学校では教わることのない日本の自虐史観を省いた歴史を年表にまとめたもの。

昭和十一年三月二十八日
(有田大使との懇談席上)
関東軍参謀長 陸軍少将 板垣征四郎

(極秘)
関東軍の任務に基づく対外諸問題に関する軍の意見

第一 対蘇問題
対蘇問題に関しては関東軍は最も重大なる関心を有する所なるが蘇連邦国防能力の年と共に向上しつつあるは争うべからざる事実とす固より軍は蘇連邦当局が世界に公表しつつあるが如き急速度の躍進を遂げつつありとは信ずるものにあらず又其の建設が国家全般より見て跛行且荒削り的部分尠からず速成の反面缼陥を藏するは疑うべからざる所なりと雖綜合的国力の逐次向上しつつあることは否む可らざる所なり
即ち軍事方面に於いては近時内容の充実と共に総兵力が百四十万以上に達し画期的飛躍をなすと共に之に併い兵制編制装備兵団配置等各部分に亘り理想的形態に移りつつあり名実共に世界大陸軍国たるの形態内容を備うるに至れり重工業方面の発達は概ね予期の程度に達し殊に軍需諸品の独立製作可能なるに至り一方軽工業方面に於ける努力の結果最近漸く国民私生活の向上を見んとする域に達せり又国家経済の実質的大宗たる農業に於いても之が形態の社会主義化は多大の困難を収めつつも概ね之を完成せり之がため多年困苦缼乏に悩み来れる一般国民亦辛うじて塗炭の苦より一歩を脱し漸く一息つきたるの情勢を現出せり、此の間政権の基礎愈々鞏固となり過去に於いて未だ会て見ざる独裁機能を確立せり
以上の情勢に基づき軍として特に直接の関係を有する極東の事態を観察するに彼は極東軍備の独立を公然唱えて人口希薄物質乏しき極東地方に二十数万の大兵と飛行機戦車各々千に近き数を備うる外交通機関の整備補給機関の充実に努め更に之と共に多大の経費と犠牲とを払いて経済交通の開発に画期的努力を傾倒し以て独り武力的作戦準備のみならず広義に亙る戦争遂行上の独立性増加に勉めつつあり此の間に処し蘇連邦の対日態度は其の国力竝武力の進展と帝国内外の実状闡明に伴い我足許を見透せるが為素より未だ彼より積極的に挑戦するが如き状態を見ずと雖も最近に於いては二、三年前の消極退嬰的態度とは大いに其の趣を異にし漸次積極硬化し来れり例えば昨年以来第三「インター」の対外戦略更新せられ日本を目標として積極的となり本来の主張如何に拘らず一切の戦争反対主義者と協同戦線を執るに決し対支工作に於いても共産主義を表面より振翳すことなく専ら「反ファッショ」若しくは反帝国主義を標榜し必ずしも其の地現在の社会制度を否認することなく北支に於ける共産軍の「スローガン」が「赤化救国」より「抗日救国」(国民党のスローガンと一致す)に変換しあるが如き又東部満洲一帯に亙る匪賊数は漸次減少しありと雖も共匪のみは依然頑強に蟠居し逐次他の匪賊を合わせて却て強大となりつつあるが如き或は国境問題漁業問題其の他満洲国諸問題(外蒙問題領事館問題等)に於いて強硬なる態度に出であるが如き是なりとす
之を要するに蘇連邦の国力は年を遂うて向上し之に伴い近時其の対日態度が硬化乃至反抗的となれる点は看過す可らざる事実にして未だ彼より積極的に戦争を求めんとすることなかるべしと雖も近き将来其の積極性を加うべきは疑いを容れざる所なり従って最近に於ける欧州情勢動向に鑑み蘇連対外力の西方牽制は其の程度の期待をなし得ざるにあらずと雖も其の変転性に鑑み之に全幅の信頼を置きて我が政策を緩にする能わず従って日本としては機に先んじ万一の際に応ずる戦争準備を着々進むるを要すると共に諸懸案の解決に方りては速成に焦慮し或は徒に実質の伴わざる平和工作に努むるが如きは結局彼をして却て愈々我足許を見透かさしめ懸案の有利なる結果を得ざるは勿論和平工作其のものが却て紛争惹起の禍因をなすに至ることあるべく即ち帝国としては飽く迄強硬なる態度を以て公正と信ずる主張は其の貫徹に努むるを必要とす


日満蘇間の諸問題に就て

一、国境確定問題
満蘇両国間の国境に就いては不明確なる部分尠からざるのみならず旧東北政権の無力なりしに乗じ条約を無視して侵入しあるの疑いある部分又は無効と信ぜらるる条約を楯にして拡張しある部分或は中洲等に於いて全く所属不明の部分尠からず之が確定は満洲国自体の完成上等閑に付す可らざる所にして従来屡々国境確定に関し蘇側に申出ありと雖も言を左右に托して之に応ぜず最近紛争の頻発殊に武力抗争の発生に鑑み既存条約に基づき既設界標の再確認或は新設等に関してのみ原則的に承諾の意を仄めかすに至れり
右に対し軍としては国境確定の速ならん事を望みありと雖も妥協譲歩を敢てして迄之が実現の必要なきものと確信す

二、国境紛争委員会設置問題
国境紛争委員会設置問題は曩に我方より不戦条約拒否の名目として蘇側に申出たる事ありとして外務省側に於いて之が速成を希望せらるる向き多きやに仄聞するも蘇側の領事館問題其の他に対する背信的態度に鑑み敢て之を墨守するの要なかるべく元来国境の確定せざる所に之を設置するの無意味なるは明らかなる所なるを以て軍としては尠くも国境確定と平行して設置するに非ざれば同意し得ざる所とす

三、領事館設置問題
満蘇同数領事館の設置に就いては軍の飽く迄主張する所なると共に可成之が多数の設置を希望しあり従って将来に於いても多数且同数主義を堅持し本問題の解決に努めんとす

四、国境に於ける紛争問題に就いて
金廠沟事件等武力的衝突の外越境、不法拉致等の小事件は最近益々其の数を増加し応接に遑あらず、抑々満洲国は中心地帯即ち満鉄、北鉄を中心として発達し漸次辺彊に及べるものなるが故に国境地方に於いては人口文化武力共に貧弱にして国境に沿い鉄道を有し之を発展の基礎とせる蘇側と対比すべくもあらず殊に旧東北政権と「ソ」連との実力的関係は「ソ」連をして其の為すが儘に委ねし対抗の措置を講じ得ざる実情にありたり従って従来国境の紛争は何等表面化する所なく静寧なりしが如しと雖も満洲事変以来日満両国の国力漸次辺彊に及び彼が非行を看過せざるに及び漸次紛争を増加せり将来国力の充実発展に伴い「ソ」連にして其の態度を改めざる以上之等の問題は愈々増加するものと覚悟せざるべからず

五、満洲国に対する外交指導に就いて
対外的に満洲国の独立性を尊重せざる可らざるは敢て謂うを俟たざる所之が為外交交渉等の実施に方りては努めて満洲国を表面に立たしむるを要す然るに最近国境問題其の他に就いて見るに蘇側は努めて帝国との直接交渉を企図し満洲国側との交渉を避くるの風あり帝国外交官亦動もすれば之に応じて満洲国の独立を無視するの態度なきにしもあらず
満洲国内面指導に関しては外交をも包含し軍の全責任を以て之に任じある所而して軍は中央の方針に基づき其の外交を処理すべきを以て蘇側が事実上にも満洲国を認めざらんとする傾向を排し努めて満洲国をして交渉の表面に立たしめ以て蘇連をして事実上に於ける独立承認を益々確実鞏固ならしむる如く着意するを要す

第二 外蒙問題
外蒙古は完全なる秘密地帯なり而して此の秘密地帯は「ツアール」政権時代に於いて既に其の魔手を延べて保護国となし革命後「ソビエト」政権亦其の政策を踏襲して之が懐柔に成功して今日に及べり東亜大陸の地図を披けば一見して明らかなるが如く外蒙の関係位置が今日の日満勢力に対し極東蘇領と欧蘇との連絡線たる西伯利亜鉄道の側面掩護の地帯としては極めて重要性を有す従って若し外蒙古にして我が日満側に合体せんが極東蘇領の安全性は殆ど根底より覆ざるべく又万一の際に於いては殆ど戦わずして蘇連勢力を極東より後退せしむることを得るに至るやも知るべからず従って軍は所有手段に依り日満勢力の外蒙古に対する拡充を企図しあり、其の第一歩として蘇連の意志の如何に拘らず外蒙古を一個の独立国と見做し之と満洲国間に正常円満なる国交関係を樹立すべく鋭意工作中にして又一方次に述べんとする西部内蒙古に対する工作を進めて外蒙古民族の懐柔に努めつつあり然れども軍は日満議定書の精神に鑑み若し外蒙古側にして如上の穏健なる我意図を無視し蘇連と勾結して我が満洲国の領域を侵すが如きことあらば尺寸の地と雖も断じて護らざる決意の下に断乎之を排撃するの用意を有す

第三 内蒙問題
西部内蒙古即ち察哈爾、綏遠及び其の以西の地帯は帝国の大陸政策の遂行上重要なる価値を有す即ち若し該地帯を我が日満側の勢力下に包含せんが積極的には進んで同一民族たる外蒙古懐柔の根拠地たらしむべく更に西すれば新彊方面よりする蘇連勢力の魔手を封ずると共に支那本部をして陸上よりする蘇連との連絡を遮断して支那大陸に対する第三「インター」の企図を根底より挫折せしめ得べし又消極的には該地帯をして満洲国治安確立のための赤化防止の掩体たらしめ得べし若し夫れ之を日満側の勢力下に置かずして自然の大勢に委せんが外蒙古及び新彊を通じて行わるる赤化工作は極めて迅速なる速度を以て満洲西方国境に迫り来ること火を睹るより明らかなり、如上の見地に立ちては軍は西部内蒙古に対し数年来逐次工作を進めつつあり其の過去及び現在の情況別冊の如く軍は将来更に万難を排して工作の歩を進むべく固き決意を有す

第四 支那問題
刻下帝国の対外政策の重点は日満不可分の原則に基づき満洲国をして健全なる発達を遂げしむるに在り対支対蘇其の他一切の対外政策は挙げて此の方針の下に帰一せられざるべからず
而して此の見地に基づき静かに東亜の大勢を観察するとき若し現状を以て推移せば蘇連と帝国とは早晩必ず衝突すべき運命に在り而して衝突の際に於ける支那の向背如何は帝国の作戦遂行に至大なる影響を及ぼすべきは識者を待たずして明らかなる所なり
而して軍は支那の現状は遺憾乍ら日蘇開戦に際しては支那をして蘇連の友邦たらしむべき公算極めて大なるものありと判断しあり蓋し国民党を背景とする現南京政権は如何なる手段を以てするも絶対に帝国と親善関係に入る能わざる本質を有すると我従来の対支政策が支那及び支那民族の本質を無視せる抽象的原則の樹立に終始し何等実質的成果を獲得し能わざりしものに依るものなり
(南京政権の対日親善政策を採用し得ざる理由)
南京政権が常に日支国交の癌と称する満洲国の独立の承認に触れるることなく抽象的なる三原則確立の如き題目を捕らえて国交の調整を行わんとするが如き又縦令三原則を確立し得たりとするも単に紙上の空文に止まり具体的実行方策に関し何等の成果案なきこと之なり
軍は支那の現状より観察し帝国の国策たる満洲国の健全なる発達と東洋平和確立のためには其の対支政策の根本観念を是正して茲に国策として新たなる政策を樹立すべき秋に到達せるものと判断し曩に別冊「対支政策根本観念の是正」なる意見を草し之を中央に具申せり其の要点は支那大陸を人文及び地文上の見地に基づき相分立せしめ其の分立せる個々の地域と帝国と直接相結び帝国の国力に依り相分立せる勢力の相剋を阻止し各地域内に於ける平和の維持と民衆の経済的繁栄を図り以て支那に於ける排日の根絶と日満支提携の実を挙げんとするに在り軍は支那をして常に我が友邦たらしむるには此の政策を遂行するの外他に手段なきものと確信す又本政策は現に帝国が行いつつある北支及び対蒙工作を更に積極的に進展せしめんが概ね前述の成果を収め得べく尠くも南京政権をして我に反噬せしむることを不可能ならしむるを得るに於いて更に然りとす


参考文献

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

目 次

歴史的事件

  • 尼港事件
  • 南京事件
  • 漢口事件
  • 済南事件
  • 間島暴動
  • 通州事件

帝国陸海軍

管理人/副管理人のみ編集できます

閉じる