FFシリーズ総合エロパロスレのまとめ

「はぁーっ!?ポーション売り切れぇ!?」
ユフィの甲高い声が、ショップ中に響き渡った。
「すいませんねぇ、お嬢さん。先程銀髪のお兄さん方が買い占めて行っちゃってねぇ……」
ふくよかな体格のショップ店員は、申し訳無さそうにユフィに言った。
カウンター後方の商品棚を見ても、いつも見るポーション、いや、ハイポーションやエーテルまでの瓶が無かった。
あまり需要が無さそうに見える、うちでのこづちや金の針などまでが無くなっており、商品棚はほとんど何も無い。
これでは「ショップ」とは呼べないだろう。

「んで?いつ入荷すんの、ポーション。こちとら急いでんだよね」
悪態をつくようにカウンターに片肘を置いて、正面の店員を睨む。
まだ10代後半の、しかもあどけなさが残った女に睨まれてもそれほど怖くは無いようで、
彼女を無視しながら店員は、カウンター下から取り出したファイルに目を遣った。
「えぇっと……前回が4日前だったから、次の入荷は来週だね」
「来週ぅ!?」
またもやユフィの声がショップに響き渡った。

「どうすんのさヴィンセントっ!早くしなきゃいけないってのに!」
ユフィが、一緒にショップに入ってきていたヴィンセントに助けを求めた。
「……他にもショップはあるだろう。そこで買えばいい」
興味無さ気に、ユフィと店員の会話を壁にもたれ掛かって聞いていたヴィンセントが口を開いた。
そもそも彼はアイテムショップなんかに寄る気は毛頭無く、隣の武器屋に行って、新しい武器を目にしたいところだった。
しかし街に着いた途端、ユフィの強引な誘いのお蔭で、今、不本意ながらもこうやってアイテムショップに居る。

「この街、アイテムショップここしか無いんだよー!」
ウータイより田舎なんだから、しょーがないけど、と、後に付け加えて、ユフィは溜息を吐いた。
「宿屋に泊まれば回復するけどさ、次の街までHPとMPが保てる自信なんてないし。テントももう無いよ」
首を左右に振って、諦めたようにユフィが言った。
「ならば入荷まで滞在すればいいだろう」
「アタシ達はセフィロスを追ってんの!こんな田舎でのんびりしてる暇なんて無いんだからっ!」
ヴィンセントの提案は、すぐさま却下された。

「お嬢さん、それと真っ赤なお兄さん」
困り果てて、もうモンスターから奪うしかないと思っていながらショップから出ようとした2人を、
先程の店員が手を振って自分の方へ来いというような仕草をして引き止めた。
「何さー、品物が無いショップになんか用無しなんだけど?」
またもやユフィが悪態をつきながらカウンターへ寄ると、店員が箱をカウンターの上に置いた。
箱は紙製だがしっかりとしていて、大きさは小さめのテレビなら入る、と言った具合だ。
「……これは何だ」
口を開いたのはヴィンセントだった。
箱の周りには【割れ物注意】というシールが貼ってあるだけで、他には何も書かれていない。
封をしてあるテープを切って、店員が中から手のひらに収まるくらいの大きさの青い瓶を取り出した。

「それっ!ポーショ……ん……?」
店員の手の中に収められたそれは、一見、2人が探していたポーションに似ていた。
しかしその瓶はポーションより鮮やかな青色で、求めているものはもっと薄い色だったはずだ。
「……ポーション、では無いようだが」
2人がその、ポーションではないもの、を見ていると、店員が口を開いた。
「これねぇ、試作品のポーションなんだよねぇ。もうすぐ発売予定なんだけど。
 人間にまぁ……多少害がある成分入ってるし、何より今までのより高いんだけど……
 とりあえず回復量は多くなってるはずだよ」
ああ、摂取しすぎなければ大丈夫だからね、と、店員はすばやく付け加えてユフィとヴィンセントを見た。

「……しょーがないな。多少高くってもポーションはポーション。買っとこ、ヴィンセント」
頭の後ろを掻きながら、ユフィは「とりあえず2本ね」と言って代金を支払った。
物珍しさから買ったのではないだろうか、というヴィンセントの考えは、何となく口に出さないでおいた。

宿屋に戻った2人は、事のあらましを他のメンバーに伝えるべく、とっておいた部屋へ急いだ。
「クラウドー!いつものポーション無かったから別の買ってきたんだけどーっ!」
勢いよくドアを開けたものの、当のクラウドは居なかった。
そればかりか、他のメンバーさえ居ない。
「各々情報収集や武器調達に行ったのだろう」
ユフィの後から部屋に入ってきたヴィンセントが、ゆっくりとベッドに腰掛けた。
「なーんだ。んじゃ、早速ポーション試飲会と行きますか!」
ヴィンセントの座るベッドに飛び乗り、先程買った青い瓶を2つ取り出す。
ユフィの両手に1つずつ持たれたそれは、まるでコスタ・デル・ソルの海を思わせるような色で、天井からの照明が反射してキラリと光った。

「それはHPが減ってから使用すべきものだろう」
ヴィンセントの目の前で、目を輝かせながら瓶を手にするユフィに向かって言った。
彼の言う事は尤もである。
ポーションは回復アイテムであり、HPが減っていない状態の2人が飲んだところで
最大HPが増える訳でもないし、第一意味が無い。
「分かってるよ。でも新しいモノって試したくなるじゃん」
意気揚々と話すユフィは、正に「10代の少女」だった。
新しいものに興味を持ち、何でも試す。小さな冒険者と言ってもいい。
その考え方は、長年眠りについていたヴィンセントには分かりかねるものだった。

あ、と、ユフィが口を開いた。
「もしかしてヴィンセントってば勿体無い、なんて思っちゃってるワケ?
 やーっぱ、ジジィだよねぇ、そこらへん」
明らかに挑発の言葉。
ユフィの目は三日月型に歪んで、口元ではニヤリと笑っている。
こんな簡単な挑発に乗るような男ではないが、暇潰しだと思い、ヴィンセントはノってやることにした。
「いいだろう。飲んでやる」
ユフィの左手からポーションを受け取った。
「そう来なくっちゃ!」
へへ、とユフィは笑い、「それでは試飲会の始まりーっ」と、自分の右手にある瓶と、
ヴィンセントが持つ瓶とを、乾杯するかのように、かちん、と合わせた。

アルミ製の蓋を開けると、ユフィが真っ先に叫んだ。
「何これ!?全っ然ポーションのニオイしないよ!」
瓶の口に鼻を近づけて、中身を嗅いでいる。
ヴィンセントも真似て中身を嗅いでみると、ポーションとは程遠く、
どちらかと言うと、現役タークス時代によく飲んでいた栄養ドリンクのようなにおいが鼻腔に広がった。
「うぅ……こんなんで回復するとは思えないけど!いくぞぉっ!」
ヴィンセントが顔を顰めている内に、隣でユフィは青い瓶を口元に持っていき、
一気に口内へと液体を流し込んだ。

「…………んんんん〜〜〜〜〜〜っ!!」
ポーションを口に含んだユフィは涙目になり、ヴィンセントにしがみ付いた。
「落ち着けユフィ。まずは飲み込むんだ」
ヴィンセントが言い聞かせるようにユフィに言うと、ごくん、と喉を鳴らして飲み込んだ。
「うげぇ、超マッズイ!」
ぼったくられたよ!と、舌を出して暴言を吐くユフィを見て、ヴィンセントはポーションを飲むのを止めようかと思った。
わざわざ不味いと評されているものを口にする必要はない。
それにこのまま蓋を閉め直してそこらへんに置いておけば、「お、ポーションじゃねぇか」と、
何も知らないバレットやシドが飲んでくれるだろう。

しかし、それはユフィが許さなかった。
「ちょっとヴィンセント!あんたまさか飲まないつもりじゃないよね!?」
蓋を閉めようとしたヴィンセントに、ユフィが突っ掛かった。
両の手はショップ店員に対する怒りと憎しみのせいか、ぐっと握り締められている。
「……不味いのだろう?」
正論に近いヴィンセントの言葉に、ユフィは憤慨した。
「なーに言ってんの!あたしと一緒にコレを買ったヴィンセントも当然道連れだよっ!」
拒否権は無いようで、ヴィンセントの手から奪い取ったポーションを、ユフィはぐいぐいと彼に押し付ける。
「……ユフィ、飲まなくては駄目か?」
「当ったり前じゃん!よぉし、そんなに飲みたくないなら……」
そう言って、ユフィはヴィンセントから奪ったポーションの蓋を開けた。
「ユフィちゃんが直に飲ませちゃるっ!!」
徐に中身を口に含み、ヴィンセントの肩を掴むと、
お互いの唇を重ね、自分の口内のものを、ヴィンセントの口内へと流し込んだ。

たどたどしかった。
それはキスだと呼べるようなものではなく、本当に「口移し」と言った方がしっくりとするものだった。
子供っぽくて、全然キスではない。
しかし、彼に無理矢理唇を重ねてきたユフィは頬を赤らめていた。
それに気付いたとき、ヴィンセントは彼女に対して、「仲間」以外の何かの感情を持っている事が自分でも分かった。

中身が全部流し込まれ、ユフィが唇を離した。
「ん……はぁ……っ」
彼女の瞳はうっすらと水の膜が張っているように見える。
ヴィンセントと目が合うと、顔を更に赤らめて壁の方を見た。
「ど……どーよ?マズいっしょ?」
所在無さ気に瞬きを繰り返し、ヴィンセントを見ようとしない。
彼女のやった事が、勢いだったのかどうかは分からないが、今更羞恥が込み上げて来たのだろう。
「あぁ……美味くはないな……」
「え……ぅ、ひゃあ!」
気が付くと、壁を見ていたはずのユフィが見ていたのは、自分に覆い被さっているヴィンセントだった。
天井の照明の逆光で、彼の顔に影が出来て本人の表情は読み取れない。
それを助長するように、ヴィンセントの長い漆黒の髪の毛がユフィに向かって垂れ下がってきて、ますます顔が見えなくなっている。

「ちょ、ちょっと待ってよ、ヴィンセント」
「待てない」
制止しようとするユフィの首筋に、ヴィンセントは顔を埋めてキスを落とす。
先刻のたどたどしい「口移し」とは違う、優しいキス。
「な……何さ、ヴィンセントってば可愛いユフィちゃんのキスで盛っちゃったワケ?」
「ああ、そうだ」
皮肉めいた言葉をヴィンセントに投げ掛けるも、あっさりと肯定されるだけで、行為が止められる気配は皆無。
首筋へのキスの嵐は止められることなく、更にはユフィが纏っていたモスグリーンのセーターを捲り上げた。
「ちょ、ちょっとヴィンセント!アンタ、ナニやってんのか分かってんの!?」
「何を言っている。私の性欲を昂らせたのはお前なのだから、当然ユフィも道連れだ」
――自業自得。
その言葉がユフィの頭に浮かんだ。
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