FFシリーズ総合エロパロスレのまとめ

「はい、流すよ。」
ザバーッと、固い鱗に温かいお湯がかけられる。
「はい、これで終わり。綺麗になったね!」
クルルの言葉に、キュゥゥゥンと、飛竜が気持ちよさそうな声で鳴いた。

「手伝ってくれてありがとう、バッツ。」
さっきまで飛竜の体をブラシでこすっていてくれた青年に対して礼を言う。
キュウゥゥゥンと、再び飛竜がバッツの方を見て声をあげる。礼を言ってるように聞こえなくもない。
「別にいいよ。タダで泊めてもらってるわけだしな。」
飛竜の巨体を洗っていたせいで、濡れねずみになっていたバッツが笑顔で答える。

サーゲイト城のテラスで、クルルとバッツは飛流の体を洗ってあげていた。
エクスデスと無の力を消し去って以来、バッツは各地を冒険者として旅を続け、
クルルはサーゲイト城の城主として暮らしていた。
先日便りも寄越さずフラッと城に立ち寄ったバッツ。
クルルの方でも慣れたもので、昔の仲間を快く迎え入れる。
客室用の部屋を貸してもらってしばらく滞在していたものの、何もしないでいるのも気が引ける。
城壁の修繕などの大工仕事やら、里に下りてきたモンスター退治などを引き受けていた。
で、今日は飛竜を綺麗にする、というクルルに付き合っていたわけである。

「それじゃあ、綺麗になったところで一っ飛びしてこようか。」
キュゥゥゥンと飛竜が声を上げ、翼を広げる。飛行の前の準備の姿だ。
「バッツも一緒に飛ばない?」

「あ、いや。俺はいいよ。クルルはゆっくり楽しんできな。」
心なしか少し慌てたように見えるバッツ。
それを見て、クルルは少し意地悪をしてみたくなった。この純朴な青年に。

「そっかー。バッツって高所恐怖症だもんね。仕方ない、か。」
ふふふふふ、と、俯いて笑うクルル。
「おい、人が気にしてることを…。あ!何でお前が知ってるんだよ。ファリスかレナが喋ったのか!?」

「あははははは。」
あんまりバッツが慌てたので、クルルは大声で笑ってしまった。
「やっぱりそうだったんだー。」

クルルの言葉を聞いて、バッツは耳まで真っ赤になりながら後悔する。
突然だったせいで、ついつい自分からクルルの言葉を肯定するようなことを言ってしまった。
別に高所恐怖症がそんなに悪いこととも思わないのだが、やはり人から笑われたら恥ずかしい。
「バッツってさぁ。飛空艇で空飛んでるとき、船のへりに絶対近寄らなかったよね。」
「う…。」
飛空艇に乗っているのは平気だった。だが、下はとてもじゃないが見渡せない。
「ファリスが、綺麗な海が見えるって、へりに誘った時も、ぜーんぜん近寄らなかったよね。」
「…うるせぇ。何でそんな余計なことに気づくんだよ。」
なんだかもう否定するのすらバカらしくなって、話をそらそうとする。

「気づくよ。だって…バッツのことずっと見てたから。」
その言葉に、バッツが驚いたような目でこちらを見てくる。
自分が言ってしまった言葉の意味に気づいて、今度はクルルの顔が真っ赤になる。

「クルル?」
「何でもない!べ、別に、意味なんかないからね!」
急いで飛竜の背に乗り、空に飛び出す。
「おい、クルルーーー!!」

下からバッツの声が聞こえてくるが、とてもじゃないけど彼に顔を合わせられない。
テレパシーで飛竜に思念を伝え、城から離れた方へと飛んでいく。

「失敗したなぁ。はぁー…。」
あんなことを言うつもりでは無かった。単に少しからかってやるだけのつもりだったのに。
単に仲間だったから見てただよ、何勘違いしてるの、と笑ってやれば良かったんだけど。
自分の顔はきっと真っ赤になってしまってるだろう。声もちょっとひきつってしまったかもしれない。
そんな様子で、勘違いだ、なんて言えないだろう。

「はぁー。」
再び、ため息をつく。かつて旅していた頃のことを思い浮かべる。
いつから彼のことを意識していたのか。わからない。
旅していた頃からだったからかもしれないし、旅が終わって、彼から離れた時かもしれない。
普通よりは少しかっこいいくらいで、単純で、真っ直ぐな青年。
でも、普通の冒険者なんかとは比べ物にならないくらい強い。
何度も助けられた。助け合ってきた。
おじいちゃんが死んだ日の夜、ずっと泣いていた私の隣で、黙ってついていてくれた。

「あの時かなぁ。」
ずっと慕ってきた祖父が死んでしまったことは悲しいけれど、みんなと旅をし始めた日でもある。
でも、あの頃は周りに自分よりもずっと素敵な女性が2人もいた。
優しくて「これぞ王女」って感じの王女と、男にも見えるくらいかっこ良くて綺麗な海賊。
だからだろうか。はっきりと意識したことは無かったし、気持ちを伝えることも無かった。
今日はあの2人がいなかったから、ついつい言葉にしちゃったのかも。

「はぁー。」
本日3回目のため息をつく。空は、クルルの気持ちなどお構い無しにすがすがしい。

ふっ、と、目の前に思い人の姿が見えた。
はい?何?これ。あんまりバッツのことを考えてたから?世に言う白昼夢ってやつ?

思考停止状態に陥ったクルルに向かって、突然現れた青年が抱きつく。
「うわぁ、っと。危ねぇ危ねぇ。…やっぱり怖いな。高いところ。」

文字通り『いきなり』現れたバッツに抱きしめられ、彼の吐息が耳にかかる。
これは白昼夢とかじゃない。私の目の前にいるのは本物のバッツで、私は…。

「きゃぁぁぁぁぁ!」
声をあげ、バッツのことを突き飛ばす。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!何すんだ!こっから落ちたら死んじまうぜ!?殺す気か!?」
慌てて、飛竜の首辺りを掴む。どうにか転落だけは免れた。

「何で、何でここにいるの!?」
当然の疑問を叫ぶ。ここは飛流の背中の上だ。高山は越えられないとはいえ、
人間がいきなり登場するような場所じゃない。
「驚いた?そりゃあ驚くか。アビリティだよ。竜騎士の『ジャンプ』」
いたずらを見事成功させた子どものような笑みで、バッツが答える。
「飛竜が見えるところまで子ボコに乗せてもらって、そっからジャンプしたんだよ。」

とりあえず状況は理解できた。だけど、もう一つ気になることがある。
「それで、何でそこまでして私のことを追ってきたの?」

怒ったような顔で、バッツから目をそらして問いかける。
本当に怒っているわけではない。そんな表情を作らなければ、口にできなかったから。
「え?そりゃぁ…お前のことが、気になったから…。」
何か他にごまかすような台詞は言えないの!?とちょっとイライラした。
だけど、彼は元々こういう人間なのだ。
それに、イライラするより、その言葉の持つ意味に、心臓がバクバクと反応する。
「…どういう風に、気になったの?」
この青年なら、今なら、多分正直な気持ちが聞ける。

「だから…お前が俺のことを気にしてくれてた、っていうのが、嬉しかったんだ!
それを一応伝えとかなきゃと思ってさ。…そんだけ。」
相手が言ってくれた言葉に、心臓がつぶれそうなほど嬉しくなる。
だけど、ついつい意地悪なことを聞きたくなってしまった。

「レナやファリスのことは好きじゃないの?あの二人の方が私より素敵だよね。」
「あの二人は…そりゃあいい女なんだろうけどさ。俺なんか仲間の一人としか思ってないよ。
俺は、お前のことが一番気になるんだ。ガラフの孫とか、仲間の一人とかじゃなくて、
一人の女として気になるの!タイクーンから出て、お前と二人だけで旅することになった時、
思ったんだよ。お前が隣にいてくれるのが、一番嬉しいって!」

真っ赤になりながら青年が言う。最後の方なんか絶叫だ。
二人のことをいい女、というこんな時までバカ正直なところにちょっとムッとするけど、
バッツの気持ちが直接響いてくる。本当に、私のことを好きでいてくれたんだ。

ついつい言っちゃった、という失敗の典型のような告白に対して、
相手が両思いだったことを伝えてくる、という事実に、あんまり嬉しくて涙が出そうになった。

「じゃあ、これからもずっと一緒に二人で旅しようか?」
これじゃあ、プロポーズじゃないか。
こっちが主導権を握るつもりなのに、青年のバカ正直さにつられて、
自分もついつい真っ直ぐに気持ちを伝えてしまう。

「!!お、おう。お前さえ良ければ…。これからも…。」

すっと腕を伸ばし、バッツのほうに寄りかかると、バッツも腕を体に回して抱きしめてくれた。
目を閉じて、バッツの方に顔を向ける。
いくら鈍感なこの人でも、私が何をして欲しいかはわかるよね。
きっとこれ以上ないってくらい真っ赤になっているだろう青年の姿を想像しながらじっと待つ。

すると。
キュゥゥゥゥゥゥン!と飛竜の「自分を忘れるな!」というような鳴き声が聞こえてきた。
思念は伝えてこなかったけど、「自分の背中で盛り上がってもらっても困る。」という意味だろう。

「続きは、降りてからにしようぜ…。」
「う、うん…。」
二人でこれ以上ないくらい真っ赤になりながら、城への帰還を飛竜に伝える。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます