パブリックドメイン書籍の翻刻を行っています

## 鯖賣翁《さばうりぢゞい》
 東大寺大佛の開眼供養の前に、八十尾の鯖を賣り歩く老翁があつた。聖武天皇は思う所あつて此の老翁を留め置き、供養大會の講師に任命せられた。すると老翁は荷物《にもつ》の鯖を佛前の經臺に載せ置くと、忽ち變じて八十華嚴經となり、老翁は得々として梵語《ぼんご》の經を讀んだが、まだ法會の終らぬ間に、高座の上で姿を晦した。
 又此の老翁の携へてゐた杖を、大佛殿の前の歩廊に突き挿《さ》したら、見る/\枝葉が茂つて大木となつた。今いふ自身木が即ちそれであるといふ。(東大寺要録)

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

フリーエリア


マークダウン及び青空記法をタグ変換します。

どなたでも編集できます