FFシリーズ総合エロパロスレのまとめ

朝、彼女がオフィスに1番乗りして目に飛び込んできたのは大きい段ボールだった。
ご丁寧に【割れ物注意】のシールが貼ってあるそれは、レノのデスクの上に置かれていた。
イリーナは首を傾げながら、自分のデスクに着いた。

「おはよーさんっ、と」
しゅっ、と自動ドアの開く音がして、オフィスの隣に設けられている仮眠室からレノが入ってきた。
「あ、先輩。おはようございます。もしかしてそこで寝てたんですか?」
イリーナが「そこ」、と、仮眠室の方を指差してレノに問うと、
「あぁ 昨日は夜中の任務だったからな、と」と、眠そうな声が返ってきた。
確かに、レノのシャツは皺だらけになっていて、彼のズボラさを表しているかのようだった。

「眠気覚ましのコーヒーでも飲むかな、と……って、おいおい、やっと届いたのかよ!」
自販機へ缶コーヒーを買いに、オフィスを出ようとしたレノが、自身のデスクの上にある段ボールを見て活気付いた。
「それ、何なんです?」
眠気はすっかり取れたのか、はしゃいで段ボールの封を切っているレノに向かって、イリーナが近づいて聞いた。
「ポーションだ、ポーション、と」
「……ポーション?」
レノの口から出たのは、彼らがいつも戦闘など日常生活で使用しているアイテムの名前だった。
そのアイテム自体は珍しくも無いし、何より会社から支給されているものがオフィスには腐るほどある。
最近では、マテリアの力を使って回復魔法を使う機会のほうが多いというのに、レノはこんなにも喜んでいる。

「ポーションなんて、珍しくも無いじゃないですか。ラストエリクサーとかならまだしも、そんなどこにでもあるアイテムなんて…」
「普通のポーションじゃないんだぞ、と」
イリーナの言葉を遮って、レノは嬉しそうに段ボールから1つ、コバルトブルーの瓶を取り出した。
それの外見はポーションにそっくりだった。
違うところと言えば、レノが持っているそれはポーションより瓶の色が濃いという事だった。

「……何か違いますか?」
首を傾げて瓶をまじまじと見る。どこからどう見ても、ポーションの色違い。
ハイポーションなどの、ポーションより回復量が多いアイテムとは違うようだ。
「見た目は似てるけどな、新製品のポーションなんだぞ、と」
嬉々として蓋を取り去りながら、レノは中身を覗いて「おぉー、体に悪そうな色だな、と」とも言った。
風に乗って、イリーナの元へ、薬のようなにおいが漂ってきた。
「……先輩、それ、ただの栄養ドリンクじゃないんですか?」
半ば呆れたように、イリーナはレノが持っているものを指差した。
瓶の中から漂ってくるにおいは、とても「ポーション」と呼べるものでは無く、
むしろ彼らが時々利用する栄養ドリンクのにおい。

「まぁ、飲んでみなきゃ分かんないだろ、と。ほら、イリーナも」
レノは段ボールからもう1つ、同じものを取り出すと、イリーナに渡した。
「私、HP減ってないんですけど」
「いーから飲めよ、と」
渋々イリーナが蓋を開けると、やっぱりあの独特の香りが鼻をついた。
レノが言った通り、中身は自然界ではありえない、鮮やかな色をしていた。
マテリアの色とはまた違った色が、ちゃんと体に吸収されるかどうかが不安になる。

隣を見ると、レノはもう飲み始めていた。
彼の顔はいつもと同じで、全く表情が崩れていなかった。
それを見て、「飲めないことは無さそうね」と思ったイリーナも、レノに次いで瓶を口元へ持っていった。
「…………!!」
口に含んだ瞬間、口いっぱいに広がる衝撃。
苦味と甘味が交錯し、鼻腔にも先のにおいが広がり、涙目になる。
含んだものを今更外に出すわけにもいかず、彼女は拒絶する体内に、無理矢理液体を流し込んだ。

「先輩……」
イリーナがレノを見ると、彼は可笑しそうに口元に手を当て、ニヤついていた。
苦味と甘味が入り混じったものを無理矢理吸収しようとするイリーナの姿は、彼の笑いの壷だった様子。
レノが手に持っている瓶の中にはもう、液体は入っていない。
「まずかったか?」
笑いを抑えてレノが聞く。
「……不味かったですよ。先輩は平気だったんですか?」
明らかに不機嫌な顔になったイリーナが、デスクの上に瓶を置いた。
「まぁ、あんな味の栄養ドリンクには結構お世話んなってるからな、と」
「そうですか……私には栄養ドリンクなんてあんまり飲まないんできつかったです」
空になったレノの瓶と、まだ半分以上中身が入っている自分の瓶を持って、
給湯室にある瓶専用ゴミ箱に捨てに行こうとした。
しかし、背後から華奢な手が伸びてきて、自分が飲んでいた方の瓶を奪い取っていった。

「イリーナも、慣れておいた方がいいかもしんねーぞ、と」
奪われた瓶を目で追って、振り向いた瞬間、イリーナの唇にレノのそれが宛がわれた。
ゆっくりと唇が開かれ、相手の口から液体が流れ込んでくる。
苦味と甘味が混じった、それ。
全部が流され込まれても、お互いに唇を離そうとしない。

こくん、とイリーナが飲み干すと、レノがやっと顔を離した。
「……こうやってな、と」
意地悪そうに笑って、レノは空になった瓶をイリーナに渡し、今度はイリーナの頬に軽くキスを落とした。
イリーナは真っ赤になり、「朝っぱらから卑猥なことしないで下さい!」と言って給湯室に走り去った。



レノに飲まされたポーションは、少しだけ美味しく感じた。
タグ

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます