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## 苔水地藏《こけみづぢざう》
 谷汲山の本堂の裏《うら》に、苔の水地藏とて、石造の地藏尊がある。むかし花山法皇が、佛眼《ぶつげん》上人を先達として、西國巡禮の砌に、此の寺を滿願場《まんぐわんぢやう》と定め、御感のあまり、『萬代の、願をこゝに納め置く』と、上の句を詠ませられると、不思議なるかな、苔むす巖の間より、玉なす清水が滾々《こん/\》と湧き出たので、『水は苔より出づる谷汲』と、又下の句を附けられた。
 かういふ因縁によつて、此の地藏尊は、苔の水地藏の名を得たが、參詣者が、經文を書いた紙の札を此の清水に浸《した》して各自身體の異状ある所を撰み、地藏の體に貼つて祈念すれば必ず靈驗があるといふ。(谷汲山の栞)

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