学校では教わることのない日本の自虐史観を省いた歴史を年表にまとめたもの。

九月二十四日田中大臣上奏
    第一、内田全権の英国政府当局との会談に関する件    
    第二、日支条約問題済南事件等に関する件
    第三、満洲問題解決方針

第一、内田全権の英国政府当局との会談に関する件
内田全権が九月八日「ジュネーブ」に於いて英国首席代表「カシエンダン」卿と支那問題に付会談し、日英協調に関する帝国政府の意向を開示する所ありたる次第は既に奏上致したる通りなるが同全権は後九月十四日倫敦に赴きたる処
英国政府に於いては鄭重に之を歓待し殊に外務大臣臨時代理「バークンヘッド」卿は十七日同全権の為正式晩餐会を催す所あり。
右晩餐会席上「バークンヘッド」卿は内田全権に対する挨拶中に於いて先ず支那現下の混乱状態を述べ之に対し日英の利害関係重大なるを説き、両国が支那との間に有する幾多の条約関係の調整を計る為には日英両国間の協力極めて必要なる所以を述べ、
次て満洲に言及して日本が過去に於いて多大の犠牲を払いたる結果同地方に莫大なる権利利益を有する事に付いては何人も之を了解するに難からずと説き、進んで日英協調の為には現地に在りて事情に通暁せる両国代表者の間に審議を重ね協力を
図り又は話し合いを遂げる事を以て最善の方法なりと思考すと述べ日英同盟は消滅せるも其の精神は常に存続する所にして大戦中日本の連合国側に対する貢献は今尚吾人の記憶に新たなる所にして日本は過去に於いて総ての約定を確実に履行し会て之に悖りし
事なしと述べたり。

内田全権は右に答へ英国政府が支那に対する帝国の立場及び政策に関し斯く迄の了解を有する事は感謝に堪えざる所なり。帝国は支那に対し何等の領土的野心を藏せず其の欲する所は唯支那に於いて平和及び秩序の維持されん事にして門戸開放機会均等の原則を
実行する事勿論なり。而して支那の秩序及び平和維持の為には日英の協調を最も必要とし両国の協調は単に両国の為のみならず支那自身の為にも望ましき事なりと述べ置きたるが、前記「バークンヘッド」卿の所言は英国政府の意見を代表し居るものなる趣にして
過般「ジュネーブ」に於ける内田全権の申出に対する英国政府の回答と看做すべきものと認めらる。
内田全権は右の外更に英国政府外務当局と会談し本件に関する同政府の意向を確かむる所ありたるが英国政府としては対支問題に関し日英協調の必要なるに付帝国政府と見解を同するものにして従って今後支那問題に関し日英間に於いて協調せんとする根本方針に付ては
今般右の如く大体了解できたる次第なり。但し内田全権は英国閣僚間に於いては協調の空気相当濃厚なるを認むべきも一方現に外交の実務に当たり居る同国外務当局に於いては種々具体的問題に付考究し居れる為か相当留保的口吻を洩らし居り協調の前途は必ずしも
容易ならずと観察し居れり。

第二、日支条約問題済南事件等に関する件
昭和三年九月二十二日材上海帝国総領事宛左の通り訓電せり。
蒋介石が穏健派と提携して五院制度を確立し過般来噂され居るが如く蒋が行政院長として国民政府の首脳となるに至れば、対外方針も穏健化するものと思考するに付右の如き時期に立至れば日本政府に於いては日支関係の大局に顧み通商条約問題等に対しても相当の
妥協的態度を示すに吝ならす。就いては近く国民政府の改組実現し蒋介石が行政院長に就任したる機会に於いて遅滞なく蒋介石に面会し貴官(在上海総領事)の意見として左の主旨を述べ蒋の政府をして条約問題済南事件等の転換を策せしむる様仕向ける事と致したし予め申進す。
「政府は国民政府に対し列国に優る同情を有する次第なるも例えば通商条約改正問題の如き夙に在支公使より唐悦良に自分(在上海総領事)より王正廷自身に又アジア局長より汪公使に支那側の慎重なる態度を希望し置きたるに不拘王外交部長は右日本側数次の意思表示を
無視し七月十九日条約を廃棄し臨時辨法を日本人に適用すべきを通告し来たりたる為、政府は勿論日本国民一般をして甚だしく失望せしめたるは甚だ遺憾とする処なり。
最近王部長より第二回の照会を寄せ来たり其の一節に臨時辨法の適用に就いては会て深甚なる考慮を加えたりと述べ之を以て臨時辨法適用延期の意味なりと辨法し以て日本側をして改正商議に応ぜしめんとしつつあるも、文理解釈上然かく解釈し得ざるのみならず
仮に延期の意味なりとするも右延期が日支現行条約を有効と認める事なりや否やも不明なるが上に現に臨時辨法を適用し居るものと認めらるる事例もあり旁々日本政府として未だ之が回答をも差控え居るが如き次第なり。
日本の主張は臨時辨法を撤回し現行日支条約の有効を確認するに非ざれば条約改訂の商議に入るを得ずと云うにあるも日本としても支那側の内部関係上全然其の主張を撤回する事の困難も亦諒察し居らざるにあらざるを以て若し支那側の真意にして日支条約の有効を認め
日本人に臨時辨法を適用するの意なきものとすれば貴下(蒋介石)が行政院長として政府組織を改め穏健なる政策を実行し日支の関係を改善せんとする此の際日本をして条約問題に対する態度を変更せしむる事左して難事にあらずと思考す。
而して其の手続き方法としては例えば日本よりの支那側第二次照会に対する回答に於いて先ず一応は(一)支那側の条約廃棄の論拠たる情勢変化説は其の理由を認め難き事(二)第二十六条の解釈に就いての日本政府の主張の正当なる事を説明したる後右我方の所説は
素より之を抂くる能はざるも他方支那に於ける不平等条約改訂の要望に対しては飽く迄同情的考慮を吝むものにあらず。故に国民政府に於いて日支両国の友好善隣の関係を顧慮し新条約完全に成立する迄は其の一方的に制定せる臨時辨法の適用を差控えるの決意を
表示し以て現行条約の条項に依り両国間の関係を律せんとするの誠意を披瀝するに於いては此の際商議に応じ適当と認むる改訂の交渉に入るも差支えなしとの趣旨を明記する事とし之に対し国民政府よりは貴翰の趣諒承せり仍て速に商議に入り度きに付交渉委員を
任命ありたき旨回答するが如き一案なりと思考する。又例えば済南事件の如き南京漢口事件の如き不祥事件の解決せられざる限り日支関係の好転は期待し難き処日本政府としては日支関係の大局上成るべく速に且簡単に之を解決するの用意あるが故に国民政府としては
速に之が解決の方針を確立し日本に向けて交渉を開始するの要あるべし。猶ほ日支間の関係を根本的に改善する目的の為に何人か充分の権限ある相当の人物を至急日本に特派して総理大臣と充分懇談せしむる事必要なるべく右の場合には総理としても必ずや隔意なき
意見を開陳する事を疑わず。」

第三、満洲問題解決方針
一、満洲の治安維持に次いて必要なるは同地方に於ける我経済的活動の基礎を確立するに存す。右は畢意同地方を日本人居住営業に開放せしめ日本人をして土地の利用権を享有せしむる事に帰着するところ此目的を達するには我に
  於いて治外法権を抛棄するの覚悟有るを要す。然るに治外法権は現在の支那の状況に於いて即時に之を撤去する事不可能の状態なるが故に一定の準備期間を置き其期間の経過と共に之を撤廃するが如く措置せざるべからず。
  従って東三省の開放乃至土地利用権獲得も其の実行に至っては治外法権撤去せらるる迄或期間(治外法権準備期間に相当する期間)之を期待する事を得ざるべきなり。
  上述の如き次第なるを以て此際東三省政権に同地方の開放等を要求するも単に一定期間の後に之を実行せしむる事の予約を出でざるものなる事を覚悟せらるべからず。
  右予約は日支双方の声明を以てする事とす可し即ち
  (イ)日本政府よりは一定期間の後東三省に於ける治外法権を撤廃する事を声明す。
  (ロ)東三省政権よりは右日本政府の声明に関連し一定期間の後東三省を内外人に対し完全に開放することを声明す。

二、右の予約をなさしむべく要求すると同時に差当り実行し得べき事項として大正四年の日支条約に規定せる(一)南満洲に於ける居住往来の自由及(二)商租の実行を為さしむる様要求する事とす。
  可し尤も右の場合には我方に於いては右日支条約に規定スル如く南満洲に於いて支那の警察課税に服するの覚悟有るを要す。日支条約の実行を要求するも従来の経緯に顧み支那側に於いても容易に之に
  応諾し難かるべきも我方としては条約の履行を迫るに過ぎざる次第なれば此の際之を主張するは当然なり。
  本項は東三省政権と奉天駐在日本総領事との間の交換公文を以て明確にする事。

三、不取敢東三省政権に対し上記の如き要求を提出して交渉を試みるも他方通商条約改訂問題に関する国民政府との関係緩和せられ条約改訂問題に関する商議開催さるるに至るか若しくは国民政府との間に
  何等か満洲問題につきて交渉を為し得るの時期に達すれば東三省政権との交渉と併行して国民政府との間に前記の主旨により正式条約に依る解決を策するを妨げず。

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