学校では教わることのない日本の自虐史観を省いた歴史を年表にまとめたもの。

昭和七年八月二十七日閣議決定

帝国の国際的関係は満洲事変を契機として一大変転を示せり従って茲に帝国政府としては益々自主的外交の真諦を発揮し以て国運の打開竝に国家的使命の遂行の為堅忍不抜の努力を要すべきこと論を俟たず
曩に満洲事変に相次いで上海事件の発生を見るや我が国際関係は甚だしく悪化し或は勢の赴く所連盟側より又は列国共同して帝国に対し重大なる現実の圧迫を加えるが如き事態を誘致することなきを保せざる形勢なりしが其の後上海方面に於ける状況の変化等に伴い
右形勢は次第に緩和し来れる現状なり然れども我が対支関係の将来は種々なる波瀾あるべく殊に満洲問題は今後とも幾多の難関を包蔵せるものと思考せられ旁々我が国際関係の前途は未だ俄かに楽観を許さざるものありて将来形勢の推移如何に依りては再び前記の如き
極端に険悪なる事態発生の絶無しを期し難き次第なり
而して前記の如く万々一連盟等が帝国に対し重大なる現実の圧迫を加え来るに於いては我方亦実力を以て之を排除すべきこと勿論にして政府は斯くの如き場合に備うる為早きに及んで軍備の充実、非常時経済及び国家総動員に付ても充分に考慮を加え断乎たる決意と
周到なる用意を以て今後の事態を処理すべく国際関係より見たる対策は左記方針に依ることと致度

(一)帝国独自の立場に於いて満蒙経略の実行に邁進するを以て前記の事態に処すべき帝国外交の枢軸たらしむること而して昭和九年以後に於ける対米兵力関係及び蘇連の産業計画等に鑑み速やかに我満蒙経略上の根基を確立するに努むること
   (右満蒙経略の実行は三月十二日閣議決定に立脚すること)
(二)帝国の満蒙経略を容易且有利ならしむると共に将来万々一発生することあるべき前記の如き困難に善処せんが為に支那本部、連盟及び列国に対する関係に於いては概ね左記要綱に則り措置すること
   (イ)支那本部
      帝国の対支那本部策は帝国の対満蒙策と切離し主として其の貿易及び企業市場たる性能を発揮せしむるを以て主とすべく従って我が満蒙経略に支障を及ぼさざる限り列国と協力して支那本部殊に経済上列国と重要関係を有する地域の平和を保持し
      つつ其の門戸を開放せしむるに努むべし尚帝国の対満蒙政策と対支那本部政策とに本質的区別あることを機会ある毎に如実に示し関係各国側(中華民国を含む)をして帝国の支那本部に対する政府に付無用の危惧を抱かしめざるに努むべく差当り
      別紙甲号(対支那本部策)に依り処理すること
   (ロ)連盟
      此の上とも帝国の満蒙に対する多大の関心と我公正なる態度に関し充分認識せしむる如く誘導する一方我方より挑発的態度を示すことを避くべきも連盟側より進んで帝国満蒙経略の根本に触るる干渉を敢えてせんとするが如き場合には差当り
      三月二十五日閣議決定の方針に基づき処理すべく而して連盟側が右に拘らず依然として反省する所なきのみならず更に進んで帝国満蒙経略の根本を覆し我が国運の将来を脅威するの恐れある現実的圧迫を加えんとするが如き情勢に立ち至る場合に
      於いては帝国は最早連盟に留まることを得ざる次第なるが如斯場合にも我方としては連盟側の不当なる行動に依り已むを得ず右態度に出ずるの余儀なきものなることを世論をして充分に諒解せしむる様措置すること
   (ハ)列国 
      世界各国中米蘇等連盟に加入し居らざるものは勿論英佛其の他の連盟国と雖も其の連盟国としての立場以外に夫々固有の立場を有する次第なるに顧み前記対連盟策の如何に拘らず各国側の特殊事情をも利用して列国との間の友好関係を増進し
      帝国の国際的地位の向上に努力すべく差当り別紙乙号(対列国策)に依り処理すること

別紙甲号
(一)最近支那本部に於ける地方政権の分立状態は益々顕著となる傾向ある処我方に於いては右政局の推移を注視しつつ比較的穏健なる態度を執る政権に対しては成る可く其の立場及び面目を尊重し或は進んで好意的態度に出て我方に有利に誘導すること
   各種条件は事情の許す限り各地方政権との間に実際的解決を計り以て事端の発生を避くるに努むること
(二)前記両項の実行に当たりては努めて列国に対する抜駆的行動を避け列国をして帝国と協力せしむる様誘導すること
   敍上の見地に基づき上海方面及び其の他各地に於いては左記要領に依り措置すること
   (イ)上海方面の平静確立及び安全保障に関しては専ら外交手段に依りて之が解決を図ることとし円卓会議の開催に依り若しくは現地在留外人及び支那側有力者間の機運を助成して可及的速に右目的達成に努むること
   (ロ)支那本部の沿岸及び長江沿岸に於いて今後万一居留民の生命財産危殆に瀕するが如き重大なる事態発生の場合には上海、青島及び漢口以外の沿岸各地に於いては適宜居留民の引揚を行うこと
      尚漢口に於いて事態重大化し海軍を以て現地保護を行い得る見込みなき場合亦同じ
   (ハ)山東地方及び北支に於いては差当り前記の如き危険(イ)(ロ)の地方よりも尠しと認めらるるを以て出来得る限り平静を保持するに努むべく右に付ては外務及び陸海軍出先官憲に於いて特に協調努力すること
      尤も敍上努力に拘らず万一該方面の治安が著しく乱れ帝国臣民の生命財産其の他重要権益の保護上絶対的必要ある場合には派兵を行うことあるべし
   (ニ)支那本部に於ける我が商権の進展及び同方面居留帝国臣民の生活安定の為政府に於いて適当に之を指導すると共に必要の財政的援助の途を講ずること
      居留民中好んで事端の惹起を計るが如き徒に対しては外務出先官憲に於いて陸海軍側と協力して厳重取締を加えること

別紙乙号
(一)支那側に関する日英協調の回復は永年の歴史的背景に加えるに支那に於ける英国の利益及び勢力が今日尚相当牢固たるものあるにも顧み甚だ望ましき儀にして従来我方に於いては適当の機会を捉え右協調回復方に付種々画策する所ありたるが
   容易に其の実現を見ざりし次第なり然るに本年一月突然英国政府より我方に対し支那治外法権問題に関する協調に付交渉方申出あり我方は直に之に応じ将に必要の交渉を開始せんとしたる折柄偶々上海事件の勃発を見たる為その儘となり居れる
   次第なる処英国側に於いて引続き右交渉に対する熱心を有するや疑問なるも兎に角該交渉の開始を計るとか又は上海事件善後問題を利用するとか適当の端緒を辿り日英協調の回復に努むること
     東洋に於ける日英協調は世界大戦後の国際情勢上破綻に帰し次で昭和元年末英国政府が支那側に対し極端に迎合的なる所謂新対支方針を採用したる結果支那問題に関する日英協調の回復は益々困難を加えたる次第なるが最近に至り
     該新方針に多少とも変動の傾向あるやに認めらるるに顧み(前記治外法権問題に関する協調方申入も新方針変動の傾向を示すものの如し)此の際右傾向を助長するは日英協調回復の前途に一歩を進むるものと云うべく殊に英国側の重点を
     置く所が支那本部就中上海、広東其の他長江沿岸及び南支方面に存するに鑑み該地方に於ける英国の立場を適当に尊重しつつ協調の歩武を進むるは満洲問題に対する我方の地歩に良好なる影響を招来する所以と思考せらる
(二)由来佛国政府は我方に近似せる対支政策を執り居るのみならず今次の日支紛争事件に付ても我方に対し比較的有利なる態度を示し来れる一方佛国側としては其の欧州制覇政策遂行の関係上極東に於ける日佛両国の政治的接近を求めんとする
   空気あるものの如きに付最近の機会を捉えて極東に於ける日佛間の一般的諒解に関する話合を促進すること
     前項に所述せる日英提携を急速に実現することは従来の経緯にも微し相当困難なるべきやに認めらるる次第なる処極東に於ける日佛の接近は対支日英協調に対する英国側の熱心を増すに与て力あるべしと認めらる
     尚右日佛間の一般的諒解を促進する為には明治四十年調印の現存日佛協約を最近の事態に応じて日佛両国当局者の間に読み直すこととして話を進むるも一策なるべく又本邦に於ける安南革命派取締問題、上海佛国租界に於ける不逞鮮人
     取締問題等具体的案件に関する交渉を糸口として話を進むるも一策なるべし 
     将又近時佛国財界にては満蒙方面に対する借款の機運動き初めたるやの兆候もある処佛国側の対満投資は其の政治的色彩を伴うこと比較的尠きに顧み英米資本よりも歓迎すべきものと認めらる
(三)目下の形勢にては米国側を我が対満政策の実行に有利に誘導すること最も困難と認めらるるも前記(一)、(二)等の実行を計ると共に累次我方に於いて之が尊重を宣明せる門戸開放機会均等等主義を適当に運用し以て米国側態度の牽制乃至
   緩和を計ると共に我満蒙経営に対する極めて強力なる障碍の原因が米国側に存するの事実に顧み同国に対し内外諸般の準備を速に進め置くこと
     前記(一)、(二)等の実行に依り帝国と英佛等との接近成り従って帝国の国際的孤立状態の緩和を見るに於いては米国側を牽制するに与て力あるべきのみならず其の態度の緩和にも資すべし
     又満洲問題に関し米国民間にては不戦条約、九国条約等に牴觸して成立せる一切の既成事実を承認せずとの建前を執り居る国務長官の方針に関し相当有力なる反対論存する一方同国実業界等にては門戸開放機会均等主義にして現実に維持
     せらるれば其の他の問題は成行に委せ差支えなしとの空気も徐ろに台頭し居るものと認めらるるに付右門戸開放機会均等主義の運用宜しきを得米国側をして満洲国に於ける経済的利益に相当に均霑せしめ得るに於いては自然に同国の
     態度も緩和を来すべしと思考せらる
(四)近時北満方面の形勢に関し日蘇間は相当の危機を蔵し居るものと認めらるるを以て我方としては万一の場合に応ずる為速かに軍事外交其の他内外諸般の準備確立に努むると共に現下の国際関係に顧み少なくとも此の際は蘇連との衝突を避くる 
   こと極めて肝要なるを以て我方より進んで蘇連を刺戟するが如き措置に出でざる様留意すべく殊に蘇連側にては我方の蘇領又は東支鉄道に於ける蘇連側権益に対する野心又は我方の白系露人との関係に付疑惑の念を抱き居るものの如きに付
   右等の点に関し出来得る限り蘇連側を安神せしむる様措置すること但し蘇連が進んで帝国の満蒙経略を阻止妨害する等積極的態度に出て来るが如き場合には断乎として之を排除すること
     予て蘇連より我方に対し不可侵条約締結方を申出て居る次第なる処満洲国の安定を計ると共に帝国の立場を拘束せざる見地よりして同国と蘇連又は帝国と蘇連との間に条約の形式に依らず何とか不可侵的意図を相互に表明する等の方法に
     依りなるべく日蘇関係の緩和を見る一方極東蘇領に於ける我方の権益に関し之が改善及び確保を促進すること
     尚前記(一)、(二)、(三)等の措置は万一蘇連が積極的態度に出て来るが如き場合に備うる為の外交的準備としても肝要と認む
(五)その他の各国に対しても出来得る限り友好関係の増進を計り且通商の円滑を期すべく殊に蘭国との間には曩に同国側の希望に基づき開始せられたる仲裁裁判及び調停条約締結方に関する交渉を促進すべく又若し此の際同国との間に前記条約
   締結交渉を急速に促進せしめ難き事情あるに於いては太平洋に於ける領土的現状維持に関する取極(華府四国条約の趣旨を日蘭間に拡充する結果となる)の交渉を同国との間に開始すること尚状況に応じその他の欧米諸国との間にも逐次
   仲裁裁判及び調停条約締結に関する交渉を進むること
     前記蘭国側との仲裁裁判及び調停条約締結に関する交渉は大正十四年蘭国側の希望に基づき開始せられ昭和六年四月頃迄継続せられたるも我方に於いて余り乗気にならざりし関係もあり成立に至らざりし次第なるが蘭国側にて前記交渉
     開始を申出て来れるは蘭領印度に対する帝国の意図に付危惧したる結果なるが如く而して今次日支紛争事件殊に上海事件の発生は右蘭国側の危惧を一層増進せしめたるやに認めらるるのみならず蘭国以外の欧米諸国の政治家等にして
     南洋方面に於ける此れ等諸国の植民地に対する帝国の領土的野心を云々するものさえあるに至りしに顧み此の際蘭国との交渉を促進すると共に其の進行振等を可然宣伝することは斯種誤解の啓発に資し且満蒙問題に対する帝国の
     純正なる立場を諒解せしむる為にも与て力あるべし


参考文献

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

目 次

歴史的事件

  • 尼港事件
  • 南京事件
  • 漢口事件
  • 済南事件
  • 間島暴動
  • 通州事件

帝国陸海軍

管理人/副管理人のみ編集できます

閉じる