FFシリーズ総合エロパロスレのまとめ

・バッファリの半分は、やさしさで出来ています。

 あらすじ。
 次元の狭間で悪い樹のバケモノを切り倒した光の戦士御一行のうち、
 タイクーン王女兼海賊のお頭である、ファリスことサリサ姫は
 光の戦士のリーダーである鬼畜王=バッツ・クラウザーさんに
 いつのまにやら、おいしく頂かれてしまっていたのでした。
 (いわゆる初物だった。大変美味しかった。:バッツ談)。

    *     *     *     *

 タイクーンへの道を塞いでいた隕石も、今はもう撤去されてしまっている。
「お、ちょっとボコ、ストップストップ」
「クエッ?」
 急ブレーキをかける俺の愛鳥。で、且つ相棒。
 なに? と言いたげにこっちを振り返ろうとする。
 えぐれた地面に新しい草木が生い茂り、世界の再生を小さく体現している。
「……ま、いっか。すまん何でもないよ。進んでくれ」
「クエー」
 了解。
 と言う感じに前を向くと、再び走り始める。
 ―――新緑を眺めて感傷に浸ってる場合じゃないもんな。待ってる人がいるんだから。
 俺は鞍の上で揺られながら、遠くに目を凝らす。

 やがて広がる平原の向こう、森の木々の上に突き出して見えてくる、巨きな古城。
 そこで、アイツらが待っている。

 城門、開。
「おお、バッツ様。お久しぶりでございます………ご機嫌麗しく……」
 見慣れた城の雇用人。
「やぁ久しぶり。さてと、コイツを頼めるかい?」
「か、かしこまりました!」
 従者にクツワを持って引っ張られていくボコに手を振ると、
 俺は城内を闊歩した。

 実に数ヶ月ぶりになる、タイクーン城。
 俺はレナとファリスに会いに戻ってきた。
 城内の人たちは温かく迎えてくれたが、山の中の保守的な体質のこともあって、
 中には冷ややかな視線も見受けられた。
 他の場所を旅していると、やはりこの古城の雰囲気は特殊だと感じる。

 俺がファリスやレナ相手に摂政政治を始めるとでも思っているのだろうか?
 安心してくれ。政治なんて最初から興味ない。

「バッツ! ひさしぶりね。元気にしてた?」
「ああ、まぁ、そこそこかな」
「ふふ。変わらないね」
 俺の衣服に漂う長旅特有の饐(す)えた匂いも気にせず、
 レナが俺と握手を交わした。
 やっぱりレナはそういうことを気にしないんだな………。
 大したもんだ。
「バッツ様、ご機嫌麗しく―――」
 聞きなれない高い声に目を向けると、紫苑の髪を結い上げて、
 浅黄のドレスを纏った長身の麗人が一人。
 スカートの裾を持ち上げて恭(うやうや)しく辞令を口にする。
「やぁ、しばらく」
 衆人環視の下だ、なかなかよく化けている。
 ちょっと見ない間にずいぶん様になっているじゃないか。
 貫禄ある笑みを整った顔に湛えながら、ファリスが近づいてくる。
 そして俺の耳に口を寄せて小声でささやく。
「……バッツお前くさいぞ! 早く風呂に入れよ!」
「ぷっ、姉さんったら!!」
 3人して笑いあう。
 大臣その他居合わせた従者の人々は何を言ったのかわからず、
 目を丸くしている。
 ―――やはり、ファリスの魂百まで。
 根本的な部分は変わってないんだな。
 なんとなく安心する。

 水入らずの晩餐を済ませたあと、俺は長旅の汚れを落としてから、
 ファリスを呼び出した。
 旅の衣は洗濯に任せて、従者の用意してくれた清潔な服を羽織れば、
 気分は自然と高まってくる。
 見回りの衛兵や城の使用人の目をかいくぐって、
 白絹の寝衣姿のファリスの手を引いて駆け込んだ誰も来ないだろう、
 東離れの塔の中。
 物置と化している部屋の埃っぽい空気。
 窓から差す月明かりだけが、俺たちの視野を照らしている。
「で、何だよ……話って」
 階段を上がったところで立ち止まり、俺と距離を取って
 伏せ目がちにこっちを見ながらファリスが尋ねてきた。
「ふふ、何だと思う?」
 部屋の鎧やらを移動させて、スペースを作りながらニヤニヤして応じる。
「な、なんだよ?」
 俺はポケットをごそごそ探って取り出した。
「じゃん! この前蜃気楼の街寄ったときにこさえてもらった!
 いろめの成功率が100になるという新発明の素材を使った……。
 コレ、装備して見せてくれよ」
「――はぁ? なんだこれ? ……はちまきか? たすき?
 …………ちがうな」
 しげしげ眺めながら、頭に当てたり、斜に肩にかけてみたり、
 ほとんど面積のない布地の身につけ方を色々試してみている。
「ちがうちがう。よく見てみろよ」
 正直、これがやりたくて仕方なかった。
 馴染みのトゥールの踊り子も買わずに、
 ボコに鞭打ってタイクーン城まですっ飛ばしてきたのだ。
「はっ! ……ちょっ、まさかこれ」
 ほとんど面積のない布を自分から突き離すように
 目の前に広げたファリスの顔がみるみる赤くなる。
「うん!」
 やっと気づいたか。
 海賊の親分様も王女暮らしが続くと、
 素材相応の初(うぶ)さを身につけるらしい。
「お前、まさか、これをおれに身に着けろっていうのか?!」
「うん!!」
「ことわる」
「即答かよ!」
 落胆する俺を尻目に、ファリスが腕を組んで顔を紅くする。
「なんだ、話があるって言ったから、もっとあらたまったことかと。
 こんな、バカみたいな相談じゃなくて……」
 拍子抜けしたファリスが口を尖らせながらブツブツつぶやく横で。
「そっか……着てくれないのか」
 俺は石化したように固まってうなだれてみせる。
「な、なんだよ。そんな急にへこむなよ」
 声のトーンの落差にぎょっとしたファリスがあわて始める。
「せっかく似合うだろうと思って………
 なけなしのギルはたいて買ってきたのに……」
 俺は頭を深く沈めたまま、近くの木箱にすとん、と腰を下ろす。
 ファリスには俺のHPが危険を表すイエローに見えていることだろう。
「お前、冗談だろ……こんなの……おれに似合うわけ……」
 理解できない、という風にファリスはためつすがめつ何度も
 首を振りながらその衣装を見つめる。
「絶対似合うと思ったんだけどなぁ……」
 ますます深くうなだれる俺を見つめるファリスの視線が、
 憐れみの色を帯びてくるのが見なくても雰囲気でありありとわかる。
「……」
 俺と衣装を見比べている。
「ふぅ」
 折れるように、ため息を一つ。
 続けて、衣擦れの音。
 寝衣が床に落ちた、軽い布地が風をはらんで着地する音。
 続けて、一組の衣装が、上下別々に、うやうやしくも
 こわごわと身につけられていく、遠慮がちな擦過音……。
「……そ、そら。着てやったぞ」
 かけられた声を合図に顔を上げると、
 まだ往生際悪くも脱いだ寝衣で体を隠したファリスが立っていた。
 体の線から隠しきれない、下着の紐の結び目が俺の目を捉える。
「―――。はぁ」
 それを見て、一瞬目を輝かせてから、
 すぐまた意味ありげに息を吐いてうなだれる。
「な、なんだよ? やっぱり、おれなんかだと御不満だったか?」
 自信なさげに上ずった声を震わせてファリスが尋ねてくる。
「……ちがうんだ。それには使い方があってだ。
 ―――実はかくかくしかじか」
「ば、バッカじゃねぇのか!!」
「あぁ……そうか……やってくれないのか……」
「しっ、しかたねぇなぁ! やってやるよ!
 いいか、他ならぬお前の頼みだからだぞ! お前の頼みだからっ!!
 見て後悔しても知らないからな! そんときはお前の責任だからなっ!」
 もちろん、責任は取ってやるさ。
 言うまでもなく根こそぎ、ぶんどってやるとも。
 内心どころか、ファリスから隠れて見えない顔を事実、
 あさましい淫獣のようにほくそ笑ませる。
「本当に見せてくれるのか?」
 俺はダメ押しの念押しを入れる。
「ああ、よっく見てろよ。 あ、やっぱ、あんま見るなよ!!
 くそ、なんで俺がこんなバカみたいな……」
 きっ、と唇を噛んでから、勢いに任せるように、
 寝衣で体を隠している手を下ろそうとする。
 が、やっぱり少し止まって
 俺の顔色を窺うように媚びた上目遣いで見つめてくる。
(ホントの、ホントに、やらなきゃダメか?)
 そう言いたいんだろうが。
 その飼い主を見つめて切なく鼻を鳴らす子犬のような表情に、
(ダメ。)
 俺はニコリと満面の笑みで応えて、先を急かす。
(〜〜〜〜〜〜〜ッ)
 ぎゅっ、と唇を噛んだファリスは、寝衣を体に押し付ける腕を
 震わせながらゆっくり下ろしていった。
 面積の小さな踊り子の衣装だけを身に着けた細い肢体を
 蒼白く褪めた冷たい月明かりの中に晒していく。
 相変わらず木箱に腰掛けたまま、
 俺は紅く灼けるような眼をしてその様を眺めている。
「く……っ」
 屈辱のあまり喉から短く声を漏らすと、
 まだ腕で体を覆っているファリスが床に膝を突く。
「うぅ……どうしても……しなくちゃダメか?」
「どうしても」
「は、恥ずかしいよぅ、こんなの無理だよぅ!」
「俺の前だ。無理なことなんてないだろ?」
「……ち、ちくしょぅ、どれだけだよ……。
 これが世界を救った英雄の成れの果てかよ……」
「英雄色を好むって言葉知ってるか? まさにそれだろ?」
「……ヘリクツだ」
 そうして一通り文句を言うと、俺の方に尻を向けて、
 小さく息を飲む。
 そして俺の言いつけどおり、ぎこちなく腰を振り始めた。

 そうして無言のまま、ファリスに腰を振らせ続けること数分。
 部屋には、ファリスの上がった息の音と、
 汗の甘い匂いを含んだ淫靡としか言いようのない湿った空気が漂っている。
「……ファリス、今お前、どんな恰好してるか自分で想像できるか?」
 静寂の帳を上げるように、俺は口を開いた。
「―――ぃ、いやだ、したくないったら」
 ファリスが言葉を頭から振り払うように耳をふさぐ。
「そんな服、っていうか布―――
 場末の踊り子でも絶対イヤだって言うと思うぞ」
「お、お前が着せたんだろ!」
 怒ったように声を荒げる。
「こんな姿見たら、いくら俺でも笑っちゃうな」
「うぅ……散々あんな顔して頼んでおいてひどいよぅ……」
 俺から理不尽な野次を飛ばされ、
 それでも酒場のダンサーのように尻を振り続ける。
 股に紐が食い込んで、危うくピンク色がはみ出しそうだ。
「……ファリス、すごく可愛いぞ」
「……」
 顔をもっと真っ赤にさせると、ファリスは行為に没頭するように顔を伏せた。
「こんなことさせて……」
 ファリスがこちらを振り返る。
「そっ! そんなものっ!
 そんな大きくさせてっ……恥ずかしくないのか……?」
 ファリスの視線の先には、座ったままはち切んばかりに天を衝く俺。
「今、ファリスがしてることからすれば、
 大概のことは恥ずかしくないって言い切れると思うぞ」
 口を歪めて、言い返してやる。
「いっ、いじわるだッ!!」
 さぞかし温度が上がっているだろう顔を覆って、
 こっちに向けた小さな尻をリズミカルに上下させていたファリスが
 突然びくっ、と動きを止めた。
(ん?)
 さすがに疲れたか? とファリスの後ろ姿をよく観察すると、
 何か透明な液体が太腿の内側を垂れている。
 汗? ……うん、
 薬師の経験から言っても、どうやらそうじゃないみたいな……。
 その流れてきた跡を視線でたどってみると
 小さな布に覆われた―――そして、そこに楕円形に広がる濃淡。
 一瞬ぎこちないポーズで止まったファリスは、
 気付かれていないとでも思ったのか、再び小さな尻を振り始める。
「さてと……」
 これ見よがしに大きな声を出して立ち上がる。
「ファリス」
 びくっ、と体をこわばらせたファリスにささやきかける。
「っ……な、なんだよ?」
「そろそろ入れて欲しいか?」
「……! バッカ言え、誰が、そんなこと、あるかよ……」
 鼻先に魔物入りのふくらんだテントを突きつけられて、
 ファリスの声が尻すぼみに消え入った。
「へぇ……じゃあこれなに?」
 無遠慮にも、ファリスの太ももに指を這わせて液体を指先に集める。
「………あ、汗だよ! 汗に決まってるだろ!
 何か他のモノに見えるんだったら、目が猛毒に侵されてるんじゃないのか?」
 顔を真っ赤にしながらファリス。
「ふーん。汗が糸引いたりするかね?」
 指先でわざとらしく糸を引かせてニチニチと音がするまで白く泡立ててやると、
 さすがのファリスの減らず口も、貝のように静かになった。
「〜〜〜〜〜〜〜っ、なんだよ、こんないやらしいことさせてさ、
 なんだよ、おれのせいかよ、なんだよ、自分が変態のくせにさ、なんだよ………」
 ファリスの喉から漏れる音が濁り始める。
 まずい。ベソをかくつもりだこいつ。
 ―――狡(こす)いな。……俺が言えないけど。
 でも、それなら俺にも狡いなりにやり方がある。
「ファリス、こっちこいよ」
 そう言って力を入れすぎないように腕をつかむと、引き寄せる。
「あ……」
 とさっ、と木箱に座っている俺の膝の上にしりもちを着く。
「ファリス。悪い、やり過ぎた。
 でも、ファリスのことが可愛くて、エロくて、たまらないんだ。
 エスカレートしたのは確かに俺が悪いし、謝るけど………ぶつぶつぶつ」
「………」
 膝の上のファリスは目を伏せたまま、俺の弁に聞き入っているのか
 無視しているのか、顔を真っ赤にしてもじもじしている。
 しかし、綺麗だけどつくづくデカいなぁ。
 俺は弁明を続けながら思う。
 4cmしか違わないんだもんな。俺と。
 でも、そこがいい。たまらなく愛おしく思える。
「だから、こうするのも、
 どうしてもファリスのそういうのを見てみたいからっていう、
 俺の切なる願いなわけで………かくかくしかじか」
「………。あー……、うん。
 わかったわかった、もう、わかったよ。
 ゴタクはいいから。で、なんだよ? 結局何がしたいんだよ?」
 ファリスが少しだけ機嫌を治した困り顔で、
 今までの沙汰を許してくれるような慈愛のこもった目で俺を見つめた。

 一瞬間をおいて。
「セックス。」
「だー、もう、身も蓋もない!」
 ファリスが顔を赤くしながら俺の膝の上で暴れる。
「ここで。」
「ちょっ―――」
 身をよじって逃げかけたファリスの唇を
 屈むようにして無理やり奪い、閉じかけた太ももに手を差し込む。
 怪我の功名というべきか、一度体を離そうとしたファリスの試みが、
 彼女を大開脚で俺と向かい合わせることになった。
「バカっ! ケダモノっ! 人呼ぶぞ?!」
 必死で俺の体を両手で突き放しながらファリスが暴れる。
「呼んでみろよ。サリサ姫のご乱心ぶりが城下に知れ渡るだろうな」
「きッ、鬼畜だッ!
 バッツなんてギルガメに蹴られて死んじゃえばいいんだぁっ!」
 うるさい唇をもう一度乱暴に手のひらでふさぐと、
 腰にある下着の結び目を素早く引っ張ってほどく。
「う〜〜〜〜〜〜っ!!」
 口をふさがれたままファリスが暴れる。
 俺を木箱ごと床にめり込ませんばかりの勢いで
 握りこぶしをボカボカと俺の頭にたたきつけるファリスは
 文句なしにモンクのジョブマスターだったね。3469。2529……。
 おっと、意識が飛び退きかける。行為に及ぶ前から昇天なんて危ないところだ。
 ―――毎度意外に感じるほど軽いファリスの腰をひょいっと持ち上げると
 自分自身を握ってファリスの大事な入り口にに一度、軽く押し当てる。
 案の定、糸が引くくらい濡れていて、熱い。
「ひっ……ひん……」
 ぎょっとして見上げると、
 ファリスが今にも泣き出しそうな真っ赤な顔をしてベソを掻いていた。
 『泣き落とし』。『9999』。くそ。さすがの俺もカンストだ。
 でも引き下がれるか。俺だって男なんだ!
 武士の情けで、互いに痛くならないようにだけ気をつけながら、
 了解もなしにファリスの腰の中に押し入っていく。
「うあ……あったかい……」
「くっ……あぁ……」
 ファリスが悲しそうに、切ない泣き声をもらす。
「うぅ……ひどい……、入れやがった………。
 結局入れやがった……この鬼畜野郎……」
「やばい、今までで一番気持ちいい、これ……」
 ファリスの温かく濡れた肉が、ぬるぬるときつく俺を締め付ける。
「ひどい……人間の中じゃたぶんダントツ一番で最低だ……。
 バッツ、お前ってヤツは……」
「うるさいなぁ。ファリスがちょっと御堅すぎるんだよ」
 俺は少しムッとしながら言い放った。
「いいから、こっちに集中しろ。お前は俺の前じゃ、“女”だ」
「うぅ……なんだよ、それ……あぁ……」
 まだ男に慣れない、狭い隙間に繰り返し押し入られて、
 ファリスが呻くようにつぶやく。
「俺の女だ、いいか、お前は俺の……」
 行為に没頭するため、俺は言葉を打ち切った。
 互いを抱き合ったまま、木箱の上でゆっくりと腰を振る。
「あぁ……あっ……あ……」
 徐々にファリスの口から声が漏れるようになってきた。
 やはり、ファリスはかなり感じやすい。
 反応がそのまま腰の動きと締まりに現れて、楽しいし気持ちいい。
 何より、感じているのが直に実感できるのが素直にうれしい。
「うぅっ……こんな鬼畜なのに……こんなひどいことされてるのに……」
 ファリスが、思ったことをそのまま溢すように、
 ぼそぼそと俺の耳元でつぶやく。
「それは、お前が、正真正銘、俺の女だからだよ」
「なんだよ、おれの女、おれの女、ってさぁ……得意げに……」
 ファリスが俺の頭を抱きしめる。
「……うれしいなぁ、体だけでもファリスが素直になってくれて」
「“体だけ”は余計だろ……ちくしょぅ……バッツのヘンタイ……」
 自分からファリスが腰を使い始めながらつぶやく。
 熱く湿った中が俺を包んで、自らしごき始める。
「ヘンタイなのは御相子様だろ、
 さっきのであんなに垂らすまで濡らしたくせに……」
「! ……――だって」
 くやしさをかみ殺すように、
 ファリスがぽつりぽつりと言葉を選ぶようにつぶやく。
「だって……だって……、バッツに見られてると思ったら……
 あんなに……自分だって知らない間に……あんなになっちゃったんだもん……。
 知らないよ、あんなの………」
「ファリス……」
 ファリスの精一杯の告白を受け止めて、
 俺は体の中から何か熱い力にも似たものがこみ上げるのを感じる。
「おい、ファリス。ほら……」
 片手で口を無理やりこっちに向けさせて、唇をもう一度奪う。
「ん……むっ……」
 合わせた柔らかい唇の隙間から熱い息を漏らすファリスの背中を、
 もう一方の手で愛撫してみる。
 まず背骨に沿うように、指を這わせてみる。
「あ……っ、それ……」
 ファリスが無理な体制で身をよじる。
 腰の中に収まっている俺のものが肉壁に圧迫されて気持ちいい。
「くすぐった……ぁ……ひゃっ……」
 震えるファリスを眺めながら何度か往復させてひととおり反応を楽しむと、
 今度は反対の腋まで指を伸ばして、その内側の湿った温かさを感じながら、
 ふくらみの先端。紐をそっとずらして、ピンク色の乳首を口にふくんでみる。
「ぁ……バッツ……」
 耳のすぐ近くで、ファリスの唇が熱の滲んだ声を漏らす。
「……胸……そんなに……」
 まるで赤ん坊のように、俺の顔はファリスの胸に彼女の手で押し付けられる。
 舌で先端を転がしてみたり、頬で肌のやわらかさを感じてみたり。
 もう片手でこねながら、歯でやさしくピンク色を挟んでみたり、軽く噛んでみたり。
「ふぁ……ぁ……」
 眉をひそめるように目を閉じたファリスが、唇の隙間から呼吸だけを漏らしている。
 俺は胸に顔を乗せたまま、ファリスの表情をぼんやり見ている。
 すると、ふと、何かが頭によぎるのを感じた。
「………思い出すなぁ、あのときのこと」
 思いつくまま、俺はぼそっと口にした。
「な、なんだよ、こんなときに……」
 呼吸も荒く、俺の肩に腕を回したままのファリスがつぶやく。
 ニヤニヤした表情の俺と目が合って、ファリスは目をぱちくりさせる。
「! ……まさか」
「無理やり脱がそうとしたら、突然甲高い声で叫び出すんだもんな」
「あ、あんなこと、いま思い出させるなよ! なんか恥ずかしいだろ!」
「あのときの感触、一瞬でも忘れたことなんてないぜ」
「………バカ」
 いまさらのように顔を赤くしながらファリスが目を逸らす。
「まさか、俺のものにできるなんて思わなかったけどな」
 込み上げる熱い想いで、びくん、と自分のモノが大きくなるのを感じる。
「っ!!」
 感触を感じたのか、ファリスが体を震わせる。
「……ふ、ふん、誰がお前のもんになるかよ!
 おれはおれのもんだ……。誰のもんでもない」
 生意気にも可愛い荒い息を吐いて、
 ファリスが顔を背けたまま態度を翻したようにつぶやく。
「ほぉ、そうかい……」
 その強情さに、自分の中の嗜虐心が煽られるのを感じる。
 感情の熱に比例して、むくむくと自分自身がファリスの中で膨らんでいく。
「ぁ……くっ……」
 食いしばった隙間から呻きを漏らしてファリスが圧迫感に顔をしかめる。
「悪い、ファリス、俺。本気になった」
 そう言いながら、ファリスの小さなお尻を手の中に収める。
「えっ……な、なに……?」
 ただならぬ語調と気配に、ファリスが体を離そうとする。
「お前のこと、娶(めと)るよ。俺の妻にする。
 多少強引だけど、しかたがない。俺はやると言ったら、やる男だ」
「ば、バカ言って……また下手なハッタリを……」
 不安そうに俺の瞳の色を伺うためのファリスのぎこちない笑いを、
 独占欲に満ちた目で睥睨しつつ微笑み返してやる。
 そしてそのまま、ねちっこい抽挿を再開する。
「……ゃっ、こらっ、ふざけるのもいい加減にしろよ! ……ぁっ!」
 そう言って逃げようとするファリスの腰を、腕でがっちり挟んで固定してやる。
「ぁっ……やっ……やめてっ、やだっ……」
 ファリスの内側の感じるポイントを、何度もやさしくこすって、昂ぶらせてやる。
「こらっ! ……ぁっ! 
 ……そういうのは、ダメだって! あぁっ!
 まだ、結婚するには早いっ……からっ! ……ぅぅ………」
 ファリスが何かよくわからない論理で、俺を説得しようと試みている。
 けれど、俺はその言葉の間に挟まれる快楽の喘ぎにしか聞き入っていない。
「ファリス、お前のこと好きなんだ……」
 胸に顔を預けながらファリスの顔は見ずにつぶやく。
 俺の喉から漏れた、純粋な渇望からほとばしる叫び。
「……ぇ……」
 驚いたようなトーンの声。いまさらでもあるまいに。
 けれどファリスの内側が、さらに湿ってくるのを感じる。
「だから、悪い、ここからお前をさらってでも、俺の妻にする。絶対だ」
 抽挿を激しくしつつ、つぶやく。
「あぁっ! ……なに言ってんだ……ぅぁっ……・」
 抗議するファリスの意思なんて全部無視してやる。
 今は、ファリスを妻にすることしか。
 それを、ファリスに認めさせることしか。頭にない。
「だ、ダメだって………。
 王女に戻った責任とか子分達のこともあるし―――。
 す、少なくとも、い、今はダメだったら! あぁっ!」
 生意気な言葉を、責めで中断させる。
「それじゃ何のために世界を救ったのかわかったもんじゃないだろ」
 そう言いながら俺は固定した腰を突き上げて、何度も奥に押し付けてやる。
 こうすると、ファリスはいつもすぐイくけれど、
 それを恥ずかしがって、なかなか突かせてくれない。
 でも、今日は俺が好きにする。
 俺が、ファリスを好きにする。
「何言って……! あぁっ! ぁ……!
 あ、あっ……もう……もう知らないよぅ……バカぁ……」
 一通り暴れて、ついに観念したのか、
 ファリスが一転俺の頭を抱き返してくる。
「ひどいよぅ……おれの想いなんか、どうだっていいんだ……。
 そんなに欲しいなら、もう知らない……勝手にすればいいよ……。
 俺のこと縛って攫(さら)って、何処へでも好きに連れていけよ……・」
 表面は相変わらず強情だけれど、
 受け入れられたのが、声の温度から伝わってくる。
「………ぁ……そこ………なんで、こんな、知って……」
 ご褒美とばかりに感じるところを突いてやると、可愛い声を漏らす。
「自分の持ち物のことを知ってるのは当然だろ?」
 そう言い返しながら、ストロークをゆっくり長く取る。
 絶頂が近い。受け入れられたことで、
 ゾクゾクと俺の脊椎を甘く温かい快がよじ登ってくる。
「ぅ……あ……ダメ、ダメだってそこは……あぁ……」
 ファリスが細い体を前後にしならせながら、快を耐える。
 けれど、反応から限界が近いことは反応からして明らかだった。
「ファリス、お前を俺のものにする」
 耳元で、今一度、そうささやく。
「……もう、知らないっ……しろよ、勝手に………。
 ひどい……人の気持ちも知らないで………」
 俺の頭を抱き返してきたファリスが、
 べそをかくように耳元で女らしい泣き声を立てる。
 それが、俺の中に火を点ける。
「あっ……それ……ダメっ……すぐ来ちゃうから……ダメ……!」
 集中して内側を絶頂に向けて慎重にやさしく何度もこすりあげる。
「あぁっ、あぁ、あっ、ああ、ダメ、ダメ、ダメだったら……!」
 体を密着させたまま、ファリスを絶頂へと導いてやる。
「もう、だめっ、来る、来るぅっ!」
 ファリスが喉をのけぞらせて、腰をわななかせて痙攣し始める。
 二人分の体重を乗せた木箱が今にもネジを外さんばかりにギシギシ軋む。
「おらっ……イけッ! ……このまま母親にしてやる!」
 絶対にルートを外れないようにしつつ、ファリスをカタルシスへと責め立てる。
「種付けしてやる! 孕め、ファリス、孕めよッ! 俺の子孕めよッ」
「ひどい、ひどいよぅっ! あっ、ダメっ……!
 イク、イクよぅ……こんなひどいのに……イク、イクっ」
 口では拒絶しながら、俺を苦しいくらい力いっぱい抱き返して、
 ファリスが痙攣し始める。
「ああ、ダメっ、イク、いくよぅ、いく、いく……バッツ、バッツ、
 バッツ、あぁ、ダメ、イクイクイク………」
 あさましく何度も腰を振って自分の中に俺を迎え入れながら、
 ファリスが俺の耳元で繰り返す。
「ああっあぁぁぉぉっ! もうイクよぅ! イクとこ見て、
 バッツ、バッツっ!」
「イけ、イキ顔見せてみろ、俺のファリスだってとこ、見せてみろ」
「見せちゃう、見て、イクとこ見せてる、あなたのファリスだって……、」
 たまらず一番奥を突いて、ファリスの腰を抱き寄せながら射精する。
「あぁっ……バッツの……来たっ……ぁぁ、また……イクッ……」
 盛大に痙攣しながら素面(しらふ)では到底言えない、
 愛の言葉を連呼してファリスがさらに絶頂する。
「大好き、バッツ、大好きっ、だいすきっ……」
 それを聞いて、いてもたってもいられず、
 どちらからともなく口づけを求め合う。
「んちゅ……あぁ、大好き、
 ホントに、ホントは大好きだよぉ……バッツ……」
 渾身の力で、苦しいくらいにファリスが抱きしめてくる。
「……うぅっ、ファリス………」
「バッツ、バッツっ……好きっ……」
 徐々に波が収まっていく中、
 いつ終わるともなく誓いの口付けは続く。
 ずいぶん経ったのか、たった数十秒だったのか。
 スロウになった時間の後で、荒立った呼吸が収まった頃、
 木箱の上で抱き合った体勢は維持したままゆっくりと顔だけを離す。
「はは……やっちまったな、ファリス」
 俺は思わず少し笑いながら話しかける。
 ……無言。
 少しずつ大きくなってくる、ぐすっ、ぐすっ、という嗚咽に
 ぎょっとしてファリスの顔を見ると今度こそ本当に泣いていた。
 いくらなんでもやりすぎたか、となだめる言葉を選んでいると、
 ファリスが俺の耳元に口を寄せてつぶやいた。
「……いいよ」
「え?」
「………いいってば」
「な、何が?」
「おれはもう……バッツのお嫁さんでいいから……。
 産むから……バッツの子供、大事に生んで育てるから……。
 バッツの奥さんにして、大事にしてよぅ……あたしのこと最後まで可愛がってよぅ……」
 覚悟を決めたのか、すんすんとすすり泣きながら、
 俺の耳元でそう口にしたファリスを、俺は無言で少しだけ反省しながら、
 そっと抱き留めて、背中を撫でてやる。
「―――ぐすっ、ひぐっ、ひっぐ、
 ぅ、うわぁぁん……」
 緊張の糸がほどけたのか、ファリスの涙の堰が切れた。
「しっ、こ、こら、そんな泣くなよ……」
 絶頂のときよりも声が大きい。
「バカッ! 誰が泣かしたと思ってんだっ!
 ――――このままずっと抱きしめてろっ!」
 ファリスが涙混じりに叫んだ。
 やれやれ。まったく世話の焼ける王女様だこと。
 泣き止むまで待ってから、ファリスとの結合を解く。
「ぁ……」
 自分の中から出ていく感覚に、少し寂しそうにファリスが声を漏らす。
 どうやら甘えたいスイッチが入ってしまったのか、
 俺にしなだれかかったまま回した腕を一向にほどこうとしない。
 こうしていても埒が明かないので、お姫様らしい抱き方で強引に
 ファリスをそのまま抱き上げると、俺は階段を下り始めた。
「……ちょっ、こんな恰好で外出る気かっ、何する気だよ?」
 不安定な恰好で抱き上げられているファリスが恐怖で目を見開く。
「いいから」
 離れの塔の外へ出るなり、衛兵の目には絶対捉えきれないだろう高速で
 塀の上を駆けてはずみをつけ、『ジャンプ』して5階の飛竜の塔へ飛び移る。
「こ、こわぁ、うわぁ! むぐっ!」
 ファリスの口をふさぐ。
 つくづく、声が大きい。
 着地すると、ファリスが俺の腕の上で荒い息をついた。
「……バッカ! 俺やお前一人ならまだしも!
 抱えてなんて正気の沙汰じゃないだろ! いま死ぬかと思ったぞ!」
「俺たちが冒険してた頃から考えたら大したことじゃないだろ。
 丸くなったもんだな、ファリス」
「……」
 むっとしたようにファリスが口をつぐむ。
「それにお前、高所恐怖症はどうしたんだ?」
「忘れちまったな」
「……そんなもんか」
 俺のことをじっと見つめるファリスを抱えたまま、俺は扉を開けて城の中へと入った。
 王の間を足早に横切り、階段を上がる。
 王亡き今、ファリスは王の部屋で寝起きしている。

 互いの体を拭うと、文字通りキングサイズのベッドに横たえた。
「なぁ……バッツ」
「うん?」
 俺の胸板にもたれかかったファリスが、甘く湿った声で俺に問いかける。
「さっき言ったことさ……やっぱり本気か?」
「―――あぁ」
 嘘はない。
 俺は本気だ。情欲の熱に浮かされて出た言葉とはいえ、本心だった。
 俺は、ファリスを連れて行く。
「わかった」
 ファリスがうなずく。
 紫苑の髪やファリスの温かい胸が俺の胸板を撫でてくすぐったい。
「お、おれも協力してやるんだからな。
 気が変わったなんて言ったら許さないぞ」
 ファリスが、小指を俺に突きつける。
「ほら!」
「なんだそれ?」
 ファリスが俺の手を取って、無理やり細い小指を絡めてくる。
「あぁ、そうか」
「そうだよ、鈍感」
 ファリスが相好を崩すと、手を上下に動かす。
 指切拳万、嘘ついたらラミア印の金の針千本のーます……。

 意外と(慣れれば別に意外でもないけど)乙女チックなファリスに、
 内心穏やかなむず痒さを感じながら、指切りを終えた手を取り合って、
 ファリスと俺は今日と明日のはざまの時間に落ちていった。
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