四月三十日公表
過般議会の協賛を得四月七日付官報を以て公布せられた「貿易調節及び通商擁護に関する法律」は、来る五月一日より施行せらるべきことに決定し、本日付の官報を以て右に関する勅令が公布せられた。
同法は最近世界通商上に於いて有無相通ずる経済原則に則り、国際的協力に依り人類福祉の増進に貢献せんとする精神が乏しくなり、或いは高率なる関税を課し、或いは輸入を制限する等の方法に依り外国品の輸入を抑止せんとする傾向強く、殊に我国の輸出貿易に対し障壁を築かんとするものが漸く多きを加えんとする様な情勢に在るので、各国の措置如何に依りては之に対応して貿易を調節し、以て国際収支の均衡を図り、又は通商を擁護する為臨機応変の措置を執るの必要あることを慮り制定せられたものであるが、我国としては固より自ら好んで国際間に事端を滋からしめんとするが如き態度に出ずる考えはなく、寧ろ本法を活用するの必要を生ずるが如き機会の生ぜざらんことを希望するものである。
同法全文は次の通りである。
貿易調節及び通商擁護に関する法律
第一条
政府は外国の執り又は執らんとする措置に対応して貿易を調節し又は通商を擁護する為特に必要ありと認むるときは勅令の定むる所に依り関税調査委員会の議を経て期間及び物品を指定し関税定率法別表輸入税表に定むる輸入税の外其の物品の価格と同額以下の輸入税を課し若しくは輸入税を減免し又は輸出若しくは輸入の禁止若しくは制限を為すことを得
第二条
政府は勅令の定むる所に依り前条の規定に依りて為す禁止又は制限に関係ある事項に付報告を徴し又は帳簿其の他の検査を行うことを得
第三条
第一条の規定に依りて為す禁止又は制限に違反して輸出若しくは輸入を為し又は為さんとしたる者は二年以下の懲役若しくは禁錮又は七千円以下の罰金に処す但し犯罪に係る物品の値額の三倍が七千円を超ゆるときは罰金は当該値額の三倍以下とす
前条の規定に基づきて発する勅令に違反し報告を為さず虚偽の報告を発し帳簿其の他の検査を拒み又は帳簿書類の隠蔽不実の申立其の他の方法に依り検査を妨げたる者は六月以下の禁錮又は三千円以下の罰金に処す本法に基づきて発する勅令に依り政府に提出する許可の申請書其の他の書類に虚偽の記載を為したる者亦同じ
第四条
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人其の他の従業者が其の法人又は人の業務に関して前条の違反行為を為したるときは行為者を罰するの外其の法人又は人に対し亦前条の罰金刑を課す
第五条
本法の罰則は本法施行地に本店又は主たる事務所を有する法人の代表者、代理人、使用人其の他の従業者が本法施行地外に於いて為したる行為にも之を適用す本法施行地に住所を有する人又は其の代理人、使用人其の他の従業者が本法施行地外に於いて為したる行為に付亦同じ
付則
本法施行の期日は勅令を以て之を定む
本法は施行後三年間を限り其の効力を有す
前項の期間内に為されたる本法に依り処罰せらるる行為に付ては本法の罰則は前項の期間経過後と雖も仍之を適用す
過般議会の協賛を得四月七日付官報を以て公布せられた「貿易調節及び通商擁護に関する法律」は、来る五月一日より施行せらるべきことに決定し、本日付の官報を以て右に関する勅令が公布せられた。
同法は最近世界通商上に於いて有無相通ずる経済原則に則り、国際的協力に依り人類福祉の増進に貢献せんとする精神が乏しくなり、或いは高率なる関税を課し、或いは輸入を制限する等の方法に依り外国品の輸入を抑止せんとする傾向強く、殊に我国の輸出貿易に対し障壁を築かんとするものが漸く多きを加えんとする様な情勢に在るので、各国の措置如何に依りては之に対応して貿易を調節し、以て国際収支の均衡を図り、又は通商を擁護する為臨機応変の措置を執るの必要あることを慮り制定せられたものであるが、我国としては固より自ら好んで国際間に事端を滋からしめんとするが如き態度に出ずる考えはなく、寧ろ本法を活用するの必要を生ずるが如き機会の生ぜざらんことを希望するものである。
同法全文は次の通りである。
貿易調節及び通商擁護に関する法律
第一条
政府は外国の執り又は執らんとする措置に対応して貿易を調節し又は通商を擁護する為特に必要ありと認むるときは勅令の定むる所に依り関税調査委員会の議を経て期間及び物品を指定し関税定率法別表輸入税表に定むる輸入税の外其の物品の価格と同額以下の輸入税を課し若しくは輸入税を減免し又は輸出若しくは輸入の禁止若しくは制限を為すことを得
第二条
政府は勅令の定むる所に依り前条の規定に依りて為す禁止又は制限に関係ある事項に付報告を徴し又は帳簿其の他の検査を行うことを得
第三条
第一条の規定に依りて為す禁止又は制限に違反して輸出若しくは輸入を為し又は為さんとしたる者は二年以下の懲役若しくは禁錮又は七千円以下の罰金に処す但し犯罪に係る物品の値額の三倍が七千円を超ゆるときは罰金は当該値額の三倍以下とす
前条の規定に基づきて発する勅令に違反し報告を為さず虚偽の報告を発し帳簿其の他の検査を拒み又は帳簿書類の隠蔽不実の申立其の他の方法に依り検査を妨げたる者は六月以下の禁錮又は三千円以下の罰金に処す本法に基づきて発する勅令に依り政府に提出する許可の申請書其の他の書類に虚偽の記載を為したる者亦同じ
第四条
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人其の他の従業者が其の法人又は人の業務に関して前条の違反行為を為したるときは行為者を罰するの外其の法人又は人に対し亦前条の罰金刑を課す
第五条
本法の罰則は本法施行地に本店又は主たる事務所を有する法人の代表者、代理人、使用人其の他の従業者が本法施行地外に於いて為したる行為にも之を適用す本法施行地に住所を有する人又は其の代理人、使用人其の他の従業者が本法施行地外に於いて為したる行為に付亦同じ
付則
本法施行の期日は勅令を以て之を定む
本法は施行後三年間を限り其の効力を有す
前項の期間内に為されたる本法に依り処罰せらるる行為に付ては本法の罰則は前項の期間経過後と雖も仍之を適用す
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