こんな誘拐とか、ファンタジーめいた毒を作れそうな存在を。
巻き込まれる形とはいえ、戦う羽目になった、あの組織の事を。
「……やりかねねえ、よな」
ファントムソサエティ、かつて彼が仲間たちと共に敵対した組織。
何をしようとしているのかは分からないが、何かはしようとしている。
止めなくては、とは思うが、果たして自分に何が出来るか。
「クソッ……」
そうだ、あの時だって。
自分は足を引っ張ることの方が多かった。
心の弱みを握られ、時には仲間を信じ切ることが出来なくて。
大切な、大切なリーダーを見殺しにしかけたことだってある。
でも、どんなときもいつもいつも、場面を打ち破ってきたのはアイツだ。
全ての始まりも、ソサエティの目論見を潰したのも、何もかもアイツなのだ。
自分は、これといって何かをしたわけではない。
今回もまた、ほとんど何も出来ずに過ごしていくだけなのだろうか。
「……んなっ!?」
そんな時である、何もかもを吹っ飛ばすような光景に出くわしたのは。
というか、この光景を見て立ち止まらずにいられる人間がいるのだとしたら、大したものだ。
青年が悪いわけではない、その光景が悪いのだ。

だって、青年が突然目にしたのは。

多量の涎をたらし、身をくねらせ、肌を露わにしながら(自主規制)に黒山羊の頭の角を(自主規制)している女性の姿だったのだから。
艶っぽさがどこか残る、けれどあられもない声に、ただ立ち尽くすことしかできない。
なんだかよく分からないけどヤバいことは分かるから、さっさと立ち去りたいのに。
足は、ぴくりとも動かない。
「あらぁ〜?」
ぞくり、と音がしてもおかしくないくらい、身が引きしまる。
すっかり(自主規制)に夢中だと思っていた女が、自分に話しかけてきたからだ。
けれど、涎は止まっていないし、目はどこか虚ろだ。
青年は完全に怯えきっているというのに、そんなことなどお構いなく女は話を続ける。
「いらっひゃぁ〜ぃい、ふひゅひひっ」
片手に黒山羊の頭を持ちながら、散乱した衣服はそのまま、露出を全く躊躇わずに、一歩一歩迫り来る。
見方を変えれば、完全にゾンビのそれでもある。
手を前に突きだし、怪しげな液体を滴らせながら、ゆっくりと近づいてくる。
もう、その光景だけで十分パニックになり得る状況に。
「う、うあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!?」
ついに何かが弾け飛んだ青年は、叫び声をまき散らしながら、そこから一直線に逃げ出していった。
振り返らず、何も見なかったことにしようとしながら。
だた、逃げ出していた。

迫真悟、人生で初めての種類の恐怖に屈する瞬間だった。




「らひぃ〜、がまんれきなひぃ〜」
さて、そんな罪もない少年をビビらせていた女は、何の悪びれもなく(自主規制)を再開していた。
状況が飲み込めていない訳ではない、むしろ状況が飲み込めているからこそこの行為に堕ちている。
どうせ数日で死ぬならば、何を試してもいいだろう。
己の体で味わえる、最高の悦楽を。
刻んで、刻んで、刻みきって、死んでいくのが一番気持ちいいだろうから。
故に、彼女は与えられたものに手を伸ばした。
"魔界獣肉セット"、悪魔が情事の際に食すと言われる、精力絶倫を確約する魔界肉の詰め合わせ。
魔界がどうのこうのというより、ただ"精力絶倫"という四文字に惹かれただけで、彼女はそのセットをいとも簡単に平らげてしまった。
悪魔が食べるものが人間の口に合うかどうかはさておき(彼女曰く意外といけるらしい)、その効果はやはり折り紙付きだ。
高ぶる感情、燃え上がる情熱、溜まりに溜まる力。
自分が爆発しそうなほどの力に耐えきれなくなった彼女は、ひとまずもう一つの支給品である黒山羊の頭で事をおっぱじめたのだ。
意識が半混濁の中、男が現れたものだから、まあ、先ほどの状況である。
しかし、彼女の"気持ち"はまだ収まらない。
この体には、まだまだ快楽を刻める。
だから、もう少ししたら、この体にありとあらゆる快楽を刻みに行こう。
そう思いながら彼女は、(自主規制)の終盤を終えようとしていた……。

ドMの化身
水越美和子が、この孤島をさまよい始めるまで、あと――――

【H-6/1日目-朝】
【迫真悟@変ゼミ】
[状態]:困惑
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品(1〜2)
[思考-状況]
基本:どうする……?

【H-6/1日目-朝】
【水越美和子@変ゼミ】
[状態]:高揚、精力絶倫
[装備]:
[道具]:基本支給品、黒山羊の頭@ソウルハッカーズ
[思考-状況]
基本:快楽を身に刻む
1:とりあえず続行
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019
→Next
018:よくぼう
時系列順
020:「手を取り合うことを選んだから」
投下順
はじまり
迫真悟
000:[[]]
水越美和子
029:ちょっとだけ

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