FFシリーズ総合エロパロスレのまとめ

目の前でフラフラと揺れている、馬のしっぽに酷似した赤い物体。
私はついに我慢できず、その物体をつかんでひっぱってしまった。
うぎゃ、という声と共に、その物体の持ち主が椅子ごとひっくり返った。
「な、何すんだよ!」
尻をしたたかに打ったらしく、顔をひきつらせて腰を押さえる。
「す、すいませんレノさん…」
まさかひっくり返るとは思わず、私は慌てて彼が起きるのを助けた。
「…イリーナ、なんかオレに恨みでもあんのか?」
「いえあの、それ絶対にエクステだと思ったんですけど、自毛だったんですね」
腰まである、一本にまとめた赤毛。大体、長さが尋常じゃない。
「…自前だぞ、と」
レノは目1を細め、不機嫌に私をにらみつけた。
「あ、あの、ならいいんです失礼しました」
私は手に持ったパンの包みを抱え直し、慌てて自分の席に逃げた。
ここは総務部調査課、通称タークスの執務室である。
既に外は真っ暗。
仕事が片づかず、残業しているのは私とレノ、後輩君にルードの4人である。
「レノさん、チョー機嫌悪いッスねえ」
隣の席に座ってカップ麺を食べていた後輩がつぶやく。
確かに、いつもの彼ならば軽口のひとつも返しただろうが、
今日は妙に不機嫌でむっつりしており、口数も少ない。
「なんかあったの?」
「やー、よくわかんないッス。朝からあんな感じですよ」
赤茶の髪をかき上げ、後輩は大して興味もなさそうに言った。
「ルードさんは?」
「さっき出て行きましたけど」
そう小声で話していると、重い足音がしてルードが戻ってきた。
「レノ、薬」
と言うと、レノの前に小さなドラッグストアの紙袋を置いた。
クスリ?と椅子から伸び上がって二人の方を覗く。
ルードがレノの額に手を当て、熱を測るような仕草をしている。
「なんか頭がぼーっとする」
ぞと、と小さく付け加えると、レノは机につっぷした。
どうやら風邪を引いて熱があるらしい。不機嫌の原因はこれか。
「仮眠室に行ってちょっと休め。あとで送ってってやるから」
むう、とうなり声を出すと、レノは大儀そうに立ち上がった。
そのまま、ルードに抱きかかえられるようにして部屋を出て行く。
「風邪菌まき散らすのやめて欲しいっすよねえ」
という後輩の言葉になぜかいらつき、私は彼の頭をはたいた。
「イリーナさん、いたいッス」
抗議の声を無視し、私は二人の後を追って部屋を出た。
リフレッシュフロアは閑散としている。
もう一般の社員は皆帰ったらしい。
カツカツと靴音がやけに響く。
途中の自販機で、レノのために水のペットボトルを買う。
仮眠室を覗くと、ぐったりしたレノを簡易ベッドに寝かせたルードが顔を上げた。
「どうした、イリーナ」
「あ、ちょっと心配で。クスリ、飲んだんですか?」
「まだだ。おい、起きろレノ。クスリ飲んでから寝ろ」
レノは嫌々半身を起こし、ルードの大きな体にしなだれかかった。
ルードは迷惑そうに、だが丁寧に体を支えて座らせてやる。
「あ、これどうぞ」
ペットボトルを差し出すと、ルードが
「おまえが飲ませてやってくれ」
と言って小さなカプセルを私に手渡した。
あはい、と返事をすると、ルードの手を離れた重い体が
どさりと自分の方にもたれかかってきた。
「レノ、イリーナに看病してもらえ。オレは仕事片付けてから来るから」
え、という私の声に、今度おごるから頼む、と言って、ルードはさっさと
出て行ってしまった。
私は腕の中からずりおちそうなレノを、あわててかかえ直した。
苦労して上着を脱がせ、そうっとベッドに横たえる。
鼻までずり落ちたゴーグルを首まで下ろし、毛布をかけた。
「レノさん、薬飲みましょ。楽になるから」
「んー…イリーナ?」
すがめた目が、ようやく私を見る。
「そうですよ、さっきからずっといるでしょ」
「そうだっけ」
「熱どれくらいあるんですか」
わかんね、と呟くと、また目を閉じてしまう。
「く、す、り!飲んでくださいってば」
「頭がぼーっとしてすごく眠いんだぞ…と」
「熱あるからですよ。これ飲んだら下がりますよ」
うう、とうめくと腕をささえに首だけ起こす。
私はためらいがちに彼の額に手を当てた。
ものすごく熱い。
これは、39度とか40度レベルの発熱ではなかろうか。
「…病院行きましょうか」
「へーきだぞ、と…」
「ルードさんが送ってくれるそうですから、ついでに病院寄った方がいいですねえ」
私は、汗で額にはりついた赤い髪をそうっとかきあげた。
普段はお調子者で口数も多く、なにかとうっとうしいレノだが、
いま目の前でくったりとしている彼はなんだか妙に可愛くて、庇護欲をかき立てられる。
レノはようやく薬を飲み込み、「なんか寒い」と言うと、ぶるっとふるえた。
私は毛布をもう一枚かけてやった。
「イリーナちゃん、今日は妙に優しいぞ、と…」
「私はいつでも優しいですよ」
「…そんなことなくねえか」
私がむっとすると、レノはよれよれと手を上げ、私の頭をなでた。
「いつもそんなだと嬉しいぞ、と」
「私もレノさんがいつもこんなにおとなしいと嬉しいです」
へへ、と笑うと、レノは私の髪をいじって、そのまま頬をなでる。
「目もなんかぼーっとてるから、可愛さも二割り増し…」
「失礼ですよそれ」
私はちょっとドキドキしながらも、平気を装ってレノの手を取り上げ、
毛布の中にしまいこんだ。
「ルードさんが来るまでおとなしく寝ててください」
うん、と生返事をすると、レノは目を閉じた。
青い瞳が見えなくなると、なんとなくほっとする。
綺麗な顔立ちをしているのに、口を開くと全てが台無しな男である。
まあ、そこがいいところなのかもしれないが・・・。
つらつらとそんなことを考えながら眠る顔を間近で眺めていると、
突然ぽかりと目が開いた。
私は思わず身を引いた。
「ど、どうしたんですか」
レノは熱に浮かされてとろんとした目で私を見る。
「・・・キス、してくれよ」
「は?!」
「なんかして欲しいんだぞ、と」
「だぞと、じゃないですよ!何言ってんですか、もお〜」
顔がほてってくるのを、慌てて手でこすってごまかす。
「イリーナが優しいから、好きになりそうだぞ、と…」
「ふざけないでください、病人のくせに」
私はぺしりとレノの額をたたいた。その拍子にすっと手が伸び、手首を掴まれる。
「きゃっ!」
手を強く引かれ、私はレノの上に覆いかぶさってしまった。
「んん…嬉しいけどちょっと重いな…」
「は、離してください!」
「離さない…と」
腕が私の首に回され、そのまま引き寄せられる。
熱い吐息が頬にかかり、乾いた唇が迫ってきた。
私は思わず目をきつくつむった。
すぐに唇が重なり、熱い舌が味わうように私の唇を舐める。
「んんっ…」
角度を変え、何度も唇を合わせる。
舌が強引に差し入れられ、私の舌を探る。
激しくキスをしながら、彼の手が胸をゆっくりとなでた
「だ、だめっ…キスだけって言ったでしょ!」
「そんなこと言ってないぞ、と」
彼はそう言うと私を引き倒し、体を入れ替えた。手首を押さえつけられ、身動きを封じられる。
「レノさんっ…」
レノは私を抱きすくめた。彼の体の重みと匂いに全身を包まれ、気が遠くなる。
「イリーナ…」
レノはそう呟くと、シャツの下から手を差し入れる。
「だ、ダメですってば…」
ブラの上から胸を揉まれ、思わずうめく。
こ、こんなところで。それはどう考えてもまずい。
太腿に彼のたかぶりがこすれ、私は息を呑んだ。
レノは首筋を舐めながら、私の体を夢中でなで回している。
その手が、下腹部から足の間に伸びてきた。
快感に流されそうになりながらも、私は必死で抵抗した。
「ほ、本当にダメですってば!やめ…」
突然、ゴンという鈍い音、そしてぐお、という妙な声がして
レノの体が私の上にぐったりと崩れ落ちた。
何が起きたのかわからず、おそるおそる覆い被さるレノの肩先から
顔を出して様子を伺うと、ロッドをかまえてつったっているルードと目が合った。
どうやら、レノを殴って昏倒させたらしい。
「大丈夫か、イリーナ」
「だ、大丈夫です」
「間に合ったか?」
「…未遂でした」
「すまなかった。こいつは調子が悪いと誰彼かまわず襲うんだ」
「……」
「多分本人も覚えていないだろうから、カンベンしてやってくれ」
「……」
ルードはよっこら、とレノの脇の下に腕を差し入れ、抱き起こした。
低くうめくレノをそのまま肩に担ぎ上げ、「病院に連れてく」
と言い残すと、私を置いてさっさと出て行ってしまった。
私はシャツをはだけたまま、ぽかんと去っていく後ろ姿を眺めた。
もしかしてルードも襲われたことがあるんだろうか、とぼんやり考えながら。

数日後、私はレノにうつされた風邪のせいで欠勤した。
ベッドの中で唸っていると、携帯が鳴り出した。
ディスプレイには「タークス本部」。
「はい…」
「よっ、イリーナちゃん具合どうかな、と」
「……」
「レノ様だぞ、と」
「…わかってます」
「こないだは失礼しちゃったな、と」
「……なんのことですか」
「いやオレもはっきりおぼえてないんだけどさ」
「……」
「でもこの手が覚えてんだな。イリーナちゃんのてのひらサイズのおっぱ…」
私は携帯を無言で切り、床に落とした。
いらいらと布団を被り直し、大きく息を吐く。
声を聞いたとたんに唐突にレノの体の匂いを思い出し、下腹部がきゅんとなった。
しつこく唇を舐める舌とか、胸を揉みしだく熱い手の感触とか。
私は布団を頭から被り、真剣に転職を考え始めた。
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