FFシリーズ総合エロパロスレのまとめ

きら、きら、きら、きら。
星が瞬いている。暗い暗い闇の中、まるで宇宙に浮いているような。
『無』の空間の中、そのどこか。そこで、バッツは確かな何かを感じていた。

「世界が……再生していく――」

無の化身であるエクスデスを倒すことが出来たからか。
それとも奇跡か。

――否、どれでもない。
これは必然だ。世界中が、バッツ達が、みんなが。
生き足掻き、諦めなかったが故の必然だ。

クリスタルの欠片が、バッツの手からすっと消えた。
仲間の――クルルの、レナの、ファリスの手からもクリスタルの欠片が消えていく。
だけど、慌てたりはしない――分かっているから。
世界が再生したように、クリスタルもまた同じように、再生する。

「終わったな」
バッツが笑う。そう、終わった。
エクスデスを倒し、世界が再生し、後は。

「俺達が帰るだけって訳だな」
乱れた髪を撫でつけながら、ファリスが笑う。
「そうね、帰りましょう、姉さん、クルル――バッツ」
空を――上下も何もない無重力空間だが、それはともかく――見上げて、レナが笑う。
そして……レナが見上げた先に、何かが瞬いた。
ばさり、ばさりと翼をはためかせる、飛竜。

「……帰ろう」

皆と同じように笑いながら、クルルも言った。
――その笑顔に曇りがあることに気づいたのはバッツだけで。
そして、気づいた時には手遅れだった。バッツも、クルルも。

レナが緩やかに上昇していき、飛竜の背に跨った。
ファリスがそれに続き、飛竜の尻尾をしっかり掴む。
そしてバッツとクルルが飛竜へと手を伸ばして――その足を、掴み損ねた。
飛竜に、届かない。

「バッツ!クルル?!」

レナの悲鳴が『無』の中に響く。
バッツは懸命に手を伸ばすが、飛竜にどうしても届かない。
そして、クルルはどこかへゆっくりと流されていく…!

「くっそ――!エクスデスとの戦いで――もう限界がきやがった…!」

飛竜がゆっくり離れていく。
もう駄目か。せめて、せめて…。

「駄目!飛竜戻って!クルルが、バッツが、バッツがぁっ!」

レナが絶叫する。飛竜の背を掴みバッツの方へ飛竜を誘導しようとする。

「やめろレナ!このまま俺達を追いかけたら、お前達まで戻れなくなるぞ!」
「でも、こんな――こんな!」

ファリスが戸惑う。
レナの言う通り、バッツ達の元へ向かうべきか。
しかし、行けば、この『無』の中に飛竜自身が飲まれてしまう。
絶望的なまでに、それが理解できた。飲まれたら戻れないことも、分かる。

そうこうしている内にも、バッツとの距離はどんどん離れていく。
クルルの姿はもう見えない。『無』に飲まれてしまったのか。

「ファリス!レナ!先に行け!
 クルルを拾ったら――絶対、追いつくから!」
「いやあ!バッツ、クルルも!今行くから!助けるから!」

殆ど恐慌状態のレナが、飛竜に命令を与えようとする。
今すぐ二人を助けて、助けにいって。と。
しかし。

ガツッ!

ファリスの裏拳が、レナの後頭部にきれいに決まる。
そのダメージにもならないような軽い一撃は、しかしレナの意識だけは確実に刈り取った。

レナを気絶させたファリスが、レナを抱き寄せ座り直す。
眼下のバッツをしばし見つめて――。

「――――すまん」
血を吐くように、言葉を絞り出した。

「――気にするな。すぐ戻るよ」
対するバッツは、気楽に言った。ニヤリと、笑って。

飛竜が、離れていく。
そして、バッツも――見えなくなった。

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■


「ん――…!」
身をよじると、何か暖かい物に包まれている感触があった。

(あれ?私、どうしたんだっけ?)

エクスデスを倒したことはしっかりと記憶しているが。、そこから先がどうも曖昧で。
とりあえず、暖かい何か――多分、布団か何か――をぎゅっと“抱き返しながら”、胡乱な頭で記憶を手繰る。

(ああ、そうだ、飛竜が迎えに来たん、だっけ?)

そうだった。だったら多分、今はバル城のベッドの上だ。
そろそろ起きないと、じいやに叱られるかもしれない。
そう思ったから、彼女は――クルル=マイア=バルデジオンと言う少女は、重い瞼を無理矢理こじ開けた。

目を開けると同時に軽いのびをする。
すると、額に触れた。何が?――唇が。

「ふぁ?!」

クルルの意識が一気に覚醒する。
ほんのちょっと顔を上げると、そこには見知った顔があった。触れ合うほどの近距離に。
そいつは……茶色いボサボサ髪にガキっぽい顔の青年は、幸せそうな顔で寝転けている。
――クルルを、しっかり抱きしめたまま。

「い、やああぁぁぁぁぁぁぁぁああぁっ!バッツのレイプ魔ァァァァッ!」

【アビリティ
 かくとう
 !みだれうち】

クルルの放った正中線四連突き×2が青年の――バッツ=クラウザーの人中・喉仏・水月・金的を正確に二回ずつ打ち貫いた。

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■

「ばっかやろ!いきなり本気で殴りかかる奴があるか!
 せめてアビリティ外せッ!」

バッツが自分の顔面と股間を押さえながら、クルルに向かって思いっきり怒鳴った。
彼女を見つめる瞳は思いっきり涙目で、どうにも情けない。
これで自分より6つも年上だとはとても信じられない、と、クルルは小さくため息をついた。

「ところで、どうなったの?」
ため息の端から発せられたクルルの問いに、バッツの顔がすっ、と引き締まる。
「はぐれた」
「――え?」
「届かなかったんだ。俺達、飛竜に」

バッツの言葉に、クルルが凍り付く。
見回せば、周りは上も下もない漆黒の闇。否、闇ですらない。
漆黒と表現するも生ぬるい、まったくの“透明な黒”。何もないが故の『無』の闇だった。

「なんとかレナ達は脱出したんだがな」

頭をかきながら嘆息するバッツ。
その表情はあまり深刻そうではなかったが。

「嘘――、それじゃ私達、帰れ、ない?」

クルルの声が我知らず震える。
世界は再生され『無』と世界の接点は消えた。
つまり、帰り道は無くなったのだ。帰れない。

「んな事はないだろ。何とかなるさ」
対するバッツは、何とも気楽に肩を竦めてみせる。
「さっきから随分長い間ここに要るんだが、なんでか腹は空かないしトイレにも行きたくならん。
 餓死を免れるんだったら、脱出方法を練る時間はたっぷりあるさ」

この世界は『無』である。
故にどんな行動をしても生まれる運動エネルギーは『無』であり、故に消費するカロリーも『無』。
確かに行動しているにもかかわらず、世界が『無』であるが故に『有』を発生させることはかなわない。
今二人が居るのは、そんな超狂気的な矛盾を孕んだ角度の在らざる世界なのだ。

「ん…?バッツ、ちょっと待って。
 私達、そんなに長い間ここにいるの?」
「おお、時間の感覚なんざあって無いようなモンだけどな。
 クルルがずっと目を覚まさないから心配して……」

と、バッツがそこまで言った所でクルルが動いた。
瞬時にバッツとの間合いを詰め、その右手で顔面を思いっきり掴む。
そのままギリギリと、まるで万力のような力を込めてバッツの顔面を締め上げた。

「そ・れ・じ・ゃ・あ!そんなに長い間、あんな風にだ、抱きしめてたのッ!
 バッツ、セクハラッ!」
【アビリティ
 バーサク
 !あおまほう → デスクロー】
「ぎゃああああッ!やめろ!
 はぐれると拙いから離れないようにしてただけだッ!
 ぐあああああああッ!」



その後――つまり、クルルの気の済んだ後――しばらくは、他愛のない話が続いた。
これからどうするかという指針を立てる為の簡単な相談。
思い出したようにバッツが抱きしめてきたことをセクハラだと糾弾するクルル。
そして、ふとしたきっかけで始まる旅の思い出話。

「知ってる?レナお姉ちゃんて、バッツの事好きなんだよ」

ふと、クルルがそんなことを言った。
「…なんだって?」
「だからさ、レナお姉ちゃんは、バッツの事、愛してるんだってさ」

そのクルルの言葉に、バッツはぱちくりと目を瞬かせた。
「――ほんとかよ…」
ぽりぽりと頭をかく。どうにもこうにも、ピンと来ない。

「バッツ、嬉しく無さそうだね?」
「んな訳ないだろ。単に実感が湧かないだけだ。
 当のレナはここにいないし」

ふうん、と、クルルが興味深そうに声を上げる。
それなら、それじゃあ。

「じゃあ、私がここで“好きだ”って言ったら、OKする?」
小首を傾げて、クルルはそんなことを言った。
――そして、一メートルほど開いていた間合いを、ゆっくりと、詰めてくる。

「お、おい、クルル?」
「勝ち目、無いと思ってたんだ。
 今なら、状況に流されてうんって言いそうだもん、バッツ」

じりじりと、クルルがゆっくりバッツに近づいていく。
身長は150にちょっと足りないくらいの小柄な身体。
華奢で、触れると折れてしまいそうなほど儚くて、ただひたすらに小さくて――。
ころん、と甘えるように、クルルがバッツの胸に背中を預けてきた。
ニコニコ笑って、バッツを見上げてくる。ふんわりと、甘い匂いがした。
すっかり固まってしまっていたバッツがようやく我を取り戻す。

「おい、お前あんまりからかうなよ。
 大体、さっきはセクハラって――」

いつもの調子で軽く言いながら、クルルの両肩に手をかける。
ガラス細工みたいに綺麗で脆そうなその肩を掴み、引き離そうとした所で。
バッツは気づいた。気づいて、しまった。

――その肩が小刻みに、震えていた。

「く、るる…?」
思わず、呟く。その声を聞いたとたん、クルルの笑顔が、陰った。

「――話してたら、不安になったんだ。
 元の世界のこと、話してたら、戻れるのかなって、不安になった」

一言一言喋るたび、震えが大きくなっていく。
何とか笑顔を消さずにいるのは、彼女なりの不安への抵抗か。
がくがくがくがく。吹けば飛びそうなボロボロの笑顔で、クルルはバッツを見つめている。
そんなクルルを、どうしようもなく助けてやりたくなって。
バッツはぎゅっと、クルルを抱きしめた。

「っ――!」

クルルの薄い唇から吐息が漏れる。
その身体に両腕をしっかり回して、抱きしめてやる。
クルルの黄金色のポニーテールが、バッツの顔を優しく撫でた。

「大丈夫だって言っただろ?そんなに俺、信用できないか?」
「うん、バッツって、どうにも頼りないし」

慰めてやろうと思って出した言葉をあっさりと返されて、バッツはほんの少し不機嫌な顔になった。
抱きしめていた腕を、緩める。

「ったく、不安だってんなら、あんな冗談言わずにさっさと正直に言えば良かったんだよ」
そんな、バッツの軽口に、
「――バッツ、冗談だと思ってたの?」
クルルはそんな風に、不機嫌に答えた。


「――なんだって?」
バッツがまた、固まる。
「もう戻れないかもしれないから、本音で話そうと思ったんだよ」
バッツの腕の中で、クルルが身体を半回転させる。
腕の中で、バッツと向き合う体勢になった。

クルルの、フランス人形みたいに整った可愛らしい顔が、こっちをジッと見つめてくる。
「私はバッツが好きだから」
その顔が、バッツにぐっと近寄った。
唇に柔らかい感触。甘い唾液。クルルに、キスを、された。
一秒、二秒、三秒――たっぷり五秒ほど経ってから、唇が僅かに離れた。
「抱いてよ」
クルルの唇が、そんな扇情的な言葉を紡いだ。

「……待て。本気で言ってるのか、それ」
「こんな嘘言えるような、はしたない娘だと思ってる?」

クルルの瞳が潤む。じっと、こちらの瞳を見つめてくる。

「一回だけで良いよ。元の世界に戻るまでに、一回だけ」
また唇が重ねられた。くちゅり、と淫靡な音がする。
恐る恐る、クルルはバッツの口の中に舌を侵入させていく。
息継ぎの為に口を離すと、唾液の糸が二人の口を繋いだ。
「そしたら、全部忘れても良いよ」

「そんなこと――それに、クルルは、まだ、じゅうよん――」

荒い息を吐きながら、バッツはそんな風にクルルを止めようとする。
よくない。そんな気持ちで、こんな関係になって良いはずがない。

「このまま、何もしないなんてやだ。
 バッツ、真面目だから、こういう状況に流されてって言うのが嫌いなのも知ってる。
 だけど、レナお姉ちゃんに勝てないなっていうの、分かるから。だから今だけで良いんだ」

クルルが、微笑んだ。
今にも泣きそうに微笑んだ。

「ッ!」

バッツの目の前が揺らぐ。
全身がバーサクでもかけられたかのようにヒートする。
落ち着け。流されるな。勢いで、なんてのは最低だ。
目を瞑り、心を落ち着ける。
――冷静になる。だけど、冷静になっても、消えない想いが、一つだけ。
これも、気の迷いか?流されているのか?でも、それでも、やっぱり――

今度は、バッツから動いた。
二人の顔と顔が近づいていって、重なる。
軽く触れ合うだけの、キス。

「言っておくが、帰ってからも、今のことは忘れてなんかやらないからな」
「……責任取るとか、そんな考え方、やだ」

そんなんじゃない。ただ、バッツ=クラウザーは、単純に。
さっきの最初のキスの瞬間に、クルル=マイア=バルデジオンに、恋をした。

――やっぱり、どんなに冷静になってもこの想いが消えないから。
自分がこの小さな少女にオトされたのは、間違いのない真実だ。

「一緒にいたいからってだけだよ」
そんな、恥ずかしいことを言ってみる。
その言葉を聞いて、クルルの瞳が大きく揺れる。そして。

「うん――!」
満面の笑顔を浮かべて、クルルが頷いた。
両の瞳に収まりきらない涙を、ぽろぽろぽろぽろ零れ落としながら。
そんな涙を止めてやりたくて、バッツはクルルにキスをした。


今度のキスは、濃厚だった。
ぐっ、と唇を押しつけあうような、貪りあうような、そんな口づけ。
バッツの手が、クルルの頬を軽く撫でる。
柔らかい、絹のような感触が掌に返ってきた。その上を伝う涙を、拭う。クルルが口を僅かに開いた。
滑る舌が彼女の口から伸びてきて、バッツの口内を犯していく。
頬の内側を、歯茎を、喉の奥を、まるで自分の物だとマーキングするかのように蹂躙する。

くちゅり、くちゅり、くちゅり。

舌と舌が絡み合い、抱き合う。
その音が、その感触が、その甘い味が。
二人の意識をゆっくりと解きほぐしていく。

ぼんやりと霞がかったような意識の中、バッツはクルルの胸元に手を伸ばした。
ボタンを一つ、外す。
「ひぅ――?!」
クルルの小さな身体がぶるっと震えた。
ボタンを一つ、外す。
「クルル、やっぱ、初めてか?」
バッツがクルルの耳元でささやいた。
ボタンを一つ、外す。
「うん、やさしくしてよ」
呟き返すクルルの顔はまるで熟れたトマトみたいに真っ赤で、ちょっと可笑しいなとバッツは思った。
最後のボタンを、外す。

「脱がすぞ」
「――うん」

バッツが、ゆっくりとクルルの服を脱がせていく。
一枚一枚、丁寧に。まるで蕾が開花するように服が脱げて、クルルの白い肌が露わになる。
そして、最後の下着――最近着け始めたばかりのスポーツブラに手を付けた所で、バッツの動きが止まった。
どうしたらいいか分からないとでも言いたげに、両手が細かく上下する。

「ひょっとして、女の人脱がせたことないの?」
「悪かったな。初めてだよ」

クルルがバッツの言葉を聞いて、クスクス笑った。
全く持って不覚である。きっと自分の顔は、さっきのクルルに負けず劣らず、熟れきったトマトみたいな顔になっているんだろうとバッツは思った。
笑われた仕返しとばかりに、バッツはクルルのブラの留め金を探そうと背中の方に走らせる。
ツルツルの肌の上を滑る指の感触に、クルルが小さく声を上げた。

「あ…っ」

その声は妙に熱っぽくて、子供っぽいキャピキャピした声のくせにどうしようもなく淫靡で。
――その声は誤魔化しようもなく、感じたから漏れ出た声で。
その声を聞いただけで、バッツの背筋に軽い快感の波が走り抜ける。
ズボンの中で、彼の分身がびくん、と自己主張した。

そんな声をもっと聞きたくなったから、バッツは探り当てた留め金を躊躇いなく外した。
すとん、とブラが落ちる。クルルの上半身を覆う物はもう何もない。
抱き合うような姿勢から少し離れて、クルルの裸体をジッと見つめる。

顔は、よく見慣れた顔だった。小顔で、唇は薄く、目は大きい。
ポニーテールで纏まった金色の髪は、抱き合ったためにくしゃくしゃになっている。

バッツも、初対面から「可愛らしい少女だな」と思ってはいた。
だが、今、こうやって見ると、そんな印象すらもどこかに吹っ飛んでしまっている。
彼女の青い瞳も、ツンととがった細い鼻も、子供っぽさの一因であろう柔らかい頬も。
どれもこれも愛おしすぎて、もう言葉も出てこない。

そのまま視線を下に降ろしていく。
細くて白い首。バッツはそこに軽く口を付けた。
軽く舌を這わせる。クルルがまた、小さく声を上げた。

「はぅ……バッツ、えっち」

全く反論しようもない事実を指摘されるが、もう言葉の意味すら理解できない。
精神が高揚している。ただ、聞こえてくるクルルの声そのものに、欲情した。
じゅるじゅる――ッ…。
唇を首筋に当てたまま、張りのある白い肌を思いっきり吸い上げる。
「ふひゃうっ?!」
可愛らしい喘ぎ声が上がる。
口を離すと、吸い上げた痕が真っ赤になって残っていた。

「バッツ――こんな痕が残っちゃったら服着ても見えちゃ、んきゅぅっ!」
もう一度、今度は喉に紅い印を刻む。
何度も何度も執拗に、クルルの首に自分の物だと主張する為のキスマークを刻んでいく。
「俺に痕付けられたの見られるの、嫌か?」
まるでお気に入りの玩具で遊ぶ子供みたいな笑顔で、バッツが言う。
その無邪気な……しかし、それ故に少々怖い笑顔を見て、クルルの顔が僅かに引きつった。
(あはは――、私、何されるんだろ)
出会ってからこっち、子供っぽくて色恋沙汰に関してはあっさりしてしてそうなイメージがあったが、
どうもその印象は撤回せねばなるまい。
なんだか、蜘蛛の巣に自分から引っかかりに行ったような気分だと、クルルは小さくため息をついた。

喉に舌を這わせながら、クルルの右肩に優しく手をかける。
強く握れば折れてしまいそうな華奢な肩を恐る恐る撫で、なぞりながら降ろしていく。
鎖骨を撫で上げ、そこから真っ直ぐ下の胸元へ。

「あ、やぁ…」
クルルから僅かな拒絶の言葉が漏れる。
ファリスやレナと比べてずっと小さい――もとい慎ましやかなそこは、クルルに取っては軽いコンプレックスだった。

「やだ、じゃないだろ?」

バッツはニヤリと笑って右の胸を軽く揉みしだいた。
広げた掌の下に収まる薄い胸。手の中に、小さな乳首の堅い感触を覚えた。
柔らかくて、マシュマロ菓子と間違えてしまいそうなその胸を弄ぶ。指先でその先端を探ってつまみ上げた。

「はぅっ――!あぁう、ふぁ、あぁんっ!」
ひくん、ひくんと、クルルの身体が愛撫にあわせて小さく痙攣する。
喉から漏れる恍惚とした喘ぎ声も、もう遠慮がなかった。
真っ白い、陶磁器みたいな肌が紅潮する。バッツの手が動くたびに生まれる快感で、どうしようもなく切ない。
「ばっつぅ――も、わた、しぃ……んむぅ、ぷぁ、んんんんんんんっ!」
喘ぎ声が口づけによって中断される。
クルルは、押しつけられる舌と唇とに必死で舌を絡めた。
そのたびに、背筋にゾクゾクと快感が走り抜ける。
他の誰でもない、バッツ=クラウザーに求められているという事実がその快感を際限なく増幅させていく。

ぴちゃり。

「うぁ?! バッツ、どこ、さわっ――!ひう、あっあっあっあぁぁぁぁあぁぁっ!」

唾液の交換に夢中になっている隙に、バッツはクルルの下半身へと素早く手を伸ばした。
薄布越しに秘所に触れ、十分に濡れていることを確認すると、そのまま薄布を降ろす。
予告無しに大事な部分を露わにしようとするバッツの行動に、流石にクルルも抵抗した。

「バッツの馬鹿っ!変態!強姦魔ぁ!
 ………ひあっ?!や、ば、ばっつ、やめぇぇぇっ?!」
抵抗の言葉が、途中で嬌声に変わる。
さっきまで揉みしだかれていた小さな胸。その胸に、バッツが軽く口づけたからだ。
無論それだけでは終わらない。
舐め上げ、吸い上げ、甘噛みし、僅かにミルクのような味のするそこを徹底的に責め立てる。

「あぁっ!やっ、ひぅぅっ!やめて、やあぁ!変なのぉっ!」

クルルの身体から力が抜けていく。あんまりにも気持ちよくて、意識が霞む。
気が付けば、秘所を覆う布っ切れはとっくに取り払われていた。
未だに子供のままの、ぴったりと閉じたその場所を優しく愛撫しながら、バッツはクルルの耳元に囁きかける。

「クルル、いいか?
 ――もう、我慢出来ない」
興奮に、僅かに震えたバッツの声。
断続的に襲い来る快感に翻弄されながらも、クルルはなんとか頷いた。
あぐらを掻いて座った姿勢になったバッツの足の上に、裸になったクルルがちょこんと座る。
『無』の空間の中に居るのだから座るという表現は正しくないが、ここでは脇に置く。
何度か軽く口づけを交わす。と、クルルの腹に、何か熱い物体が触れた。

「あ――」

それを見て、クルルが赤面する。
そこには、バッツのズボンから顔を出したそそり立つ剛直が在った。
びくびくと脈動するグロテスクな肉棒。何とはなしに、大海溝の『正体不明』を思い出す。

バッツがクルルの脇の下にひょいと手を回すと、軽くその身体を持ち上げる。
その細くて小さい身体はなんだかとても儚くて、今更のように庇護欲をそそる。
クルルの股間のスリットに、ますますいきり立つバッツの肉棒を宛う。
小さく水音がして、クルルの身体が跳ねた。
「ひゃうぅ…!」

彼女の喉元にまた新しいキスマークを刻みながら、バッツはクルルを上目遣いに見つめた。

「クルル、痛いだろうけど、一気に行くぞ。
 ゆっくりしても、どうせ痛いんだろうし」
「う…ん、分かった。でも、優しくしてよ?」
「努力するよ」

バッツはにっこり笑って、クルルの頭を撫でてやる。
手が触れた拍子に髪留めが外れて、金糸のポニーテールがふわりと広がった。
バッツが抱えたクルルの身体が、ゆっくりと下へ降りていく。
とても小さなクルルの秘所には入りそうもない大きな肉棒が、軟らかい肉を強引に押し広げて侵入にかかる。
口を開いた割れ目から、愛液が漏れだして肉棒を濡らした。

「あうぅ――ひ、ひたぁい…!つ、うぅ――」
今まで殆ど触れられたことのない場所を蹂躙される痛みが、クルルの身体を突き抜ける。
愛しい男のモノであっても、痛い物は痛い。

一方のバッツも、痛みではない別の感覚に必死で耐えていた。
(やばい、気持ちよすぎる――!)
亀頭の半分が収まっただけなのに、気絶しそうなくらいに締め上げてくるのが分かる。
暖かく、きつく、柔らかで、一瞬でも気を抜けば射精してしまいそうだ。

「せーので、いくぞ、クルル…」
「う、うんっ!うんっ!」
壊れた玩具みたいに首を縦に振るクルル。
そのガラス細工みたいに繊細な身体を抱きしめながら、良しとばかりにバッツが深呼吸した。
クルルの体温が暖かくて、とてもいい匂いがして、それらが全部ひっくるめて愛おしくて。

だから、もう躊躇いなく、
「せーのっ!」
のかけ声と共にクルルの身体を一気に落とした。同時に腰を突き上げる。

「――ッ?!――ッ!――ァ!」

クルルの喉から、声なき絶叫が迸る。
ぶち、ぶちぶちと何かを破る音を立てながら、バッツが今まで誰の侵入も許さなかったクルルの膣内を一気に突き進む。
そして、こりこりとした感触の壁に、肉棒の先端が思いっきり衝突した。

「「う゛あ゛っあ゛あああああああああっ!」」

二人の叫びがシンクロした。
クルルは激痛と、それすら超越する未知の感覚に思いっきりのけぞった。
身体と一緒に、膣内がびくびくと収縮する。その刺激が、いろんな意味でギリギリだったバッツを決壊させた。

どくっ、どくん!どくっ!

クルルの中でバッツの肉棒が爆ぜた。
狭い膣内を思いっきり暴れ回りながら、白濁液を大量に吐き出す。

(あー、ばっつの、でてる……)

腹部に熱いうねりを感じながら、クルルはぼんやりとそう思った。
お腹の中が一杯になっていく満足感。痛いのがどうでも良くなっていくくらい、ほっとする。
さて、終わったなら一度抜いてもらおう。まだだいぶ痛いから――。

こつん!

「きゅうっ?!」

クルルの口から奇妙な声が漏れた。

こつん!こつん!こつん!

クルルの膣内で、何かが小刻みに前後運動して、膣の奥の奥、子宮口をノックする。
何かが、とは言っても、この状況ではそれが何かの特定は実に容易であって。

「ちょ、バッツ、やめ、いたぁっ!」
「少し我慢してくれよ。クルルが痛いばっかりじゃ嫌だから、
 きちっと気持ちよくなるまでやるからさ」

にっこりと笑いながらとんでもないことを口にするバッツ。
いや、その顔は、なんというか。
邪気がないにも程があって、妙に怖かった。

まったく、子供みたいな顔をして笑う男だなと前から思っていたけれど、反則過ぎる。
子供っぽい笑顔、子供っぽい求め方、子供っぽい好意、子供っぽい独占欲。
一体自分は何処でこの男のスイッチを入れてしまったのだろうかとクルルは考えた。
けどまあ、そんなことはどうでも良かった。
クルルに取って重要なのは、前から大好きだったバッツが、自分だけを見て、自分だけを愛してくれているという事実だけだったから。
だから、今、彼女はとても幸せだった。


「あっく、ふぁ――ああっ、あっあああ!」
一糸纏わぬ裸体のクルルが、身体を限界まで弓なりに反らせて、喘ぐ。
バッツの小刻みなピストン運動は、いつの間にか大きな動きになっていっていた。
クルルの小柄な身体がゴム鞠みたいにバッツの腕の中ではね回り、パンパンパンパンと、身体と身体がぶつかりあう音が大きくなっていく。
もう、クルルそれほど痛みを感じてはいなかった。
そんな物など感じなくなってしまうほど、気持ちいい。愛しい人に抱かれているという事実だけで、極限まで達してしまえそうだ。

「きゃうぅ!ばっつっ、ばっつぅっ!もっ、とぉ!すき!すきだから、もっとっ!」
「あぁ、俺も、クルルの感じてる、顔見て、ると、凄く可愛くて、すげぇ、好きだっ…!」

激しい運動のせいで、妙な位置で区切られるバッツの声。
その声すら愛したくて、その声すら貪りたくて、唇を重ねて舌を絡める。
口と下半身で淫猥な水音がする。

ぬちゃり、くちゃっ、ちゃふ、ぐちゅり!

バッツの肉棒を、クルルの膣内が思いっきり締め上げる。
その締め上げをもっと感じたくて、肉棒が子宮口を激しくノックする。
弾ける快感に、二人の身体ががくがくと震えだした。

「んんんっ!ぷぁ、あひいっ!ばっつ!もう、ダメっ!」
「俺も、もう――いいか?」

バッツの問いかけに、クルルが情熱的なキスで答える。

「くちゅ、ん、うぁ――いいよっ、出して、はやく、はやく!
 んうぅっ!おねがいねばっつ!中に、わたし、ちゃんと生んであげるから!」

クルルが細っこい両の手足で、がっちりとバッツにしがみつく。
柔らかい金髪がバッツの頬を撫でる。
小さく細く華奢で脆そうで柔らかくて、何より愛おしいクルルの身体の感触が快感の限界を軽々と突破させた。

「く、る、るっ!」

バッツの最後の一突きが、クルルの胎内に押し込まれる。
勢い余って、亀頭が子宮口を貫いて、子宮の中に到達した。

「にゃ、ああああああああああああああああああっ!」

突然の刺激に、クルルが絶頂を迎える。
子宮口でかカリ首を、膣の入り口で根本を同時に締め付けられる未知の快感が、バッツに襲いかかった。

どぷぅっ!と音すら立てて、バッツが達する。
一回目に倍する量の白濁液がクルルの子宮に直接流し込まれた。


「は、あ…いっぱい出た、ね、バッツ…」
絶頂の余韻を引きずりながら、息も荒くクルルが呟く。
そこらに浮いている髪留めを掴まえて、髪をポニーに結び直した。

ああ、なんて気持ちよかったんだろう。これもバッツが相手からだったからなのだろうか。
そんな風に思いながら、クルルは脱ぎ散らかした衣服を回収しようと、無の空間に手を伸ばし――。

ぬちょり!

「んあぅっ!」
子宮口に突き刺さった肉棒が、もう一段階押し込まれた。
膣内に意識を集中させてみれば、どういうわけかバッツが全然萎えていない。
「な、なんで…」

「なんでって言われてもな――、なんか、やり足りないや」
そう言ってバッツは恥ずかしそうに頬を掻く。


この空間は『無』である。
『無』なのだから、その内部ではエネルギーは発生しないし、消費されないはずだ。
バッツとクルルが『無』の中で運動エネルギーを発生させると、『無』は『無』ではいられなくなってしまう。
だから、『無』はつじつま合わせの為に、発生したエネルギー全てを二人に還元してしまう。発生分と還元分、トータルすれば変動はゼロで『無』に保たれる。
まあ、つまり、『無』の中ではいくらヤろうがいくら出そうが、疲れないし枯れ果てたりはしないと言うことであり。

「だから、もう一回な」
からっと笑ってバッツが言った。
「ふ、ふえぇぇぇっ?!やだよっ!」
流石にクルルも抵抗する。その顔はもう半泣きである。
が、しかし、
「泣きそうなクルル、可愛いな」
の一言を聞いたとたん、彼女は何となく抵抗を止めてしまった。

ああ、もう、この天然男には絶対勝てないなと言う、幸せな諦めを感じながら。




ちなみに、この後『無』から脱出した後にレナと一悶着あったり、
勢い余って3人一緒にヤってしまったりするのは、また別の話である。

                              〜完〜
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